金融法務事情No2150号で紹介された東京地裁令和2年6月29日判決です。
(笠松山)
判決要旨は以下のとおりです。
① 保険者は、保険給付を行ったときは、当該保険給付の額か被保険者債権の額のうちいずれか少ない額を限度として、保険事故による損害が生じたことにより被保険者が取得する債権について当然に被保険者に代位する(保険法25条1項)。
② 損害保険において、被保険者が、填補の対象としている損害につき保険給付を受けつつ、当該損害につき自身の取得する損害賠償請求権等もさらに行使できるとすれば、損害の填補を超え、保険事故が生じたことにより利得が生じることになるが、保険代位制度により、このような不合理な事態の発生を防止し得る(利得禁止の原則)。
そして、保険法25条1項の法文上は、対応原則につき明示的に規定されてはいないものの、被保険者が、保険契約において填補の対象とされている損害につき保険給付を受けたのであれば、これに対応する被保険者債権を保険者に移転することは、被保険者の利得禁止の原則にかなうものであり、他方で、被保険者が保険給付を受けたものの、当該保険給付が保険契約において填補の対象としている損害を補填するものでないならば、填補されない部分につき、なお被保険者債権を保持したとしても利得禁止の原則に照らして問題は生じない。
③ 本件保険契約は、営業損失の一般的な填補を対象として保険給付を行う契約であり、喪失利益及び収益減少防止費用はその保険給付を達成するための計算過程で用いられるにすぎないといえる。したがって、営業損失について保険給付が行われた場合は、これに対応し、被保険者債権の給付額分が保険会社に移転するのであり、喪失利益ないし収益減少防止費用という営業損失内の費目によって保険代位の範囲が制限されることはない。まして、収益減少防止費用の費目の内訳にすぎない損害項目につき、保険代位の範囲が制限されることもない。
結局のところ、保険代位の範囲を広く解したわけですかね💦
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