【金融・企業法務】 準共有株式の権利行使をめぐる諸問題
判例タイムズNo1443号で紹介された伊澤大介大阪地裁判事による論文です。

(伊予・今治城)
詳細は、判タを購入して勉強していただきたいが、はじめのイントロが問題点を鋭く指摘しているので、引用します(P5~P6)。
「大阪地方裁判所第4民事部は、商事関係の訴訟、保全、非訟事件を専門的に取り扱っている。
商事関係訴訟の多くは、小規模閉鎖会社における株主権等をめぐる争いであり、株式会社や有限会社の発行済株式の全部又は過半数に当たる株式を有していた創業者等の死後に、共同相続人間で対立が生ずるケースがその典型である。
相続財産中に株式があり、相続人が数人あるときは、株式は相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に分割されるのではなく、遺産分割がされるまで、共同相続人が法定相続分に応じて株式を準共有(民法264条)することになる。
準共有株式の権利行使については、民法264条本文により、民法の共有に関する規定が準用されるが、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律による改正前の商法(旧商法)は、民法の共有に関する規定に対する「特別の定め」(民法264条ただし書)として、旧商法203条2項を設けており、平成18年5月1日に施行された会社法においても、「特別の定め」として、会社法106条が設けられている。
すなわち、旧商法203条2項は、「株式が数人の共有に属するときは共有者は株主の権利を行使すべき者1人を定めることを要す」と定めており、また、会社法106条は、「株式が2以上の者の共有についての権利を行使する者1人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することについて同意した場合は、この限りではない。」と定めている。
この株主の権利を行使すべき者又は株式についての権利を行使する者を権利行使者といいい、権利行使者は準共有者の中から選定されなければらないと解されている。」
(伊豆・山中城)
「準共有株式の権利行使について、民法264条本文により民法の共有に関する規定が準用されるとしても、議決権等の各権利の行使方法について、具体的に、民法251条、252条本文及び同条ただし書のうち、いずれの規定が準用されるのかが問題となる。
また、旧商法203条2項及び会社法106条本文は、準共有株式についての権利行使をするためには、権利行為者の指定が必要である旨を定めるにとどまり、権利行使者の具体的な指定方法や解任の方法については定めていない。
さらに、会社法106条ただし書は、権利行使者の指定及び通知がない場合に、会社の同意により準共有株式についての権利の行使を認めることができるための要件を、文理上はなんら制限していないが、会社の同意さえあれば、それだけで権利行使が常に適法なものとなると解してよいかも、問題となり得る。」

(伊豆・山中城)
長々と問題の所在を引用しましたが、まさにこの種の案件は、小規模閉鎖会社において、創業者等が死亡により発生しがちであり、田舎弁護士も勉強しなければなりません。![]()
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