【金融・企業法務】 有価証券報告書及び四半期報告書に虚偽記載がされた上場株式を取引所市場で取得した株主が、発行会社に対し、金融商品取引法21条の2に基づき損害賠償を請求した事例 東京地裁平成29年3月28日判決
金融法務事情No2070号で紹介された東京地裁平成29年3月28日付判決です。
判決要旨は以下のとおりです。
有価証券報告書及び四半期報告書に虚偽記載がされている上場株式を取引所市場で取得した株主は、発行会社に対し、金融商品取引法21条の2に基づき、
虚偽記載がなかったとしても直ちに株式が上場廃止となる蓋然性が高いといえないから取得自体損害を賠償請求することはできないが、
虚偽記載が判明してから各売却日までの下落は、虚偽記載と相当因果関係があるのでその部分を高値取得損害(同21条の2第3項の推定規定に基づく損害を超える)として賠償請求をすることができる。

証券訴訟については、金融法務事情No2070号のスピンオフにて、「証券訴訟がある意味ブームである。」、「弁護士にとって、過払訴訟ブームの次の食い扶持とまでいうといいすぎかもしれないが、訴訟参加を募る弁護士もいて、相当数の個人投資家が訴訟を提起している。さながら訴訟社会の米国のような活況を呈している。」と書かれています。
金商法21条の2第1項は、有価証券等を取引所市場等で取得した者が、虚偽記載した発行者に対し、同法19条1項の限度で、虚偽記載についての損害賠償請求をすることができ、同法21条の2第3項は、虚偽記載の場合の損害額を推定する規定である。同条にいう損害については、取得価額と想定価額の差である取得時差額を損害とする取得時差額損害(本判決のように高値取得損害とも称される)に限られず、虚偽記載に伴う信用棄損による下落のように、虚偽記載と相当因果関係にある損害すべてをいうとするのが判例である(最高裁平成24年3月13日判決)。
スピンオフによれば、「根底には、最高裁が損害賠償を認容する判断をしたことによって期待値が高まり、一定程度確実にリターンが見込まれることがあるのだろう」と書かれています。
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