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2015年10月27日 (火)

【金融・企業法務】 相続預金払戻拒否による金融機関の不法行為責任!?

 金融法務事情No2026号で紹介された大阪高裁平成26年3月20日判決です。

 預金払戻拒否行為が不法行為となるかどうか?という論点です。

 一般的には、「原則として、預金の払い戻しについては債務不履行を認定しつつも、金銭債務の不履行が不法行為となるのは、履行拒絶行為が公序良俗に違反する態様でされたというべき特段の事情が認められる例外的な場合に限られるとして、弁護士費用等の、法定利率を超える損害賠償を否定してきたといえる」としてコメントされています(堂園論文本書P8)。

 大阪高裁は、Y銀行は、甲の死亡による相続開始によりXが法定相続分2分の1について当然に甲名義の普通預金を分割取得し、法律上、Xの預金分割払戻請求を拒むことができないことを十分認識しながら、

 後日の紛争を回避したいという自己都合から他の法定相続人Aの同意ないし意思確認ができない限り、預金分割払戻請求には応じられないという不合理な理由で頑なに拒絶し、殊更故意にXの預金債権に対する権利侵害に及び、Xをして預金払戻しの本件訴訟の提起ならびにその追行に要する弁護士の選任および弁護士費用の負担を余儀なくさせ、財産上の損害を与えたのであるから、

 上記預金分割払請求があった日からさらに預金手続きに要するであろう期間2か月程度が経過した時点で、単なる債務不履行の域を超えて不法行為が成立する。

 不法行為まで認定した高裁事例は他には見当たらないとのことです。

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