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2015年7月11日 (土)

【金融・企業法務】 非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に、非流動性ディスカウントを行うことはできないとされた事例 最高裁平成27年3月26日決定

 判例時報の2256号で紹介された最高裁平成27年3月26日決定です。

 論点は、A社は非上場会社であるところ、非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法(将来期待される純利益を一定の資本還元率で還元することにより株式の現在の価格を算定する方法)を用いて株式の買取価格を決定する場合に、非流動性ディスカウント(当該会社には市場性がないことを理由とする減価)を行うことができるか否かが争われました。

 原審は、非流動性ディスカウントを考慮して、25%の減価を行い、1株あたり80円と計算しました。

 最高裁は、非流動性ディスカウントを否定して、1株あたり106円と自判しました。

 最高裁の理由は以下のとおりです。

 非流動性ディスカウントは、非情状会社の株式には市場性がなく、上場株式に比べて流動性が低いことを理由に減価をするものであるところ、

 収益還元法は、当該会社において将来期待される純利益を一定の資本還元率で還元することにより株式の現在の価格を算定するものであって、同評価手法には、類似会社比準法等とは異なり、市場における取引価格との比較という要素は含まれていない

 吸収合併等に反対する株主に公正な価格での株式買取請求権が付与された趣旨が、吸収合併等という会社組織の基礎に本質的変更をもたらす行為を株主総会の多数決により可能とする反面、それに反対する株主に会社からの退出の機会を与えるとともに、退出を選択した株主には企業価値を適切に分配するものであることをも念頭に置くと、収益還元法によって算定された株式の価格について、同評価手法に要素として含まれていない市場における取引価格との比較により更に減価を行うことは、相当でない

 取引目的の評価の場合には、非流動性ディスカウントが許されることについては特段の異論はありませんが、裁判目的の評価の場合には、両説があったようです。

 時折相談がされることがあるので、勉強になりました。

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