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2015年7月 6日 (月)

【金融・企業法務】 非上場会社が株主以外の者に発行した新株の発行価額が商法280条の2第2項にいう「特に有利なる発行価額」に当たらない場合 最高裁平成27年2月19日判決

 金融法務事情No2020で紹介された最高裁平成27年2月19日判決です。

 判決要旨は以下のとおりです。

 非上場会社が株主以外の者に新株を発行するに際し、客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額が決定されていたといえる場合には、その発行価額は、特別の事情のない限り、商法280条の2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たらない。

 原審は、1株を1500円として新株発行したところ、いわゆるDCF法によれば、1株7897円と算定されることから、特に有利なる発行価額にあたると判断したのですが、最高裁は、原審の判断を破棄しました。

 非上場会社の株価の算定については、①簿価純資産法(会計上の純資産価額で評価する方法)、②時価純資産法(時価額で評価する方法)、③配当還元法(実際の配当金額または予測配当金額を資本還元率により還元する方法)、④収益還元法(予測純利益を資本還元率により還元する方法)、⑤DCF法(将来収支予測に基づき算出される将来フリーキャッシュフローを所定の割引率で割り戻す方法)、⑥類似会社比準法(類似する上場会社等の市場価格を元に評価する方法)など、様々な評価方法が存在しておりますが、明確な判断基準が確立されていないところが、悩みの種です。

 上場会社の場合の株価算定については、最高裁昭和50年4月8日判決が、上場会社の新株発行価額が価額決定直前の市場株価より低額であっても、①客観的資料に基づき、②一応合理的な算定方法によって発行価額が決定され、③発行価額が直前の市場株価に近接している場合には、④特別の事情がない限り、当該新株発行価額は、著しく不公平なる発行価額にあたらないと判断しているところ、最高裁昭和51年3月23日判決は、上記①~④の各要件がみたされていれば、新株発行価額は公正な価額といえると判断しております。

 上場会社でさえ、このような手法で判断されている以上、非上場会社の場合は、上記各判例のような判断手法はより強く妥当すると指摘されています。

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