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2015年4月 7日 (火)

【金融・企業法務】 MBOの際の手続的公正性配慮義務

 判例時報No2245で紹介された神戸地裁平成26年10月16日判決です。

 MBO(経営陣による株式の公開買い付け)が失敗した場合において、株主が会社の元取締役らに対し、MBO手続により生じた会社の損害を賠償するよう求めた株主代表訴訟が一部認容された事例ですが、その中で、裁判所は、非常におもしろい義務を取締役に認めています。

 一般に会社の取締役は、MBOの実施に当たっては善管注意義務の一環として企業価値の向上に資する内容のMBOを立案、計画し、その実現に向け尽力すべき義務を負うところ、

 本件のような会社の非公開化を目的とするMBOは、自らが取締役を務める会社の株式を公開買い付けを通じて取得し、公開買い付けに応募しない株主を締め出すことにより会社を非上場化する取引であるから、

 本来は企業価値の向上を通じて株主の利益を代表すべき取締役が株式の買い手側に立つこととなり、できる限り高い価格での買取を求める売り手(既存株主)とは必然的に利益相反関係が生ずるため、

 取締役は、公開買付価格の公正さはもとより、その価格決定手続の公正さの確保に配慮すべき義務として、手続的公正性配慮義務を負うと解するのが相当である

 公正は当然ですが、公正らしさの確保も大切よ! ということでしょうか。なんか、裁判所みたいですね。

 なお、取締役には、情報開示義務違反も認められていますが、損害との因果関係はないとされています。法律事務所から厳しい意見がつけられているのに、「9月19日付け賛同意見表明のプレスリリースの中に、『なお、当社取締役会は、平成20年6月より、本取引に法的論点に関する説明を弁護士法人〇法律事務所から受けております』との付記記載をしたことは、取締役の会社法上の義務としての善管注意義務(情報開示義務)に違反する」と指摘されています。公表すべき重要な事項ないしは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の公表を怠ったと評価されたわけです。

 MBOの失敗を原因とする株主代表訴訟としては先例もないようです。

 

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