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2015年3月24日 (火)

【金融・企業法務】 デッド・リストラクチャリングのための各手法の比較検討 DDS  

 DES・DDSの実務(第3版)の続きです(P138~)。

 DDSについては、以下のような説明がなされています。 

 「DDSとは、債権者が債務者に対して有する既存の債権を、別の条件による債権に変更することをいう。通常、金融機関の既存の貸付金を他の債権よりも劣後する劣後ローンや劣後債に変更する意味で使われる。

 債権放棄やDESの場合と異なり、債権(債務)としては存続するものの、劣後化することによって実質的に債務者の財務状態を改善し信用力を高めることにより、再建可能性を高める手法である。

 また劣後させた債務については、金融機関側の事情によって元本回収・返済が突如行われるということもなく、債務者を含めた利害関係人の予測可能性が高まるため、安定的な経営を行うことができるようになる。」

 そして、本書では、DDSについては、金融機関・中小企業のニーズに合致する旨の説明がなされています。

 「DDSが債権放棄やDESと最も異なるのは、債権を別の債権に転換するだけの手法であり、債務者が最終的に返済義務を負う点については変わりがないことから、他の手法と比べて比較的容易に実行できるし、債務者のモラルハザードの問題が生じにくい点である。このため、地域金融機関や中小企業のニーズにも合致しやすい。

 DDSによって債務の一部を劣後化すると、債権放棄やDESの場合と同様、①実質的には過剰債務の状態が解消され、債務者の信用力が高まり、再建可能性が高まる。

 DDSの対象となった債務が劣後化されている間は、②当該債務については元本返済がなくなるため、資金繰りが改善されるし、それにより、他の借入金の返済能力が向上し、③他の借入金についても不履行となる危険性が減少する。

 債権者は、DDSによって劣後化された債権についても、④約定で定められた期間経過後に元本を回収することが可能であるし、⑤劣後化している間も利息を受け取ることが可能である。

 また、⑥DDSの実行に際して債務者に特約を課せば、株式所有による経営支配、経営責任の問題を回避しつつ、債務者の経営内容や財務状態・キャッシュフォロー等の監視やコントロールが実質的に可能となる。

 さらに、DDSが一定の条件を満たす場合には、⑦DDSの対象外の債権について債権者区分を上位遷移することが可能となる。」

 これまで、債権放棄、DES、DDSの概要について説明してきましたが、経営者責任としては、「債権放棄の場合、本来株式よりも優先的地位にある債権を債権者が放棄することから、一定の株主責任、経営者責任を問うことが要請される。

 DESについても債権を原則として既存の株式と同順位の権利に変更することから、債権放棄の場合まででなくとも一定の株主責任、経営者責任を問うことが要請されることが多い。

 他方、DDSについては、債権を他の条件の債権に変更するだけで、株式よりも回収において優先的地位にあるものにとどめている。したがって、DDSを行う場合、当然に株主責任、経営者責任を問うということにならない」と説明されています(P160)。

 DESやDDSの法律相談があった場合には事前に読んでおく必要がある書籍ですね。 

 

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