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2014年9月10日 (水)

【金融・企業法務】 社外取締役を置くことが相当でない理由の説明

 最新号の月刊監査役では、平成26年会社法改正に携わったと思われる法務省の方が、会社法改正についてわかりやすい解説をされていましたので、その一部を紹介します。

 社外取締役を置くことが相当でない理由は、株主総会での説明、事業報告や株主総会参考書類でも記載する必要があります。

 株主総会での説明を欠いた場合には、株主総会の決議取消事由になるかについては考え方がわかれているようですが、株主総会参考書類に書き忘れたらこれは間違いなく決議取消事由になります。怖いですねえ。

 株主総会では、具体的に相当でない理由を説明しなければならないのですが、立法者は、「抽象的に言えば、必要でない理由でなく、相当でない理由ですので、置くことが会社にとってかえってマイナスになるというような事情を説明する必要がある」と考えているようです。

 「社外監査役が2人いて、それが十分機能しているから社外取締役を置く必要がありませんという説明だけでは、×」とされています。この理由だと、それは置く必要がない理由であって、置くことが相当ではない理由ではないからです。

 「社外取締役を選任しない会社というのは、こってりと詳細に相当でない理由を説明していただく必要があると思います」

 ・・・・

 厳しい。 

 同じ号に神田秀樹東大教授の講演録も収録されています。 

 神田先生は、「今後、監査等委員会設置会社に移行する会社が出てくるかについては、監査役会設置会社で仮に社外取締役がいないとしますと、置くことが相当でない理由を説明しないといけません。現在の法律の下で監査役会設置会社は少なくとも社外監査役が2名いますので、その社外監査役の方に社外取締役になってもらえば、そのまま何もしなくても監査等委員会設置会社に移行できます。」と述べられています。

 じゃあ、監査等委員会設置会社になればいいんだあと思いますが、必ずしもそうとはいえないようです。

 同じ号にコスモ石油㈱の安藤弘一監査役の論文が紹介されています。3つ程問題点を指摘されています。

 「一票の議決権を持つ取締役とこれを持たない監査役では明らかに人材像が違う。横滑り人事が機能しないことは明らかである。」

 「監査等委員として3名の取締役を追加すれば、取締役会における執行/非執行のバランスが大きく崩れる。取締役会の員数や構成を一から見直さなければならない。」

 「そもそも監査等委員会型を、監査役会型からの移行受け皿として位置づけることに無理がある。社外取締役に監査等委員タイプを選任すれば、バランス上ROE向上に明るい経営者タイプを追加選任しなければならない。・・・・このモデルはガバナンス体制全体の見直しを要求している。」

 とはいえ、安藤監査役も、「社外取締役を選任しない監査役会設置会社の選択は一過性のものと考える」と説明されています。

 その結果、大多数の会社は、「監査役会+社外取締役」型を選択することになりそうです。

 現に、7月14日時点で、東証1部上場会社の7割以上が社外取締役を選任しているようです。 

 

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