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2014年5月19日 (月)

【金融・企業法務】 相続放棄と払戻済み預金の返却の申出

 金融法務事情No1993号で紹介された実務相談室です。

 相続人からの申出に応じ、被相続人の預金について相続手続を実施の上、口座解約を実施したところ、払戻しを受けた相続人から、「被相続人に債務があることが判明し、相続放棄を考えているから払戻しを受けた金員を返却したい」との申出がありました。どのように対応するべきでしょうか?

 なるほど、余り考えることのない質問ですが、通常の相談業務において相談があってもおかしくない質問です。

 まず、解説者は、相続人からの払戻しを受けた金員を戻したいという申出は、相続手続に係る合意の解除の申出であり、金融機関がそれを了承するのであれば、預金を元の被相続人名義の預金に戻すということ自体は可能であると説明されます。

 但し、それは、外観上、法定単純承認事由がなかったように見える状態を作り出すだけの意味しかないとされる可能性が高いことに十分留意する必要があると指摘されています。

 他方で、金融機関が合意の解除の申出に応ぜず、申出人が相続放棄が認められた場合に、申出人に支払った金員は、弁済として有効になるのかという問題が生じますが、この点については、いわゆる準占有者に対する弁済として有効と説明しています。

 余り考えたことのない質問ですね。 

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