【労働・労災】 金融機関の従業員が過重労働によりうつ病を発症して自殺したとして、 同機関に対する安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権が一部認められた事例 大阪地裁平成25年3月6日判決
判例タイムズNo1390号(9月号)で紹介された大阪地裁平成25年3月6日判決です。
本判決の概要を示します。
まず、裁判所は、
従業員Bが担当していた業務につき、Aの職員の平均的な業務としては過重であったとは認められないこと、
Bのうつ病の発症時期につき、高松支店勤務時ではなく、長崎支店勤務時の平成17年5月下旬ころであることを認定しました。
その上で、高松支店勤務時からBの業務は相当の残業をしても遅れがちであり、長崎支店への異動直前には滞留した業務が相当過重となり、同年3月末段階で業務における心理的負荷が重なっていたところ、
長崎支店では、残業が制限されていたので残業で業務の遅れを取り戻すことができなくなり、業務の遅れが顕在化してきたことでさらに心理的負荷が重なっていったとして、
業務と自殺との間に因果関係を認めました。
そして、Aは、Bの性格や業務が遅れがちな勤務状況だったことを認識しており、Bの性格や勤務状況につき配慮できたにもかかわらず、適切な措置を採らなかったとして、Aの安全配慮義務違反を認めました。
これに対して、Yは、Bの業務量は少なく、Bの業務量並びにBの担当していた個々の具体的業務内容からすれば、Bのうつ病発症等を予見することは不可能であったなどと主張しました。
裁判所は、Aは、Bが、多くはない業務量であっても、それを他の職員よりも時間をかけてこなしてきたことを認識できたから、業務量やその内容だけからみて形式的に予見できなかったとはいえないとした。
過失相殺については、BのAにおける勤務経験が14年と比較的長く、健康上の問題があれば、B自らの申出や相談があることを期待してよい状況にあったことや、B自身も自己の健康の維持に配慮すべき義務を怠った面があることから、損害額の3割を減額しました。
労災事案においては、過失相殺は必ずといって主張される争点です。電通最高裁判決では、労働者の性格やこれに基づく業務遂行の態様等を心因的要因として斟酌することはできないとしておりますが、この判決のように、Bが自己の健康の維持に配慮すべき義務を怠ったとして、3割もの過失が認められる場合がありますので、注意が必要ですね。
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