【流通】 洋菓子チェーン・フランチャイズ事業を営むフランチャイザーが消費期限切れの原料使用問題によりブランド価値維持義務に違反するとされたものの、損害との因果関係が否定された事例 東京地裁平成22年7月14日判決
判例タイムズNo1381号(12月15日号)で紹介された裁判例です。
判決の概要を引用します。
Yは、使用を許諾した商標、サービス・マーク等のブランド価値を自ら損なうことがないようにすべき信義則上の義務を負うとし、また、本件契約において、X又はYが「相手方若しくは洋菓子チェーン・フランチャイズシステムの信用、名誉、のれんを傷つける行為をしたとき」は、事前の催告を要せず、直ちに本件契約を解約することができる旨の定めがあることなどに照らし、Yは、洋菓子チェーン・フランチャイズシステムの信用、名誉、のれんを傷つける行為をしてはならないとの契約上の義務を負っているものと解すべきであるとして、Yのブランド価値維持義務違反を肯定しました。
他方、本判決は、Xが、フランチャイズチェーン店の開店後休業期間までいずれも赤字であったことや、休業期間の後、1度も営業を再開することなく営業を止めたことから、Yの消費期限切れ原料使用問題によって廃業に追い込まれたというものではないことが明らかであるとし、
また、同チェーン店の従業員らが退職したのは、XがYから休業補償金を受領しながら、その趣旨に反して従業員らに対して給与を支払わなかったことにあるとして、Yによるブランド価値維持義務違反とX主張の各損害との間の因果関係を否定しました。
判決文を見る限り、Xの請求は無理筋な印象を受けます。
例えば、「原告は、被告から、従業員の給与等の販管費を賄えるようにするため、本件休業期間中、1週間ごとに、前年同期の売上げの36%に当たる本件休業補償金の支払を受けていたにもかかわらず、本件FC店の従業員らに対して、本件休業期間中、従前どおりの給与を支払わず、原告の経営する別の店舗で勤務させたり、別の店舗で勤務させられない者に対しては平成19年1月21日以降給料を支払わなかったというのであるから、本件FC店の従業員らが退職したのは、原告が被告から本件休業補償金を受領しながら、その趣旨に反して従業員らに対して給与を支払わなかったことになるものというべきである。」
む~ん。
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