【金融・企業法務】 公有地に係る土地信託契約において、受益者に対する費用補償請求権を定めた旧信託法36条2項本文の適用を排除する旨の合意が成立していたとはいえないとされた事例 最高裁平成23年11月17日判決
金融法務事情No1940号(2月25日号)が届きました。
金融法務事情で紹介される最高裁判決は、田舎弁護士にとっては、???でも、一応目を通すようにしています。
今回は、最高裁平成23年11月17日判決です。
信託法ってきくだけで、???ですが、我慢して一読しました。
そうすると、田舎弁護士の地域でもありうるのかなあ?と思われるようなケースでした。
しかし、約80億円の請求です。損害金も年6%です。すごい金額だな?
田舎弁護士は、1億を超えるような裁判は、過去数件くらいしか担当したことがありません。弁護士賠償保険の保険金額を超過するような事件は、怖いですねえ・・・
閑話休題
判決要旨を紹介します(P103から引用)。
県と信託銀行との間で、県を委託者兼受益者、信託銀行を受託者として、県がその所有する土地を信託銀行に信託譲渡し、信託銀行が建設資金等を借り入れた上で同土地上にスポーツ・レクリエーション施設を建設し、これを管理運営することを目的とする土地信託契約が締結された場合において、
次の①~③など判示の事情のもとでは、上記信託契約において、受益者に対する費用補償請求権を定めた旧信託法36条2項本文の適用を排除する旨の合意が成立していたとはいえない。
(旧信託法36条1項は、受託者は、信託財産に関して負担した租税、公課その他の費用等の補償については、信託財産を売却し、他の権利者に先立ってその権利を行うことができると定めており、この「費用」には、信託事務処理のために受託者が第三者に対して債務を負担した場合に、これを弁済するための費用も含まれると解されている。そして、同条2項本文は、同条1項の「費用」等については、受益者に対してもその補償を請求することができると定められている。)
① 上記信託契約締結当時、公有地の信託といえども旧信託法36条2項本文の適用があるのが原則であることが公有地の信託に関わる関係者の共通認識であり、県もその例外ではなかったにもかかわらず、上記信託契約の締結に至るまでの間に、県と信託銀行との間において、旧信託法36条2項本文の適用を排除するための交渉がもたれたことは全くうかがわれない。
② 上記信託契約に係る契約書には、「信託事務に必要な費用は、信託財産から支弁する」、「信託終了に要する費用は、信託財産から支弁する」との条項があるが、上記各条項には旧信託法36条2項本文の適用を排除する趣旨の文言はなく、上記契約書には、ほかに同項本文の適用を排除する旨を文言上明確に定めた条項はない。
③ 上記信託契約締結後、信託事業の収支が悪化し、県は、信託事業に資金不足が生じた場合の処理方法について信託銀行と協議を重ねるようになったが、その協議の過程において、県が信託銀行に対し自己の費用補償義務を否定するような態度を示したことはうかがわれず、県がこれを明確に否定したのは、上記協議の開始から約2年9か月経過した後のことである。
金融法務事情の解説によれば、「公有地信託は、昭和61年の制度の創設以降、相当数が行われたものの、バブル経済の崩壊後、その多くは事業が破綻しているといわれている。本判決は事例判断を示したものにすぎないが、多くの公有地信託契約において本件契約書と同様の条項が用いられているようであり、本判決が、受託者であるXらが旧信託法36条2項本文の費用補償請求権を有していることを当然の前提として、本件契約書のもとで同項本文の適用を排除する合意が成立していたとはいえないと判断した影響は少なくないものと思われる。」と説明されています。
そうすると、公共団体にとっては、頭が痛いですねえ・・・
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