【保険金】 自動車の盗難を保険事故とする保険金請求において、盗難の外形的事実である「被保険者以外の第三者が被保険者の占有に係る被保険自動車をその所在場所から持ち去ったこと」につき、高度な蓋然性があると認められる程度まで立証できたとはいえないとして、保険金請求が棄却された事例 東京高裁平成23年5月23日判決
判例タイムズNo1360号(2月1日号)で紹介された東京高裁平成23年5月23日判決です。
最高裁平成19年4月17日判決により、保険請求者は、事故の偶然性の主張立証責任を負いません。
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しかし、例えば、盗難の場合には、「被保険者以外の第三者が被保険者の占有に係る被保険自動車をその所在場所から持ち去ったこと」という外形的事実は主張立証しなければならず、それは、最高裁平成19年4月23日判決により、①被保険者の占有に係る被保険自動車が保険金請求者の主張する所在場所に置かれていたこと、及び、②被保険者以外の者がその場所から被保険自動車を持ち去ったことという事実から構成されるものとされています。
東京高裁は、
(1)盗難現場とされる本件資材置場の構造及び状況、とりわけ、街宣車が駐車されており、イモビライザー標準装備車であることから盗難されにくいはずであるのに、設置されていたセキュリティシステムを合理的な理由なく切っていたこと
(2)本件車両を預けていた自動車販売業者からの引き揚げの経緯、本件車両を本件資材置場に移動させた理由の不自然さ
(3)保険金請求者の経済的状況
(4)本件車両の必要性の低さ
などの間接事実を積み上げて、盗難という外形的事実の証明度が足りないと認定しました。
解説によれば、保険金請求におけるいわゆるモラル・リスクケースに対しては、①保険事故の外形的事実を認定しない方法、②故意による事故招致を認める方法がありますが、高裁は①をとったようです。
裁判長は、あの加藤新太郎裁判官です。
なお、いたずらによる損傷の場合の裁判例は、東京高裁平成21年11月25日判決があるようです。
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