【流通】 大手運輸会社から業務委託を受けた運送会社の不法行為につき、同運輸会社の使用者責任が認められなかった事例 大阪地裁平成23年1月13日判決
判例時報No2113号(7月21日号)で紹介された大阪地裁平成23年1月13日付判決です。
事案は、以下のとおりです。
ワインバーを経営しているXさんが、A社からワインセラーを購入したところ、A社から依頼を受けた運輸会社Yが、業務委託を受けたB社に運搬作業を依頼したところ、B社の担当者が、搬送中に、Xさんの店舗の床面を傷つけてしまったというケースです。
Xさんは、Yは、B社を使用していた者に該当するとして、使用者責任に基づく損害賠償請求がなされました。
裁判所は、
民法715条1項にいう「他人を使用する者」とは、事業の執行上、被用者を実質的な指揮管理下に置いている者をいうと解されるとした上で、
YとB社との間の業務委託契約には、Yが業務委託の遂行に関してB社に対して比較的強力な指導や指揮監督を及ぼしうる条項が認められているものの、実際には、右条項は空文化していること
B社はYから相応の独立性を保ったまま、Yからの委託業務を処理していること
を理由に、YがB社に対して実質的な指揮監督を及ぼしていたと評価することはできないとして、
Xさんの請求を棄却しました。
判例時報の解説には、「判断はやや微妙」と説明されているため、控訴審の判断がどうなるのか?注目していきたいと思います。
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