【流通】 コンビニエンス・ストアのリロケイト物件に関するフランチャイズ契約において、フランチャイザーのフランチャイジーに対する説明義務違反(情報の不開示)による損害賠償請求が認容された事例(過失割合5割)
判例タイムズNo1339号(3月15日号)で紹介された仙台地裁平成21年11月26日判決です。
リロケイトとは、オーナーと店舗の両方が移転することを意味するコンビニ業界の用語だそうです。
本判決の骨子は以下のとおりです。
契約を締結しようとする双方の当事者は、契約締結を目的として準備交渉に入った段階で、社会的に密接な関係に至ったと評価されるべきであるから、相互に相手方の生命・身体や財産的利益を侵害しないように配慮すべき信義則上の保護義務を負う。
フランチャイズ契約においては、フランチャイザーが経営のノウハウや知識、当該店舗の出店に関する情報及び経済的基盤を保有している一方で、通常、フランチャイジーになろうとする者は上記のような知識や経験が乏しいことに照らせば、
フランチャイザーは、フランチャイズ契約の締結に向けた交渉に入った時点で、フランチャイジーになろうとする者に対し、フランチャイズ契約を締結するか否かを判断するために必要な情報を提供すべき信義則上の保護義務を負っていると判断しました。
そして、問題となっている項目毎に検討した結果、次のとおり、旧店舗等の売上実績等の重要情報の開示のみに保護義務違反が認められるとしています。
被告の社員は、原告の社員に対し、リロケイトの理由がフランチャイズ契約が満了したことにあると説明しているが、リロケイトの経緯に照らせば、その説明が虚偽であるとまでは認定できないものの、旧店舗の売上実績は、別の店舗の開店によって旧店舗の売上げが減少したまま回復しなかったことが少なからず影響を与えていると推認され、そうであれば、旧店舗の売上げが別の店舗の開店の影響によって減少したことについて全く言及しなかった点において不十分であったとの謗りを免れない。
また、当該店舗は、旧店舗からわずか30メートル程しか離れていない場所に位置するリロケイト物件であることからすれば、被告は原告に対して当該店舗の開店を勧誘するに際して、旧店舗の売上実績を開示すべきであるにもかかわらず、開示してない。
以上から、旧店舗の売上実績等の重要情報を開示しなかったことは、被告の保護義務違反が認められると判断しました。
もっとも、原告にも落ち度があるとして、50%減額しています。
解説によれば、棄却例の方が多いものの、認容例も増えてきているようです。ただし、認容例では、過失相殺されていることが多いようです。
フランチャイズ契約は、今ではたまに相談のある契約であるため、勉強しておく必要がありそうです。
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