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2010年10月10日 (日)

【金融・企業法務】 会社分割が詐害行為取消権行使の対象となるとした東京地裁平成22年5月27日判決

 銀行法務21・10月号(No722)で紹介された「特集」です。

 今回は、大手法律事務所の弁護士と、銀行実務家の方の論文が掲載されていました。

 事案は以下のとおりです。

 Xは、Y1との間で、店舗内装に関し、割賦販売契約及びリース契約を締結していました。XのY1に対する債権は、約1900万円でした。

 Y1は、事業の業績が極端に不信で債務超過に陥っていたことから、会社再建の方法として、広告宣伝事業を切り離し、クレープ飲食事業を新設分割で設立した会社に独立させることを考え、不動産・M&Aや事業再生に関するアドバイザリー等を営むZをスポンサー候補として、同社との間で交渉を行った。

 Y1は、平成20年2月に、自らを新設分割会社とし、クレープ飲食事業に関して有する権利義務をY2に対して承継させる新設分割計画を作成したが、同分割計画においては、割賦販売代金残額債権およびリース代金残額債権は、本件新設分割による承継の対象とされていなかった。

 Y2は、平成20年6月、設立の登記が完了されたことによって成立し、本件新設分割の効力が生じた。

 ←最近、このようなケースよくありませんか? 田舎弁護士の場合、相手方のサラ金業者がこのような手段をとっていることに出くわすことがあります。

 まず、会社分割が詐害行為取消権の行使の対象となるか否か?については、見解がわかれています。

 今回の裁判例は、新設分割は、財産権を目的とする法律行為に他ならないことを理由に、対象となることを肯定しています。

 たとえ計算上は一般財産が減少したとはいえないときでも、一般財産の共同担保としての価値を実質的に毀損して、債権者が自己の有する債権について弁済を受けることがより困難となったと認められる場合には、詐害行為に該当すると指摘しています。

 そして、本件会社分割により、一方で、分割会社の保有するほとんどの無担保の残存資産が逸出して分割会社は会社としての実体がなくなり、他方で、分割会社が対価として取得した設立会社の株式は、非上場株式会社の株式であり、一般的には流動性が乏しく、その財産評価や換価をすることには著しい困難を伴うものと認めることができると述べて、本件会社分割には詐害性が認められると判示しました。

 会社分割は、何か濫用的なものを想像しがちですが、金融機関が主導して、正当な再生方法として会社分割が用いられるケースもよく聞きます。いわゆる第二会社方式です。

 私自身は残念ながらまだ経験したことはありませんが、財務状況が悪化している企業のうち、収益性のある事業や相応の事業価値がある部門を会社分割により他の会社に承継させ、不採算部門を旧会社に残して清算するというスキームです。

 この方式については、平成21年6月に改正施行された産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法において同法に基づく認定制度が創設されました。この認定を受けた中小企業承継事業再生計画については、許認可の円滑的な承継、税の軽減措置、各種金融支援といった支援措置を活用することができます。

 田舎弁護士でも勉強しないといかないところが多くて、弁護士って大変な仕事だと思います。

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