【労働・労災】 統括事業部長を兼務する取締役の地位にある従業員に対して会社がした普通解雇が、当該従業員に対する不法行為を構成するとはいえないとされた事例 最高裁平成22年5月25日判決
判例タイムズNo1327号(9月15日号)で紹介された最高裁判決です。
解雇が不法行為を構成するかどうかが争われた事案です。
高裁は、懲戒処分等の他の手段を講じることなくされた解雇は社会通念上相当として是認することはできない故に、不法行為を認めました。
しかしながら、最高裁は、
統括事業部長を兼務する取締役の地位にある従業員が、その勤務態度は他の従業員や取引先から会社に対し苦情が寄せられるほどであり、これはその飲酒癖に起因するものであったのに、代表取締役社長から注意されても飲酒を控えることなく、取引先の担当者と打ち合わせをする予定のある日に欠勤した上、その日の夜に同社長と電話で話をした際、酒に酔った状態で「(自分を)辞めさせたらどうですか。」と述べたなどの判示の事実関係の下では、
当該従業員に対して会社がした普通解雇は、懲戒処分などの解雇以外の方法を採ることなくされたとしても、当該従業員に対する不法行為を構成するものではないと判断しました。
判タの解説者も、高裁は、会社に故意・過失があったか否かなどの不法行為の成立要件について検討することなく、ただちに従業員に対する不法行為を構成するとした点で、問題があると述べています。
近時、このような従業員から、会社に対するクレームが増加しつつあり、高裁のような単純な理由ではなく、事実関係を丁寧に分析した上、不法行為を否定した最高裁の判断は、同種事案の処理にあたり、大いに参考になります。
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