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2010年8月 7日 (土)

債権保全と回収の実務ー金融円滑化の考え方と対応 黒木正人著

  三協法規出版から出た十六銀行の黒木正人さんが執筆された「債権保全と回収の実務ー金融円滑化の考え方と対応ー」(平成22円6月30日発行)という本を読みました。

 黒木正人さんは、過去、「担保不動産の管理・回収の実務」、「わかりやすい融資実務マニュアル」などを執筆されています。

 私自身、銀行からの相談業務には10年来応じさせていただいていますが、銀行員としての現場の実際はよくわかっていないため、現在、銀行の第一線で活躍されている黒木さんが書かれた本は、その実際を知る上で、大変貴重な存在です。

 6月に発行された今回ご紹介させていただく「債権保全と回収の実務」という本は、4章に分かれており、第1章が「金融円滑化法下での債権保全・回収」、第2章が「法的整理手続き」、第3章が「債権保全」、第4章が「債権回収」に分かれています。

 これまでのご著書の集大成のような内容になっているようですが、特筆すべきは、第1章の「金融円滑化法下での債権保全・回収」です。

 昨年12月4日に、金融円滑化法が施行されたことはこのブログでも何度か紹介させていただいていますが、施行され半年を経過した現状についても詳しい記載があり参考になります。

 いくつか、弁護士向けに注意を喚起されている箇所があるので、参考のために引用させていただきます。

 「このグループ分けで『要管理先』『破綻懸念先』『実質破綻先』『破綻先』がいわゆる不良債権と呼ばれるものです。もし中小企業者から相談を受けた場合は、その会社がどこにランクされているかを考えなければなりません。例えば、要管理先にランクされると新規の無担保融資は厳しくなるのが一般的ですし、破綻懸念先にランクされると新規の融資そのものが厳しくなるケースがあり、実質破綻先以下では、例え事業を継続している場合でも債権回収が優先されることもありますので、弁護士、司法書士、行政書士などの士業者は、こうした債務者区分をよく理解しておかないと、相談先の今後の対応を間違う恐れがあります。」(同書5頁)

 「弁護士・司法書士・行政書士など中小企業から相談を受ける立場の人は、少なくとも事業再生ADR、企業再生支援機構、中小企業再生支援協議会の基本的な仕組みくらいは理解しておく必要があるでしょう。」(同書13頁)

 「弁護士さんや司法書士さんが債務者から相談を受けた場合、多少手続きは面倒くさいかもしれませんが、私的に整理できるメニューや再生可能性を探るメニューも用意していただけたらいいなと思います。現代社会は何でもありの世界です。破産はいつでもできますから、再生可能性があれば、そちらにチャレンジする時代になっていることを感じている今日この頃です。」(同書79頁)

 金融円滑化法がらみのご相談(借り手)は、予想に反し、実際のところはわずかばかりしかありませでした。そのわずかな相談で感じたことは、金融機関も債権回収・債権保全一点張りというのではなく、再生して頑張ろうという企業のご相談に親身になって応じてくれるようになったということです。

 他方で、黒木さんも書かれているように、私を含む弁護士は、破産を勧めることが少なくありません。それは、事業再生(特に私的整理)についての知識と経験が一般の弁護士には必ずしも豊富ではないということに起因するのではないかと思います。

 再生や再建の可能性があるにもかかわらず、破産を勧めるようなことはしないよう注意していきたいと思います。

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