被疑者国選と懲戒
自由と正義8月号に、横浜弁護士会が被疑者国選弁護を巡って懲戒事由があったとして、戒告処分とした判断を、日弁連が懲戒しないと横浜弁護士会の処分を取り消したケースについての公告記事がのっていました。
4月13日に被疑者国選弁護人に選任された弁護士が、5月2日に起訴される迄の間に、4月17日と起訴前日の5月1日の2回被疑者との接見を行ったものの、横浜弁護士会はおそらく弁護人の接見回数が少ないと認定したのでしょうが、これに対して、日弁連は、4月17日から29日までに接見希望が伝えられていなかったこと、4月29日には接見希望が出たものの5月1日には接見に出向いていることから、弁護人としての義務を果てしていなかったとはいえないと判断しています。
また、被疑者段階で弁護人が示談交渉を行っていないことについて、
(1)元々この事案では累犯前科があるため起訴を免れるのは難しいという見通しの案件であるため、示談を成立させる緊急の必要性はないと考えたこと、
(2)示談についても被疑者の内妻が相手方に示談の意思があるかどうかを確認して連絡するとの言動を信じていたこと、
(3)そもそも内妻が示談を進めることや弁護士に連絡をとることを被疑者に止められていたということ
から、弁護活動が不十分であるとはいえないと判断しました。
(3)の内妻が弁護士に連絡をとることを何故被疑者がとめていたのかその理由が知りたいですね。
さらに、弁護人は、担当検察官にも連絡をとり、見通しや意見を述べてもいます。
このような前提事実のもとで、弁護人に懲戒事由があると言われるのは、非常に厳しい処分であり、それを取り消した日弁連の判断は妥当であると思います。
自白事件の場合、特に必要がなく、また、被疑者から要請がなければ、接見は、最初と最後の2回程度にとどめる弁護士も少なくないのではないでしょうか?
仮に、このような事案において接見の回数を少ないと横浜弁護士会が考えているのであれば、最低限何回接見にいけばいいのかを明示して欲しいと思いました。
この弁護人は、検察官にも連絡を行い、被疑者から呼ばれたら接見にも出向いているし、示談交渉についても被疑者の内妻からの連絡待ちということでした。
これで懲戒されるのであれば、国選弁護人なんて怖くて引き受けることができません。
私選弁護人は辞められますが、国選弁護人はなかなか裁判所は解任してくれません。ですので、お互いの信頼関係がなくなった時には、被疑者・被告人も、また、国選弁護人も、大変です。
なお、この件の起訴後弁護は、被疑者国選の時と同じ弁護士が引き受けたのでしょうか?
もう少し手間とリスクに見合った報酬体系にしてもらわないと、中堅以降の弁護士は引き受けづらいものがあります。
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