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2010年7月 5日 (月)

【労働・労災】 レストランの支配人が心室細動の発症によって低酸素脳症による完全マヒとなったことにつき、経営会社の安全配慮義務違反の損害賠償責任が認められた事例 鹿児島地裁平成22年2月16日判決(確定)

 判例タイムズNp1322(7月1日)号で紹介された鹿児島地裁平成22年2月16日判決です。

1 事案は以下のとおりです。

 X1は、平成13年6月から平成16年11月まで、レストランを経営する会社であるYの従業員として稼動し、平成16年11月当時A店舗の支配人であったが、同月10日、自宅で就寝中に心室細動を発症し、低酸素脳症となり、脳性の完全マヒ等の後遺障害が残りました。

 そこで、X1とその両親であるX2及びX3は、本件発症は、Yが安全配慮義務に違反して、X1に長時間労働を強いたものであるとし、Yに対して、不法行為ないし債務不履行に基づき、約3億2000万円の損害賠償請求を行った事案です。 

 やはり、働き盛りの方に大きな後遺障害が残ると、どうしても、請求額が、2億円とか、3億円とかになりますね。

2 裁判所の判旨は以下のとおりです。

 まず、X1の労働時間及び時間外労働時間の長さ、休息の不足、勤務時間中の業務量の多さに照らせば、X1の従事していた業務は、身体的にも精神的にも過重なものであったと認定しました。

 次いで、本判決は、

 本発症直前のX1は時間外労働が月100時間を超える長時間労働に従事していたこと

 この長時間労働によって相当程度の疲労の蓄積があったと認められること

 などを総合考慮すると、

 本件発症は、X1の従事していた過重な業務に内在する危険が現実化したものと推認するのが相当であり、X1の業務と本件発症との間には相当因果関係が認められるというべきであると判断しました。

 その上で、本判決は、Yは、X1の過酷な労働環境に対して、見て見ぬふりをして、これを漫然と放置していたとして、Yの安全配慮義務違反の損害賠償責任を認めましたが、

 他方で、X1の健康管理の不備が本件発症に寄与しているとして2割の過失相殺をして、Yに対して1億8000万円強の賠償を認めました。

3 一旦、大きな労災事故が起こると、莫大な金額を雇用主が負担しなけければならない場合もあるので、注意が必要です。私の事務所では、あんしん財団に加入していますが、それだけだと少し心配になってきました・・・

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