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2010年3月28日 (日)

【労働・労災】 請負人と雇用契約を締結し注文者の工場に派遣されていた労働者が注文者から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していたために、請負人と注文者の関係がいわゆる偽装請負に当たり、上記の派遣を違法な労働者派遣と解すべき場合に、注文者と当該労働者との間に雇用契約関係が黙示に成立していたとはいえないとされた事例 最高裁平成21年12月18日

 判例タイムズNo1316号(4月1日号)で紹介された最高裁平成21年12月18日判決です。

 1、事案は以下のとおりです。

 本件は、プラズマディスクプレイパネル(PDP)の製造を業とするY社の工場で平成16年1月から封着工程に従事し、遅くとも平成17年8月からはY社に直接雇用されてリペア作業(端子に付着した異物を除去して不良PDPを再生利用可能にする作業)に従事していたXが、Yから雇用契約が終了したものと扱われたため、①上記雇用契約は期間の定めのないものであるとの理解を前提に、Y社による解雇は無効である、②リペア作業を命じられたことが配転命令に当たるとの理解を前提に、上記配転命令は無効である、と各主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有することの確認、賃金の支払、リペア作業への就労義務がないことの確認及び不法行為に基づく損害賠償を求めた事案です。

 ← やっぱりわかりにくいですね。

 2、時系列で示します。

 平成16年1月 Xは、Y社から業務委託を受けたP社との間で、契約期間2か月・更新ありなどとする「雇用契約」を締結した。

 Xは、P社から、平成17年7月20日まで、給料の支払いを受けたが、P社を同日退職した。

 なお、P社との業務委託契約は、労働者派遣法24条の2、26条に違反すると認定して、「労働者派遣契約」に切り替えるよう是正指導を受けた。

 平成17年8月2日、Xは、Y社との間で、8月から同18年1月末日まで更新なしの雇用契約を異議を留めた上、署名押印した。

 Y社は、Xとの雇用契約を平成18年1月31日をもって終了する旨通告し、翌日以降、Xの就業を拒絶した。

 3、つまり、Xは、Y社との間で、平成17年8月2日以前に、黙示の雇用契約が成立しており、8月2日以降も、当該雇用契約が引き継がれることから、Yの雇用契約終了の通知は、解雇権や更新拒絶権の濫用であると主張し、原審の大阪高裁も認めています。

 但し、最高裁は、XとYとの間で黙示の雇用契約が成立していることについては否認しました。

 以下、判決要旨を述べます。

 4、判決要旨

 請負人と雇用契約を締結し注文者の工場に派遣されていた労働者が注文者から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していたために、請負人と注文者の関係がいわゆる偽装請負に当たり、上記の派遣を、労働者派遣法に違反する労働者派遣と解すべき場合において、

 ①上記雇用契約を無効と解すべき特段の事情がないこと

 ②注文者が請負人による当該労働者の採用に関与していたとは認められないこと

 ③当該労働者が請負人から支給を受けていたといえるような事情はうかがわれないこと

 ④請負人が配置を含む当該労働者の具体的な就業態様を一定限度で決定し得る地位にあったことなど

 判示の事情の下では、注文者と当該労働者との間に雇用契約関係が黙示的に成立していたとはいえない

 5、評価

 原審の大阪高裁は、XとP社との雇用契約は職業安定法44条等を理由に公序良俗違反として無効、XとY社との間には、黙示の労働契約があるとして、Xの請求を概ね認めています。

 最高裁は、「期間の定めのある」雇用契約であることを前提に、雇い止めが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合には、許されないという最高裁判決の基準を示し、本件事案においては、そのような事情はないとして、XとY社との雇用契約は、平成18年1月31日をもって終了したと認定しました。

 難しい問題ですが、このような労働形態は、横行していることから、田舎弁護士にとっても参考になる判決です。

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