表示違反に関する罰則等について 消費者法ニュース82号
5,6年前からでしょうか。債務整理等の消費者法案件が比較的多く取り扱うことが多かったため、消費者法ニュースという専門誌を定期購読するようになりました。
昔は、債務整理関係が中心で、厚さも余りありませんでしたが、今では、債務整理にとどまらず、消費者法関連の分野について網羅的に編集され、そのため、厚さも昔と比べると、3倍くらいあるような厚さになっています。
今回、特集記事で、「食品表示・安全」が採り上げられており、このテーマは、平成21年度に近畿弁護士連合会消費者保護委員会の夏期研修会で報告されたものです。
食品表示・安全については、一消費者として気になるところですが、一弁護士としては、これまで余り興味を持っていなかった(そんな相談、田舎ではありませんからね)のですが、小売り業に少し携わるようになったことから、今では関心がある分野の1つになっています。
私の知識の整理のために、「表示違反に関する罰則等について」(八木正雄弁護士、高橋礼雄弁護士)(同書P44~P45)から、少し抜粋したものを紹介いたします。
1 食品衛生法
食品衛生法は、①19条において、内閣総理大臣が食品・添加物等に関する表示について必要な基準を定めることができる旨規定している(同条1項)。また、これにより表示について基準が定められた食品・添加物等は、その基準に合う表示がなければ、販売・陳列等してはならないとしている(同条2項)。さらに、②20条において、食品・添加物等に関し公衆衛生に危害を及ぼすおそれのある虚偽・誇大な表示・広告を禁止している。
これらのうち、19条2項及び20条の規定に違反すると、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科され、又はこれらを併科される(72条直罰主義)。また、法人の代表者や、法人又は人の代理人・使用者等が、その法人又は人の業務・財産に関しこれらの違反行為をした場合は、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても1億円以下の罰金刑が科せられる(78条 両罰規定)。
2 JAS法(農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)
JAS法は、①19の13において、内閣総理大臣が飲食料品の品質に関する表示について製造業者等の守るべき基準を定め告示しなければならないものとし、②19条の3の2において、製造業者等はこの表示の基準に従い表示をしなければならないと規定する。
そして、19条の13に規定する基準のうち原産地(原料又は材料の原産地を含む)について虚偽の表示をした飲食料品を販売すると、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる(23条の2。直罰主義)。法人の代表者や、法人又は人の代理人・使用者等が、その法人又は人の業務・財産に関し虚偽の表示をした飲食料品を販売した場合は、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても1億円以下の罰金刑が科せられる(29条1項。両罰規定)。
※最近の改正についての解説(同書P46)
近時、食品の原産地偽装事件が頻発し社会問題化したことや、原産地偽装は農業や漁業の産地振興にも反することから、平成21年4月、JAS法の規律する表示違反のうち、原産地偽装に限っては直ちに罰則を科すことができるようにした同法の改正案が国会で可決成立し、この改正法は同年5月30日より施行されている。同時に、罰則も加重され、従来、個人の罰則は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金であったが、これが2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に引き上げられた(23条の2)。さらに、業者に改善を指示・命令すれば、あわせてその旨を公表することも規定された(19条の14の2)。
3 健康増進法
健康増進法は、①32条の2において、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、内閣府令で定める健康保持増進効果等について著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならないとしている。②32条の3において、32条の2の規定に違反して表示をした者があり、それが国民の健康の保持増進に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、内閣総理大臣は、その者に対し当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる旨の規定を定めた上(同条1項)、その勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に係る措置をとらなかったときは、内閣総理大臣は、その者に対して勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができるとしている(同条2項)。そして、32条の3第2項の規定に基づく命令に違反すると、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(36条の2。内閣総理大臣の命令に違反したときに罰則が科されるとしており、直罰主義ではない。)。
4 不正競争防止法
不正競争防止法は、商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に処され、又はこれらが併科されると規定している(21条2項4号。直罰主義)。法人の代表者や、法人又は人の代理人・使用者等が、その法人又は人の業務・財産に関し虚偽の表示をした場合には、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても3億円以下の罰金刑が科せられる(22条1項。両罰規定)。
5 不当景品類及び不当表示防止法(景表法)
景表法は、商品・役務の取引について、優良誤認表示(事実に反して、商品の品質、規格その他の内容について実際のものよりも著しく優良であると表示することにより、不当に顧客を誘引し公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示)、有利誤認表示(事実に反して、商品の価格その他の取引条件について実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示)等、消費者に誤認されるおそれがある不当な表示をすることを禁止している(4条1項)。これに違反する表示がなされたときは、内閣総理大臣が措置命令を出すことができる(6条1項)。
そして、業者が措置命令に従わない場合、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処され、又はこれらを併科される(15条。措置命令に従わないときに罰則が科されるとしており、直罰主義ではない。)。法人の代表者や、法人又は人の代理人・使用者等が、その法人又は人の業務・財産に関し、確定した排除命令に従わない場合は、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても3億円以下の罰金刑が科せられる(18条)。
少しずつ、勉強をして深めていきたいと考えています。
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