【金融・企業法務】 高齢の預金者が弁護士に委任して提起した預金払戻請求訴訟において、預金者の意志能力が肯定され預金者の請求が認容された事例 福岡高裁平成21年5月21日
旬刊金融法務事情No1881号(10月25日号)で紹介されていた裁判例です。
高齢者であるXからの預金払戻請求に対して、Y銀行が成年後見人等を通じて払戻請求を行うように述べて、預金の払戻を拒絶した事案です。
第1審裁判所の福岡地裁は、Xが代理人宛に作成した委任状を無効として、本件訴えを却下しました。
その理由は、以下のとおりです。
①本件預金の額については全くないか少しある程度であると思っており、800万円を越える本件預金の存在については知らないと供述したこと
②本件預金を直ちに払い出す必要性はとくになく、払い出す意向もないと供述したこと
③本件訴訟前にY銀行の行員との間で本件預金の払い出し等についてやりとりした記憶がないと供述したこと
④本件訴訟におけるXの代理人である弁護士の氏名について知らないとか記憶にないと供述し、Y銀行を相手に裁判をする意向がない旨供述したこと
などを認定した上で、Xの意思能力の有無について、Xには、本件訴えを提起し遂行する意思は認められず、また、本件訴訟を弁護士に委任する意思も能力も認められないのであって、本件委任状はXの有効な意思に基づくものとはいえないとして、訴えを却下してしましました。
原審は、以下のような指摘もされています。
①上記のような原告本人の供述が、単に記銘力の低下であるという原告の主張について、原告は、その主張の裏付けとなるべき意思の専門的意見や医療記録に基づく立証を一切しない
②原告本人尋問等を通じて、原告本人が本件預金の存在を認識せず、本件訴訟についても全く認識がないことが明確になったにもかかわらず、原告は、それ以降も、原告に訴え提起の意思や訴訟能力があったことを認めるべき立証をしない
③原告本人は、本件訴訟に関する訴訟委任をした記憶がないと供述しているにもかかわらず、原告は、原告がM弁護士に本件訴訟を委任した際の具体的なやりとりや、本件委任状の作成に至る事情等に関する的確な立証をしない
これに対して、福岡高裁は、Xの請求を認めました。
それは、
①Xが第一審判決後、養女から本件訴訟に至る経緯や第一審での敗訴についての説明を受け概略を認識した上で控訴審のための訴訟委任状に署名・捺印したこと
②平成21年3月ころ作成された診断書によれば、Xは軽度認知症にあり日常生活上の事態に対する理解力・判断力については補助が必要であるが、意識状態は清明であり後見・補佐の必要はないと診断されていること
から、Xの意思能力がありと判断して、Xの請求を認めました。
意思能力に疑いのある預金取引先から高額の預金払戻請求がなされた場合、どのように対応するか?については、よく相談をお受けします。
まず、Y銀行の担当者が行ったように、Xを訪ねて意思確認を行うことは必要であり、そしてそれを記録化することが必要です。
また、控訴審で診断書をとりつけているように、専門医の診断書を取り付けてもらい、さらに、医師と面談して確認することも必要かもしれません。
しかし、かなり面倒な手間ですね。
ただ、今回のケースで、福岡高裁は、平成20年4月8日(訴状送達日の翌日)から年6%の遅延損害金を認めています。福岡高裁の理由だと、せめて福岡高裁の判決言渡の翌日から起算してもらいたいものです。理屈付けはなかなか難しいかもしれませんが・・・
ところで、24日の愛媛新聞で、フジのエミフルが取り上げられていました。今、エミフルがものすごくおもしろいようです。先般、息子と2人で、電車を乗り継いで遊びにいったのですが、今でも、エミフルにいっていない妻と娘からは、恨まれています・・・・
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