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2007年12月14日 (金)

土地を目的とする先順位の甲抵当権が消滅した後に後順位の乙抵当権が実行された場合において、土地と地上建物が甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったが、乙抵当権の設定時には同一の所有者に属していたときの法定地上権の成否(最高裁平成19年7月6日)

 本件事案は、要するに、民法388条所定の「土地及びその上に存する建物が同一の所有に属する」旨の要件(同一所有者要件)の充足性の有無が問題になった事案です。

 甲抵当権の設定時を基準にすれば、要件非充足→不成立

 乙抵当権の設定時を基準にすれば、要件充足  →成立

 但し、競売前に、甲抵当権は消滅していた事案です。

 平成2年の最高裁判例は、競売前に、甲抵当権が消滅していない場合において、要件非充足、即ち、法定地上権不成立と判断しています。

 少し以前のブログでも、少し触れたと思いますが、

 平成19年最判の原審は、

 甲抵当権が存続したままの状態で競売に至るとすれば、法定地上権は成立しないのであるから、乙抵当権者の乙抵当権設定時における認識としては、将来の法定地上権の不成立を予測し、これを前提に担保価値を把握するものと解され、そのような期待をその後の甲抵当権の消滅という偶然の事情によって損なわせることはできないという理由などから、法定地上権の成立を否定しました。

 とことが、平成19年の最高裁判例は、

 ①本件では甲抵当権は既に消滅しているのであるから、その利益を考慮する必要はなく、同一所有者要件の充足性を甲抵当権の設定時に遡って判断すべき理由はない、

 ②平成2年最判は、競売により消滅する抵当権が複数存在する場合に、その中の最先順位の抵当権の設定時を基準として同一所有者要件の充足性を判断すべきことをいうものであり、競売前に消滅した抵当権をこれと同列に考えることはできない

 ③乙抵当権者としては、甲抵当権が消滅することもあることを予測した上、その場合における順位上昇の利益と法定地上権成立の不利益を考慮して担保余力を把握すべきものであり、法定地上権の成立を認めても乙抵当権者に不測の損害を与えるものとはいえないこと

 ④民法388条の文言からは、競売により消滅する抵当権の設定時を基準に同一所有者要件を要求していると理解されること

 から、要件充足、つまり、法定地上権の成立を認めたわけです

 なるほど、平成2年最判とは異なり、甲の利益を考慮する必要はないわけです。

 判例時報(平成19年12月11日・第1982号)の評者によれば、「本判決は、平成2年最判の残された課題とされる法律問題に対して最高裁としての回答を示すとともに、従来の競売実務に理論的根拠を与える形でこれを追認したものといえる」とされています。

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