過払金請求における悪意の受益者
判例タイムズ1252号(12月15日)号です。
過払金返還請求訴訟において、貸金業者から、民法704条の悪意の受益者ではないという反論をされることが少なくありません。
特に外資系の消費者金融機関は、悪意の受益者論と題する詳細な書面を裁判所に提出し、争ってきます。
この反論が通ってしまうと、過払い利息が請求できなくなるため、大変です。
貸金業者が借り主による弁済を受けていた時点では、みなし弁済規定の適用があると信じていたから、悪意とはいえないという反論をしてきます。
悪意の受益者であるかどうかは、本来は、借り主側にて主張立証しなければならないことから、結構、面倒でした。
しかし、最高裁平成19年7月13日判決が出てからは、悪意の受益者論が主要な争点になることは少なくなると思います。
最高裁平成19年7月13日判決(第2小法廷)は、最高裁平成17(受)第1970号事件では、
貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、
その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には、
①当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており
②そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、
法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである
と判断しています。
これにより、悪意の受益者であると事実上推定されることから、貸金業者側は、①や②を主張立証しなければならなくなりました。
特段の事情については、最高裁平成18年(受)第276号事件は、
少なくとも平成11年判決以後において、貸金業者が、事前に債務者に上記償還表を交付していれば18条書面を交付しなくても貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有するに至ったことについてやむをえないといえる特段の事情があるというためには、
平成11年判決以後、上記認識に一致する解釈を示す裁判例が相当数あったとか
上記認識に一致する解釈を示す学説が有力であった
というような合理的な根拠があって上記認識に一致する見解があったというだけで上記特段の事情があると解することはできないと判示しました。
判例タイムズ1252号は、それ以外に、遺留分減殺請求を巡る諸問題(下)も、掲載しており、参考になります。
それ以外には、「法科大学院と新司法試験」という題名で、現役の裁判官(前職は神戸大学法科大学院教授)が、法科大学院や新司法試験の在り方などについて、改めて検討すべき時期にきているのではないかという内容の論文が掲載されていました。
ただ、新人弁護士の就職難については大変危惧されておられるようです。
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