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2007年11月26日 (月)

「 新人弁護士は 就職難 」 日本経済新聞11月25日

 日本経済新聞は、司法改革や弁護士事情を、記事として比較的よく取り上げますが、今回の新聞記事により、私が想像していた以上に、新人弁護士が就職難に陥っていることがわかりました。

 日弁連が把握している数字でも、昨年以降に、「タク弁」になった新人弁護士は、10数人、「ノキ弁」も、30人以上いることがわかっているようです。

 ※「タク弁」・・・自宅を事務所にして独立する弁護士のこと

   「ノキ弁」・・・先輩の事務所で机を借りるだけで固定給をもらわない弁護士のこと

 大阪弁護士会でも、12月登録予定の新人弁護士116人のうち3人は就職先が決まらず、「タク弁」になる見込みのようです。

 中には、弁護士登録どころか、弁護士会費(※月額4万5000円)すら支払えず、弁護士登録を先送りしている方もおられるようです。

 ※弁護士等会費は、それ以外に、特別会費(弁護士会紹介事件)、支部会費、負担金、懇親会費等々様々なものを含むと、年間100万円程度かかることがあります。

 他方、新人弁護士が、就職先のある地方に流入する動きは強くなっており、岡山県では、なんと昨年の4倍にあたる28人が県内の事務所に就職するようです。

 確かに、愛媛弁護士会でも、3年位前から、新人弁護士の登録数は激増しており、最近では、毎年、今治支部管内の弁護士にほぼ相当する弁護士数となっております。

 そのため、この数年で、新人弁護士を受け入れることができる事務所は、松山でもほぼ消化状態になっていると思われます。

 また、愛媛でも、これまで、弁護士過疎と言われてきた地域に、どんどん、弁護士が開業・派遣されるようになっています。5年もすれば、弁護士過疎と言われてきた地域の相当部分はなくなりそうな勢いです。

 法曹人口が年1500人の時代で、新人弁護士超氷河期時代を迎えているにもかかわらず、日弁連は、法曹人口年3000人は既定の方針として、修正しようとはしていません。

 軌道修正は、国民から、業界のエゴと評価されてしまうことを心配されているようです。

 今年9月に「タク弁」になった方は、「先輩弁護士らに仕事を紹介してもらい、その事務所の片隅を借りて依頼人と面談する。経費などは自腹だ。仕事も少なく、親からの借金や貯金を取り崩してしのぐ。」と紹介されています。

 このような状態に陥っている状況では、弁護士になりたいという希望者は、次第に、減少していくでしょう。

 司法研修所の教官の話として、法科大学院出身の司法修習生は、ビジネスロイヤーの志向が強いとのコメントが、法務省のHPに載っていましたが、そうであれば、弁護士になっても、希望した仕事にはつけず貧乏する可能性の高いということが次第にわかれば、そのような人たちも、弁護士を目指す意欲を喪失し、法科大学院自体人気が低迷していきます。コストに見合った収入を得られない業種に人気が続くわけがありません。

 また、法科大学院関係者からは、「1期はできがよかったが、2期以降は」という話をききます。これも、法科大学院の受験者数と無関係ではないと思います。

 法科大学院の人気を高め、新人弁護士の雇用を確保するためには、法科大学院の数を大幅に減らし、総定員を2500人程度として、司法試験の合格率を最低でも50%以上とする他ないと思います。

 現在の弁護士業界に、継続的に、3000人に近い新人弁護士を受け入れる能力はありません。

 私の事務所でも、事務職員の倍額以上に相当する報酬を支払って新人弁護士さんにきてもらう場合には、これまで蓄えた貯金をとり崩す相当な覚悟をしています。

 私の経験からも、実際、登録1年目だと、4、5年経験のある事務員さんの方が、使えるでしょう。イソ弁として3年くらいきっちり指導を受けた実務を経験せずに独り立ちするのは、周囲の協力がなければ難しいですが、ノキ弁はまだしも、タク弁になってしまった場合は、実務がよくわからず、弁護過誤の可能性もあり、弁護士賠償保険に加入しなければおそろしいことになります(但し、保険料も結構しますが・・・)。

 運良く、タク弁やノキ弁が避けられたとしても、最近は、新人弁護士の年収は、400万円程度のところもあります。その中から、弁護士会費、家賃、健康保険料や年金などを支払ったら、300万円にも満たないでしょう。弁護士のワーキングプアが、もう始まっているのです。

 そのような状況のもとで、日弁連は、新人弁護士の雇用をほとんど検討すらしていない地方の弁護士1人事務所にまで呼びかけていますが、むなしく感じるのは私だけでしょうか?

 ただ、日弁連の方針変更ということは考えにくいので、数年後には、コストにみあう利益を考えながら事件受任など、個々の弁護士も受任の基準を変更しなければならざるをえないと思います。

 なお、前述のとおり、法曹人口を見直しすることが業界のエゴと評価される可能性もあるため、良質なサービスを提供する見地から、弁護士資格に弁護士会による更新制を導入するなど資格付与後の事後チェックも必要なのではないかと思います。

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