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2007年11月28日 (水)

光市母子殺害事件弁護団所属の弁護士に対する懲戒請求

 東京弁護士会所属の弁護士に対する懲戒申立に対して、懲戒せずとの判断がなされたことから、弁護士会には自浄作用がないとか、身内同士でかばい合いをしていとかの非難が、囂々でているみたいです。(T_T)

 橋下弁護士は、TVで懲戒申立が簡単にできるかのような発言をされていましたが、懲戒申立は、弁護士の資格を喪失させる場合もあり、理由のない申立は、虚偽告訴罪が成立する場合もあることから、簡単に考えて申立するような性質のものではありません。

 また、懲戒を判断する委員の中には、大学教授や検察官などの外部委員も含まれており、近時、懲戒される弁護士の数も決して少なくないことから、身内同士でかばい合いをしているとは思えません。懲戒される弁護士の数が少なくないかは、「自由と正義」という業界誌をみればわかります。

 光市の事件の弁護活動は、被告人の主張にそっているのであれば、弁護活動としては、問題がありません。客観的にみて、荒唐無稽だとしても、被告人の主張に沿わない弁護活動を行えば、それこそ、懲戒事由に該当します。

 昔、被告人は死刑が相当だという弁論をした弁護人がいましたが、裁判所は元被告人からの元弁護人に対する慰謝料請求を認めています。

 今回の光市の事件の弁護の内容は、荒唐無稽な要素も含んでいると思います。それは、そもそも被告人の主張自体に大きな無理を含んでいるためです。

 そして、それは不自然な弁解として、結果的には、被告人の量刑に跳ね返ってくるでしょう。

 ただ、刑事弁護は、国家権力から被告人の利益を守るということに目的があります。

 被告人の利益とは、裁判において、弁護人は被告人の主張をくみ取り、法的にきちんと構成してあげることを含みます。

 弁護人としては、被告人の主張が荒唐無稽であり不自然であったとしても、被告人が強くそれを主張する場合には、弁護人も拘束されます。

 差し戻し審での弁護団の弁護は、弁護人としては、通常のことをしただけです。

 とはいっても、光市の被告人の行為は、非道であり、ほとんどの者が極刑を望むでしょう。私もそうです。

 しかし、弁護人も、世論を気にして、「お前の行為は非道だから死刑が妥当だ。被害者のことを考えても、死刑判決がでてもそれを甘受すべきだ。」と述べることが適切でしょうか?

 極悪非道の犯罪を行ったとして起訴されている被告人の場合、仮に、えん罪事件の可能性がある場合でも、弁護人がその者の主張を聞き入れず、世論が死刑を望んでいるからと言って、弁護することになれば、中世の暗黒裁判に逆戻りします。

 被告人が犯人で100%間違いない事件の場合には、別だという反論もあるでしょう。

 しかし、富山の婦女暴行事件は、公判段階では、自白調書が作成され、公判でも自白しており、裁判官も100%間違いないとして有罪判決をしたものだと考えられますが、結果は、えん罪でした。

 「100%間違いない」とは、神でもなければいえないことです。

 差し戻し審から参加した弁護人に対しては、冷静にみていただければと思います。

 ただ、私自身は、犯罪をした人の弁護は、性分にあわないため、刑事弁護は、国選弁護を除き、原則としてやりません。

 また、最近の被告人の中には、自分のことばかり心配をして、真摯に反省しているのかどうか疑わしい者も少なくなく、そのような者に接すると、非常に不愉快になります。

 被告人を一喝することもありますが、あまり効果はありません。

 忘れた頃に、真摯に反省している者に遭遇することもありますが、逆に、新鮮で胸を打たれるものがあり、一生懸命弁護してあげようという気持ちになります。そのような方は、執行猶予がつき、釈放された後、職場が見つかったら、お礼の電話がかかるのですね。

 個人的には、しんどいだけで割にあわない国選弁護から、早く、足を洗いたいと思っていますが・・・

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