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2005年11月14日 (月)

調停

 皆さんは、簡易裁判所の調停制度をご存じだろうか? 簡単に言うと、当事者間で話し合いがつかない場合、裁判所の調停委員会(調停主任である裁判官1名と調停委員である民間人2名で構成されます) に、中に入っていただき、当事者双方の話を聞きながら、紛争を解決する手段をいいます。

 民事調停法には、「民事に関する紛争につき、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする」と規定されています(1条)。

 条理の意義については、ものごとの道理筋道であり、スイス民法1条が規定する「自分が立法者ならば法規として設定したであろうところに従って裁判しなければならない」意味である。 すなわち条理は、制定法や判例法とは異なり、客観的に認識しうる命題化された規範ではなく、裁判官が現実の社会のなかから求めうる理念であるといわねばならない。とされています。

 つまり、 条理は、法の欠缺の場合の補完的意味を有するに過ぎませんので、法律を超越する意味を有しないことは明らかです。法律を超越してよいというのであれば、調停委員会に裁判官はいらなくなるはずです。

 ところが、おそらく、条理を根拠にしているのでしょうが、実際の調停手続において、民間人である調停委員の意見を、当事者の一方に押しつける場合が多く、その意見に対して、消極的な対応をとった場合、調停打ち切りを強く迫る場合に最近遭遇しております。

 傷害事件や交通事故事件の加害者は、あくまで、加害者である以上、それに対応する民事刑事の相応の罰については、受けて当然でしょう。

 しかし、調停は、裁判所での話し合いですから、民事上適正な損害賠償に限られるべきでしょう(立証の程度により多少の増減はあってもいいでしょう。)。調停委員の中には、訴訟で得られる結果よりも著しく多額の賠償を求める方がいますが、これは明らかに法律を無視しているとしか言いようがありません。その根拠に道義上の責任を持ち出す方がいますが、調停制度を利用する目的は道義上の責任を明らかにするためではありません。

 申立人が調停を利用するのは、調停が訴訟よりもより簡便な手続であるというところにあるはずです。調停結果が、訴訟の結果よりも、極端に異なる場合には、調停制度に対する国民の信頼を大きく損なうはずです。

 例えば、私自身、調停委員から、車の賠償案件で、「世間の常識」と称して驚愕するような金額を提示されたことがありますが、地方裁判所にて、裁判実務上認められている常識ある金額に判決で修正してもらったことがあります。

 調停手続制度についての信頼性を大きく損なうようなケースが少なからず発生していることは、今弁護士のホームページからも明らかです。今先生の場合は、国賠請求にまで発展しているようです。

 裁判所が主宰する調停である以上、原則として、裁判所で認容される(可能性の高い)金額を大前提しなければならないと思います。調停の様子は、調停を構成する調停委員の考え方により、大きく異なってきます。加害者側に一方的に譲歩を迫る手法は問題と思います。(ただし、今治の調停委員には、幸いなことに、運営について問題があると思った方はほとんどいませんでした。)。

 調停制度については、他にいろいろ言いたいことがありますが、最後にもう1点だけだけ言わしていただきたいと思います。調停委員には、手当が支給されます(民事調停法9条)。調停委員の中には、調停活動をボランティアと言う方がいますが、安いかもしれませんが無償ではありませんので、ボランティアではありません。安い仕事をボランティアと言ってしまうと、国選弁護や扶助事件は全てボランティアになってしますが、そのような感覚で仕事をされる被告人やクライアントは悲惨です。 (心の中で思っていても)そのような事を当事者に述べるのは極めて失礼です。

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