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【PTSD】

2017年5月 1日 (月)

【PTSD】 自転車を押しながら歩行横断中の被告車接触で転倒受傷は診断基準の「強烈な外傷体験」とはいえないとPTSDの発症を否認した事例 名古屋地裁平成28年10月28日判決

 自保ジャーナルNo1988号で紹介された名古屋地裁平成28年10月28日判決です。

 自転車を押して横断歩行中、被告貨物車に接触され転倒し、PTSD(外傷後ストレス障害)等の傷害を負ったとする原告女子の事案につき、

 PTSDの診断は、米国精神医学会のDSM-Ⅳ、世界保健機構のICD-10といった診断基準が示している主要な4要件、すなわち、①強烈な外傷体験、②再体験症状、③回避症状及び④覚醒亢進症状が認められるか否かについて慎重な検討を踏まえることが必要であり、PTSDの認定に当たり、前記4要件を満たすか否かを厳格に判定するのが相当であるとして、

 ①強烈な外傷体験については、原告は、被告自動車が目前に迫ったため、軽度の接触(車両の損傷の伴わないもの)ないし驚くなどして、手で支えて尻餅をつくことになり、その際、右下腿挫創の傷害を負ったことが認められるのみであり、客観的にみて「実際にまたは危うく死にそうなあるいは深刻なけがを負うような、あるいは、自分または他人の身体的保全が脅かされるような」出来事とは到底いえないとし、

 ②再体験症状については、B医師は、平成21年1月19日、本件事故当時の記憶は再現でき、不安も強いが、悪夢やフラッシュバックなどの症状が現在あるのか不明であるとの見解であったこと、E医師は、同年7月3日、原告を診察した上、穏やかで抑うつがなく、思い出すことはあるようだが、フラッシュバックといえるか疑問と判断したことが認められ、事故直後に受診したE病院の診療録にはフラッシュバックに関する記載は一切ない。したがって、再体験症状の要件充足にも疑問が残る等として、PTSDの4要件を満たすか否かを厳格に判定すると、強烈な外傷体験の要件は明らかに充足するとはいえないし、その余の要件充足にも疑問が残るものであり、その他、原告がPTSDを発症したことを認めるに足りる的確な証拠はないと、PTSDの発症を否認しました。

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2016年11月23日 (水)

【PTSD】 PTSDの発症は診断基準要件を充たさず否認された事案 横浜地裁平成28年3月31日判決

 自保ジャーナルNo1977号で紹介された横浜地裁平成28年3月31日判決です。

 判決要旨を紹介いたします。

 PTSDの発症につき、

 原告は、本件事故現場で時速約30㎞で原告バイクを運転して走行していた際、被告車に気がついて急ブレーキをかけたが、原告バイクがバランスを崩して転倒し、被告車と衝突した地点から約1.1mの地点で原告が転倒したこと、本件事故により、1週間の加療を要する見込みの他覚的所見の認められていない頸椎捻挫と左膝打撲を負ったことが認められる

 以上を踏まえ、本件事故により、原告が恐怖を抱いた点はうかがわれるが、生命の危険にさらされる恐怖を受けたものとまではいえず、受傷内容も重いものではないことから、本件事故は、診断基準の要件にいう強烈な外傷体験とは認めがたいとし、

再体験症状については、原告は、本件事故の18日後である平成25年8月29日に原告バイクとは別のバイクを購入し、同年10月31日に事故を起こすまでの間、週4,5回の頻度で同バイクを運転していたことが認められる等から、フラッシュバックに関する原告本人の供述内容は信用できず、本件事故後、原告において、本件事故を想起させるフラッシュバックがあったものとは認められないと否認、回避症状も原告が本件事故を想起させるバイクの運転を避けていたとはいえず、回避症状も認められないとして、

 PTSDを否認しました。

 最近は少なくなりましたが、昔は、PTSDが記載されている診断書をよく見ました。

 専門医じゃない方の診断書にPTSDが記載され、診断基準要件を到底満たしているとはいえないのですが、やむなくその主張をしていたことがありました。

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