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書籍紹介(交通事故)

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【遷延性意識障害】

2018年4月20日 (金)

【遷延性意識障害】 54歳男子の平均余命を症状固定後8年と認定した事例 松山地裁西条支部平成29年3月30日判決

 当事務所が加害者側事案で関与していた裁判例が、交通事故民事裁判例集第50巻第2号で紹介されていました。平成29年3月30日付松山地裁西条支部判決です。

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 判旨は以下のとおりです。

① 前頭側頭葉変性(FTLD)のうち失語症群である意味性認知症(SD)の既存障害を有する被害者(男・54歳・症状固定時55歳・会社員)が事故受傷により遷延性意識障害(いわゆる植物状態ー別表第一第1級1号)に陥った場合に、事故がなかった場合の余命は症状固定日から10年と認めるのが相当としたうえで、遷延性意識障害に陥ることでさらに短縮されたものとして推察されるとして、事故受傷後の余命を症状固定後8年と認定した事例

② 逸失利益については、障害の状態や既存障害の意味性認知症が進行性疾患であることを考慮して、労働能力喪失期間を症状固定日から3年と認めるのを相当とした事例

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 LP交通損害関係訴訟によれば、遷延性意識障害については、「加害者側から、平均余命まで生存できる可能性は低いとして、生存可能期間を平均余命よりも短期間に限定すべきであると主張されることがある。」という説明につづき、

 「近時の裁判例は、一般に、上記統計資料や疫学調査が存在するとしても、これらが過去の一定期間に集められた少ないサンプル数に基づいているにすぎず、生存可能期間を判断する資料としては十分なものとはいえないことなどを理由として、平均余命まで生存する蓋然性が否定される特別な事情、例えば、被害者の健康状態が重度の合併症の存在等によって思わしくない状況にあるなどといった事情が認められない限り、被害者がいわゆる植物状態にある場合であっても、生存可能期間を平均余命の年数をもって認める傾向にある。」と説明されています。

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 松山地裁西条支部の判決は、生存可能年数を平均余命の年数をもって認定せず、症状固定後8年としております。これは、特別な事情の立証が成功した故でありますが、数多くの裁判例の流れからいえば、少し離れた裁判例となっており、実務上参考になるものと思われます。

2017年12月29日 (金)

【遷延性意識障害】 1級遷延性意識障害を残す若年性認知症に罹患する54歳男子会社員の将来介護期間を8年、逸失利益算定の労働能力喪失期間を3年と認定した事案 松山地裁西条支部平成29年3月30日判決

 最新の自保ジャーナルNo2003号で紹介された松山地裁西条支部平成29年3月30日判決です。

 1級遷延性意識障害を残している場合、加害者側は、将来の介護料等の算定期間としては、平均余命まで生存することは難しいと反論を行うことが少なくありません。

 いわゆる寝たきり者の平均余命という論点です。

 そして、裁判所の大勢としては、概ね平均余命までの将来介護料を認定しております。

 ところが、本件では、若年性認知症を患っていたことから、54歳ではありますが、将来の介護期間は8年のみに限定されました。非常に珍しい事案だと思います。

 本件については加害者側で対応させていただきましたが、被害者から控訴はなく、第1審判決は確定しました。

 ここからのアドバイスは、遷延性意識障害の場合でも、裁判所の大勢に流されることなく、既往症等の影響の検討は必要だということです。

  訴状では1億3000万円程度の請求でしたが、判決は2500万円程度にとどまり、大幅に金額が減額されています。

2017年10月14日 (土)

【遷延性意識障害】 32歳男子1級1号遷延性意識障害の介護費用を母親67歳まで日額1万3000円、以降余命分職業介護人の日額2万3000円で認定した 神戸地判平成29年3月30日

 自保ジャーナルNo1999号で紹介された神戸地裁平成29年3月30日判決です。

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 自動二輪車を運転中、右折被告Y乗用車に衝突され、1級1号遷延性意識障害を残す32歳男子原告Xの介護費用につき、

 父親V、母親Zと、職業介護人、医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、ヘルパーらは、「チームX」と名付けたチームを組み、平成25年5月8日以降、介護用居宅において、在宅介護に移行したXの介護を行っている。

 VとZは、Zが67歳に達するまでは、Zによる介護を中心に、介護の一部を職業介護人に依頼することとしたとし、

 Xについては24時間態勢の介護が必要であり、在宅介護を開始してからZが67歳になるまでの6年間の在宅介護については、Zが中心となった介護が期待できるが、Z及びVの年齢や介護の負担を考えると、職業介護人による介護も相当程度必要であると認められる。

 そして、上記期間の介護費用について、現在、職業介護人一人につき1時間当たり2106円を要し、職業介護人の費用以外の自己負担額は公的なサービスを利用して月額4万円弱であるとみとめられるところ、介護用居宅が新築されたこと、24時間態勢の介護を要することなども踏まえて、上記期間の介護費は、1日当たり1万3000円として、年額474万5000円と認める他、

 Zが67歳になって以降Xの平均余命までの40年間については、Zが中心の介護期間においても職業付添人による介護が相当程度必要とされていることなどからすると、Zが67歳に達した後は、介護の大部分を職業介護人に頼らざるを得なくなると予想されるとして、

 上記期間の職業介護人を中心とする介護期間について、介護費は、1日当たり2万30000円として、年額839万5000円と認めると、母親Zが67歳までの6年間は日額1万3000円、以降は職業介護人による日額2万3000円で将来介護費用を認定しました。

 ⇒比較的オーソドックスな判断です。

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                (備中・鬼ノ城)

2017年8月 1日 (火)

【遷延性意識障害】 右を向いて左折してきた被告車に衝突された72歳横断歩行者に5%の過失を認め、1級遷延性意識障害を12級既存障害の加重障害と認定しました 神戸地裁平成28年12月14日判決

 自保ジャーナルNo1994号で紹介された神戸地裁平成28年12月14日付判決です。

 脳挫傷等の傷害を負い、1級1号遷延性意識障害等を残したとする事案につき、

 Aは、D病院の医師による後遺障害診断において、傷病名は頭部外傷(外傷性脳出血、脳挫傷)及び遷延性意識障害と診断され、自覚症状は遷延性意識障害、中枢性嚥下障害、中枢性呼吸障害と診断されたほか、同医師により、遷延性意識障害によりコンタクト不可、運動機能は全て廃用、身の回り動作については全面的な介助の必要があるか又は不能であると判断され、関節機能障害の検査については、自動運動を実施することが不可能であると判断されていることからすれば、現存障害として、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」(1級1号)に該当するとの自賠責保険の判断は相当であるとし、

 平成23年2月4日のMRI検査によって、右側頭葉、右中大脳動脈半球枝領域に脳梗塞が認められていることからすれば、事故前の脳梗塞による右側頭葉の広汎な低吸収域が残存しているとして、既存障害として局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)に該当し、現存1級1号、既存障害12級13号の加重障害とした自賠責保険の判断は相当であると、12級13号既存障害の加重障害として、1級1号後遺障害を認定しました。

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              (自研センターでの研修)

2017年6月10日 (土)

【遷延性意識障害】 1級1号遷延性意識障害を残し余命期間にわたって入院の30歳男子の将来医療費を年額840万円で認定した事例 札幌地裁平成28年3月30日判決

 自保ジャーナルNo1991号で紹介された札幌地裁平成28年3月30日判決です。

 驚きました。

 30歳男子原告の将来医療費につき、原告は、「症状固定時から引き続き平均余命と同様の46年の余命期間にわたって入院する必要があり、本件事故による原告の損害として、上記期間中、1年あたり840万円の医療費が生ずることになったものと認めるのが相当であると認定した上で、

 原告は、平成28年1月まで、国民健康保険法に基づく保険給付及びC市重度心身障害者医療費助成条例に基づく女性を受け、入院に伴う医療費を支払っていないが、その後は、同様の保険給付等の存続が確実であるとはいえないから、損害から控除すべき保険給付等は、当初の3年のものであるとして、43年間につき年額840万円で将来の医療費を認めました。

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 将来の医療費を請求するような事案は症状固定との兼ね合いでそれほど数は多くはありませんが、現時点では補てんされている場合でも、制度が変わる可能性はあるので、このような損害も落とすことなく請求しておく必要があります。

 定期金賠償については、4億円を超える金額(歴代2位)でありながら、ほぼ一蹴近い形で認められておりません。

 

2017年4月20日 (木)

【遷延性意識障害】 1級1号遷延性意識障害を残す35歳女子の将来介護費を母親67歳を超え今後職業介護人の必要性が高まると日額2万円で認定した 東京地裁平成28年9月6日判決

 自保ジャーナルNo1987号で紹介された東京地裁平成28年9月6日判決です。

 将来介護費につき、原告は、遷延性意識障害、四肢不全麻痺、気管切開、経管栄養、尿便失禁、言語障害があり、日常生活動作は常に全介助を必要とする状態である。

 原告は、平成25年11月25日から自宅介護を受けているところ、自宅介護は、職業介護人とともに、母親が主に行っているが、父親及び弟も手伝うことがある。

 介護内容は、体位変換、バイタルチェック、経管栄養、着替え、排便処置、清拭、経口訓練、自立座位、リハビリ、マッサージ等であり、夜間も2時間毎に体位変換、バイタルチェック、おむつ交換を行っている。

 介護体制は、現在、概ね、午前中に1から2時間、午後に4時間、夜間に週3回の割合で訪問ヘルパーないし訪問看護を受けており、他に、週に2回の訪問入浴がある

 職業介護人使用時の費用は、午前中2時間が4000円ないし5000円、午後4時間が8400円ないし1万0500円、夜間9時間が約3万円であり、訪問入浴は1回約9000円であるとし、

 原告の介護は、主に母親が自宅で職業介護人の助力を得ながら行っているところ、平成25年11月25日から口頭弁論終日である平成28年6月30日までの949日の介護費は、母親の介護費相当額(全日1人での介護につき日額8500円)及び職業介護にかかる実負担額を考慮し、中間利息控除も踏まえ、日額1万円を相当と認める

 職業介護人による将来介護費につき、

 母親がすでに満67歳を超えており、職業介護を利用する必要性は今後さらに高まっていくこと、職業介護及び訪問入浴にかかる費用は、現在、日額約2万5000円から2万7000円程度を要していることを勘案すると、口頭弁論終結日後の介護費は、控えめに算定しても、日額2万円をくだらないと認められると認定しました。

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