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書籍紹介(交通事故)

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【醜状痕】

2018年9月16日 (日)

【醜状痕】  考え方についての文献 No2

LP交通事故損害関係訴訟)

  「外貌醜状は、デスクワーク、荷物の搬送等の通常の労働にとって特段影響を及ぼさないことから、逸失利益は発生しないとも考えられるが、被害者が女性で芸能人、モデル、ホステル等の容姿が重視される職業に就いている場合や、男性でもアナウンサー、営業マン、ウエイター等それなりの容姿が必要とされる職業に就いている場合には、特に顔面は醜状痕が残ったことにより、ファンや店の客足が減る、勤務先の会社で営業職から内勤に配置転換となり昇進が遅れる、転職に支障を生じ職業選択の幅が狭められるなどの影響を及ぼすことが生じ得る。このように労働に直接影響を及ぼすおそれがある場合には、自賠責制度の運用において用いられる当該等級の後遺障害等級表の労働能力喪失率を参考として、被害者の職業、年齢、性別等も考慮したうえで、被害者の外貌醜状がその労働に与える影響を考慮して労働能力喪失率を決することになろう。」

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 (交通事故関係訴訟の実務)

 「実際のところ、外貌の醜状障害による労働能力喪失の有無及び程度は、主として醜状障害の内容及び程度と被害者の職業との相関によって判断されているといえる。

  醜状障害の内容及び程度については、後遺障害等級表の区分が比較的大まかなものであることから、事案に即して個別具体的な検討がされなければならないが、これが重大なものになればなるほど、労働能力に対する影響が具体化し深刻化することは当然である。

  被害者の職業については、例えばモデル等、外貌を含めた容姿が仕事の有無及び内容に直結するような職業に被害者が就いている場合には、醜状障害は、当然職業を前提とした身体的機能・能力を減少させ、場合によってはこれを喪失させるものにほかならず、労働能力に対する影響を認めることは容易である。

  もっとも、これ以外の職業に被害者が就いている場合であっても、労働能力に対する影響が認められないわけではない。外貌がその者の印象を大きく左右する要素であることは明らかであるところ、醜状障害は、職務に従事する上で一般的に必要となる円満な対人関係の構築や円滑な意思疎通の実現を阻害する要因となりうる。醜状障害によって喪失する労働能力の実質は、伝統的な意味合いにおける身体的機能・能力の観点のみならず、このような対人関係円滑化の観点からも把握すべきであって、このように理解する場合には、醜状障害が労働能力に全く影響しないと職業はおよそ考えられず、かつて説明されてきた以上に後遺障害による逸失利益を認めていくべきではないかと思われる。」

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2018年9月15日 (土)

【醜状痕】  考え方についての文献

 

 (河邊義典裁判官による説明)

  被害者の性別、年齢、職業等を考慮した上で、①醜状痕の存在のために配置を転換させられたり、職業選択の幅が狭められるなどの形で、労働能力に直接的な影響を及ぼすおそれのある場合には、一定割合の労働能力の喪失を肯定し、逸失利益を認める。

  ②労働能力への直接的な影響は認め難いが、対人関係や対外的な活動に消極的になるなどの形で、間接的に労働能力に影響を及ぼすおそれが認められる場合には、後遺障害慰謝料の加算事由として考慮し、原則として、100万円~200万円の幅で後遺障害慰謝料を増額する。

  ③直接的にも間接的にも労働能力に影響を与えないと考えられる場合には、慰謝料も基準どおりとして増額しない。

 

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2018年7月30日 (月)

【醜状痕】 自賠責12級神経障害を否認、13級視力障害、12級外貌醜状で、併合11級が認定された事案 神戸地裁平成29年12月13日判決

 自保ジャーナルNO2017号で紹介された神戸地裁平成29年12月13日判決です。 Kimg3135
 自賠責保険では、①頭部外傷で12級13号、②視野障害で13級3号、③外貌醜状で12級14号、④併合11級だったのが、

 裁判では、①頭部外傷は、×、②視野障害で13級、③外貌醜状で12級、④併合11級となりました。

 同じ11級だから、変わりないのでは?ということになりますが、③外貌醜状は逸失利益が認められないことがほとんどなので、結局、逸失利益の金額が異なってしまうのです💦

 裁判では、頭部外傷については、他覚的な所見はあるものの、神経症状はないと判断されて、12級13号がなくなってしまったという珍しい事案です💦

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 裁判すると、相当多くは金額は上がりますが、中には、示談提示の時よりも金額が小さくなることがあります。裁判にはリスクがつきものなのです。それはどうしても裁判になると、医療記録、刑事記録も精査されてしまい、その結果、認定された後遺障害認定が見直しされることもあるからです。

 田舎弁護士の場合、一般的には、金額は大きくなることが多いですが、中には、小さくなるケースもありますという説明をするようにしております。微妙な事案は、示談や紛セン申立てにより解決するようにしております。金額が小さくなっても、弁護士はその法的責任をとれませんので。。。

2018年7月23日 (月)

【醜状痕】 52歳女子の自賠責12級認定の右下腿瘢痕は、痛みを伴うとして、労働能力喪失5%で逸失利益を認定した 金沢地裁平成29年1月20日判決

 原付自転車搭乗中、店舗駐車場内で被告乗用車に衝突され、右下肢瘢痕から自賠責12級認定を受け、労働能力喪失14%を主張する52歳有職主婦の事案です。

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 原告は、

 本件事故後に歩行時や長時間立っていると右下肢に痛みが生じるようになり、1人で買い出しに行くことがなくなり、洗濯物を干したり下ろしたりすることも途中で辛くなったら夫に頼んでおり、掃除も夫に頼んでいるといったように、家事労働を行うことができないわけではないが、一定の支障が生じる状態となり、症状固定日である平成25年4月16日以降も同様の症状が継続しているものと認められること、

 D医師が、原告について、右下腿に外傷後の瘢痕があり、外傷に伴う同部位の皮下脂肪層、真皮組織の欠損により脛骨近傍のわずかな刺激に対する痛み等が生じていると診断していること

 からすれば、原告には本件事故によって右下肢に痛み等の神経症状が残存することになったとし、

 原告においては、本件事故によって前記右下肢の外傷部分になんらかの刺激があった際に痛み等が生じることがあり、このことによって家事労働に一定の支障が生じているものと認められ、家事労働が勤務時間等に拘束されることなく比較的柔軟に従事しうる面があることを踏まえても、将来にわたって、その労働能力の5%を喪失したとして、原告には現在も痛みの原因等に照らし、原告の労働能力喪失期間は17年と認めると、センサス女性学歴計全年齢平均を基礎収入に17年間5%の労働能力喪失で後遺障害逸失利益を認定しました。

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2018年6月29日 (金)

【醜状痕】 9級16号認定の外貌醜状を残す16歳男子高校生の後遺障害逸失利益を公務員内定等から2.5%の労働能力喪失で認めた事例 東京地裁平成29年4月25日判決

 自保ジャーナルNo2015で紹介された東京地裁平成29年4月25日付判決です。

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 原告は、平成25年4月にJ大学D学部に入学し、在学中に就職活動を行い、平成28年8月、K局に国家公務員の職種で就職することが内定した・・・その採用の過程やその他の就職活動時に醜状障害を理由に不利益を受けた様子はうかがわれない

 また、fの業務の内容に照らして、原告の醜状障害が原因で失職したり昇進が遅れたりする具体的な可能性は認めがたい。

 他方で、原告が、公務員の方が民間企業に就職するよりも容姿を理由に不利な取扱いを受ける可能性が低いと考えられることを考慮して就職先を決めたと供述していること、

 原告はfとして一定期間勤務した後に税理士に転職することも検討していると供述していて、原告が将来的に転職をする可能性はあるといえるところ、その際に醜状障害による不利益の可能性は否定できないこと、

 醜状障害を理由に交友、懇親の場にでないことにより、将来のキャリアアップに悪影響が生じる可能性が否定できないことからすれば、原告の醜状障害が労働能力に及ぼす影響は、限定的なものとはいえ、これを否定することはできないとし、

 後遺障害による原告の労働能力喪失率は、2.5%とすると判断しました。

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2017年7月28日 (金)

【醜状痕】 32歳女子の自賠責9級16号外貌醜状の後遺障害逸失利益を否認し、後遺障害慰謝料830万円で考慮した 東京地裁平成28年12月16日判決

 自保ジャーナルNo1993号で紹介された東京地裁平成28年12月16日付判決です。

 自動二輪車を運転中、被告右折乗用車に衝突され、顔面挫創等から自賠責9級16号後遺障害認定を受ける32歳女子アルバイトの原告につき、

 原告の口唇上部の外傷性刺青及び肥厚性瘢痕は現在以前よりも目立たなくなったが人目につくものであることには変わりがなく、原告は普段マスクを着用して本件障害を隠している等、

 原告は本件障害を気にして普段マスクを着用しているところ、原告の年齢、性別及び本件障害の程度を考慮すると、本件障害が原告の労働能力に影響を及ぼしていることは明らかといえる。

 もっとも、原告の収入は本件事故当時の収入よりも増加していること、

 本件事故が発生する前の原告の職歴からすると、本件障害のためにH以外の場所で働くことができなくなった旨の原告本人の供述も、本件事故が発生しなかつた場合における原告の転職の可能性は抽象的なものにとどまるといわざるをえないことに照らすと、本件障害による逸失利益は後遺障害慰謝料の加算事由として考慮するのが相当であると逸失利益を否認し、後遺障害慰謝料830万円で考慮しました。

 本来、9級相当の慰謝料は、690万円ですが、8級相当の慰謝料である830万円を認めております。

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2016年8月13日 (土)

【醜状痕】 44歳男子会社員・整備工の自賠責9級16号外貌醜状は、5年間5%の労働能力喪失で逸失利益を認め、後遺障害慰謝料670万円を認定した事例 神戸地裁平成28年2月17日判決

 自保ジャーナルNo1971号で紹介された神戸地裁平成28年2月17日判決です。

 男子の外貌醜状痕が問題となった事案です。

 自賠責9級16号と比較的重い後遺障害が残っております。

 しかしながら、後遺障害逸失利益については、醜状痕と労働能力喪失が直ちに結びつかないことから、後遺障害等級に応じた逸失利益は難しいところです。

 裁判所は、顔面から頭部のしびれ、右頬部・側頭部・頭頂部の知覚障害という後遺障害等級14級9号に相当する後遺障害が残存していることを理由として、労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間5年の逸失利益を認めたにとどまっております。

 醜状痕という理由ではなく、局部の神経症状を理由として、逸失利益を認めているにすぎません。

 なお、後遺障害慰謝料は、自賠責9級に相当するものとして、赤い本基準の690万円を認めているにすぎません。

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                   (大野城)

 駆け出し弁護士のころは、自賠責の等級に応じた形での逸失利益を請求することがありますが、後で、恥をかくことになります。