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書籍紹介(交通事故)

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【線維筋痛症】

2016年8月 4日 (木)

【繊維筋痛症】 繊維筋痛症と事故との因果関係を否認 神戸地裁平成28年1月13日判決

 自保ジャーナルNo1970号で紹介された神戸地裁平成28年1月13日判決です。

 追突された35歳女子の繊維筋痛症は、事故による受傷以外の要因を否定できず、因果関係を否認しました。

 以下、判決要旨を紹介いたします。

 「Xは各種血液検査から関節リュウマチや膠原病を完全に否定でき、1年以上も持続する全身性の激しい筋肉痛や関節痛及び圧痛点が18か所所在することから線維筋痛症の診断が確実であり、繊維筋痛症の原因は全く不明であるが、下腿骨骨折患者と頸部外傷(むちうち症等)についての繊維筋痛症発症患者数を比較すると、前者が1.7%であったのに対し、後者が21.6%と高率であったとの調査報告があり、Xの場合、頸部外傷6か月後に発症しており、本件事故との関連が濃厚である旨のK医師作成の意見書がある」

  えっ、こんな医学的意見書があるの !?

  じゃあ、認められますね。。。。

  とはなりませんでした。

 引き続き説明します。

 「本件事故は比較的軽微な追突事故であったことが認められ、また、V(子)が高機能広汎性発達障害との診断を受け、Z(子)が注意欠陥多動性障害・高機能広汎性発達障害との診断を受けたことが認められることも考慮すれば、Xの症状が1990年のアメリカリウマチ学会の線維筋痛症分類基準に合致し、また、Xに本件事故前の既往症や通院歴がなかったとしても、Xの繊維筋痛症の発症について、本件事故による受傷以外の要因を否定することはできず、Xの線維筋痛症の発症原因は不明というほかなく、本件事故とXの繊維筋痛症との相当因果関係を認めることはできない」と、交通事故と線維筋痛症との因果関係を否定しました。

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 なかなか、難しいものです。

2016年6月22日 (水)

【線維筋痛症】 繊維筋痛症を読んで

 交通事故診療と損害賠償実務の交錯 の中で、損害保険料率算出機構の黒田清綱先生が執筆された「線維筋痛症」が紹介されていました。

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 日本繊維筋痛症学会が示した「線維筋痛症診療ガイドライン2013」によれば、繊維筋痛症とは、

 原因不明の全身の疼痛を主症状とし、不眠、うつ病などの精神神経症状、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、過活動性膀胱などの自律神経系の症状を随伴症状とする病気である。近年、ドライアイ・ドライマウス、逆流性食道炎などの粘膜系の障害が高頻度に合併することがわかってきている。」と説明されています。

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 吉本智先生のセミナーの際にも紹介されていましたが、「厚生労働省研究班の調査では全国では1・7%に本症が存在している。推定では200万人以上の患者がおり」と紹介されていますが、これもセミナーの際に質問したのですが、200万人もいれば、田舎弁護士も繊維筋痛症の被害者に接していいのですが、この傷病名だけは過去対応したことがありません。

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 裁判例ですが、繊維筋痛症については、事故との因果関係を否定されているものが多いようですが、中には、京都地裁平成22年12月2日(確定)判決のように認めているものもあります。

 裁判所は、原告が繊維筋痛症に罹患しており、腰部、背部、肩部、頸部などの痛みないしこわばりなどの症状は、この病気の症状であると認められる、原告は、本件事故前には、いわゆる不定愁訴とよばれるような体調の不良で日常生活に支障があったような形跡はなく、概ね健康な人であったこと、繊維筋痛症が重い負傷を有力な誘因の1つとする見解及び交通事故による負傷から繊維筋痛症の発症に至ったとされる症例が相当数紹介されていること、原告の主治医らは、原告の繊維筋痛症の発症を本件事故と関連あるものと認識していることなどを踏まえて検討すると、原告の繊維筋痛症の発症に、本件事故によって負った骨盤骨折等の重傷による肉体的精神的ストレスが作用している蓋然性が優にあると認められ、したがって、本件事故と相当因果関係がある傷病と認められるとした上で、後遺障害等級としては、7級4号を認定しております。

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 しかしながら、自賠責保険での世界では、

 「繊維筋痛症の主症状である疼痛の発症要因である「外傷性頸部症候群」による頸部痛などのほか、自動車事故を契機に発症した、うつ症状などの非器質的精神障害に対する治療費については、必要かつ妥当な実費が傷害による損害として自賠責保険の対象となる。

 しかしながら、最初の疼痛が引き金となり次の疼痛をまねくが、注目すべき臨床症状は、疼痛が徐々に無秩序に解剖学的な神経支配的領域とはまったく関連のない分野へ広範囲に及ぶという線維筋痛症の特異なメカニズムが、今後の研究により明らかにならない限り、繊維筋痛症による全身に広がる難治性疼痛や多種多様な随伴症状に対する治療費のすべてを、傷害による損害として自賠責保険の対象とすることは困難である。」と説明されているところからすれば、認めてもらうにはなかなか厳しそうです。

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