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書籍紹介(交通事故)

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【脳脊髄液漏出症】

2018年8月13日 (月)

【脳脊髄液漏出症】 34歳女子の脳脊髄液減少症は起立性頭痛認められ、診断基準を満たしているとして、発症を認め、12級後遺障害への影響も否定できないと認定した事例 

 さいたま地裁熊谷支部平成30年2月5日判決の事案です。交通事故ではなく、スノーボーダー同士の衝突事故です。

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 脳脊髄減少症の発症につき、

 CT画像の所見については、画像上、損傷部位から漏出と穿刺部位からの漏出は連続していないから、脳脊髄液漏出の確実所見と認められ、厚労省画像診断基準をみたすとし

 国際頭痛分類第3版beta版(ICHD-Ⅲ)の診断基準については、原告は、診断基準A及びCを満たしているといえることに加え、

 CTミエロフラフィーによる髄液漏出の証拠があることから、診断基準Bも満たしていると認め、

 原告に起立性頭痛が認められることからすれば、頭部外傷による持続性頭痛及びむち打ちによる持続性頭痛が原告の症状に最適な診断であるとはいいがたい。

 したがって、原告は、診断基準Dも満たしているとして、

 原告は、ICHD-Ⅲにおける脳脊髄液婁性頭痛の診断基準を満たすと認められる他、

 原告に対してブラッドパッチを実施したところ、他の患者と比較しても良い効果が認められ、ブラッドパッチ実施後、原告の起立性頭痛は消失していることも合わせ考慮すれば、原告は、本件事故により脳脊髄液減少症を発症したと認定しました。

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 交通事故事案ではありませんが、脳脊髄液減少症が認められた珍しいケースでした。

2018年6月25日 (月)

【脳脊髄液漏出症】 名古屋高裁が、脳脊髄液減少症を認める!!

 交通事故民事裁判例集第50巻第3号が送られてきました。なんと名古屋高裁平成29年6月1日判決(藤山雅行裁判長)は、脳脊髄液減少症と胸郭出口症候群の発症を認めております。

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 要旨を紹介いたします。

 追突された自動車に同乗していた被害者(主婦、症状固定時46歳)につき、脳脊髄液減少症及び胸郭出口症候群の発症を認めるが、

 今後の治療経過次第では緩和が見込まれないではないこと等を考慮し、

 後遺障害の程度としては、症状固定時から7年間については9級10号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」に該当し、その後の14年間については12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当するものと認められました。

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 第1審は、わずか130万円程度の認容判決でしたが、第2審は2300万円程度の認容判決に変更されました。「全般的に信用性の低いといわざるを得ない控訴人本人の供述」とまで書かれていますが、起立性頭痛については認められています。

2018年2月12日 (月)

【脳脊髄液漏出症】 大阪地裁平成29年7月27日判決(消極)

 自保ジャーナルNo2007号で紹介された大阪地裁平成29年7月27日判決です。

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 12級脳脊髄液漏出症発症を主張の女子は、厚労省画像診断基準の起立性頭痛及び画像所見等認められず、発症を否認し、14級9号後遺障害を認定しました。

 具体的には、脳脊髄液漏出症に該当するか否かは、厚労省における画像診断基準を参考に検討するとし、

 脳脊髄液漏出症の特徴的な症状の起立性頭痛については、原告は、D病院において脳脊髄液漏出症を疑われてE病院を紹介され、平成23年11月16日にE病院を受診したことからすれば、E病院では、同日に脳脊髄液漏出症を念頭においた診察がなされていてしかるべきなのに、同日は起立性頭痛が認められていないことから、原告は、同日には脳脊髄液漏出症を発症していなかったことを推認させる、

 画像診断につき、脳槽シンチグラフィー検査によれば、髄液圧が60水柱ミリメートル、2.5時間以内の早期膀胱内RI集積あり、24時間後のRI残存率が8.3%と認められているが、

 硬膜外RI集積の有無は明らかでなく、CTミエログラフィーの結果とこの検査結果を総合しても、脳関髄液漏出症「確実」所見とはいえないとし、

 24時間後のRI残存率8.6%という点は、脳脊髄液循環不全の所見ともいえそうであるが、脳脊髄液循環不全はそれのみでは脳脊髄液漏出症の確定所見や確実所見たりえず、RI異常集積とあいまって確実所見や強疑所見になるにすぎない等から、

 原告について脳脊髄液漏出症の確定又は確実との診断をすることは困難であると判断しております。

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 また、症状固定日の時期についても争われていたようです。平成23年2月18日の事故につき、原告は、平成26年2月9日(約3年)、被告は、平成23年7月31日(約5ケ月)と主張し、裁判所は、平成24年2月末日(約1年)と判断しております。

 



 

2017年9月17日 (日)

【脳脊髄液漏出症】 弁護士の杉田雅彦先生が、脳脊髄液減少症を認めた名古屋高裁平成29年6月1日判決を論難されています。

 最新の自保ジャーナルNo1997号で、杉田雅彦先生が、「最近までの高裁判例から見た目に見えにくい後遺障害(主観病)問題」と題する論文を公表されていました。

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 その中で、最近出た名古屋高裁平成29年6月1日判決が脳脊髄液減少症を認めていることから、この裁判例に対して、論難されています。

 要は、医学的診断基準を十分に示すことなく肯定されており、リーディング判決と先生が評価されている平成25年1月24日東京高裁判決以降の21件の判決はいずれも脳脊髄液減少症は認めておらず、今回の判例は自信なき判決でありながら、発症の疑いがあるとして安易に認めているとして厳しく論難されています。

 なお、先生は、「被告側は控訴審で十分な反論をしていないことは残念である。」と被告側の弁論活動についても疑問を呈されているように思われます。

 とはいえ、高裁レベルで積極的に認めた裁判例が出たという重みは否定することはできず、今後も、散発的には認める裁判例がでるのではないかと思います。

 この症例については司法では取り扱うのが難しいので、早く国の方で統一的な見解を示していただければと思います。

2017年8月15日 (火)

【脳脊髄液漏出症】 脳脊髄液減少症及び胸郭出口症候群の発症を認めた高裁裁判例がでました!

 自保ジャーナルNo1995号で紹介された名古屋高裁平成29年6月1日判決です。

 第1審は、脳脊髄液減少症等を否認して、約130万円程度の補償しか認めなかったのですが、高裁は、なんと約2300万円程度の補償を認めました。

 高裁は、脳脊髄液減少症の発症につき、以下のとおり判示しております。

 画像所見は、臨床の現場で実際に診療活動を行っている専門医らにより、RIシンチグラフィー及び頭部MRIによって脳脊髄液減少症の発症を十分に認め得るとされる画像が存在し、それが誤りであるとはいえない上、

 H医師は、平成18年4月20日に施行されたMRミエログラフィーにおいても、腰椎レベルでの髄液漏出の可能性を判断しており、同年8月23日にD病院におけるRI検査においても3時間後に軽度のRI膀胱集積が認められていることを考慮すると、

 本件において、脳脊髄液減少症を示す画像所見の存在一切を否定し去ることは困難というべきであるとし、画像所見を個別的にみると、厚生労働省研究班画像診断基準を満たすものではないが、同基準は本件事故後に作成されたものであり、かつ、今後の変更の余地がないとはいえないところであるから、現時点において、これら個々の画像が同基準に必ずしも合致しないからといって、その画像を臨床的な価値を全て否定する方向で同基準を用いることは相当ではないとして、

 Xには事故当初からの起立性頭痛が認められ、脳脊髄液の漏出を裏付ける画像所見が認められ、ブラッドパッチ治療により症状の改善が認められるといえるから、前記した諸基準を総合判断すると、3病院における臨床診断は十分に信頼性があり、これらに基づき、Xは、本件事故により脳脊髄液減少症を発症したものと認められるとして、脳脊髄液減少症を認定しました。

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 これまで、脳脊髄液減少症は、消極的な判断が続いていたように思いますが、今回は、名古屋高裁により、第1審の判断を覆して脳脊髄液減少症の発症を認めたもので、しかも、後遺障害については、当初は9級、途中で12級を認めたもので、脳脊髄液減少症に苦しんでいる被害者の方にとっては朗報ともいえる判決です。

 

2017年1月15日 (日)

【脳脊髄圧漏出症】 否定した裁判例 東京地裁平成28年8月24日判決

 自保ジャーナルNo1981号で紹介された東京地裁平成28年8月24日付判決です。

 外傷性頚部症候群で自賠責14級9号が認定されていた事案ですが、被害者は、低髄液圧症候群、高次脳機能障害で12級後遺障害を残したとして、約1700万円程度の損害賠償を請求したという事案です。

 裁判所は、

 ① 原告の訴える頭痛が起立性頭痛であると認めるに足りる的確な証拠はなく、原告の訴える症状に体位による変化を認めるに足りる的確な証拠もないことから、起立性頭痛や体位による症状の変化を否認

 ② RI脳槽シンチグラムについても、厚生省研究班基準では、参考所見とされ単独では異常所見とされていないこと、ブラッドパッチについても起立性頭痛が生じたと認められないので改善効果について検討する余地がない

 として、低髄液圧症候群を否認しております。

 最近は、低髄液圧症候群を認めている裁判例に接することはみかけなくなりました。

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2016年10月 8日 (土)

【脳脊髄液漏出症】 32歳女子主張の5級脳脊髄液減少症は、起立性頭痛なくブラッドパッチによる症状の改善認められないと否認して、頸椎捻挫等の14級後遺障害を認定した 神戸地裁平成28年2月17日判決

 自保ジャーナルの1974号で紹介された神戸地裁平成28年2月17日判決です。

 普通乗用車の助手席に同乗して停止中、被告乗用車に追突され、頸椎捻挫・腰部捻挫等から脳脊髄液減少症を発症し、5級2号後遺障害を残したとする32歳女子原告の事案です。

 裁判所は、原告は、C病院の診療予約申込書において、現在の症状について、起立性頭痛をうかがわせる症状を申告せず、常に頭痛がある旨申告している。そうすると、本件事故によって原告に起立性頭痛が生じたと認めることはできないとし、

 起立性頭痛は、立位又は座位をとると15分以内ないし30分以内に増悪する頭痛であり、その症状は特徴的なものであるというべきであるから、原告に起立性頭痛の症状が生じていたにもかかわらず、それを自覚できなかったとは考えにくいと起立性頭痛の発症を否認しました。

 ブラッドパッチによる症状の改善につき、

 原告は、ブラッドパッチを受けているものの、医療記録上、背部痛軽減と記載されているのみであり、頭痛そのほかの症状については記載がなく・・・Bクリニックを受診した際、ブラッドパッチしてから頭痛ひどくなっているなどと申告している等から、ブラッドパッチの施行により症状の改善があったとみることはできないとしました。

 そして、原告には、本件事故による起立性頭痛が認められず、ブラッドパッチの効果が認められないこと、脳脊髄液減少症の発症を裏付ける画像所見に乏しいことからすれば、

 原告が、本件事故により、脳脊髄液減少症を発症したと認めることはできないと判断しました。

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2016年9月11日 (日)

【脳脊髄液漏出症】 追突された37歳男子主張の脳脊髄液減少症、胸郭出口症候群、高次脳機能障害の発症は、認められず、後遺障害の残存も否認された事例

 自保ジャーナルNo1972号で紹介された岐阜地裁高山支部平成28年2月25日判決です。

 担当裁判官は、高木健司裁判官です。

 裁判所は、脳脊髄液減少症につき、原告には、本件事故による起立性頭痛ないし体位による変化があったとは認められず、髄液漏出を示す画像所見は、画像上、本件事故に起因する髄液漏出があるとの判断を下すことは困難であるとし、ブラッドパッチ療法におる症状の改善については、G病院において2回にわたりブラッドパッチ療法の施行を受けた後も頭痛が継続し、硬膜外生理食塩水パッチや人口髄液アートセレブのくも膜下腔注入治療を受け、それでも頭痛は残存しているのであり、原告の頭痛その他の症状が、ブラッドパッチにより顕著に改善したとは認められない等から、本件事故により脳脊髄液が漏出したと認めることはできないとして、脳脊髄液減少症を否認しました。

 最近の傾向ですが、脳脊髄液減少症に加えて、胸郭出口症候群とか、高次脳機能障害について主張される被害者が増えているのではないかと思われます。

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2016年8月12日 (金)

【脳脊髄液漏出症】 駐車場内で停止中に後退車両に衝突された38歳女子主張の脳脊髄液減少症及び胸郭出口症候群の発症を否認し、後遺障害の残存も認められないと否認した事例 大阪地裁平成28年1月28日判決

 自保ジャーナルNo1971号で紹介された大阪地裁平成28年1月28日判決です。

 裁判所は、原告の脳脊髄液減少症及び胸郭出口症候群の発症を否認し、後遺障害の残存も認められないと否認しました。

 以下、脳脊髄液減少症を否認した理由を中心に判決要旨を紹介いたします。

 ① 原告の起立性頭痛は、事故から1年近く経過した時期は格別、本件事故から間もない時期に起立性頭痛の症状が原告に出現していたことをうかがわせる記載は見当たらない、原告は本件事故から間もない時期に複数の医療機関を受診しているところ、各医療機関の診療録上、原告の主訴として記載されているのは頸部痛、右手指や右足の痛み等が中心であって、本件事故直後から起立性頭痛を訴えていたという事実は認められないとして、起立性頭痛を否認しました。

② 脳脊髄液減少症の発症については、

 RI脳槽シンチグラフィーでのRIの膀胱内早期集積の所見があるからといって、直ちに脳脊髄液減少症の発症が客観的に裏付けられるとはいいがたく、原告につき、RI注入後1時間経過して膀胱内にRIの集積が認められたことをもって脳脊髄液減少症を発症したと認めるには足りないとし、

 MRミエログラフィーにおいては、MRミエログラフィーの画像上、髄液漏れがあったことを裏付ける客観的な所見があると認めることは困難であると髄液もれを否認し、

 ブラッドパッチの効果では、原告は2回にわたりJ病院でブラッドパッチを受けているところ、J病院の診療録上、1回目の後はパッチ後痛み強くなった、2回目の後はパッチ後左手指のしびれ・背部痛ありと記載されている。そして、その後も、原告が、頭痛、頸部痛、吐き気、めまい、しびれ、耳鳴り、複視等の症状を訴え、複数の医療機関に通院を継続していたことをあわせ考慮すると、原告につき、ブラットパッチが奏功したと評価することは困難である

 として、原告が本件事故により脳脊髄液減少症を発症したとは認められないと、脳脊髄液減少症の発症を否認しました。

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               (千里浜なぎさハイウェイ)

2016年7月 5日 (火)

【脳脊髄液漏出症】 東京地裁平成27年6月9日判決(消極)

 交通事故民事裁判例集第48巻第3号(ぎょうせい)で紹介された東京地裁平成27年6月9日付判決(合議)です。

 裁判所は、消極的に判断しました。

 原告が事故により脳脊髄液循環不全を負ったか否かにつき、本件脳槽シンチにより認められるのは、片側極限性RI異常集積ではなく非対称性RI異常集積であり、厚労省研究班による脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準によると本件脳槽シンチによって脳脊髄液循環不全が認められるともいえず、起立性頭痛も発症していないと認められ、ブラッドパッチ治療も奏功しえいないとして、これを否定されました。

 起立性頭痛の存在とブラッドパッチ治療での効果が重要視されています。

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 脳脊髄液漏出症については、残念ながら、消極的な裁判例が続いております。