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【脳脊髄液漏出症】

2020年5月21日 (木)

【脳脊髄液漏出症】 ありがちな裁判例

 自保ジャーナルNo2061号で紹介された神戸地裁令和元年9月20日判決です。

 追突された30歳女子主張の12級13号脳脊髄液漏出症及び左胸胸郭出口症候群の受傷を否認し、自賠責同様頚部痛・腰痛等の併合14級後遺障害を認定しました。

 判決文を紹介します。

 原告が、第1回入院時には天候が悪いと起きられない位頭が痛くなることを訴え、平成24年11月11日には朝に頭痛がしたが、雨が上がって調子がよくなつたと述べ、平成25年12月19日には寒さで痛みが出現し、頭痛がきついと訴えていること、

 原告が、本人尋問において、頭痛の症状について、気圧の変化を受け、台風の時が一番きついと供述していることからすれば、原告に生じた頭痛は天候などに左右されるものというべきであって、原告に起立性頭痛が生じていたと認めることはできないと起立性頭痛を否認し、

 画像所見については、厚労省基準によれば、CTミエロフラフィーの結果、穿刺部位と連続しない硬膜外への造影剤漏出が認められれば、脳脊髄液漏出症の「確実」所見であるとされているが、

 G医師は、CTミエロフラフィー画像によって造影剤の硬膜外漏出を認めたとするが、他方で、被告の協力医であるB医師は、意見書において、G医師の指摘する漏出所見が神経根を映したものであるとしていること、同日のCTミエロフラフィー画像を読影した医師にも特段の異常所見を指摘していないことを踏まえると、上記画像によって硬膜外への造影剤漏出が認められるとすることについては疑いが残る他、

 RI脳槽シンチグラフィー画像において非対称性RI異常集積が認められ、脊髄MRI画像においてFDSS及びFESSが認められたとしても、これらの所見はいずれも厚労省基準において疑所見としか認められていないから、これらをもって脳脊髄液漏出症の受傷が裏付けられるとはいえないと否認しました。

 結局のところ、自賠責同様頚部痛、腰痛等で併合14級にとどまっております。

 なお、労災においても、認定を受けており、頭痛、頚部痛で、12級の12、腰痛で、14級だつたようです。労災との乖離がみられる事案は、よくトラブルになります

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2020年2月13日 (木)

【脳脊髄液漏出症】 第1審 9級認定(労災9級、自賠14級)  → 第2審 14級 

 自保ジャーナルNo2055で紹介された広島高裁令和元年12月5日判決です。 

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(大阪・スカイビル)
 この事案は、請求額約3400万円 第1審で約3000万円が認められていたものが、第2審では約300万円と、10分の1程度になってしまっております。
 田舎弁護士の事務所では損保弁護士を引退したことから、最近では、脳脊髄液漏出症関連の相談もなくなりました。ただ、以前の相談も、損保側、被害者側で異なる立場で相談を受けることがありましたが、裁判所の採用する基準にそった形での事案は少なかったように思います。
 労災では9級が認定されているのに、自賠責ではそれ自体は非該当、局部の神経症状として14級9号が認定されているに過ぎない事案でした。
 労災では9級なのになぜ?と思われる方も少なくありません。労災は自賠責と比べて高めの等級がでることがありますが、ここまでの乖離の程度は余りないのではないかと思われます。
 傷病名が脳脊髄液漏出症と胸郭出口症候群なので、かなりの難事件だと想像できます。
 高裁が脳脊髄液漏出症を否認した理由は、以下のとおりです。
 ①CTミエログラフィー(CTM)画像については、平成23年厚労省研究班基準上、「確定」所見を満たすと認めるにたりず、仮に、第12胸椎/第一腰椎レベルの漏出が画像上穿刺部位からの漏出と連続しないとしても、これのみをもって、Xにつき本件事故により硬膜の欠損及び脳脊髄液の漏出があったと認めるに足りない
 ②Xの頭痛が国際頭痛分類の第3版所定の脳関髄液瘦性頭痛、特発性低頭蓋内圧性頭痛のいずれであるとも認められないこと、
 ③Xが本件事故後約1ケ月を経過するころまでの間に起立性頭痛があったと認めるに足りないこと
 ④Xに対して実施された、脳脊髄液漏出症に対する治療である4回のブラッドパッチは、短期的にも長期的にも、想定される効果があったものと認めるに足りないこと
 を総合勘案すると、Xが、本件事故により硬膜の欠損及び脳脊髄液の漏出が生じ脳脊髄液漏出症を発症したとは認められないと判断しました。
 →苦労して第1審で認められた判決が、第2審でここまで原告に不利に変更された場合には、原告側の弁護士は大変です。
  印象ですが、和解の話も高裁であったのではないかと思います。
  とはいえ、脳脊髄液漏出症などでは自賠では非該当事案なので、このような結論の可能性もかなりの程度あるわけですので、このような案件を受けた弁護士としては、クライアントに十分に説明しておく必要があろうかと思います。
 

2019年5月18日 (土)

【脳脊髄液漏出症】 自賠責保険非該当、労災併合14級  → 裁判の結果、後遺障害全て否認

 自保ジャーナルNo37号で紹介された平成31年2月21日付広島高裁判決です。

 労災では、14級頚部神経症状及び14級耳鳴から、併合14級が認定。

 しかしながら、自賠責保険では、異議申し立てにかかわらず、後遺障害非該当という事案です。

 第1審では、頚椎捻挫を理由に、14級9号を認定しております。耳鳴りは否認。

 高裁では、脳脊髄液漏出症での治療も否認し、頚椎捻挫での神経症状も常時性がないとして否認されています。

 労災保険と自賠責保険での後遺障害の判断が異なることがあり、たいていは、労災保険の方が後遺障害認定が高くなりがちです。

 このようなことになると、多くの方は自賠責保険での認定がおかしい という気持ちを抱くことになります。

 交通事故をよく取り扱う弁護士の事務所では、このようなケースは散見されますので、あまり不思議には感じませんが、ご相談者の納得は得にくいところでもあります。

 昔、加害者側でセカンドオピニオンで相談を受けた際に、労災保険は12級、自賠責保険は非該当というようなケースで、加害者側の弁護士さんが後遺障害等級を争っていないこと、また、万が一に備えて、自賠責保険社に訴訟告知をしていないこと等の対応をしておらず、せめて後者の対応は行うようアドバイスを差し上げたこともあります。

 この事案も、第1審では約310万円だったのが、第2審で約55万円になってしまいました。このような場合には、高裁では和解を勧めるはずなのですが、当事者のどちらかが難しかったんですかね。

 

2019年3月 5日 (火)

【脳脊髄液漏出症】 39歳女子主張の9級脳脊髄液減少症は画像所見認められず典型的な起立性頭痛なく2回のブラッドパッチも症状は軽快しなかったと発症を否認した 東京高裁平成30年6月6日判決

 自保ジャーナルNo2032号で紹介された東京高裁平成30年6月6日判決です。

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 脳脊髄液減少症を発症し9級10号後遺障害を残したと主張する39歳女子Xの事案につき、

 RI脳槽シンチ画像での非対称性の漏出所見は、脳脊髄液循環不全を伴う場合でなければ厚労省基準の強疑所見に該当しないところ、Xにつき脳脊髄液循環不全の所見があったことを疑わせる証拠はないとし、XのCTミエロの画像に、厚労省基準に該当する漏出所見があると認めることはできないと否認、

 造影脳MRI画像における硬膜造影は、典型例に比べて全体に淡く、とぎれとぎれであり、しかも側頭部にほとんど肥厚が見られないのであり、C医師も、上記画像につき、びまん性の硬膜肥厚の所見を否定する意見を述べていることからすると、Xにつき、硬膜外静脈拡張や硬膜肥厚を認めることはできない他、

 Xの髄液圧は、本件事故に近い時点では髄液圧が60ml水柱を上回っていることからすると、平成25年12月7日の髄液圧が60ml水柱であったことをもって、Xに脳脊髄液減少症が発症したものと認めることはできないと、画像所見等による脳脊髄液減少症の発症を否認しました。

 それ以外にも、典型的な起立性頭痛がないこと、ブラッドパッチ治療の効果がなかったことも、発症否認の理由とされています。

2018年11月16日 (金)

【脳脊髄液漏出症】 交通事故の被害者でる原告が低髄液圧症候群の発症を主張したが、これを認めなかった事例

 判例時報No2379号で紹介された横浜地裁平成29年10月12日判決の解説では、低髄液圧症候群についてのコンパクトな解説が紹介されていました。

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 田舎弁護士の地域では、低髄液圧症候群の診断書を見たのは10年程度以前のことであり(そのころは数か月に1,2件ありました)、現在では、全く見たことがありません。この地域では下火になっているのではないかと思っております。

 低髄液圧症候群については初期の段階ではよく勉強しました。

 しかしながら、否定的な裁判例が続いていることから、自保ジャーナル等で散見する程度です。

 松山市民病院等一部の病院では保険治療が可能とする愛媛県のHP があります。松山や宇和島の病院では低髄液圧症候群を傷病名とする診断書が作成されているのかもしれません。

2018年8月13日 (月)

【脳脊髄液漏出症】 34歳女子の脳脊髄液減少症は起立性頭痛認められ、診断基準を満たしているとして、発症を認め、12級後遺障害への影響も否定できないと認定した事例 

 さいたま地裁熊谷支部平成30年2月5日判決の事案です。交通事故ではなく、スノーボーダー同士の衝突事故です。

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 脳脊髄減少症の発症につき、

 CT画像の所見については、画像上、損傷部位から漏出と穿刺部位からの漏出は連続していないから、脳脊髄液漏出の確実所見と認められ、厚労省画像診断基準をみたすとし

 国際頭痛分類第3版beta版(ICHD-Ⅲ)の診断基準については、原告は、診断基準A及びCを満たしているといえることに加え、

 CTミエロフラフィーによる髄液漏出の証拠があることから、診断基準Bも満たしていると認め、

 原告に起立性頭痛が認められることからすれば、頭部外傷による持続性頭痛及びむち打ちによる持続性頭痛が原告の症状に最適な診断であるとはいいがたい。

 したがって、原告は、診断基準Dも満たしているとして、

 原告は、ICHD-Ⅲにおける脳脊髄液婁性頭痛の診断基準を満たすと認められる他、

 原告に対してブラッドパッチを実施したところ、他の患者と比較しても良い効果が認められ、ブラッドパッチ実施後、原告の起立性頭痛は消失していることも合わせ考慮すれば、原告は、本件事故により脳脊髄液減少症を発症したと認定しました。

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 交通事故事案ではありませんが、脳脊髄液減少症が認められた珍しいケースでした。

2018年6月25日 (月)

【脳脊髄液漏出症】 名古屋高裁が、脳脊髄液減少症を認める!!

 交通事故民事裁判例集第50巻第3号が送られてきました。なんと名古屋高裁平成29年6月1日判決(藤山雅行裁判長)は、脳脊髄液減少症と胸郭出口症候群の発症を認めております。

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 要旨を紹介いたします。

 追突された自動車に同乗していた被害者(主婦、症状固定時46歳)につき、脳脊髄液減少症及び胸郭出口症候群の発症を認めるが、

 今後の治療経過次第では緩和が見込まれないではないこと等を考慮し、

 後遺障害の程度としては、症状固定時から7年間については9級10号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」に該当し、その後の14年間については12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当するものと認められました。

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 第1審は、わずか130万円程度の認容判決でしたが、第2審は2300万円程度の認容判決に変更されました。「全般的に信用性の低いといわざるを得ない控訴人本人の供述」とまで書かれていますが、起立性頭痛については認められています。

2018年2月12日 (月)

【脳脊髄液漏出症】 大阪地裁平成29年7月27日判決(消極)

 自保ジャーナルNo2007号で紹介された大阪地裁平成29年7月27日判決です。

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 12級脳脊髄液漏出症発症を主張の女子は、厚労省画像診断基準の起立性頭痛及び画像所見等認められず、発症を否認し、14級9号後遺障害を認定しました。

 具体的には、脳脊髄液漏出症に該当するか否かは、厚労省における画像診断基準を参考に検討するとし、

 脳脊髄液漏出症の特徴的な症状の起立性頭痛については、原告は、D病院において脳脊髄液漏出症を疑われてE病院を紹介され、平成23年11月16日にE病院を受診したことからすれば、E病院では、同日に脳脊髄液漏出症を念頭においた診察がなされていてしかるべきなのに、同日は起立性頭痛が認められていないことから、原告は、同日には脳脊髄液漏出症を発症していなかったことを推認させる、

 画像診断につき、脳槽シンチグラフィー検査によれば、髄液圧が60水柱ミリメートル、2.5時間以内の早期膀胱内RI集積あり、24時間後のRI残存率が8.3%と認められているが、

 硬膜外RI集積の有無は明らかでなく、CTミエログラフィーの結果とこの検査結果を総合しても、脳関髄液漏出症「確実」所見とはいえないとし、

 24時間後のRI残存率8.6%という点は、脳脊髄液循環不全の所見ともいえそうであるが、脳脊髄液循環不全はそれのみでは脳脊髄液漏出症の確定所見や確実所見たりえず、RI異常集積とあいまって確実所見や強疑所見になるにすぎない等から、

 原告について脳脊髄液漏出症の確定又は確実との診断をすることは困難であると判断しております。

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 また、症状固定日の時期についても争われていたようです。平成23年2月18日の事故につき、原告は、平成26年2月9日(約3年)、被告は、平成23年7月31日(約5ケ月)と主張し、裁判所は、平成24年2月末日(約1年)と判断しております。

 



 

2017年9月17日 (日)

【脳脊髄液漏出症】 弁護士の杉田雅彦先生が、脳脊髄液減少症を認めた名古屋高裁平成29年6月1日判決を論難されています。

 最新の自保ジャーナルNo1997号で、杉田雅彦先生が、「最近までの高裁判例から見た目に見えにくい後遺障害(主観病)問題」と題する論文を公表されていました。

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 その中で、最近出た名古屋高裁平成29年6月1日判決が脳脊髄液減少症を認めていることから、この裁判例に対して、論難されています。

 要は、医学的診断基準を十分に示すことなく肯定されており、リーディング判決と先生が評価されている平成25年1月24日東京高裁判決以降の21件の判決はいずれも脳脊髄液減少症は認めておらず、今回の判例は自信なき判決でありながら、発症の疑いがあるとして安易に認めているとして厳しく論難されています。

 なお、先生は、「被告側は控訴審で十分な反論をしていないことは残念である。」と被告側の弁論活動についても疑問を呈されているように思われます。

 とはいえ、高裁レベルで積極的に認めた裁判例が出たという重みは否定することはできず、今後も、散発的には認める裁判例がでるのではないかと思います。

 この症例については司法では取り扱うのが難しいので、早く国の方で統一的な見解を示していただければと思います。

2017年8月15日 (火)

【脳脊髄液漏出症】 脳脊髄液減少症及び胸郭出口症候群の発症を認めた高裁裁判例がでました!

 自保ジャーナルNo1995号で紹介された名古屋高裁平成29年6月1日判決です。

 第1審は、脳脊髄液減少症等を否認して、約130万円程度の補償しか認めなかったのですが、高裁は、なんと約2300万円程度の補償を認めました。

 高裁は、脳脊髄液減少症の発症につき、以下のとおり判示しております。

 画像所見は、臨床の現場で実際に診療活動を行っている専門医らにより、RIシンチグラフィー及び頭部MRIによって脳脊髄液減少症の発症を十分に認め得るとされる画像が存在し、それが誤りであるとはいえない上、

 H医師は、平成18年4月20日に施行されたMRミエログラフィーにおいても、腰椎レベルでの髄液漏出の可能性を判断しており、同年8月23日にD病院におけるRI検査においても3時間後に軽度のRI膀胱集積が認められていることを考慮すると、

 本件において、脳脊髄液減少症を示す画像所見の存在一切を否定し去ることは困難というべきであるとし、画像所見を個別的にみると、厚生労働省研究班画像診断基準を満たすものではないが、同基準は本件事故後に作成されたものであり、かつ、今後の変更の余地がないとはいえないところであるから、現時点において、これら個々の画像が同基準に必ずしも合致しないからといって、その画像を臨床的な価値を全て否定する方向で同基準を用いることは相当ではないとして、

 Xには事故当初からの起立性頭痛が認められ、脳脊髄液の漏出を裏付ける画像所見が認められ、ブラッドパッチ治療により症状の改善が認められるといえるから、前記した諸基準を総合判断すると、3病院における臨床診断は十分に信頼性があり、これらに基づき、Xは、本件事故により脳脊髄液減少症を発症したものと認められるとして、脳脊髄液減少症を認定しました。

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 これまで、脳脊髄液減少症は、消極的な判断が続いていたように思いますが、今回は、名古屋高裁により、第1審の判断を覆して脳脊髄液減少症の発症を認めたもので、しかも、後遺障害については、当初は9級、途中で12級を認めたもので、脳脊髄液減少症に苦しんでいる被害者の方にとっては朗報ともいえる判決です。

 

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