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【人身傷害補償特約】

2021年1月 3日 (日)

【人身傷害補償保険】 う~ん 注意をしないといけませんね。

 判例タイムズNo1478号で紹介された福岡高裁令和2年3月19日判決です。 

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(桜井総合公園)
 人身傷害補償保険会社が、被害者の同意を得て加害者の加入する自賠責保険金を回収した場合に、これを加害者の被害者に対する弁済にあたるとして、損益相殺を認めた事例。
 人身傷害補償保険ですが、被害者に過失がある場合に、訴訟に先行して利用する場合があります。
 人身傷害補償保険ですが、被害者の過失に関係なく、約款基準に基づいた保険金を被害者が受けることができます。その後、人傷社は自賠責保険社に自賠責保険金を回収します。
 加害者側からみると、自賠責保険金が被害者の過失部分を考慮されることなく、既払い金処理されることについては納得できません。
 ただ、この点については、任意社と人傷社との間で本来は調整を図るべきだと思うのですが、福岡高裁は、加害者の被害者に対する弁済に当たるということを認めました。
 また、悩ましい問題が発生しました。

2020年5月22日 (金)

【人身傷害補償特約】 人身傷害保険会社による自賠責保険金の回収

 人身傷害保険会社(A社)を利用した場合に、加害者側の保険会社(B社)と示談ができなくなる場合があります。

 例えば、何らかの事情で、被害者Xが、B社の対人保険ではなくて、A社の人身傷害保険を利用したとします。人身傷害保険は、請求権代位の対象となり、一定の範囲で、被害者の損害賠償請求権が人傷社であるA社に移転します。A社が、自賠責保険会社に対して、自賠責保険金を請求し、回収することがあります。

 被害者Xに過失がなければ問題がありませんが、被害者Xに過失がある場合には、結果的に、人傷社が代位の範囲を超えて、自賠責保険金を回収してしまうことがあります。

 

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 本来、人傷社が自賠責保険金を回収せず、被害者Xが自賠責保険金を受領した場合には、自賠責保険金は、損益相殺の対象となり、損害賠償額から控除します。
 しかしながら、人傷社が自賠責保険金を回収した場合に、被害者への自賠責保険金の支払いと同視して、損害賠償額から控除できるか否かが問題となります。
 考え方は、2とおりあります。
 
 A説は、被害者への支払いと同視して、人傷社が回収した自賠責保険金は全額、損害賠償額から控除できるという見解
 B説は、被害者への支払いとは異なるとして、被害者が支払いを受けていない自賠責保険金は損害賠償金から控除できないという見解(不当利得認容説とも呼ばれています)
 論文についてはいくつか出ております。
 谷山智光弁護士(oike Library No38)では、被害者に人傷社との調整を図ることで解決すべきだとして、A説が妥当と解説されています。
 但し、この点については、東京地裁平成21年12月22日判決(交通事故民事裁判例集42巻6号1660頁)が、B説をとり、その後、実務上の運用で解決されています。
 ネットで拾った人身傷害保険(オレンジ勉強会)(2019年6月21日弁護士有馬明仁)によれば、保険会社の運用として、次のとおり解説されています。
 
 「ア 前提 ・自賠責保険と任意保険会社は同じ会社のことが多いが、別会社である。
       ・訴訟になって、判決が出ているか、和解の場合のみの対応
  イ 損害保険料率算出機構を通じた返金処理
    加害者側の任意保険会社から損害保険料率算出機構に対して、返金をしてもらいたい旨の申請をし、稟議をしてもらう
    その上で、損害保険料率算出機構が加害者側の任意保険会社に返金をすべきだと判断したら、自賠責の保険会社に連絡をして、さらに、自賠責の保険会社から任意保険の会社に返還すべき金額の通知をする。
    そして、損害保険料率算出機構が、自賠責の保険会社に返金をした後、自賠責の保険会社から加害者側の加入する任意保険会社に返金をすることになる。」
 古笛恵子弁護士の「人身傷害保険をめぐる実務上の問題点」にも、「人身傷害保険金を受領した被害者の加害者に対する損害賠償請求訴訟において、人傷社が既に受領していた自賠責保険が、損益相殺の対象となるかという問題について、東京地判平成21年12月22日は、これを否定、受領した人傷保険金のうち、被害者の過失部分を上回る部分を控除した残は、人傷社が自賠責保険会社から回収したか否かにかかわらず被害者に支払われるべきものとした。これは、自賠責保険の処理についても訴訟基準差額説を貫く不当利得認容説と言われている。不当利得認容説を前提に、被害者を巻き込むことなく保険者間での必要性が指摘されていたが、その後、実務上の運用で解決されている。」
 損害保険料率算出機構の植草桂子氏の人傷一括社と自賠責保険金の回収をめぐる問題点にも、「問題事案の発生を根本から絶つ方法として、
(ア)①人傷社は、被保険者(被害者)等に、まず自賠責保険に被害者請求(自賠法16条請求)をするよう案内し、自賠責保険から支払がなされた後、②人傷基準で算定した損害額から自賠責保険金を控除した額を保険金額の限度で支払う方法と、
(イ)①人傷社は、先に被保険者(被害者)等に人傷保険金を支払うものの、自賠社に精算請求は行わず、②自賠責保険への被害者請求を行うよう案内し、不足分について自賠責保険から支払いを受けさせる方法(この場合、自賠責保険支払基準で算定した損害額から、既払の人傷保険金を控除した額が、自賠責保険の保険金額の限度で支払われる)が考えられる。
 しかし、(ア)(イ)いずれの方法によっても、特に、訴訟を予定していない被保険者(被害者)等にとっては、人傷一括払(狭義)サービスが行われた場合に比べ、人傷保険の特長であり、発売開始時高く評価された被保険者(被害者)の「迅速な救済」に欠ける結果となることは否めない。(ア)(イ)いずれの方法もとらず、従前通り人傷一括払(狭義)サービスを継続するのであれば、トラブルを回避するためにも、少なくとも人傷社は請求者に対して、自賠責保険金の立て替払い分については、人傷保険金の支払いではなく、自賠責保険金の立て替え払いであることを明確に説明する必要があると考える。」
 田舎弁護士も、1度この陥穽に入ってしまったことがあり、オレンジ勉強会で紹介されている方法で解決したことがあります。つまり、示談交渉では、解決できず、提訴を余儀なくされることになります。
 これを避けるためには、植草氏が述べている方法をとらざるをえず、被害者請求手続を行ってから、人身傷害補償保険金の請求を行うよう、心がけています。

 

2020年3月15日 (日)

【人身傷害補償特約】 損保会社は、人身傷害補償特約の先行払いを嫌がることが少なくありません。

 人身傷害補償特約ですが、これは、契約者(被害者)に過失があったとしても、過失がないものとして、保険会社の基準(約款基準)で、保険金の支払いを対応していただける内容のとても優れた保険です。

 ところが、訴訟ではなくて、「示談交渉等」で加害者との解決を志向する場合に、先に、人身傷害補償特約の保険金を請求することを検討する場合があります。

 田舎弁護士の場合は、ご相談者にも過失がある事案で、且つ、後遺障害が被害者請求手続で認定され、且つ、示談交渉等で加害者との解決を志向する方の場合には、人身傷害補償特約の先行払いを勧めることがあります。

 それは、弁護士が介入することによって、加害者から受け取ることができた賠償金の金額が大きくなった場合に、人傷社があくまで約款基準での対応を主張されることから、約款基準での積算類型を超過するような場合には、後払いにすると、人身傷害補償特約の保険金の支払いを人傷社から受けることができない場合(不安)があるからです。

 もちろん、人傷社の約款においても、「訴訟」した場合には約款基準から訴訟基準に支払いの基準を読み替えるものであれば、人身傷害補償特約の保険金についての先行払いをせずに、速やかに、訴訟を行い、和解・判決の後に、人傷社に、訴訟基準での、人身傷害補償特約の保険金を請求することもあります。

 しかし、提訴しない場合には、人身傷害補償特約を後払いすると、確実に、人身傷害補償特約の保険金を支払っていただける補償はないことから、その不安を軽減するために、後遺障害が獲得されている案件で(※被害者請求で自賠責保険金は被害者が回収済み)、過失があり、裁判での解決を志向していない方の場合には、人身傷害補償特約の保険金の先行払いを勧めています。

 ※自賠責保険金を先に被害者が回収しておかないと、自賠責保険金を人傷社が回収することがあり、それが原因で、加害者の任意社との示談が困難になることがありますので、注意が必要です。 


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 しかしながら、この契約者の希望に対して、一部ですが、消極的な損保会社があるのは極めて残念です。

 その理由としては、加害者の任意保険会社が一括で対応していることからそちらを先行して欲しいとか、資料が全くないとか、支払いに数か月かかるということ等を縷々述べられます。

 他方で、契約者の希望に対して、好意的に対応して下さっている損保会社もあります。

 被害者の方が人身傷害補償特約を利用することは、弁護士にとっては、弁護士報酬を計算する前提たる経済的利益を小さくすることから、アドバイスをしている弁護士にとっては、弁護士費用が小さくなるという損な結果になるのですが、依頼者の経済的利益には代えられませんので、良心的な田舎弁護士(笑)は、いつもそのようなアドバスをしております。

 ただ、ご相談者が人傷社と対立すると、人傷社への保険金請求は、弁護士費用特約での対象とはなりませんので、当事務所では説明だけにとどめて、ご相談者自身において、人傷社との間で、直接、解決(協定)していただくようお願いしております。

 人傷社との間で協定する際に、一切加害者に対する損害賠償請求ができなくなる文言が不動文字で記載されていることがあるために、その部分については抹消しておく必要があります。

 また、人身傷害補償特約ですが、現在では、損保・共済によって中身が異なるので、注意が必要です。中身はその都度、人傷社に確認しながら進めるしかありません。

 人身傷害補償特約という商品が開発されてしまった以上、ご相談者に過失がある事案はこの問題を検討する必要が必ずといっていい程あります。

2019年8月 4日 (日)

【人身傷害補償特約】 単純に支払い基準が、訴訟基準になるわけではない!?

 最近の保険は、人身傷害補償特約が付保されており、また、その内容が各社で異なることから、非常に悩ましい問題となっております。

 我々弁護士は、約款基準、訴訟基準云々と人身傷害補償特約で議論するために、裁判すれば、単純に訴訟基準にまでUPすると勘違いしていることがあります。

 保険会社の中には、自己負担額の算定にあたって、訴訟基準を採用するに過ぎないものもあります。

 この場合、例えば、訴訟基準による損害額が1500万円、約款基準が1000万円、過失相殺率50%として、示談交渉の結果、賠償義務者から受領から750万円を受領したとします。

 この場合、被害者は、250万円を人傷社から受け取ることが可能ですが、双方からの手取り総額1000万円のままです。

 これであれば、最初から、人傷社から1000万円もらった方が作業効率からいえば合理的です。

 では、裁判の結果、賠償義務者から750万円をうけとった場合はどうでしょうか?

 自己負担部分は、訴訟基準の1500万円から約款基準の1000万円を控除した500万円となります。

 加害者から受け取った750万円はさきに自己負担部分に充当されますので、これにより自己負担部分はなくなります。

 その結果、被害者は、約款基準の1000万円から超過した250万円を控除した750万円を人傷社から受け取ることが可能です。

 その結果、訴訟基準での金額を同じ金額を被害者は結果的に得られるということになります。

 要は、加害者から受領した金額は自己負担部分を消す効果があるということです。但し、支払いの上限は、約款基準で計算されることになります。

 

2019年7月 4日 (木)

【人身傷害補償特約】 人身傷害補償特約の落とし穴!?

 人身傷害補償保険ですが、怖い落とし穴があります。

 人身傷害保険は、請求権代位の対象となり、一定の範囲で、被害者の損害賠償請求権は、人傷社に移転します。

 そして、人傷社が自賠責保険会社に対して、自賠責保険金を請求し回収します。

 この場合、被害者に過失がなければ、人身傷害保険金全額について、人傷社が代位するので、問題が生じません。

 問題なのは、被害者に過失阿ある場合、人傷社が代位の範囲を超えて自賠責保険金回収してしまうことです。

 人傷社が自賠責保険金を回収した場合に、被害者への自賠責保険金の支払いと同視して、損害賠償額から控除できるのかという論点があります。

 考え方としては、A人傷社への支払いを被害者の支払いと同視して、人傷社が回収した自賠責保険金は全額損害から控除できるという見解と、B被害者への支払いは異なるとして、被害者が支払いを受けていない自賠責保険金は損害賠償額から控除できないという見解があります。

 裁判例としては、東京地裁平成21年12月22日判決が、Bの見解を採用しております。

 平成23年赤い本講演録の森謙二裁判官は、Bの見解を不当利得認容説として支持しております。

 損害保険料率算出機構の方の論文によれば、現在は、次のとおり運用されているようです。

 自賠責保険実務においても取り扱いを変更し、人傷社による人傷保険金の支払及び自賠責保険金の回収後、当事者間訴訟の判決に基づき賠償金を支払った対人社から清算請求がなされた事案のうち、加害者の賠償額の認定にあたり人傷社が回収した額の全額が損益相殺の対象と認められないものについては、自賠社は、人傷社への支払額を修正した上で請求に応じる(人傷社は回収済みの額と修正後の額の差額について自賠社に返還する)ということにしたということにした。ただし、訴訟において人傷保険金に関する主張がないものは上記の取扱いの対象とはならず、人傷社による人傷保険金の支払および自賠責保険金の回収後、裁判外紛争処理機関で示談が成立した場合も、本取扱いの対象外である。

 任意社が示談交渉に応じてくれなくなる可能性があるってことですね!?

 

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2016年6月12日 (日)

【人身傷害補償特約】  人身傷害補償特約の落とし穴 !? 東京地裁平成27年12月15日判決

 自保ジャーナルNo1967号で紹介された東京地裁平成27年12月15日判決です。

 まず、事案を紹介いたします。

 原告自動車を運転中、Y自動車に衝突され、頸椎捻挫等から自賠責併合14級認定の後遺障害を残し、Yと自動車保険契約を締結する乙損保と総損害額527万1888円、原告とYの過失割合を1対9とし、乙損保が過失相殺後の額から既払い金200万5596円を控除した残額を支払う旨の「和解契約」を締結したことから、原告が自動車保険契約を締結する甲損保に対し、人身傷害補償特約に基づき、過失相殺後の保険金を求める事案

 次に、判決要旨です。

 保険約款は、多数の保険契約を画一的に規律するものであり、その文言は厳格に解釈すべきところ、本件計算条項の文書からは、人傷基準額から控除する額を保険金請求者の権利を害しない範囲」に限定して解釈すべきと読み取ることはできない。

 また、上記限定解釈は、保険金請求権者に裁判基準損害額が確保されるように解釈すべきとするものと解されるところ、確かに、保険会社が定める算定基準に従い算出される人傷基準損害額の方が、裁判基準損害額よりも少額であるのが通常であり、これを前提にすると、先に保険金を受領する場合と比較して、先に損害賠償金を受領する場合に被害者側の回収額が減少することがある。

 しかし、本件計算条項によれば、賠償義務者に対する損害賠償請求訴訟に係る判決又は裁判上の和解において、甲損保が定める算定基準に従い算出された金額の合計額を超える額が認められ、かつ、その額が社会通念上妥当であると認められる場合には、当該額が人傷基準損害額とみなされるのであるから、保険金請求権者が裁判基準損害額を確保する手段は用意されているといえ、本件計算条項につき、上記限定解釈をする必要はない

 甲損保は、本件保険契約に係る人身傷害補償特約に基づいて、原告に対し、本件過失割合相当額の保険金支払義務を負わないとして、原告の請求を棄却しました。

 本件は、依頼を受けた弁護士に対するクレームが発生してもおかしくはない事案です。

 受任の際に、まずは、クライアントにきちんと説明がされること、また、クライアントが契約されている損保会社との連絡を密にすることが、お客様からのクレームを防ぐ有効的な方法といえます。

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2016年6月11日 (土)

【人身傷害補償特約】  人身傷害補償特約の落とし穴 !?

 人身傷害補償特約という優れものの特約があります。

 交通事故って、当事者双方に過失がある場合が多いです。

 簡単にいえば、お客様の過失部分についてはお客様が契約している保険会社がカバーするという保険です。

 例えば、Xさんが運転する車と、Yさんが運転する車が交差点で出合頭に衝突して、Xさんが大けがをしたとします。なお、XさんとYさんの過失割合は、計算しやすいように50%とします。

 Xさんが、弁護士Zに依頼して、Yさんに対して、怪我の賠償請求をしたとします。

 弁護士Zが頑張って、Xさんの損害額を100万円として、過失分を控除した50%に相当する50万円を受け取りました。

 そうすると、単純に考えると、残りの50万円を、Xさんが加入している人身傷害補償特約の保険会社に請求するということになります。

  安心、安心

 ではなかったのです。

 交渉の場合、人身傷害補償特約で規定されている約款での計算によります。仮に、保険会社がXさんの損害の合計を40万円と見積もった場合には、Xさんは40万円以上のものを受け取っているから、人身傷害補償特約から支払われるものはないのです。

 この点がまさに問題となったのが、東京地裁平成27年12月15日判決です。

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              (日弁連会館から日比谷公園を望む)

 人身傷害補償特約の理解について不十分な弁護士が少なくなく、当事務所では、過失が考えられる事案の受任に際しては、人身傷害補償特約の有無を確認するようにしております。

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