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書籍紹介(交通事故)

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【高次脳機能障害】

2018年12月 3日 (月)

【高次脳機能障害】 8歳男子の高次脳機能障害の程度は、深刻なものと自賠責同様2級1号認定し、将来介護費用を日額9000円で認めた事例

 自保ジャーナルNO2025号で紹介された東京地裁平成30年3月29日判決です。

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               (今治・事務所付近)

 平成26年3月15日、片側1車線道路を自転車に搭乗して横断中、被告運転の軽貨物車に衝突され、外傷性脳損傷等の傷害を負い、自賠責2級1号認定の高次脳機能障害等を残す8歳男子小学生の原告について、

 ①本件事故後、原告は通学するのに原告母や通常学級介添員の付き添いを要していること

 ②平成27年7月に実施されたWISC-Ⅳは全検査IQ52というレベルであり、平成28年6月頃に至っても、全般的な認知障害(記憶・記銘力障害、集中力障害、遂行機能障害等)が残り、とりわけ記憶・記銘力障害は顕著で、そのため学習内容が進むにつれて学校の成績は低下する傾向にあり、中学校では特別支援学級に通学することが検討されており、主治医の所見でも、「記憶力・記銘力障害のために、知的活動は大きく阻害され、学習場面では配慮を要する。」、「危険予知などの判断力も低下し、多くの場面で声かけ~介助を要する」とされていること、

 ③平成27年8月12日時点で、感情易変、不機嫌、幼稚、羞恥心の低下等の人格変化がみられており、医療記録によっても、その後のこれらの人格変化が改善したとはうかがわれないこと、

 ④社会生活適応能力についても、友達の名前を忘れたり脈絡のない話をしたりするために友達とのコミュニケーションをとれないような状況にあることから、

 原告に残存する高次脳機能障害の程度は深刻なものである。

 これに加えて、身体的な機能障害もある程度残存することを併せ考慮すると、原告の本件事故による後遺障害は、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」として、別表第一第2級1号に該当すると、自賠責同様2級1号後遺障害を認定しました。

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                (今治・大島)

2018年8月10日 (金)

【高次脳機能障害】 自賠責2級認定が裁判すると12級13号になったというトホホ事例 

 自保ジャーナルNo2019号で紹介された東京地裁平成30年2月8日判決です。

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 自賠責2級1号高次脳機能障害を受けた16歳男子原告の事案ですが、

 現時点において原告の高次脳機能障害及び視野障害がどの程度残存するかを正確に把握しうる的確な証拠はないが、本件行動調査報告の内容等に照らすと、少なくとも平成28年7月頃には、原告は階段の昇降を含めた自立歩行、日常生活動作、販売員との意思疎通を伴う買物等を行うのに何らの支障のない状態であったと認められ、

 原告に四肢麻痺が残存するかのような介助状況を録画した証拠は証拠提出の目的にそって原告が演技することにより作成されたものと考えざるを得ないことも併せ考慮すると、

 原告の認知能力、社会行動能力等に大きな問題があるとは考えがたいとして、

 原告の本件事故による後遺障害は、頭部外傷後の神経系統の機能又は精神の障害につき、脳挫傷痕が残存していることを考慮し、別表第2第12級13号に該当すると認めることができる。

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 自賠責2級認定でありながら、高次脳機能障害を1級として請求したところ、返り討ちにあって、12級までランク大幅ダウンとなっております。

 


2018年8月 7日 (火)

【高次脳機能障害】 自賠責7級認定から、裁判すると、9級に下がってしまったトホホ事例

 自保ジャーナルNo2018号で紹介された静岡地裁平成30年1月23日判決です。

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 自賠責7級4号高次脳機能障害、同9級3号視野障害、同12級嗅覚障害等の併合6級認定の後遺障害を残す64歳男子原告の事案につき、

 原告は、現在まで約4年近くにわたり独り暮らしをしており、炊事・洗濯・掃除等の家事の他、買物、外食、目的地までのバスやタクシーの乗車、家賃、公共料金の支払など身の回りのことを全て自身で行って日常生活を送っていることが認められるのであるから、これは社会行動能力や意思疎通能力が失われていないことを裏付けるものであるとし、

 原告は、本件事故後にE会社に復帰し、高所での作業は止めているものの重機の塗装業に再度従事し、経営者と良好な関係を築き、他の従業員らとともに就労を継続していることが認められるから、 原告の作業負荷に対する持続性・持久力、社会行動能力及び意思疎通には特段問題がないというべきである

 さらに、原告は、通っているスポーツクラブのトレーニングマシンが故障した際に、自ら工具を持参して修理した旨申告しており、その申告内容が事実であるとすれば、原告の問題解決能力に特に問題が生じていない可能性が高い等から、

 本件事故により原告の上記4つの能力に特段問題が生じていないとして、

 原告の高次脳機能障害は、自賠責認定に係る後遺障害等級第7級4号と評価されるべきではなく、被告らの主張するとおり、第9級(10号)に該当するにとどまるというべきである。

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 う~ん。不思議な裁判例です。スポーツジムのトレーニングマシーンが故障した際に、自ら工具を持参して修理した話を自ら申告しているんですよね。。。

 自賠責等級が裁判すれば等級が軽くなるというケースも散見されます。怖いですね 怖いですね

2018年6月30日 (土)

【高次脳機能障害】  後見人費用と弁護士費用

 自保ジャーナルNo2016号で紹介された広島地裁平成29年12月7日付判決です。

 ここで着目したのは、後見人費用と、弁護士費用です。

 つまり、本人が1級1号の後遺障害を受けた場合、後見人としてA弁護士、そして、A弁護士がB弁護士に依頼した場合の弁護士費用です。

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 専門職後見人費用については、

 管理している流動資産が3600万円であること、本訴の結果によって流動資産が増加し合計額は5000万円を超えることがみこまれること、東京家裁では報酬のめやすとして流動資産5000万円をこえる場合、月額5万円から6万円とされていることがそれぞれみとめられる。

 以上によれば、平均月額5万円の報酬が発生するものとみとめらえるので、後見人費用としては、596万5560円(=60万円×(13.4886-3.5460)となっております。

 また、弁護士費用については、500万円をもって相当額と認められています。

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2018年2月13日 (火)

【高次脳機能障害】 自賠責7級高次脳機能障害 労働能力喪失率80%主張も、やはり基準どおり56%にとどまった事例 大阪地裁平成29年7月27日判決

 自保ジャーナルNo2007で紹介された大阪地裁平成29年7月27日判決です。

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                  (三島駅から)

 後遺障害逸失利益について、本件事故前の2年度の平均年収225万8613円を基礎収入とした上で、一級建築士の業務、特に、構造計算や耐震診断の業務の専門性の高さ等を理由に、後遺障害として高次脳機能障害が残存したため、同業務の遂行が不可能となったことから、労働能力喪失率80%以上であることを主張していました。

 しかしながら、裁判所は、自賠責保険における脳外傷による高次脳機能障害の等級認定にあたっての基本的な考え方としては、7級4号該当の高次脳機能障害の労働能力については、一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから、一般人と同等の作業を行うことができないものとされていること、本件事故前の原告の一級建築士としての収入は平成24年度が290万円、平成25年度が161万円であって、各年度の賃金センサス学歴計・男・70歳以上の平均年収と比較しても、平成24年度は約75%、平成25年度は約48%と少なく、かつ、減少傾向にあること、原告が本件事故当時、既に77歳と高齢であったことに加えて、原告の稼働時間が週平均5時間から10時間程度であった等から、労働能力喪失期間は基準どおりの56%としております。

 


2017年12月 2日 (土)

【高次脳機能障害】 約4億4000万円が認められた裁判例!!

 自保ジャーナルNo2001号で紹介された鹿児島地裁平成28年12月6日判決です。

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 高次脳機能障害・膀胱直腸障害等から1級1号後遺障害等から1級1号後遺障害を残す58歳女子の将来介護費を年額約1234万円を基礎に計約1億9781万円を認定しました。

 全国で第3位の高額賠償事例です。58歳という年齢でこの金額は珍しいと思います。

 高次脳機能障害については、交通事故をよく取り扱っているか、そして、熱心に取り組んでくれるかで、獲得できる賠償金額が大きく異なるように思います。

 

 

2017年10月16日 (月)

【高次脳機能障害】 3級高次脳機能障害等併合2級を残し、約4年後症状固定の51歳男子の将来介護費を日額3000円と認定しました。横浜地裁平成29年2月3日判決

 自保ジャーナルNo1999号で紹介された横浜地裁平成29年2月3日判決です。

 被告対向乗用車に正面衝突され、自賠責3級3号高次脳機能障害等併合2級後遺障害認定を受ける51歳男子原告の将来介護費につき、

 原告については、①C病院において、平成23年3月23日、1人でも留守番ができるようになっていると思うが、火は絶対にいじらないこと、知らない人からの電話も出ないこととされていたこと、②平成24年8月29日の検査時において、身の回り動作能力につき、公共交通機関の利用については、ほとんどできない/大部分解除 とされているほかは、食事動作、更衣動作、排尿・排尿動作、排便・排便動作、入浴動作、屋内歩行、屋外歩行、階段昇降、車椅子操作は、いずれも自立とされているが、同時に、健忘失語があり、感情のコンクリートが困難、問題解決能力の低下が目立つ、行動を計画したり、正確に遂行することができない、書字ができない、荷物を持ち上げることができない等の状況が認められるとして、

 原告につき、身の回りの動作が自立しているとしても、妻が日頃日常的な部分介助をせざるをえず、将来介護費については日額3000円を認めるのが相当であると判断しました。

 ⇒近親者介護なので、オーソドックスな日額認定ですね。

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2017年9月 5日 (火)

【高次脳機能障害】 自賠責3級高次脳機能障害を残す82歳女子の自宅付添費、将来介護費ともに日額4000円で認定した事例 東京高裁平成28年12月27日判決

 自保ジャーナルNo1996号で紹介された東京高裁平成28年12月27日判決です。

 Yバスに同乗中、急ブレーキで転倒し、くも膜下出血等から自賠責3級3号高次脳機能障害認定を受ける82歳女子家事従事者Xの退院後の自宅付添費の金額が問題となっております。

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 裁判所は、退院後の自宅付添費について、

 Xは、症状固定前の通院期間中、食事、排泄、着替え、入浴等の日常生活動作の大部分について自立していたものの、短期記憶に問題があり、日常の意思決定を行うための認知能力もいくらか困難な状態にあるとされ、危険な行為についての判断能力が低下したため、家族の目が届かないときに1人でインスタントラーメンを作ろうとして鍋ではなく陶器をガスコンロにおいて直火で加熱したり、ガスコンロの火を消し忘れたりする等の危険な行為に及んだことがあったこと、

 また、排泄後のトイレの水洗の使用や手洗いをほぼ毎回失念するため、その都度、家族が声をかけて確認するか、Xの代わりに推薦を使用したりしなければならなかったこと、

 Xは服用すべき薬の種類や服用の機会を判断することができず、毎食後、家族がXに薬の服用を指示しなければならなかったこと、

 Xは入浴や洗顔の際の湯温の判断や調節をすることができず、高温の湯を出してやけどをするおそれがあるため、入浴や洗顔の際には事前に家族が湯温を調節しなければならなかったとして、

 Xの長男夫婦は、前記期間中、食事、排泄、着替え、入浴等の日常生活動作の大部分については自立していたが、判断能力や短期記憶等の低下により、長時間1人にしておくと、調理に火を用いるなどして危険な行為に及ぶおそれがあるほか、薬を服用することを忘れたり、気温の変化に合わせて衣類や室温を調節することができなかったりするために健康状態を害するおそれがあり、日常生活に近親者等による看視や声替えを中心とする介助が必要であったことが認められ、その自宅付添費は、日額4000円を認めると認定しました。

 

2017年7月13日 (木)

【高次脳機能障害】 31歳男子主張の3級高次脳機能障害は、診断基準満たさず否認し、14級非器質的精神障害を認定した

 自保ジャーナルNo1993号で紹介された鳥取地裁平成28年11月4日判決です。

 タクシーに乗車して停止中、被告中型貨物車に追突され、脳挫傷、頸椎捻挫等の傷害を負い、自賠責14級9号頸部痛等の他、同非器質性精神障害の併合14級後遺障害認定も、

 3級3号高次脳機能障害を残したとする31歳男子原告の事案です。

 裁判所は、

 外傷に伴う高次脳機能障害の診断基準としては、「Ⅰ主要症状等」、「Ⅱ検査所見」、「Ⅲ除外項目」、「Ⅳ診断」の4項目が用いられ、「Ⅳ診断」では、ⅠからⅢを全て満たした場合に高次脳機能障害と診断し、この際、神経心理学的検査の所見を参考にすることができる」とし、「原告について、『Ⅰ主要症状等』として、本件事故に基づき頭部外傷が生じたことは認められないところ、イオマゼニルSPECT検査結果から脳損傷が存在する可能性が認められるが、本件事故がその受傷機転となったとは考えにくい上、記憶障害、注意障害、遂行機能障害があったと認めることはできず、そのため日常生活または社会生活が制約されているとも認めがたいこと、

 「Ⅱ検査所見」として、本件事故によって脳の器質的損傷があったことを示すものではなく、上記の脳損傷を疑わせる所見について、本件事故によるものと認めることは困難であること、

 「Ⅲ除外項目」として、上記の脳損傷の疑いを示す所見は、別件転倒事故によるものとも考え得ること、

 以上を総合すれば、ⅠないしⅢの全てを満たすものと認めることはできないとして、

 神経心理学的検査の結果について検討するまでもなく、原告が本件事故により高次脳機能障害を発症したと認めることはできないと、高次脳機能障害の発症を否認しました。

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 後遺障害認定につき、原告が訴えた不眠、ゆううつ、意欲低下等の症状については、非器質性精神障害であると後遺障害等級表14級程度と認定した上、本件事故と因果関係のある後遺障害は、頚部から両肩部の痛み、頭痛、左手のしびれ、腰痛であり、後遺障害等級表併合14級であると併合14級後遺障害を認定しました。

2017年7月 6日 (木)

【高次脳機能障害】 通勤途上の交通事故によって高次脳機能障害を負ったことを認め、右障害の発症を否定した労働基準監督署長の不支給決定を取り消した事例 大阪高裁平成28年11月30日判決 

 判例時報2329号で紹介された大阪高裁平成28年11月30日付判決です。

 第1審は、Xに、本件事故により本件高次脳機能障害の症状が生じたとは認めることはできないと判断したのに対して、

 第2審は、原判決を取り消して、Xの請求を認めました。

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 高裁は、高次脳機能障害が交通事故により発症したか否かを判断する重要なポイントとして、①意識障害の有無とその程度、②画像所見、③因果関係の判定が挙げられるとして、

 (1)Xは、本件事故にあい、救命救急センターに搬送された当時、意識障害があり、その障害は20時間継続したもので、その障害の程度は重大なものであったこと、

 (2)Xには、受傷直後に撮影された頭部CT及びMRI画像上、脳実質の損傷を窺わせる出血が認められるので、慢性期の脳室拡大、脳萎縮が不明であったとしても、高次脳機能障害を否定するのは相当ではない

 (3)本件事故後におけるXの診療録、本件事故後のけるXの行動、他の疾病の可能性を総合考慮すると、

 本件事故と本件高次脳機能障害との間には因果関係が認められると判断しました。

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