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【高次脳機能障害】

2019年9月16日 (月)

【高次脳機能障害】 39歳男子のくも膜下出血等から9級主張の高次脳機能障害を否認し、12級非器質的精神障害を認定して、既往のうつ病から4割の素因減額を適用した事例 京都地裁平成31年1月29日判決

 自保ジャーナル第2045号で紹介された京都地裁平成31年1月29日判決です。

 

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(自研センター)
 自賠責非該当も9級10号高次脳機能障害を残したと主張する事案につき、
 原告の意識障害の程度についてみると、①救急隊到達時(本件事故の約32分後)にはJCSI-3(刺激しないで覚醒しているが、自分の名前・生年月日がいえない状態)、GCS15点でごく軽度の意識障害があったものの、②B病院搬入時(本件事故の約48分後)にはJCSI-1(だいたい意識清明だが、今一つはっきりしない状態)まで改善したことが認められる。このような本件事故直後の経過に照らすと、外傷性の高次脳機能障害を認定する根拠の1つとなる意識障害が一定期間継続した事実を認めることはできない
 画像所見については、D医師の診断書の各項目についてみると、①平成28年11月28日のFLAIR画像上、大脳白質に高信号の点が散見された点について、一般に加齢に伴う慢性虚血性変化として中高年にはよく認められる所見である、典型的なびまん性軸索損傷のMRI所見とまではいえないとし、外傷後の微小血管障害と考えても矛盾はないとして、同画像から脳の器質的損傷を説局的に診断したものとは思われない。
 ②平成25年3月22日と平成28年11月28日のFLAIR画像の比較においては、比較的短期間にシルビウス裂や側脳室が拡大しているようにも見えるとした上で、通常の年齢変化に伴う萎縮のみでは説明が難しく、外傷が影響している可能性は否定できないとしていて、やはりこの点についても、画像の比較から脳の器質梃子損傷を積極的に診断したものとは思われない。そして、D医師の意見の結論は、MRI結果と他院で実施された高次脳機能検査で機能低下が確認されたという事実を総合的に判断すれば、MRI所見が外傷に起因する器質性変化と解釈することもできるというものである。この結論をみても、MRI検査の結果から、脳の器質的損傷を積極的に診断したものとは思われない
 として、高次脳機能障害を否認しました。

2019年8月 5日 (月)

【高次脳機能障害】追突された27歳男子主張の高次脳機能障害、左上下肢麻痺及び神経因性膀胱の3級後遺障害を否認し、左上下肢しびれ等の14級9号認定した事案

 自保ジャーナルNo2041号で紹介された東京高裁平成30年11月15日判決です。

 

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 中型貨物車を運転して停止中、Y中型貨物車に追突され、外傷性脳損傷、頚椎捻挫、腰椎捻挫、左下肢末梢神経障害等の傷害を負い、高次脳機能障害、左上下肢麻痺、神経因性膀胱等から3級3号後遺障害(労災3級認定)を残したとする27歳男子Xの事案につき、
「Xには、事故直後の意識障害はなく、そもそも頭部外傷があったとの診断もされておらず、また、本件事故後30分後、ないしは後刻医療機関受診時のGCSの検査はされておらず、その評価点は不明であるから、WHOによる軽度外傷性脳損傷の診断基準に該当しない」とし、
 厚生労働省基準については、「Xには、MRI等で脳の器質的病変が発見されてはいない・・・本件事故が、Xに対して脳の器質的損傷を惹起させるほどの強い外力を生じさせるものであったとは認められないと否認し、
 
 自賠責基準に基づき検討すると、Xには本件事故直後の意識消失があったとは認められないし、急性期に重篤な症状が発現して、時間の経過とともに軽減傾向を示す経過をたどっているともいえない」等から、
 「Xが、本件事故により、(軽度)外傷性脳損傷による高次脳機能障害を発症したと認めることはできない」と高次脳機能障害の発症を否認しました。
 後遺障害認定につき、「Xは、本件事故により、頚椎捻挫、腰椎捻挫の傷害を負い、他覚的に証明されてはいないものの、左上下肢のしびれ、左上下肢の筋力低下等の後遺障害が残存しているものと認められるから、その後遺障害は、後遺障害等級第14級9号の「局部に神経症状を残すもの」にあたると、14級9号後遺障害を認定しました。

2019年6月28日 (金)

【高次脳機能障害】 労災と自賠責との後遺障害等級が異なる場合!?

 交通事故が交通災害にあたる場合には、労災保険でも障害等級の認定がなされることをよく見ます。

 問題は、労災との相違がある場合です。

 相談の多くは、労災が高くて、自賠責保険が低いというものです。

 今回の日弁連交通事故相談センターでの研修でもこの点についての解説がありました。

 「労災認定と自賠責認定が相違する例は一般論として珍しくないが、今回調査した表2の裁判例では、特に、労災保険で高次脳機能障害が認定されている一方で、自賠責保険でも認められず、訴訟でも否定されている例が目だつた。」と解説されています。

 

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  労災との相違は、認定する機関が異なるためにやむを得ないところがありますが、その違いについて、労災保険の社会保障的性格と、賠償場面における認定の相違について言及する裁判例もあるようです。

 労災が高いからといって、自賠責も同じになるわけではありません。基準が同じでも、見る視点が異なるというべきでしょう。

 事実関係に争いがない刑事事件において、検察官側からみるのか、弁護人側からみるのかということに近いのではないかと思います。

 なお、田舎弁護士の場合、通勤労災が競合する場合には、難しい案件のケースでは、先に労災申請を行うことを勧めることがあります。そして、労災の認定が相談者の希望にそったものであれば、調査復命書等についての個人情報開示請求を行って、労災の認定理由の詳細や医員の意見等を把握して、証拠として有用なものがないか探すようにしております。研修の先生も同じことを解説されています。

 田舎弁護士は、田舎の弁護士ですが、日々、研修等の成果も仕事に即取り入れています。

2019年6月13日 (木)

【高次脳機能障害】 労災12級を、自賠責3級で請求し、頚部腰部症候群を理由に14級を認定した事案

 自保ジャーナルNO2039号で紹介された静岡地裁平成30年10月12日判決です。

 自賠責保険については、事前認定又は被害者請求手続は行われていない事案で、労災では、局部に頑固な神経症状を残すものとして、12級の12が認定されたという事案です。

 

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 事案をみてみると、脳脊髄液減少症の疑い、MTBIが議論されたとても難しい内容を含んだケースであることがわかります。
 裁判所は、オーソドックな判断手法、つま、外力により脳に損傷が生じたと合理的に推認できることが必要であること、そのためには、①受傷時の意識障害の有無程度、②画像上(CT、MRI)の異常所見、③受傷時の外力の強さ、事故前後の受傷者の状況の比較、神経心理学的テストの結果等を考慮しております。
 
 本件については、①意識障害はないこと、②CTやMRIに以上はないこと、③神経心理学的テスト等も問題がないことから、高次脳機能障害を否認しています。
 1億4000万円程請求して、認容されたのは300万円弱です。
 
 ただ、裁判所も、14級9号とはいいながらも、通常の14級9号よりは、逸失利益、慰謝料ともに増額させています。
 
 ある程度、予想された判決の結果とはいえ、MTBIが認容されるのはハードルが高いようです。

2019年5月26日 (日)

【高次脳機能障害】 66歳女子主張の5級高次脳機能障害は認定基準の「4能力のいずれか1つ以上の能力の半分程度が失われているもの」と自賠責同様7級認定した事案

 自保ジャーナルNo2038号で紹介された横浜地裁平成30年11月2日判決です。

 急性硬膜下血腫、頭蓋骨骨折、脳挫傷等の傷害を負い、自賠責7級4号高次脳機能障害認定も、5級高次脳機能障害を残したとする66歳兼業主婦の原告の事案につき、

 高次脳機能障害の認定基準の「4能力のうちの社会行動能力については、いずれもその半分程度が失われていることが認められるものの、それ以外の能力については、いずれもその半分程度以上が失われているとは認められないから、結局のところ、原告の高次脳機能障害の程度は、「4能力のいずれか1つ以上の能力の半分程度が失われているもの」として、後遺障害等級第7級の「高次機能障害のため、簡易な労務にしか服することができないもの」に当たるものと認めるのが相当である」として、自賠責同様7級4号高次脳機能障害を認定しました。

 5級の場合ですと、4能力の1つ以上の能力の大部分が失われていること、或いは、4能力の2つ以上の能力の半分程度が失われていることが必要になります。

 自賠責での認定は7級でしたが、裁判所も自賠責での認定を追認しました。

2019年4月18日 (木)

【高次脳機能障害】 自賠責7級が、裁判したら、なんと非該当に。。。。トホホ

 自保ジャーナルNo2035号で紹介された名古屋高裁平成30年9月21日判決です。

 自賠責7級の高次脳機能障害が裁判した結果、非該当になってしまったというトホホ事案です。

 入院中からブログを更新して、最近の出来事を比較的詳細に記録していたこと等が不利に働いたという事案です。最近、SNSをされている方が多くて、しかも、非公開に設定していることから、プライベート情報が筒抜けということが増えております。筒抜けになっていい情報はいいのですが、男女の交際でしかもそれが不倫ということがあるので、注意が必要です。そういえば、最近、サービス業でスタッフが不適切動画を載せて会社が多大な迷惑をこうむることが増えていますね。SNSは、使い方を誤ると大変ですので、注意が必要です。田舎弁護士も、非公開設定でしているSNSを外部に公開されたことがあり、痛い目にあったことがあるので、非公開の範囲も注意する必要があります。

 閑話休題

 さて、自賠責7級4号高次脳機能障害について、裁判所は次のとおり述べます。

 自賠責認定の高次脳機能障害は、頭部外傷にかかる画像所見については、MRI検査で嗅覚障害の原因となる左嗅球付近の出血痕が認められたのみであり、そのほか異常所見は認められていない

 経時的なMRIの比較でも、脳の萎縮といった、びまん性脳損傷の所見も認められていない等から、

 画像所見では、外傷性高次脳機能障害の原因を示す所見が得られていないとし、

 意識障害については、本件事故直後ことJCSⅢであったが、30分程度の内にJCSⅠ~Ⅱに回復しており、事故から約39時間後にはクリアな状態に回復している。

 すなわち、Xの本件事故後の意識障害の程度は、一般に高次脳機能障害を残すとされる程度に達していないとして、

 Xの本件事故による意識障害の程度、推移は、高次脳機能障害の発症を裏付けるに十分なものでないし、自賠責保険の事前認定はその前提事実を誤って把握した可能性が否定できない。

 →約1億円の請求ですが、裁判所はわずか50万円のみを認めております。トホホの結果です。

2019年3月29日 (金)

【高次脳機能障害】 66歳男子労災5級認定高次脳機能障害 → 高次脳機能障害非該当

 自保ジャーナルNo2034号で紹介された東京地裁平成30年9月26日付判決です。

 労災では5級認定高次脳機能障害、自賠責では自賠責12級13号認定、裁判も自賠責12級13号認定というケースです。

 労災の認定と、自賠責・裁判の認定との間には、大きな開きがあります 😠

 高次脳機能障害について、裁判所は、

① 本件事故当時にB病院で実施された頭部CT検査画像の読影医は、頭部の両側に薄い硬膜下液体貯留を認める以外には、外傷由来の異常所見は認められないとの所見を示している

② 事故直後からの意識障害の有無についてみると、本件事故当日に救急搬送されたB病院では、意識障害はないとされており、認定事実の他、各医療機関の診療録その他の医証を精査しても、それ以降の間もない時期に原告に意識障害が生じたことをうかがわせる記載は見当たらない

 本件事故によって原告の頭部に外力による衝撃が加わったことが推認できるものの、頭部に骨折ないし挫裂創は総じておらず、本件事故後の頭部の画像所見及び意識障害の有無等に照らせば、これによって原告の脳に一次的損傷が生じたことを認めるに足りず、そうである以上、かかる脳の一次的損傷によって、原告が高次脳機能障害を発症したことは認められないと否認し、

 脳の二次的損傷による高次脳機能障害の発症については、原告の慢性硬膜下血腫による症状の内容・程度、治療状況及び症状経過等に照らせば、原告に本件事故により発症した慢性硬膜下血腫によって脳が圧迫されたことで脳全体が損傷したとの高度の蓋然性があることを認めるに足らず、このことは、平成25年6月13日に頭部CT検査の画像により外傷性変化と捉えられる脳室拡大が認められたことをもって、直ちに左右されるものではない。

 そうであれば、本件事故により原告の脳に二次的損傷は生じたものの、それにより原告が高次脳機能障害を発症したことは認められない。

 💔労災と、自賠責との後遺障害の認定が大きく異なります。たいていの場合、労災の方が高くでる傾向にありますので、それよりも低く認定された自賠責保険の認定については、大きな不満を抱かれることが多いように思われます。

2019年3月 8日 (金)

【高次脳機能障害】 自賠責3級高次脳機能障害等併合2級を残す36歳男子の将来介護費を両親及び姉と同居等から近親者介護のみとして日額4000円で認定した 東京地裁平成30年7月17日判決

 自保ジャーナルNo2032号で紹介された東京地裁平成30年7月17日判決です。

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 将来介護費について、

 原告の状況は、リハビリ治療の効果もあって、スプーン等であれば自分で食事をとったり、ボタン等がない服について時間はかかるものの着替えたり等できるほか、一定距離であれば杖等を用いて独立で歩行することも可能であり、E整形外科へのリハビリ通院等の慣れた経路で遠距離でなければ付き添いなく電車に乗ることもできる等の改善も認められる等から、原告の症状の改善状況に加えて、原告がその父母であるZやWのほか、姉のVと同居していることなどを考慮し、その将来介護費用は日額4000円として親族介護のみとするのが相当であると平均余命の45年間につき日額4000円で認定しました。

 姉のVと同居していることに着目されて、親族介護のみとされてしまったようです。でもどうなんでしょうかね。。。

2019年1月15日 (火)

【高次脳機能障害】 当事務所が関与した松山地裁今治支部平成30年3月22日判決が、自動車保険ジャーナルNo2029号(1月10日号)で紹介されました。

 自動車保険ジャーナルNo2029号(1月10日号)で田舎弁護士が関与した松山地裁平成30年3月22日判決が紹介されていました。

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 自賠責7級4号高次脳機能障害、同14級10号顔面醜状から併合7級認定の後遺障害を残す19歳男子病院で就労し専門学校生の原告の後遺障害逸失利益の算定について、

 「平成21年産業計企業規模計高卒男子全年齢平均賃金と平成26年のそれとの差額が年額5万円強にとどまっていること、

 原告が当時若年であったこと、

 及び就労可能年数が長かったことも考慮すると、

 原告は、平成26年男子高卒全年齢平均賃金である年額466万3500円を取得する蓋然性があったこと」と基礎収入を認め、

 「原告の後遺障害は、頭部外傷後遺症について後遺障害別等級表第7級4号に該当すると認定され、自賠法施行令ではその労働能力喪失率は56%とされている。

 この点、原告は、平成23年から平成27年までの給与収入と前記賃金センサスの乖離の程度が56%を上回っていることから、少なくとも労働能力喪失率が60%程度に達していると主張する」が、「本件に顕れた一切の事情を考慮しても、原告の前記後遺障害に伴う労働能力喪失率は、56%とする」とし、「原告の労働喪失期間は45年であ」るとしえ、センサス男子高卒全年齢平均賃金を基礎収入に45年間56%の労働能力喪失で認定しました。

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 この事案は、当初は他の弁護士に依頼されていたのですが、解任後に紹介者を通じて田舎弁護士が依頼を受けさせていただいた事案です。

2018年12月 3日 (月)

【高次脳機能障害】 8歳男子の高次脳機能障害の程度は、深刻なものと自賠責同様2級1号認定し、将来介護費用を日額9000円で認めた事例

 自保ジャーナルNO2025号で紹介された東京地裁平成30年3月29日判決です。

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               (今治・事務所付近)

 平成26年3月15日、片側1車線道路を自転車に搭乗して横断中、被告運転の軽貨物車に衝突され、外傷性脳損傷等の傷害を負い、自賠責2級1号認定の高次脳機能障害等を残す8歳男子小学生の原告について、

 ①本件事故後、原告は通学するのに原告母や通常学級介添員の付き添いを要していること

 ②平成27年7月に実施されたWISC-Ⅳは全検査IQ52というレベルであり、平成28年6月頃に至っても、全般的な認知障害(記憶・記銘力障害、集中力障害、遂行機能障害等)が残り、とりわけ記憶・記銘力障害は顕著で、そのため学習内容が進むにつれて学校の成績は低下する傾向にあり、中学校では特別支援学級に通学することが検討されており、主治医の所見でも、「記憶力・記銘力障害のために、知的活動は大きく阻害され、学習場面では配慮を要する。」、「危険予知などの判断力も低下し、多くの場面で声かけ~介助を要する」とされていること、

 ③平成27年8月12日時点で、感情易変、不機嫌、幼稚、羞恥心の低下等の人格変化がみられており、医療記録によっても、その後のこれらの人格変化が改善したとはうかがわれないこと、

 ④社会生活適応能力についても、友達の名前を忘れたり脈絡のない話をしたりするために友達とのコミュニケーションをとれないような状況にあることから、

 原告に残存する高次脳機能障害の程度は深刻なものである。

 これに加えて、身体的な機能障害もある程度残存することを併せ考慮すると、原告の本件事故による後遺障害は、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」として、別表第一第2級1号に該当すると、自賠責同様2級1号後遺障害を認定しました。

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                (今治・大島)

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