最近、時代を反映しているのか、無職の男性が専業主夫、或いは、有職の男性が兼業主夫を主張することが増えているように思います。
田舎弁護士の印象では、ここ5,6年程前から、数が増えているような印象です。
田舎弁護士も加害者側損保の代理人として大活躍💦していたころは、被害者の失業中の男性が「主夫」と主張するケースもあり、家事労働の実質を巡って争いになったこともありました。

このように、主婦休損と異なり、「主夫」休損は争われるケースが少なくなく、まずは、加害者側保険において主夫認定を受けられるかどうかが最初の関門になろうかと思います。
田舎弁護士自身は、「主夫」の事案では、理想的な「主夫」の場合以外では、残念ながら余りうまくいったことがありません。
理想的な「主夫」の場合、つまり、夫が無収入で、妻が男性並みの収入があり、小さな子どもがいたような事案の場合には、認められていますが、それ以外の場合は、主張立証に大変苦労したような記憶しかありません。
あるいは、裁判所の和解限りになりますが、双方の夫婦(両方が正社員で共ばたらきのケース)が育児を含む家事労働を役割分担しており、それを裏付ける資料がきっちり提出された場合(詳細な役割分担表に加えて、双方の勤務表等も提出され、詳細な裏付けをいただけました)には、夫に相応の家事労働分の休損を認めていただいたことがあります(これは、性差関係なしに共働き家庭夫婦の一方に、役割分担部分の家事労働を認めてくれましたので、画期的な和解だったと内心では自負しております。)。
ただ、最近の事案は、主夫と主張されながらも、裁判所を説得できるような資料が乏しいのが増えているような印象があります。
現在も、「主夫」事案は、4件程扱っておりますが、「主夫」と言っても、本当に千差万別です。
なお、主夫についての裁判例も自保ジャーナルの検索ソフトで調べてみました。
① 京都地裁平成17年7月28日判決
専業主夫(57歳男子)、妻330万円程度の収入
→認定
② 神戸地裁平成22年10月28日判決
専業主夫(49歳男子)、妻小学校教員、15歳のアレルギーの子ども、高齢者の両親
→認定
③ 釧路地裁平成26年3月17日判決
専業主夫(45歳男子)、妻栄養士、子ども2名
→認定
④ 東京地裁平成28年9月28日判決
兼業主夫(カメラマン 約150万円の所得)、妻約640万円の収入
やはり、認定されているのは、理想的な「主夫」か、これに類似するものば多そうです。
「主夫」を主張する方には、家事労働を強調されれますが、その割には、収入や家計簿等の資料も乏しい方も散見されることが少なくなく、立証に苦労することが少なくありません💦
ネットでは、「主夫」「休業損害」「交通事故」で検索すると、かなりの法律事務所のホームページ等がヒットします。いずれも、請求できると書かれています。
確かに、抽象的には請求できるということになります。主夫なのだから。
ただ、理想的な専業主夫以外は、「主夫」の立証が相当に大変であろうという印象を抱いております。
弁護士に依頼されても、当然に、「主夫」認定が得られるとは考えない方がよいかと思います。
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