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書籍紹介(交通事故)

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【休業損害・逸失利益】

2018年9月13日 (木)

【休業損害・逸失利益】 タクシー乗務員の後遺障害(右下腿内側部の傷痕14級5号、左鎖骨の変形障害12級5号、併合12級該当)

 ぎょうせいの交通事故民事裁判例集第50巻第4号で紹介された大阪地裁平成29年7月7日判決です。

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 右下腿内側部の創痕で14級5号、左鎖骨の変形障害で12級5号、併合12級該当という事案です。

 この場合の逸失利益ですが、被害者側としては、平均余命の半分の7,74年間、14%(12級相当)の労働能力を喪失したとして逸失利益を請求しております。

 被害者としては、ありうる請求の内容です。

 ただ、傷痕で14級は通常は労働能力に関係しないですね。また、鎖骨の変形障害も、同様な指摘がされています。ただ、疼痛が残っている場合には、労働能力喪失率5%で労働能力喪失期間は5年程かなと、加害者サイトでは考えてしまいますね。

 判決は、労働能力喪失率については、やはり5%、他方で、労働能力喪失期間については、7年程を認定してくれたようです。

 このあたりの感覚は、少し経験を経ないとわからないと思います。

2018年8月19日 (日)

【休業損害・逸失利益】 休業損害と逸失利益算定の手引き 2018年版

 保険毎日新聞社から今年出版された「損害賠償における休業損害と逸失利益算定の手引き」 です。

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                  (開聞岳)

 最近、毎年のように改訂版が出ております。

 ① 逸失利益算定の対象となる所得

 ② 事業所得者の逸失利益算定のための基準額の算出手続

 ③ 事業所得者の逸失利益の算定手順

 ④ 給与所得者の逸失利益算定のための基準額の算出手続

 ⑤ 給与所得者の逸失利益の算定手順

 ⑥ 法人の役員の逸失利益の算出手続

 ⑦ 極小規模法人の役員の休業損害額の算定

 ⑧ 個人の所得に課税される税金

 ⑨ 逸失利益算定に関するQ&A

 となっております。

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                (鹿児島・長崎鼻)

2018年8月 6日 (月)

【休業損害・逸失利益】 自賠責併合8級認定を受け復職している45歳男子運転士の後遺障害を併合10級認定し、60歳まで18%、67歳まで28%の労働能力喪失率で逸失利益を認めた 京都地裁平成29年12月27日判決

 自保ジャーナルNo2018号で紹介された京都地裁平成29年12月27日判決です。

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 復職し、減収のない電車運転士の原告の後遺障害逸失利益につき、

 原告の後遺障害は、①右手関節の機能障害が12級6号該当、②右下肢及び右足趾の機能障害が併合11級相当、③左大腿骨内顆骨折後の左膝痛が14級9号該当となり、④併合10級相当であるとして、併合10級を認定しました。

 →自賠責での認定は、併合8級ですから、裁判した結果、反対に、併合10級となり、後遺障害の等級が軽くなってしまいました。

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 原告に減収がみられないのは、

① 原告が、本件事故後、地上面からの電車の乗降に支障を生じ(線路に降りて運転始業前に電車の各部を点検し、また、回送前に車内点検や清掃を行うので、地上面からの電車への乗降が必要になる。)、また、電車のハンドルを握りこみにくいなどの制約を受けているにもかかわらず、

② 従前から電車の運転という技能を有し、かつ、事故後もその技能が活用できているからであって、原告の努力による面は大きいとし、

 ①症状固定時から原告が60歳(定年見込み時期)に達するまでの15年間については、C鉄道会社に勤務し続けるであろうから、労働能力の制約の度合いが小さいものとして、労働能力喪失率18%と認定するにとどめる、

 その後、②67歳に達するまでの7年間については、収入を維持できるか判然としないから、労働能力喪失率27%と認めると、事故前年収を基礎収入に60歳までは15年間18%、以降67歳まで27%の労働能力喪失で認定しました。

2018年8月 5日 (日)

【休業損害・逸失利益】 自賠責併合14級後遺障害を残す35歳男子無職は就労意欲に乏しく、就労の蓋然性があったとは認められないと逸失利益を否認した。奈良地裁平成30年1月12日判決

 自保ジャーナルNo2018号で紹介された奈良地裁平成30年1月12日判決です。

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 頸椎捻挫、両肩打撲、腰椎捻挫等から自賠責併合14級認定の後遺障害を残す35歳男子無職Xの後遺障害逸失利益算定につき、

 Xは、大学院を25歳で卒業した後、本件事故(35歳)までの間、就労経験が全くなく、求職活動も、本件事故までは、数か月に1回程度、1社に応募するのみで、就職が決まったことも1度もなく、

 本件事故後に至っては、本件口頭弁論終結時(41歳)までの間、ハローワークにも一切行っていないというのであるから、就労意欲に乏しいものとみるほかなく、上記後遺障害による逸失利益を観念し得る期間(症状固定時から5年程度)において、就労の蓋然性があったものとは認められない」として、

 後遺障害逸失利益の発生を否認しました。

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 ここまで稼働しなければ、難しいでしょうね。。。。

2018年3月24日 (土)

【休業損害・逸失利益】 主夫休業損害 賃金センサス6割 横浜地裁平成29年9月28日付判決

 自保ジャーナルNo2010号で紹介された「主夫」休業損害の裁判例です。横浜地裁平成29年9月28日付判決です。

 被害者(後遺障害非該当。異議申し立てもしている。)は、主夫休業損害として、約470万円を請求しておりますが、裁判所が認めたのは、わずか8万6000円程度です。

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 なかなか厳しい判決ですね。。。。控訴しております。

 裁判所は、

 ① 原告が無職であったことや同居家族の状況からすれば、本件事故の当時、原告が母及び妹のために家事、母の生活介助等を行っていたことは推認されるが、

 ② 原告の供述によっても、母も食事の後片付け等一定の家事を行っていたことがうかがわれるのであって、原告が通常の主婦業と同等の負担と負っていたとは考えにくいこと、

 また、本件事故による症状が受傷8日後に医師により一旦治療終了とされる程度の比較的軽度の症状であり、その後1箇月以上通院がないことからすれば、家事についても、本件事故直後に限定的な支障があったにすぎないとして、

 基礎収入を平成21年女性全年齢平均賃金の6割、休業期間を1ケ月、平均休業率を5割として、休業損害が算定されています。

 自賠責非該当事案でありながら、14級相当の後遺障害が生じたとして約1100万円程度の請求をされていますが、裁判所はわずか50万円程度を認めたにすぎません。

 かりに、「主夫」が認められたとしても、本人が希望されるような金額を獲得するのは、なかなか難しいということなのかもしれません💦

 主夫については、2月7日のブログも参考にしてください。

2018年3月 3日 (土)

【休業損害・逸失利益】 給与所得者の休業損害を算定する上での問題点

 赤い本平成30年度の裁判官講演録の第3のテーマです。休業損害の収入日額について、休日を含んだ一定期間の平均日額とする場合(A)と、休日を含まない実労働日一日あたりの平均額とする方法(B)があります。

 日額は、 A  <  B   となります。

 これって、よく有給休暇の時に問題になります。損保会社は必ずといっていい程、Aで計算します。相談者は、Bで計算すべきじゃないか?と言われます。

 ただ、有給休暇を使った場合の賃金は、労働基準法12条1項から、A的に解釈されています。。。

 過去の交渉では、Bで請求しても、最終的には同意していただいたことが多いように思います。

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 これまで、あまり論じられてきたことがない論点なので、非常に助かりました。happy01

 

2018年3月 1日 (木)

【休業損害・逸失利益】 女子年少者の逸失利益算定における基礎収入

 赤い本平成30年度講演録で収録されているテーマの1つとして、「女子年少者の逸失利益算定における基礎収入について」です。問題の所在は、義務教育修了時までの女子年少者の逸失利益を算定する際には、賃金センサスの全労働者の平均賃金を基礎収入とすることが多いので、今回は、義務教育を修了した後の若年の女子についても、全労働者の平均賃金を用いるべきかという問題について論じられています。 

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 「高校生について」は、「大学進学等の進路が具体的に決まっているような場合等については、後に検討する大学生等の場合と同様に個別の事情に応じて判断するとしても、それ以外の場合には、基本的には全労働者の平均賃金を用いることとしてよいのではないかと思います。」

 「大学生等について」は、「基本的には大学生等の場合、女子の大卒等の平均賃金を基礎とし、それでは実態に合わないというべき具体的な事情が存在する場合に個別の認定によって判断するのが相当であると思われます。すなわち、大学生等の年齢に達していれば、将来得られるであろう相当程度に蓋然性のある収入額を認定する基礎となる個別の事情を立証することは十分に可能であると考えられますから、個別の具体的な事情に応じた認定にゆだねる方がより実態に即した判断になると思われます」

 「社会人について」は、「現に就労をしている以上、若年であつても事故時の職業、稼働状況や現実の収入額を総合して基礎収入を算定するのが原則となります。」

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2018年2月 7日 (水)

【休業損害・逸失利益】 「主夫」休業損害は「主婦」と異なり難しい事案が少なくないですね。。。。

 最近、時代を反映しているのか、無職の男性が専業主夫、或いは、有職の男性が兼業主夫を主張することが増えているように思います。

 田舎弁護士の印象では、ここ5,6年程前から、数が増えているような印象です。

 田舎弁護士も加害者側損保の代理人として大活躍💦していたころは、被害者の失業中の男性が「主夫」と主張するケースもあり、家事労働の実質を巡って争いになったこともありました。 

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 このように、主婦休損と異なり、「主夫」休損は争われるケースが少なくなく、まずは、加害者側保険において主夫認定を受けられるかどうかが最初の関門になろうかと思います。

 田舎弁護士自身は、「主夫」の事案では、理想的な「主夫」の場合以外では、残念ながら余りうまくいったことがありません。

 理想的な「主夫」の場合、つまり、夫が無収入で、妻が男性並みの収入があり、小さな子どもがいたような事案の場合には、認められていますが、それ以外の場合は、主張立証に大変苦労したような記憶しかありません。

 あるいは、裁判所の和解限りになりますが、双方の夫婦(両方が正社員で共ばたらきのケース)が育児を含む家事労働を役割分担しており、それを裏付ける資料がきっちり提出された場合(詳細な役割分担表に加えて、双方の勤務表等も提出され、詳細な裏付けをいただけました)には、夫に相応の家事労働分の休損を認めていただいたことがあります(これは、性差関係なしに共働き家庭夫婦の一方に、役割分担部分の家事労働を認めてくれましたので、画期的な和解だったと内心では自負しております。)。

 ただ、最近の事案は、主夫と主張されながらも、裁判所を説得できるような資料が乏しいのが増えているような印象があります。

 現在も、「主夫」事案は、4件程扱っておりますが、「主夫」と言っても、本当に千差万別です。

 なお、主夫についての裁判例も自保ジャーナルの検索ソフトで調べてみました。

 ① 京都地裁平成17年7月28日判決

    専業主夫(57歳男子)、妻330万円程度の収入

    →認定

 ② 神戸地裁平成22年10月28日判決

    専業主夫(49歳男子)、妻小学校教員、15歳のアレルギーの子ども、高齢者の両親

    →認定

 ③ 釧路地裁平成26年3月17日判決

    専業主夫(45歳男子)、妻栄養士、子ども2名

    →認定

 ④ 東京地裁平成28年9月28日判決

    兼業主夫(カメラマン 約150万円の所得)、妻約640万円の収入

 やはり、認定されているのは、理想的な「主夫」か、これに類似するものば多そうです。

 「主夫」を主張する方には、家事労働を強調されれますが、その割には、収入や家計簿等の資料も乏しい方も散見されることが少なくなく、立証に苦労することが少なくありません💦  

 ネットでは、「主夫」「休業損害」「交通事故」で検索すると、かなりの法律事務所のホームページ等がヒットします。いずれも、請求できると書かれています。

 確かに、抽象的には請求できるということになります。主夫なのだから。

 ただ、理想的な専業主夫以外は、「主夫」の立証が相当に大変であろうという印象を抱いております。

 弁護士に依頼されても、当然に、「主夫」認定が得られるとは考えない方がよいかと思います。

2018年1月28日 (日)

【休業損害・逸失利益】 申告していない自営業者の休業損害・逸失利益は、認定は厳しいですね。

 自保ジャーナルNo2006で紹介された福岡地裁平成29年6月22日です。

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 耳鳴等併合12級を残す38歳男子で、確定申告していない雑貨卸業の方ですが、

 休業損害については、否認されて、0円

 逸失利益についても、賃金センサスの50%である約260万円程度にとどまっております。

 労働者であれば会社の証明や源泉徴収票にての立証で足りることが大半ですが、収入を裏付けるものがない自営業者や主夫の場合は大変です。

 農業ですが、税務申告していない、していたとしても、僅少

 開業する準備だった

 主夫である

 いずれも、立証の壁というハードルがあります。

 まず、税務申告していない事案は、税務申告をするだけの資料の作成をお願いしているところですが、散逸していることが多く、本人が希望するような金額には到底ならないことが少なくないように思います。

 また、税務申告していたとしても過少申告だったというのも、難しい印象を受けます。

 開業する準備だったというのは、なおさらです。労働者で内定通知を受けていたというのであれば、認められたことがありましたが、自営で開業する準備だったというのは、よほどの裏付けがないと無理なような気がします。私は、開業する準備という理由で、休業損害を認められた事例を経験したことがありません。

 主夫についても、単なる無職ではないか、家事労働といっても仕事を持っている妻も担当しているのではないかという疑問を必ず呈されるので、ハードルが高いように思います。主夫ではありませんが、共働き家庭(夫婦ともに高学歴者)で夫の家事労働の休業損害が和解で認められたことがありますが、1週間及び月間の、夫婦の家事労働の役割分担表が詳細に作成され、且つ的確な裏付け資料が添付されていたという事案でした。他方で、認められたこともあるので、このケースのように詳細且つ具体的な主張立証がいかにできるかにかかっているのだと思います。

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 感じでいうと、うまく前進できないような印象を抱いております。

 ただ、最近、増加しているのですよね。この種の相談が。。。

 受ける際には、難しい事案であることを説明してから、受けるようにしております。

2017年11月 2日 (木)

【休業損害・逸失利益】 主夫 !?

 交通事故民事裁判例集第49巻第5号で紹介された平成28年10月11日付東京地裁判決です。

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 原告(男・事故時80歳)の家事労働に関する休業損害につき、

 視力障害のある長男のために食事の用意・掃除・洗濯等の家事労働を一定程度行っていたと推認されるが、

 その範囲は限定的だとし、

 原告の年齢・性別等を考慮して、基礎収入を70歳以上の女性学歴計平均賃金の30%とし、通院の際は半日程度の休業が必要であったとして、実通院日数の50%相当分を認めました。

 80歳であること、男性であることが、マイナスポイントだったようです。

 女性であれば、70%程度は認められたのではないかと思われます。