【むち打ち損傷】 頸部痛等から自賠責14級9号認定の男子原告の症状を医学的又は他覚的に証明できると12級13号認定し10年間14%の労働能力喪失で後遺障害逸失利益を認定した 札幌地裁令和2年3月27日判決
自保ジャーナルNo2077号で紹介された札幌地裁令和2年3月27日判決です。
(皿ヶ嶺)
路上を中型貨物車で走行中、後続の被告普通貨物車に衝突され、頚椎捻挫等の傷害を負い、項部から右肩にかけての痛み、右上肢のしびれから自賠責14級9号認定も、12級13号後遺障害が残存したと主張する男子原告の事案です。
裁判所は、原告には、本件事故を原因として、項部から右肩にかけての痛み及び右上肢のしびれが生じるようになったといえ、これらの症状は、現に原告の配送ドライバーとしての稼働状況ないし稼働能力に相当程度の影響を及ぼしているものといえる上、
これらの症状については、その存在を裏付けるMRI画像上の異常所見及び複数の神経学的所見がある※ことから、原告の項部から右肩にかけての痛み及び右上肢のしびれについては、その存在を医学的に又は他覚的に証明することができるとして、本件症状のうち、項部から右肩にかけての痛み及び右上肢のしびれについては、12級13号に該当する後遺障害であると認定しました。
※主治医を含め複数の医師が、原告のC5/6の椎間板及びC6/7の椎間板突出による脊髄の圧迫及びC7神経根の圧迫を認めている。被告の意見書においても、少なくとも左C7神経根が圧迫されている可能性はあるとされている。
※被告は、画像上の障害部位と神経根の支配領域が不一致であることを問題にしていたようですが、これについては、医学文献によってずれがあることは頻繁に経験する等を理由に蹴られています。
※ジャクソンやスパーリングテストは陽性、筋萎縮も可能性が指摘されており、深部腱反射の異常所見がないことのみをもって、神経学的所見を欠くものではないと判断しております。
なお、本件は、控訴後和解にて解決されているようです。
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