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書籍紹介(交通事故)

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2017年5月

2017年5月31日 (水)

【その他】 既存障害と現症が「同一部位」か否かが争われた事例 東京高裁平成28年1月20日判決  No2

 解説は以下のとおりです。

 自賠責保険の実務において、

 「神経系統の機能と精神の障害」に関しては、

 従前、原則としては中枢神経と抹消神経全体が「同一の系列」であることから、「同一の部位」であると取扱い

 例外的に、既存障害及び現症のいずれもが「局部」の神経症状である場合には、神経症状の発症部位によつては別部位として認定する(例えば、既存障害「頸部痛」と現症「右肩痛」とは「同一部位」にはあたらない)という取扱いがなされていた。

 これを前提とするならば、既存障害が中枢神経の障害である場合(9級以上)には

 現症が中枢神経の障害でも、局部の神経症状でも、自賠法施行令2条2項にいう「同一部位」にあたるので、既存障害の程度を加重している場合でない限り(上級等級に該当しない限り)、加重障害とはならないことになる。

 ところが、本判決は、既存障害が両下肢麻痺(別表第1・1級1号)で、現症が頸椎捻挫後の両上肢痛等(14級9号)の場合は、両者が同一の部位にあたらないという結論になりました。

 自賠責保険の基準では難しくても、裁判所はこれにとらわれずに、被害の実態をとらえて評価することもありえるので、このような事案においては提訴して解決というのも、1つの方法かもしれません。

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2017年5月30日 (火)

【むち打ち損傷】 約2年10ヶ月前の事故での14級症状は消失していたとして自動二輪車運転停止中の本件追突により、14級後遺障害を認定し、40%の素因減額を適用した 神戸地裁平成28年10月12日判決

 自保ジャーナルNo1989号で紹介された神戸地裁平成28年10月12日判決です。

 後遺障害につき、前回事故による原告の後遺障害の症状と本件事故による原告の症状は同一部位(腰部)・内容(痛み)であるが、前回事故による原告の後遺障害の症状は、局部の神経症状に過ぎないところ、その症状固定日から本件事故日まで2年以上が経過しており、

 また、原告は、本件事故直前、前回事故による後遺障害の症状で治療を受けた形跡はないから、原告の症状が本件事故前から存在していたということはできないとし、

 原告の症状経過・治療経過、D医師の後遺障害診断に照らすと、原告には本件事故による腰痛、右下肢痛、右足部のしびれという後遺障害の症状が残存し、これらは後遺障害等級14級9号の局部に神経症状を残すものに相当すると認めるのが相当であると、14級後遺障害を認定した。

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 素因減額につき、原告の腰痛等の症状は、既往障害である腰椎椎間板ヘルニアと本件事故による腰部捻挫とが競合して発症したことが認められるところ、

 これまで認定の原告の腰椎椎間板ヘルニアの内容・程度、本件事故前後の原告の症状の有無、本件事故の程度、原告の症状経過・治療経過、後遺障害の内容・程度に照らすと、原告の腰部捻挫及び腰痛等の症状に対する既往障害である腰椎椎間板ヘルニアの寄与は、40%を認めるのが相当であり、原告について、40%の素因減額を認めるのが相当であると、40%の素因減額を認定しました。

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2017年5月29日 (月)

【その他】 既存障害と現症が「同一部位」か否かが争われた事例 東京高裁平成28年1月20日判決

 日弁連交通事故相談センター発行の交通事故相談ニュースNo38で掲載された「最近の判例から」です。

 第9胸椎圧迫骨折による胸髄損傷(両下肢麻痺)(別表第1・1級1号)の既存障害を有する被害者が、車椅子で交差点を進行中、乗用車に衝突され、頸椎捻挫後の両上肢痛が残存した事案です。

 自賠責は、被害者の訴える両上肢痛は、本件既存障害と「同一部位」にあたるところ、本件既存障害が「神経系統の機能又は精神の障害」としては最上位等級の後遺障害に当たることから、被害者の訴える本件症状は、後遺障害の程度を加重したものとはいえないとして、支払いを拒絶しました。

 そこで、被害者は、自賠責保険会社も被告として、本件既存障害と本件症状とが同一の部位の障害ではなく、14級9号が残存しているとして、訴訟を提訴しました。

 その結果、東京高裁は、同一の部位にはあたらないとして、原告の訴えを認めました。

 解説がよくできているので、明日、紹介いたします。

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2017年5月21日 (日)

【高次脳機能障害】 乗用車運転中に追突された65歳男子の9級主張高次脳機能障害を否認し、非器質性精神障害として14級認定した 大阪地裁平成28年10月24日判決

 自保ジャーナルNo1989号で紹介された大阪地裁平成28年10月24日判決です。

 X会社役員の65歳男子Vは、同代表者の39歳男子Xが同乗する乗用車を運転中、Y大型貨物車に追突され、9級12号高次脳機能障害等の併合8級後遺障害を残したとする事案につき、

 Vは、本件事故直後にB脳神経外科を受診した際に、頭部について症状を訴えておらず、その後、本件事故以前の記憶の喪失を訴え、頭部MRI検査及び脳波検査が行われたが、異常所見が認められず、脳震盪と診断されるにとどまったこと、

 Eクリニックで高次脳機能障害が疑われ、F大学病院に紹介された後も、Gクリニックで行われた頭部MRI検査でも、軽度の脳虚血性変化があるのみで、梗塞、出血、腫瘍その他の外傷性変化は認められず、F大学病院で行われたMMSE、WMS-R及び脳波検査はいずれも正常範囲内であり、脳血流SPECT検査で部分的な血流低下の疑いがあったという程度にとどまったこと、

 本件事故後、意識障害があったとしても、極めて短時間であり、継続しなかったことなどに鑑みると、

 Vが、本件事故によって脳外傷を負い、その結果、高次脳機能障害を生じたものと認めることはできないと高次脳機能障害を否認し、

 Vの本件事故時の年齢が65歳であったものの、本件事故後、多少は仕事を行っていたことなどを考慮すると、Vの症状は、本件事故による非器質性精神障害によるものと認められ、局部に神経症状を残すものとして、後遺障害等級14級9号に該当すると評価するのが相当であると、14級9号後遺障害を認定しました。

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2017年5月15日 (月)

【書籍】 プラクティス交通事故訴訟(青林書院)

 青林書院から、今年の1月に、プラクティス交通事故訴訟 が発行されていました。

 編集者の1名が梶村太一教授になっていましたが、この先生は、家事事件に詳しい専門家だと思っていましたが、交通事故も得意にされていたのですね。

 執筆者は、簡裁の裁判官がほとんどです。

 5章で構成されています。①交通事故をめぐる保険制度、②交通事故における責任原因、③損害、④過失相殺、⑤交通事故訴訟の手続です。

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2017年5月14日 (日)

【休業損害・逸失利益】 東京地裁平成28年4月27日判決

 交通事故民事裁判例集第49巻第2号で紹介された東京地裁平成28年4月27日判決です。

 要介護5の母(76歳)と二人暮らしで事故年の給与所得が244万1735円であった被害者(女・50歳・会社員)の死亡逸失利益算定に際し、

 基礎収入については、

 被害者が通常の家事労働を超える日額1000円に相当する介護労働を行っていたと認めることができるとして、母と同居して介護を前提とする14年間は賃金センサス女性労働者学歴計全年齢平均賃金(353万9300円)+1000円×365日を、

 母と同居を前提としない3年間については、事故前年の給与所得を

 それぞれ基礎とし、生活費控除割合を40%としてライプニッツ方式により算定した事例

 要介護5の者がいる場合に、家事労働+年36万5000円を加算したものです。

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2017年5月 3日 (水)

【運行起因性】 降車の際の事故 最高裁平成28年3月4日判決

 交通事故民事裁判例集第49巻第2号で紹介された最高裁平成28年3月4日判決です。

 要旨は以下のとおりです。

 老人ディサービスセンターでディサービスを受けた後、同センターの送迎車で自宅に送り届けてもらい、自宅前の平坦な場所で停車した同車の床ステップから、同センター職員に手をひかれて降車した際に右大腿骨頸部骨折の傷害を負った被害者(女・83歳・骨粗鬆症で身長約115㎝、事故の2年8ケ月後に死亡)が、同車につき自動車保険契約を締結している被告保険会社に、搭乗者傷害特約に基づき入通院保険金、後遺障害保険金の支払を請求したところ、事故は同車の運行が本来的に有する危険性が顕在化したものであるということはできないので、事故が同車の運行に起因するものとはいえないとして、これを斥けました。

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2017年5月 1日 (月)

【PTSD】 自転車を押しながら歩行横断中の被告車接触で転倒受傷は診断基準の「強烈な外傷体験」とはいえないとPTSDの発症を否認した事例 名古屋地裁平成28年10月28日判決

 自保ジャーナルNo1988号で紹介された名古屋地裁平成28年10月28日判決です。

 自転車を押して横断歩行中、被告貨物車に接触され転倒し、PTSD(外傷後ストレス障害)等の傷害を負ったとする原告女子の事案につき、

 PTSDの診断は、米国精神医学会のDSM-Ⅳ、世界保健機構のICD-10といった診断基準が示している主要な4要件、すなわち、①強烈な外傷体験、②再体験症状、③回避症状及び④覚醒亢進症状が認められるか否かについて慎重な検討を踏まえることが必要であり、PTSDの認定に当たり、前記4要件を満たすか否かを厳格に判定するのが相当であるとして、

 ①強烈な外傷体験については、原告は、被告自動車が目前に迫ったため、軽度の接触(車両の損傷の伴わないもの)ないし驚くなどして、手で支えて尻餅をつくことになり、その際、右下腿挫創の傷害を負ったことが認められるのみであり、客観的にみて「実際にまたは危うく死にそうなあるいは深刻なけがを負うような、あるいは、自分または他人の身体的保全が脅かされるような」出来事とは到底いえないとし、

 ②再体験症状については、B医師は、平成21年1月19日、本件事故当時の記憶は再現でき、不安も強いが、悪夢やフラッシュバックなどの症状が現在あるのか不明であるとの見解であったこと、E医師は、同年7月3日、原告を診察した上、穏やかで抑うつがなく、思い出すことはあるようだが、フラッシュバックといえるか疑問と判断したことが認められ、事故直後に受診したE病院の診療録にはフラッシュバックに関する記載は一切ない。したがって、再体験症状の要件充足にも疑問が残る等として、PTSDの4要件を満たすか否かを厳格に判定すると、強烈な外傷体験の要件は明らかに充足するとはいえないし、その余の要件充足にも疑問が残るものであり、その他、原告がPTSDを発症したことを認めるに足りる的確な証拠はないと、PTSDの発症を否認しました。

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