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書籍紹介(交通事故)

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2019年6月27日 (木)

【交通事故相談センター】 「高次脳機能障害に関する裁判例の動向」を受講しました。

 「高次脳機能障害に関する裁判例の動向」として、自賠責保険の認定が争われた事例を中心に、札幌の弁護士さんが解説されていました。高次脳機能障害事案もかなりの件数を取り扱われておられるようです。 

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 また、その弁護士さんですが、交通賠償と金融商品関係の2分野を専門でされておられるようです。札幌は都会なので、ある程度の専門分野を作るのが可能なんでしょうね。それはさておき、講義の内容はとてもよかったです。田舎弁護士の頭の整理のために、目次だけでも拾い出してみます😃
第1 高次脳機能障害の後遺障害等級
1 自賠責保険
(1)認定基準
 ア 存否
 イ 程度
(2)手続
 ア 提出する資料
 イ 認定手続
 ウ 異議
 エ 自賠責保険・共済紛争処理機構
2 労災保険
(1)認定基準
(2)手続
3 民事訴訟
 
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第2 裁判例の分析
1 表1~表3の見方
2 高次脳機能障害の存否が争われたケース
(1)否定判決
(2)肯定判決
(3)若干の分析
ア 意識障害の有無・程度
イ 画像所見
ウ 神経心理学的検査
エ 事故の重大性(あるいは軽微性)
オ 症状の経過
(4)高次脳機能障害の有無についての判断基準
(5)MTBIの主張
(6)労災との相違
(7)長期経過後の提訴
(8)その他の論点について
ア 画像上の脳萎縮・脳室拡大の所見の扱い
イ 慢性期の画像で異常所見が消失している例
ウ 画像所見はあるが意識障害がない(もしくは軽度)のケース
エ 原告の立証責任
3 高次脳機能障害の程度が争われているケース
(1)当事者が争ったが自賠責保険と同じ等級を認定した例
(2)自賠責保険よりも下位等級を認定した例
(3)自賠責保険よりも上位等級を認定した例
(4)分析(主張立証のポイント)
ア 意識障害と画像所見
イ 神経心理学的検査
ウ 日常生活状況・就労状況
エ 立証方法について
① 医師の意見及び医療記録
② 被告側の反証
③ 原告本人尋問
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第3 請求側弁護士としての準備・対応
1 意識障害についての所見
2 画像
3 症状の経過の確認
4 労災事案での資料の取得
5 手続の選択について
 ⇒田舎弁護士も、思えば登録5年未満のころは、交通事案も慣れておらず、自保ジャーナル等で紹介されるような裁判例もほとんどとれませんでした。3社の大手損保会社から依頼を受け、損保弁護士として、大活躍した(?)数年がなければ、事件数もなく、交通事故事案も得意という分野までに昇華させることができなかったと思います。
 今では損保弁護士はほぼ卒業しているので、被害者の方の適切な補償を得るために、精一杯頑張らせていただくことに幸せを感じております。
 損保会社からの相談や紹介はなくなりましたが、被害者の方からのご相談の予約は継続して対応させていただいております。
 頑張りたいと思います(他方で、無理なものについては無理と言わせていただいております)
 このような研修を受けられることは、被害者側弁護士としては大変ありがたいことです。
 

2019年6月26日 (水)

【交通事故相談センター】 損害保険料率算出機構の方の講演 高次脳機能障害認定の手続きの流れと問題点

 日弁連交通事故相談センター主催の研修会が、東京御茶ノ水でありました。

 損害保険料率算出機構の方のご講演でしたが、基本的な説明で、交通事故事案をよく勉強している😃 田舎弁護士的にはいささか物足りなかったです😃 。

 認定の流れについてはよくわかりましたが、問題点についてはあまり言及がなかったように思われます。

 例えば、「頭部への受傷が軽度とされ、画像検査資料を得ることが難しい場合でも、高次脳機能障害の症状が認められる場合は、受傷当初の意識障害の有無や程度、症状経過等を把握するため、救急搬送時の記録や、他院に転院される際に転院先に提供される連絡文書などの情報の提供をお願いすることがあります。」と説明されていますが、頭部への受傷が軽度とされ、画像検査資料が得ることが難しい場合において、かかる資料の提供により、自賠責保険において高次脳機能障害が認定されるのか、認定されるとすれば、どのような場合なのかを知りたかったのですが、説明がありませんでした。

 また、「MRI・CT等の画像所見が認められず、MTBI、軽度外傷性脳損傷の診断がなされている事案については、労災保険での取り扱いと同様、損保料率機構の本部において慎重に審査・認定を行います。」とありますが、認定されたようなことがあったのかどうかも知りたかったのですが、説明がありませんでした。

 我々弁護士は、加害者側、被害者側、いずれの立場に立っても、高次脳機能障害が自賠責保険で認定を受けられるかどうかに極めて大きな関心を抱いております。微妙な事案の場合、何が理由で認定が受けられたのか、或いは、受けられなかったのかを知りたいのです。

 もっとも、欲しかった「頭部外傷後の意識障害についての所見」等が手に入ったのはよかったです。

 平成30年報告により書式がかわったのですが、ネット等で探してもみつけることができなかったので、よかったです。

2019年6月25日 (火)

【交通事故相談センター】 2019年度高次脳機能障害相談研修会に参加しました。

 日弁連交通事故相談センターの2019年度高次脳機能障害相談研修会に参加しました。

 場所は、TKPお茶の水カンファレンスセンターです。

 テーマは、次のとおりでした。

 損害保険料率算出機構の方から、高次脳機能障害認定手続の流れと問題点

 青野渉弁護士から、高次脳機能障害の障害等級争点事案裁判例の傾向 

 研修終了後は、懇親会です。 

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 田舎弁護士ですが、現在、おそらく業務の4分の1くらいが交通事故、しかも、被害者の方からの依頼事件がほとんどとなっております。

 高次脳機能障害事案も複数件あります。

 高次脳機能障害事案においても、被害者のため、適切な補償が得られるよう勉強を重ねたいと考えて降ります。

 交通事故事案(被害者事案)は、しまなみ法律事務所におまかせあれ~

2019年6月23日 (日)

【むち打ち】 自賠責非該当も22歳男子消防士の左膝神経症状は職務に影響があるとして、14級9号が認定された事案

 自保ジャーナルNo2039号で紹介された京都地裁平成30年11月12日判決です。

 

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 自動二輪車に搭乗して交差点を直進中、先行被告乗用車が左折したため、急制動したが衝突して、左大腿部挫傷等の傷害を負い、自賠責非該当も14級9号左膝神経症状を残したと主張する22歳男子消防士の原告の事案です。

 原告の症状固定後の症状は、さほど強くなく、かつ、常時自発痛があるわけではないものの、左膝に痛みが生じることがあると認められる

 そして、原告が消防士として火災、救助・救急等の出勤をしていることに照らすと、通常神野勤務と比較して肉体上の影響があることが職務に影響を及ぼしやすいといい得る

 そうすると、原告にほとんど常時疼痛が残存しているとまでは認めがたいが、

 職務上の支障が生じることは否定できない

 原告の述べる痛みについては、C整形外科において診断されているとおり、創傷によるものとして医学的に説明が可能なものとして、

 左大腿挫滅創に伴う左膝創部の圧痛などの症状は、14級9号に該当する

 

 →14級9号の一般的な要件を充足しているとはいいにくような事案ですが、原告が消防士であることに着目した救済裁判例ではないかと思われます。

2019年6月13日 (木)

【高次脳機能障害】 労災12級を、自賠責3級で請求し、頚部腰部症候群を理由に14級を認定した事案

 自保ジャーナルNO2039号で紹介された静岡地裁平成30年10月12日判決です。

 自賠責保険については、事前認定又は被害者請求手続は行われていない事案で、労災では、局部に頑固な神経症状を残すものとして、12級の12が認定されたという事案です。

 

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 事案をみてみると、脳脊髄液減少症の疑い、MTBIが議論されたとても難しい内容を含んだケースであることがわかります。
 裁判所は、オーソドックな判断手法、つま、外力により脳に損傷が生じたと合理的に推認できることが必要であること、そのためには、①受傷時の意識障害の有無程度、②画像上(CT、MRI)の異常所見、③受傷時の外力の強さ、事故前後の受傷者の状況の比較、神経心理学的テストの結果等を考慮しております。
 
 本件については、①意識障害はないこと、②CTやMRIに以上はないこと、③神経心理学的テスト等も問題がないことから、高次脳機能障害を否認しています。
 1億4000万円程請求して、認容されたのは300万円弱です。
 
 ただ、裁判所も、14級9号とはいいながらも、通常の14級9号よりは、逸失利益、慰謝料ともに増額させています。
 
 ある程度、予想された判決の結果とはいえ、MTBIが認容されるのはハードルが高いようです。

2019年6月12日 (水)

【自賠法】 名義貸与の依頼を承諾して自動車の名義上の所有者兼使用者となった者が、自動車損害賠償保障法3条にいう運行供用者に当たるとされた事例

 判例時報No2402号で紹介された最高裁平成30年12月17日判決です。

 

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 第1審は、運行供用者を認め、第2審は、運行供用者を否定し、第3審は、運行供用者を肯定しました。
 ただ、破棄自判ではなくて、原告の損害を吟味するために、差し戻しております。第1審で損害論については検討されているはずなんですが。。。
 
 それはさておき、本判決は、生活保護を受けているAに対する名義貸与について、事実上困難であったAによる本件自動車の所有及び使用を可能にし、自動車の運転に伴う危険の発生に寄与するものといえると評価し、Yは、Aによる本件自動車の運行を事実上支配、管理することができ、社会通念上その通行が社会に害悪をもたらさないよう監視、監督すべき立場にあったというべきとして、Yが運行供用者にあたると判断しております。
 本件では、原則的には自動車を所有することができない生活保護を受けている人への名義貸しが問題になっており、安易な名義貸しに警鐘をならす点でも、重要な意義を有すると解説されています。

2019年6月 7日 (金)

【書籍】 むち打ち損傷ハンドブック第3版

 むち打ち損傷ハンドブック第3版(2018年・丸善出版)です。

 東京医科大学整形外科の遠藤健司先生、同鈴木秀和先生が編著者になります。

 

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 17章で構成されています。①むち打ち損傷の歴史、②むち打ち損傷の分類、③頚椎・頸髄の解剖・生理、④追突のバイオメカニクス、⑤むち打ち損傷の海外での最近の知見、⑥むち打ち損傷の急性期症状、⑦むち打ち損傷の慢性期症状、⑧むち打ち損傷の慢性期病態、⑨脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の症状・病態と診断基準、⑩むち打ち損傷の検査、⑪むち打ち損傷の診断と自宅・外来治療、⑫むち打ち損傷の薬物治療・神経ブロック治療、⑬代表的頚椎疾患と治療、⑭むち打ち損傷の予後、⑮むち打ち損傷の矛盾と疑問、心理的問題、⑯むち打ち損傷の後遺症の法的問題と事故の補償制度、⑰後遺症書類作成と代表例
 
 
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 むち打ち症例事案は、田舎弁護士も毎日のように取り扱っております。医学分野での知見も必要となります。

2019年6月 2日 (日)

【日本賠償科学会】 日本賠償科学会第74回研究会に参加しました。

 6月1日に、東京の法政大学で、日本賠償科学会第74回研究会が開催されましたので、田舎弁護士も参加しました。

 

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  10年程前から会員となり、交通事故や医療事故の勉強のために、研究会や懇親会等にも参加させていただいております。
  
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 第1部は、有賀徹先生(労働者健康安全機構理事長)の「労働者を保護することの社会的意義について」という特別講演です。
 
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 第2部は、「過労自殺考える」というシンポジウムです。
 
 1 黒木宣夫東邦大学名誉教授の、「自殺の労災認定の現状と課題~訴訟事例を含めて」
 2 松本俊彦精神保健研究所薬物依存研究部部長の、「自殺に至る精神医学的機序と自殺予防」
 3 川人博弁護士の、「過労死・過労自殺と企業の責任」
 4 田村裕一郎弁護士の、「働き方改革によって過労自殺は解消されるか」
 5 吉野慶弁護士の、「過労自殺における過失相殺・素因減額の可否と事由」
 6 潘阿憲法政大学教授の、「精神障害者中の自殺と保険者免責」でした。
 
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 田舎弁護士にとっては、なかなか難しい議論で、途中、😵 もありましたが、今、ご相談を受けている事案にも参考になりそうなヒントもいただきまして、有意義な研究会参加となりました。
 次回は、12月7日(土)になります。

2019年6月 1日 (土)

【解決実績】 当初提案約140万円を、示談・紛セン利用にて、約2倍の約290万円で解決しました。

 60歳代兼業主婦の方です。片側の手骨骨折で、治療期間は約10か月、うち入院日数は半月程度という事案です。

 後遺障害については残念ながら非該当でした。

 当初提案は約140万円程度でしたが、示談・紛セン利用にて、約290万円で解決しました。

 大きくUPした点は、主婦休業損害及び傷害慰謝料でした。

 弁護士費用特約にての利用で解決です。

2019年5月26日 (日)

【高次脳機能障害】 66歳女子主張の5級高次脳機能障害は認定基準の「4能力のいずれか1つ以上の能力の半分程度が失われているもの」と自賠責同様7級認定した事案

 自保ジャーナルNo2038号で紹介された横浜地裁平成30年11月2日判決です。

 急性硬膜下血腫、頭蓋骨骨折、脳挫傷等の傷害を負い、自賠責7級4号高次脳機能障害認定も、5級高次脳機能障害を残したとする66歳兼業主婦の原告の事案につき、

 高次脳機能障害の認定基準の「4能力のうちの社会行動能力については、いずれもその半分程度が失われていることが認められるものの、それ以外の能力については、いずれもその半分程度以上が失われているとは認められないから、結局のところ、原告の高次脳機能障害の程度は、「4能力のいずれか1つ以上の能力の半分程度が失われているもの」として、後遺障害等級第7級の「高次機能障害のため、簡易な労務にしか服することができないもの」に当たるものと認めるのが相当である」として、自賠責同様7級4号高次脳機能障害を認定しました。

 5級の場合ですと、4能力の1つ以上の能力の大部分が失われていること、或いは、4能力の2つ以上の能力の半分程度が失われていることが必要になります。

 自賠責での認定は7級でしたが、裁判所も自賠責での認定を追認しました。

2019年5月25日 (土)

【施術費】 整骨院施術費用を全部否認

 自保ジャーナルNo2038号で紹介された横浜地裁川崎支部平成30年11月29日判決です。

 14級9号の腰部捻挫の後遺障害が得らえた方ですが、残念ながら、治療費と薬局代はほぼ全額は認められましたが、整骨院施術費用は全額否認されました。治療費施術費薬代は、約125万円ですが、治療費等は36万円程度はほぼ全て認められ、残りの整骨院施術費は全て否認という恐ろしい結果となっております。

 整骨院における施術費は、医師の明確な指示に基づくものでない限り、全部又は一部を否認されるという可能性を秘めているものです。

 整骨院における施術費については、とりわけ、訴訟の場合には、とんでもないことになるリスクもありますので、注意が必要です。

 必ず、医師の指示によるものであるかどうか、施術の効果がでているのかどうかなどを確認しておくべきです。

 

2019年5月24日 (金)

【ご相談】 「物損」交通事故の相手方が「無保険」の場合のご相談は、原則として、お引き受けしておりません。

 物損事案において、交通事故の相手方が「無保険」の場合のご相談については、ご紹介者がない方の場合には、現在、ご依頼を受けておりません。

 この場合でも弁護士費用特約のご相談が大半ですが、ここ数年の傾向からいえば、ほとんどの場合、交渉での解決は困難であり、提訴して判決を得て強制執行という形をとおっております。

 訴状自体を受け取っていただけない方も少なくなく、所在調査まで必要となります。

 そして、判決を得ても、財産を調査するために各種金融機関に弁護士会照会にて対応し、強制執行にまで及ぶのですが、判決で命じられた賠償金「満額」を回収できたケースが0ではありませんがそれほど数は多くはなく、複数回に及ぶ強制執行をしてかろうじて30%~70%程度、中にはほとんど回収できないというケースもあります。

 人身傷害であれば、ご相談者が人身傷害補償保険金等を付保している場合には提訴して訴訟基準によりご自身の保険会社から相応の賠償金を保険金として受領する方法もありますが、物損の場合にはそれができません。

 現在でも「無保険」事案を抱えておりますが、金額の多寡にかかわらずどのような事案でも誠心誠意対応させていただいている関係上、差押えのための弁護士会照会、差押え作業等事務処理に費やす時間量が増えてしまい、当事務所の負担が著しく大きくなっており、他の業務に影響がでているような現状です。

 従って、「物損」交通事故の相手方が「無保険」の場合のご相談については、仮に弁護士費用特約があったとしても、当事務所の顧問先等のご紹介者がない場合には、お引き受けをしないことにしました。

 

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 悪しからず、ご了解ください。

 但し、弁護士費用特約が付保されている方の場合には、他の法律事務所では、ご相談・対応にのっていただけることが多いと思います。

 

2019年5月23日 (木)

【施術費】 整骨院の施術費を全部否認

 東京高判平成30年9月20日(自保ジャーナルNo2037号)です。

 平成28年2月22日、乗用車を運転、信号待ち停止中、Yが運転するタクシーに追突され、頚椎委捻挫、右肩関節捻挫、腰部捻挫を負い、約6ケ月間整骨院に通院したX(整形外科9万0040円、薬局3万4480円、整骨院87万9430円)につき、「B整形外科の医師は、Xが整骨院への通院を希望したのに対し、これを勧めることはせず、自己の判断で通院するように述べるにとどまり、整骨院への通院の必要性を認めなかったものである。しかも、C整骨院では、医師による診断が下されていない右肩関節捻挫及び腰部捻挫の負傷名での施術も行われている上、C整骨院への通院が頻繁で、通院開始から治療に至るまでの通院状況に変化がない一方で、Xは、平成28年3月18日以降は、B整形外科にはほとんど通院していない。そして、C整骨院での施術についても、主としてXが訴える疼痛の緩和や指導に終始し、治療として客観的な改善効果を確認し得るものではない」とし、「XのC整骨院への通院の必要性は認め難いものといわざるを得ず、本件事故との間に相当因果関係を見出すことは困難である」として、整骨院施術費を否認した。

 整骨院の施術については、最近問題となることが少なくありません。典型的なのは、整形外科には余り通院しておらず、整骨院の施術が中心となっている場合です。

 整骨院の施術を中心とする方の場合には、後遺障害認定を受けることが難しくなります。後遺障害申請をするための後遺障害診断書は医師が作成しますので、整形外科に継続的に通院していなければ、それすら入手することが困難となります。

 さらにいえば、整骨院施術事案は週に3~5回も施術を受けている方も少なくなく、施術費が相当高額になっております。将来賠償交渉をする際に、相手損保から、施術費の全部とはいいませんが、一部否認されることもあります。

 少なくとも、整形外科と整骨院の通院の頻度が逆転するようなことはあってはならないでしょう。

 交通事故賠償において適切な賠償を得たいのであれば、整形外科に通院されることをお勧めいたします。

2019年5月22日 (水)

【書籍】 平成31年赤い本下巻講演録「非器質性精神障害をめぐる問題」

 平成31年赤い本下巻P49~の野々山優子裁判官の講演の「3非器質性精神障害をめぐる問題」です。

1 非器質性精神障害

 非器質性精神障害とは、脳の器質的損傷を伴わない精神障害とされていますが、「外力による器質的損傷と異なり、精神機能の障害の存在及びその原因を客観的に確認することは難しく、患者の愁訴に基づいて病態を把握せざるを得ない面があり、精神医学的に不明な領域も多く、その原因や機序を明らかにすることは困難である上、事故以外の様々なストレス因子により発症することがあり、また、精神的既往症に基づく場合もあるため、事故と非器質性精神障害との因果関係の判断には困難な伴うとされています。」。

2 非器質性精神障害の特質性

 ①多因性、②精神医学的に適切な治療により完治し得る、③精神科専門医による診断及び治療

3 障害認定基準とその策定の経緯

 →この心理的負荷認定基準の考え方は、脳疾患・心臓疾患が発症した場合の業務上認定の基本的な考え方である相対的有力原因説に基づくもので、交通事故のような損害賠償分野でこれをストレートには適用できないと思われるとの指摘がされています。現在の損害賠償実務においては因果関係認定についての明確な手法や基準は確立されていないことから、当該事案における具体的な事情を検討し、事故と障害との因果関係を判断していくことになります。

 

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 非器質性精神障害と事故との相当因果関係の有無については、一般的には、①事故態様や事故の衝撃の程度からうかがわれる、事故が被害者の心身に与えた影響の程度、②受傷内容、③精神症状の発症時期、④事故から通院開始までの時期を含めた精神科等専門医への受診状況等を手がかりに判断することとなります。その他の判断要素としては、⑤既往症の有無、⑥被害者の精神に影響を与えているものとみられる事故以外の要因の存否及びその影響の程度などが考えられます。

 PTSDについては、DSMやICDといった一般的な判断基準に基づいて判断。

 うつ病や適応障害については、必ずしもうつ病や適応障害の診断基準にあてはめてその障害を認定するのではなく、精神症状全般につき、発症の有無や事故との相当因果関係を判断しているものがほとんどです。

 症状固定日については、遅くとも事故から3年以内を症状固定時期と認定する裁判例が多いといえます。

 また、逸失利益の労働能力の喪失との関係においては、5年ないし10年程度に喪失期間が制限されることが多いと考えられています。

 

2019年5月21日 (火)

【書籍】 平成31年赤い本講演録 「全損における損害概念及び賠償者代位との関係」 続き

 昨日の続きです。ここからが核心です。

2 自動車損害の損害額の主張立証活動 

(1) 適正修理費用を巡る主張立証活動

 → 適正修理費用

  (被害者) 「被害車両の損傷の部位と損傷状況並びにこれに対する修理の内容を、それが当該事故による損傷であり、修理の方法としても不当なものでないことが分かる程度に、無理のない範囲で明らかにする必要がある。」「また、適正修理費用は比較的少額であることが多いものですから、その主張立証のあり方については、回復を受けようとする被害額に見合う主張立証の負担という観点をも踏まえて考える必要があります。この点、東京高裁平成29年12月12日判決は、『不要な修理が行われた又は修理代金が社会通念に照らし不当に高額であるといえるような特別の事情が認められるのであればともかく、加害者は、請求額が相当と考える金額より高額であるというだけでは支払いを拒むことはできないし、裁判所もその相当額について当事者双方に主張立証を促して審理をすることが適当であるとは考えられない。』と判示しており、これは、適正修理費用を巡る主張立証活動の在り方を考える上で参考にすべきものといえます。」

(2) 修理及び買替えの実行の有無

 →自動車の所有者でない者が請求をするなら格別、自動車の所有者が損害賠償請求をする場合には、実際に修理や買替えを行ったことは、請求が認められるための要件とはなりません。

(3) 車両時価額等の主張立証

 →適正修理費用が車両時価額等を上回ることは、適正修理費用の賠償を免れようとする加害者において主張立証することが必要であると解され、この場合、加害者において車両時価額等を主張立証することになります。

3 自動車損害の把握の仕方と賠償者代位について

(1) 賠償者代位

(2) 損害額の査定におけるスクラップ価額の位置づけ

 →①車両時価額等からスクラップの売却価額相当額を控除した残額をもって被害者に生じた損害額と把握する考え方と、②被害者がスクラップの売却代金を取得して初めて損益相殺するとの考え方の2とおりの考え方にわかれる。

 →そして、これら2つのいずれの考え方をとるにしても、

ⅰ 賠償以前にスクラップの売却代金を被害者が取得している場合には、原則として、その代金額が売却価額相当額として認められ、同額が損害額から控除されることとなり、

ⅱ また、賠償以前にスクラップが売却されていない場合には、加害者において、その主張に係る価額で売却できることを具体的に主張、立証しなければ、結論として、売却価額相当額が控除されることはないとすることが、実務的な損害額認定のあり方としては相当なものでないかと考えます。

(3)賠償者代位の帰趨

ア 賠償以前にスクラップの売却代金を得ている場合

  →代位なし

イ 被害車両について、単純な廃車手続をしてしまった場合

  →代位なし

ウ スクラップが被害者の手元に残っている場合

  →車両時価額等の全額の賠償により加害者が代位する

  →車両時価額等の全額が賠償された際に、経済的全損となった被害車両の修理がなされていた、或いは修理が予定されていた場合。。結論として、代位を認めず、不当利得の法理で対応。

 

   

 

2019年5月20日 (月)

【書籍】 平成31年赤い本講演録 「全損における損害概念及び賠償者代位との関係」

 平成31年赤い本講演⑥の石井義規裁判官による講演録が紹介されていました。

 「全損事故における損害概念及び賠償者代位との関係」です。

 項目等を引用しながら感想を述べたいと思います。

1 交通事故訴訟における損害額の算定について

(1)不法行為に基づく損害賠償制度の目的と方法

 「③の損害については、加害行為がなかった場合に想定される利益状態と加害行為によって現実に発生した利益状態をそれぞれ金銭的に評価して得られた差額であるとする差額説が、通説及び判例の基本的な立場です」

 →基礎的なお話ですが、各論になると難しい議論がある論点ですね。

(2)物的損害に対する金銭的評価の方法

 「不法行為により物が滅失、毀損した場合の損害の金銭的評価については、大審院の連合部判決が、原則として、滅失毀損当時の交換価値により定めるべきものと判示しており、このことは最高裁の判決でも確認されています。」

 →富喜丸事件判決ですね。なつかしい。

(3)中古自動車の損害に対する金銭的評価の方法

ア 物理的全損に関する評価の方法

  原則として、中古車市場価額(最高裁昭和49年4月15日判決) + 買替諸費用

イ 物理的に修理可能な損傷に対する評価の方法

  適正修理費用  (+評価損)

ウ 経済的全損

  適正修理費用(+評価損)  >  車両時価額等

エ 交換価値を基礎とした賠償によっては賄いきれない損害

  代車費用、休車損

(4) 小括

→ここまでは、基礎的な説明ですが、理由がわかりやすいので、参考になります。

(続き)

 

 

 

2019年5月18日 (土)

【脳脊髄液漏出症】 自賠責保険非該当、労災併合14級  → 裁判の結果、後遺障害全て否認

 自保ジャーナルNo37号で紹介された平成31年2月21日付広島高裁判決です。

 労災では、14級頚部神経症状及び14級耳鳴から、併合14級が認定。

 しかしながら、自賠責保険では、異議申し立てにかかわらず、後遺障害非該当という事案です。

 第1審では、頚椎捻挫を理由に、14級9号を認定しております。耳鳴りは否認。

 高裁では、脳脊髄液漏出症での治療も否認し、頚椎捻挫での神経症状も常時性がないとして否認されています。

 労災保険と自賠責保険での後遺障害の判断が異なることがあり、たいていは、労災保険の方が後遺障害認定が高くなりがちです。

 このようなことになると、多くの方は自賠責保険での認定がおかしい という気持ちを抱くことになります。

 交通事故をよく取り扱う弁護士の事務所では、このようなケースは散見されますので、あまり不思議には感じませんが、ご相談者の納得は得にくいところでもあります。

 昔、加害者側でセカンドオピニオンで相談を受けた際に、労災保険は12級、自賠責保険は非該当というようなケースで、加害者側の弁護士さんが後遺障害等級を争っていないこと、また、万が一に備えて、自賠責保険社に訴訟告知をしていないこと等の対応をしておらず、せめて後者の対応は行うようアドバイスを差し上げたこともあります。

 この事案も、第1審では約310万円だったのが、第2審で約55万円になってしまいました。このような場合には、高裁では和解を勧めるはずなのですが、当事者のどちらかが難しかったんですかね。

 

2019年5月17日 (金)

【解決実績】 異議申立て(被害者請求)により、後遺障害非該当から後遺障害14級9号(腰椎捻挫)を獲得しました。

 30歳代女性、腰部、両膝の神経症状(治療期間約9ヵ月。但し、加害者側損保会社治療立替は6ヵ月で打ち切り)ですが、初回被害者請求では、非該当(XPのみ)、主治医の協力を得て意見書を作成して、異議申立てをしたところ、腰部捻挫後の神経症状については、後遺障害14級9号が認定されたという事案です。

 XPがない事案でしたが、診療録の分析、そして、主治医の協力が認定を受けることができた最大のポイントだと思われます。

 医師により積極的な協力をいただけない病院も少なくありませんので、患者の立場に立って、医師ができる範囲での協力をいただける病院に通院する必要があります。

 👂なお、被害者請求手続についての弁護士費用ですが、弁護士費用特約で手数料が対応できる損保会社とそうではない損保会社があります。そうではない損保会社の中には、国内大手の損保会社が含まれておりますので、注意が必要です。LAC加盟の損保・共済会社であれば、その心配がありません。

 弁護士費用特約で手数料が対応できない損保会社の弁護士費用特約の場合には、LAC規定の準じた手数料は自己負担となりますので、ご注意下さい。

2019年5月15日 (水)

【書籍】 平成31年赤い本 最近の東京地裁民事交通訴訟の実情

 早速、最新の赤い本が送られてきました。谷口部総括判事の講演から、興味をひいた点を引用します。

 求償金請求事件における主張立証(P5~P8)についてです。

 「A所有・B運転の甲車両とY運転の乙車両との間の物損事故について、Aとの間で締結した自動車保険契約に基づき、車両保険金として、甲車両の修理費用を修理業者Cに支払った保険会社Xが、保険法25条1項によりAに代位して、Yに対し、不法行為に基づく損害賠償請求をする事案」を題材に、いろいろ検討しております。

 例えば、「訴訟物(被代位債権)の明示について」は、訴状には、「車両保険金の支払いをした」と一括して記載されているものの、事実関係を確認していくと、実は、甲車両の修理費用の支払と、甲乙間の事故に巻き込まれた丙車両の修理費用の支払いが混在していることがあります。

 前者(甲車両の修理費用の支払い)を理由とする求償金債権は、車両保険金(車両条項に基づく保険金)の支払により、甲車両の所有者Aに代位して、加害者であるYに対し、不法行為に基づく損害賠償請求をするものであるのに対して、

 後者(丙車両の修理費用の支払い)を理由とする求償金債権は、対物賠償責任条項に基づく保険金の支払いにより、共同不法行為者の一人(甲車両の運転者B又はその使用者A)に代位して、もう一人の共同不法行為者であるYに対し、被害者(丙車両の所有者C)に対する賠償額のうちYの過失割合に応じた負担部分について求償をするものであって、訴訟物が異なります

 また、遅延損害金の起算日についても、後者については、これを期限の定めのない債務とみて、保険金支払い日の翌日ではなく、求償金支払催告日の翌日とした原審の判断を是認した最高裁判決があるので、留意が必要です。

 その他、「約款の内容の明示について」として、ア 一部てん補の場合の帰趨について、イ 車両保険によるてん補損害の範囲についてなども参考になります。

 ただ、求償金請求事案は、損保弁護士の時は損保からのご依頼もありましたが、損保弁護士を辞めてからは、損保を原告とする訴訟の原告代理人を務めることはなくなりましたので、今は原告事案としてはありません💦

2019年5月 9日 (木)

【自賠法】 名義貸与の依頼を承諾して自動車の名義上の所有者兼使用者となった者が、自賠法3条にいう運行供用者にあたるとされた事例

 判例タイムズNo1458号で紹介された最高裁平成30年12月17日判決です。

 生活保護者であるAが、弟であるYに対して、車の名義をYにして、Aが車を利用していた時の事故ということです。Aではなくて、Yを被告にしたのは、おそらくは、Aが任意保険をかけていなかったのでしょう。

 判決要旨を紹介いたします。

 YがAからの名義貸与の依頼を承諾して自動車の名義上の所有者兼使用者となり、Aが上記の承諾の下で所有していた上記自動車を運転して事故を起こした場合において、

 Aは、当時、生活保護を受けており、自己の名義で上記自動車を所有すると生活保護を受けることができなくなるおそれがあると考え、上記自動車を購入する際に、弟であるYに名義貸与を依頼したなどの判示の事情の下では、Yは、上記自動車の運行について、自賠法3条にいう運行供用者にあたる。

 

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