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交通事故(書籍一般)

2022年9月22日 (木)

【解決実績】 令和4年9月に、弁護士ドットコム経由で感謝の声が届きました。 ありがとうございました。

依頼交通事故 2022年9月に解決


先生はじめ事務所の方々にはお世話になりました。


契約に入る前に今後の対応や想定される示談額等を丁寧に説明して頂きました。


こちらの質問についても理解できるよう資料を提示し、説明してただきました。


また、事件の依頼から解決まで迅速に対応していただき感謝しています。


定期的に進捗状況も報告して頂いたので、安心して経過を待つことができました。


最終的に、こちらの希望に沿う形で示談交渉を進めていただき、解決に至りました。


本当にありがとうございました。

 

相談した出来事
歩行者と自動車の接触事故
症状固定後も痛みがあるため、きちんとした補償を得るため、示談交渉をお願いしました。

 

解決方法
交渉・示談
慰謝料・損害賠償

【慰謝料】 被害者に暴言を吐いたことが慰謝料の増額となった事案 名古屋地裁令和3年7月21日判決

 交通事故民事裁判例集第54巻第4号で紹介された名古屋地裁令和3年7月21日判決です。

 右肘挫傷及び左下腿部挫傷の傷害を負って7か月通院した原告の通院慰謝料について、

 本件事故後に被告が原告に対して、繰り返し、当たり屋などと言ったこと

 原告が警察に通報したにもかかわらず事故現場から立ち去ったことなどを踏まえ、

 通院期間7か月の慰謝料85万円に、20万円増額し、計105万円と認めた事例が紹介されていました。

 被告は任意保険に加入しておらず、また、事故の際に接触したかどうか争いになったようです。 

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 ごくまれですが、加害者の方で、このような主張をされる方がいます。被害者側に多数の保険金受給歴があるような方でもなければ、このような主張は、解決を長引かせ、且つ、支払う賠償金が大きくなるだけです。
 ご依頼人がこのような主張をされる場合には、現在では、ご依頼をお断りさせていただいております。

2022年9月21日 (水)

【物損】 リース契約解除金相当の賠償請求が否定された裁判例 大阪地裁令和3年7月16日判決

 交通事故民事裁判例集第54巻第4号掲載の大阪地裁令和3年7月16日判決です。

 最近、リース契約解除金が高額になるケースが散見されており、被った損害の補償を請求したいという相談者もおられます。

 ですが、基本的には、難しいとお答えしております💦 

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(うだつの町並み)
 大阪地裁令和3年7月16日判決も、自動車(全損)の時価を超えるリース契約解除金相当額の賠償請求につき、
 近年自動車リースの利用が増加し、加害者は被害者に時価を超えるリース契約解除金の損害が発生することも予見可能とする原告の主張を認めず、
 ユーザーが時価を超えるリース契約解除金を支払わなければならないことは、リース会社とユーザーとがその旨の契約をしたことのみによって正当化され、これを第三者である加害者に対して正当化し得る理由はないとして、時価に限り賠償を受けることができるとされた事例。
 裁判所が、被害者が実際受けた損害を認めてくれるとは限らない例として、紹介しておきます。
 この事案では、リース契約解除金は、約141万円、車の時価額は、約121万円で、約20万円が被害者の自己負担となっております。

2022年9月20日 (火)

【物損】 減価償却率で算定された事例 大阪地裁令和3年7月6日判決

 交通事故民事裁判例集第54巻第4号で紹介された大阪地裁令和3年7月6日判決です。車両の時価額って、車がものすごく新しい時、或いは、ものすごく古い時に、争点化することが多いように思います。今回の事例は、ものすごく新しい場合です。 

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(剣山)
 事故当時、初年度登録から約1か月半、走行距離1320㎞、新車購入価格714万円(841万円のところを127万円値引きされていた)であった被害車両(BMW)の時価額の算定が問題となった事案です。
 なんか難しそう~。
 裁判所は、新車価格を被害車両の本体価格と認めることはできず、
 初年度登録からの期限が限られているため中古車市場があるといえず、
 レッドブックによる認定もできないから、
 耐用年数6年を全体とした減価償却率0.968(書籍は0,068と誤植があるようです)を考慮して、車両本体価格を認定することも許されるとして、
 またメーカーオプション及び付属品、アフターパーツについても、減価償却率を乗じた額を損害として認めました
 原告は、車両時価額として、車両本体価格841万円を主張し、被告は、購入価格714万円に減価償却残率0,968を考慮して、691万1500円と主張していたようです。
 裁判所は、被告の主張のとおり、691万1500円を認めました。
 最高裁判決でいう時価額での認定が難しい場合には、例外的に減価償却率での認定もあり得るということです💦
 841万円での減価償却率だと814万円になるのですが、このような算定は合理的なものとはいいががたいと述べています。
 裁判って、結果の見通しが難しいですね。。。

2022年9月19日 (月)

【むち打ち損傷】 自賠責非該当  ⇒ 12級13号認定 但し、素因減額50%

 自保ジャーナルNo2117号で紹介された京都地裁令和3年12月7日判決です。 自賠責非該当でしたが、裁判では、なんと12級13号が認定される、但し、素因減額50%という事案でした。確定しているようです。 

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(剣山・山頂)
 41歳男子主張の右頸部痛等を、他覚的所見に裏付けられた証明可能な神経症状として、12級13号を認定しつつ、既往症の頚椎椎間板ヘルニアは経年変性の域を超える病的なものとして、5割の素因減額を適用しました。
 12級13号が認められた理由としては、①事故前には右頸部痛等の症状は出現せず事故後に出現していること、②頚椎に椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄が認められ、脊柱管内への軽度圧迫が認められる、頚椎椎間板ヘルニアや骨棘は経年変性の既往症であること、③神経支配領域が一致すること、④MRI検査画像上の認められる異常所見と整合することを挙げています。
 他方、素因減額は50%という高額になっています。
 理由は、①事故の衝撃は大きいとはいえない、②既往症があり経年性の域を超える病的なものであることをあげています。
 自賠責非該当から、12級13号が認定されるのは被害者にとってグッドですが、他方で、素因減額50%までされますと、賠償としては、14級9号程度まで下がるのではないかと思います。
 他方で、12級13号認定を受けると、搭乗者傷害補償特約等を付保していると、それなりの保険金の支払いを受けることが可能ですので、全体的な解決としてはまずまずかもしれません。
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(剣山・見ノ越)

2022年9月11日 (日)

【自賠責等級より下がった事案】 自賠責14級 ⇒ 非該当 (なんと受傷否認)

 自保ジャーナルNo2116号で紹介された大阪地裁令和3年11月5日判決です。 

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(稲叢山へむかう林道)
 タクシー乗車中に軽微接触され、頚椎捻挫等から自賠責14級9号認定を受ける40歳代男子は、1年間もの通院治療を経ても自覚症状が不変で心因性の症状が疑われる等から本件事故による受傷を否認し、後遺障害の残存も否認された事案です。
 被告車が時速約2㎞でぶっかりタクシーはブレーキを解除していたためわずかに前進したという事案です。
 1年以上通院しているのに自覚症状は不変、整合する他覚的所見はないなどという理由で、本件事故による受傷が否認されてしましました。
 田舎弁護士のところにも、頚椎捻挫や腰椎捻挫でありながら、1年以上通院しているけれども、自覚症状が不変という方はこられます。
 このような方の場合には、やはり、心因性の症状の可能性もあり、本来であれば、心療内科にも通院すべきでしょうが、頚椎捻挫程度の事案では、相手方損保も、心療内科の通院費は認めてくれないことも少なくありません。
 せっかく、自賠責社が認定してくれているのに、もったいないことになりました。。。
 原告代理人の弁護士にとっても、気分が悪かったでしょう。。。
 
 訴訟はやはり結果がどうなるかはわかりません💦

2022年8月 4日 (木)

【損益相殺】 死亡退職手当と損益相殺

 判例時報No2520号で掲載された平成30年1月25日付高松高裁判決です。ただ、4年以上も前の裁判例がなんで今頃掲載されたのかな。そちらも不思議ですね💦 

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(湿地植物園・サギソウ)
 交通事故により死亡した公務員の遺族が受領した死亡退職手当は、損益相殺として、被害者の退職手当逸失利益の当該遺族の相続分から控除されるが、退職手当逸失利益の当該相続分の額が死亡退職手当の額を下回る場合であっても、その差額を給与逸失利益等他の損害費目から控除することは許されないとした事例です。
 死亡退職手当が支給された場合には、毎度のように損益相殺の対象費目を巡って争いになる論点です。
 交通事故で死亡したような事案ですので、損害保険会社には遺族のために相応の賠償を支払っていただきたものです。
 
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(湿地植物園全景)

2022年8月 1日 (月)

【むち打ち損傷】 労災14級(自賠責非該当)のケースで、裁判でも、自賠責と同様の判断とされたケース

 自保ジャーナルNo2114号で紹介された令和3年9月10日付金沢地裁判決です。 

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(湿地植物園のトンボ)
 右肘部打撲、外傷性頸部症候群等の傷害を負い、自賠責非該当(労災14級認定)も、頸部・腰部及び右上肢疼痛から14級9号後遺障害を残したと主張するケースにつき、
 本件後遺障害診断書において、腰部の後遺症については、記載がなく、本件事故により、原告に腰部の常時疼痛が生じたとは認められない他
 本件後遺障害診断書には、自覚症状として、左半身の痛み、右手関節の痛み、両膝の痛み及び頸部の痛みが記載されているが、本件後遺障害診断書の画像検査・他覚所見では異常なしとの記載及び前記認定事実によれば、これらについては他覚的所見があるとは認められない上、
 本件後遺障害診断書では、下刻の自覚症状について、症状がない時間帯もあるとされており、現に、本件診療録の平成30年5月10日の欄の記載からは、症状固定前には、症状の出現頻度が減っていることがうかがわれるとし、原告の供述によっても、平成31年4月24日にB病院への通院を終えた後、強い痛みが出ることは少なくなり、症状が出る頻度も減っているというのであることから、
 原告の左半身の痛み、右手関節の痛み、両膝の痛み及び頸部の痛みは、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すものとはいえないから、後遺障害等級14級9号には該当しないとして、後遺障害の残存を否認しました。
 引用文からすれば、箸にも棒にもかからないようなケースのようにみえます💦
 ただ、判決文をみると、
 頚椎MRIにおいて、軽度の椎間板ヘルニアが認められること、深部腱反射やホフマン+という記載もあります。
 交通事故の態様も、原告は衝突でボンネットの上に乗り、そのまま飛ばされて地面に転倒という案件だったようです。
 これをみると、14級9号程度はと思うのですが、診療録上、神経症状が経過的に改善されていることが認められてしまったことが、後遺障害を獲得するための大きな障害になったのではないかと思いました。
 
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2022年7月31日 (日)

【高次脳機能障害】 5級2号高次脳機能障害主張されたものの、裁判では、自賠責同様9級10号が認定された事例

 自保ジャーナルNo2113号で紹介された令和3年12月28日付名古屋地裁判決です。 

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(湿地植物園・サギソウ)
 認知機能障害について、
 原告はの現在の生活状況に関し、金銭管理につき、自らキャッシュカードを用いてATMで現金をおろし、その範囲で食品や日用品を購入するなどして生活をしており、コンビニエンスストアは割高であるとして、スーパーマーケットを利用するなど、合理的な判断のもとに買物もできること、原告名義の銀行口座の残高についても正確に把握していること、少なくとも原告姉Vとの待ち合わせ場所までは1人で公共交通機関を利用して通院していること、日常の生活圏から相当離れたa市に公共交通機関を利用してメモを頼りに適宜駅員に質問するなどして1人で行くことができたこと、現在も就労支援施設に週4回の頻度で通所し、特に欠勤等が多いなどの事情もないこと等に照らすと、原告の認知機能に問題が残っているとしてもその程度が、一般就労を維持できないとか、一般人と同等の作業を行うことができないとまでは認められず、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるものと評価するべきであるとし、
 社会的行動障害については、
 本件事故後の人格変化についても、原告の弟の供述調書には、駅怒性についてのエピソードはなく、原告の姉の夫の作成にかかる日常生活状況報告においても、むっとする、怒る、イライラなどの表情や態度がみられるか、周囲に恐怖を与える行動があるかの各質問についてはないとされ、日常の活動及び適応状況につき、トラブルはないと認識しているとの記載があり、駅怒性に関するエピソードは特に記載されていないこと、通所している就労支援施設の職員やほかの利用者との間に頻繁にトラブル等があることはうかがれないこと等からすると、原告の社会的行動障害が労働能力全体を大きく制限するものとは認められない等から、
 本件事故による原告の高次脳機能障害は、自賠責同様9級10号高次脳機能障害を認定しました。
 控訴されているようです💦
 

2022年6月27日 (月)

【その他】 自賠責12級、労災11級であることから、訴訟で11級で訴えたところ、返り討ちにあったトホホ案件 💦

 自保ジャーナルNo2112号で掲載された大阪地裁令和3年11月12日判決です。一見すると比較的安心して裁判できる訴訟だと思われましたがが、判決の結果は、請求棄却となってしまいました💦 

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(北条・院内地区)
 片側1車線道路で乗用車を雲梯して停止中、被告乗用車に時速55~60㎞で追突され、頚髄損傷、第6頚椎不全骨折、右膝前十字靱帯損傷の傷害を負い、自賠責12級13号後頚部痛認定の他、労災認定同様に12級右膝痛等から併合11級後遺障害を残したとする41歳男子原告の右膝前十字靱帯損傷という事案です。
 「時速55㎞から60㎞で追突されている、自賠責12級認定、労災も11級か。ダメ元で、12級右膝痛みで11級で勝負しようかな。最悪でも12級は手堅いでしょう。」ということだったのでしょうか。
 ところが、裁判所は、本件事故と右膝前十字靱帯損傷との因果関係を否認し、また、本件事故と因果関係のある治療期間を6ヶ月に限定しています(通院は1年5ヶ月)。
 その結果、後遺障害の有無を検討するまでもなく、填補済みということで、原告の請求が棄却となっています。
 えええええええええ
 原告の方ですが、裁判官にはいい印象を持たれていないようです。「原告は、B病院において、畑仕事等に積極的であった旨の説明をしていたところ、本件訴訟において、子を祖父宅の畑で遊ばせるため連れて行って遠くから見ていただけとか、医師等に運動していることをアピールするために虚偽の説明をしただけとか供述するから、このような原告が本件事故以外の原因となり得る事実はないと主張しても信用できない」
 当然のことですが、原告から控訴されているようです。
 
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 たまに、自賠責と労災との後遺障害認定等級が異なることがあり、労災の方の等級の方が高いことから、被害者の方が自賠責での等級に納得ができず、訴訟に発展することがありますが、おそらくこの事案もそうなんでしょう。
 時速55~60㎞で追突なんですよね。であれば、12級程度の右膝痛くらいは発生してもおかしくないとご相談の段階では思ってしまいます。また、畑の話も、ここまで信用ができない理由になるんですかね💦
 
 被害者から依頼を受けた弁護士としては、安全な登山道と思って歩いていたら、マムシに噛まれたような判決と思うのではないでしょうか。

2022年6月26日 (日)

【自賠責等級よりも下がった裁判例】 自賠責12級  ⇒ 裁判 14級 素因減額5割

 自保ジャーナルNo2112号で掲載された金沢地裁令和3年2月25日判決です。 

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(伊予国分寺・7重塔跡)
 トンネル内を乗用車で走行中の女子Xが、Y乗用車に追突され、頚椎捻挫、左前腕・腰背部・股関節・両下腿・左膝関節挫傷等の傷害を負い、自賠責12級13号腰下肢痛等を残す事案につき、
 Xには、本件事故前から、脊柱管の狭窄及び神経の圧迫による症状が腰痛及び下肢痛として現れていたことが強く疑われ、Xの腰部脊柱管の狭窄が、本件事故前には疾患というべき状態になかったとか、本件事故により有症化したという関係を認めることはできないが、
 本件事故前には、既にXに腰痛及び下肢痛が生じていたとはいえ、本件事故の直前期には鎮痛剤の服用が中止されるなど症状の軽減もみられていたこと、
 本件事故から間もなく、本件事故前にはみられなかった下肢の痺れや知覚低下もみられるようになったこと、
 Xの主治医であるB医師が本件事故後の体幹下肢痛の増悪を述べていることにも照らすと、
 本件事故前からみられたXの腰部及び下肢の症状が、本件事故に伴って増悪し、その状態で症状固定に至ったと評価できるとして、
 Xには、本件事故前から腰部脊柱管の狭窄及び神経の圧迫という他覚的所見により説明しうる疼痛が生じていたこと、本件事故による腰椎の器質的変化は確認できないこと、本件事故後に生じた下肢の痺れや知覚低下も、本件事故前から存する腰椎の変性に由来すると考えられることも併せ考慮し、本件事故に伴うXの症状の増悪を、局部に神経症状を残すものとして、14級9号に相当するものとの限度で、本件事故に伴う後遺障害と認めるとしたものの、素因減額は5割を認定しました。
 案の定、請求棄却ですね💦

2022年6月25日 (土)

【頚髄損傷】 60歳代女子主張の頚髄損傷による3級両上肢高度麻痺等は画像所見認められず症状経過等からも頚髄損傷を否認し、両手重度麻痺等を残したとは認められないと後遺障害の残存も否認した事例 大阪地裁令和3年11月12日判決

 自保ジャーナルNo2112号で掲載された大阪地裁令和3年11月12日判決です(控訴中)。 

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(宅並山から北条の海)
 青信号交差点を自転車で走行中、赤信号で進入してきた被告自転車に出合い頭に衝突され、外傷性頸椎症、脊髄症、腰椎症等の傷害を負い、自賠責非該当も、頚髄損傷から3級両上肢高度麻痺等を残したとする60歳代女子原告の事案につき、
 本件自己の約1ヶ月半後に実施された平成29年MRI検査画像を見ると、原告の頚髄に損傷の存在を窺わせる明らかな異常所見(髄内輝度変化)は確認できず、Eクリニック医師及びF病院医師は、同画像を読影した結果として「脊髄の損傷は認められない」、「C3/4/5/6/7頚髄髄内輝度変化なし」と診断されていることから、MRI画像上、本件事故により原告が頚髄を損傷したと認めることはできない他、
 原告は、本件事故から約3週間後に両手のしびれ等の神経症状を自覚し、その後、本件事故から1年以上が経過してから両上肢の振戦や手指の運動障害といった症状が発現し、増悪しているのであり、このような症状経過は、交通外傷による画像所見のない軽度の脊髄(頚髄)損傷によるものと合理的に説明できるものではないことから、
 原告には、平成29年MRI検査画像により頚髄損傷所見が認められるものではなく、また、原告の症状経過からも、本件事故により頚髄を損傷して神経症状が発現し、手指の運動障害が生じたものとは捉えられないとして、本件事故による頚髄損傷を否認しました。
 たまに、おられます。だんだん症状が悪化されているような方が。。。 ただ、外傷性のものであれば、症状が悪化するというのは考えにくく、そのような案件は心因的なものを感じることがあります。
 もちろん、後遺障害の認定にあたつては、むち打ち損傷事案を前提にするのであれば、まず認定が認められることはほぼないのではないでしょうか。このような場合は、非器質的精神障害の可能性がないか、心療内科への通院を勧めることがあります。
 

2022年6月24日 (金)

【むち打ち訴訟】 お坊さんが交通事故にあった事案

 交通事故民事裁判例集第54巻第3号で掲載された京都地裁令和3年5月11日判決です。 

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(唐子浜の赤灯台)
① 事故により腰部・背部捻挫及び右膝関節捻挫並びに右膝内側副靱帯損傷の傷害を負い、後遺障害(腰痛12級13号、右膝関節痛14級9号、併合12級)を残した原告(男・37歳・僧侶)につき、腰痛は、事故による腰椎捻挫のほか、既往症である腰椎椎間板の膨張にも起因すると認め、素因減額の程度として、傷害分につき10%、後遺障害分につき30%を認めた事例
 後遺障害分で、30%ですか。。。
② お堂の管理、法事の対応、参拝者の御朱印の依頼等の対応のほか、同じ宗派の寺院の法事や出張等を行っている原告の休業損害につき、経費として、僧侶としての稼働による収入(約268万円)の約25%程度を要するとして、収入から控除して、基礎収入(200万円)を認定した事例
 お坊さんって、200万円くらいの方もいるのか。。。
③ 原告が受領した原告加入の人身傷害保険金による損害のてん補につき、人身傷害保険金は、自己に生じる損害をてん補する目的で付保されるものであることから、契約者の自己負担となるべき素因減額分に先に充当され、余剰があれば被告が支払うべき損害額に充当されると解するのが相当であり、人身傷害補償保険金の金額より素因減額される金額の方が大きい本件であれば、被告が支払うべき損害をてん補しないと解した事例
  あっ、それで、①の結論か。。。納得です💦

2022年6月22日 (水)

【休業損害・逸失利益】 全盲の視聴覚障害者の逸失利益

 判例時報No2516号で紹介された広島高裁令和3年9月10日判決です。

 交通事故により労働能力を喪失(100%)した全盲の視覚障害者(事故当時17歳、女性)の後遺障害逸失利益の算定に用いる基礎収入額について、就労可能期間を通じ、賃金センサス(男女計、学歴計、全年齢)の平均賃金の8割とした事例です。

 第1審は、平均賃金の7割としました。

 第2審は、平均賃金の8割にUPしました。

 第2審は、原告が全盲の障害者であったとしても潜在的な稼働能力を発揮して健常者と同様の賃金条件で就労する可能性が相当にあり、今後も社会の変化に応じて当該可能性が徐々に高まっていくと認定したことが、減額率が小さくなった原因のようです。

 20220619_145520                           (伊予国分寺・七重の塔跡)

 後遺障害の内容は、①認知困難、記憶困難、注意困難、課題遂行困難等の症状につき、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの(3級3号)、②右前頭骨骨折、鼻骨骨折に伴う右前額部の線状痕等で、女子の外貌に著しい醜状を残すもの(7級12号)、③鎖骨の著しい変形(12級5号)、④嗅覚脱失(12級)にそれぞれ該当するとし、これらを併合した結果、併合1級と認定されています。

 高次脳機能障害としては3級3号ですが、判決文をみる限り、理由はわかりませんが、後見申立てはされていません💦

 なお、このような事案で、愛媛で後見申立てをした場合、田舎弁護士の経験からすれば、親族後見ではなく、専門家後見、その中でも、弁護士後見になってしまうことが大半です。

 原則として、親族後見として、その後見人から、弁護士が依頼を受けるという方法に改めるべきです。 

2022年6月17日 (金)

【施術費】 信号待ち停車中に追突された38歳男子及び29歳女子の整骨院での治療は、医師の指示に基づくものでなく、医師は明確に反対していた等から、本件事故と整骨院治療費大比通院交通費との因果関係を否認した事例 横浜地裁令和3年10月25日判決

 自保ジャーナルNo2111号で紹介された横浜地裁令和3年10月25日判決です。

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                              (伊予富士)

 整骨院の施術は、裁判になれば、争点になることが少なくありません。

 Xの整骨院への通院の必要性について、Xは、G整骨院への通院についてはFクリニックのF医師の同意を得ていたと主張するが、Xは、E整形外科に通院した際に医師から整骨院への治療は認められない旨告げられて同病院への通院を中止し、G整骨院の通院を開始した後に同整骨院の紹介を受けてFクリニックへ通院を開始したという経緯があるから、Xが医師の指示によりG整骨院に通院を開始したということもできないことから、

 本件におけるX整骨院への通院は、医師の指示または同意に基づくものということはできず、むしろE整形外科の医師は明確に整骨院への通院に反対していたことが認められるのであって、この医師の意見が不相当というべき事情も見当たらないとして、Xの整骨院におけつ治療費及び通院交通費については、本件事故と相当因果関係のある損害として認めることはできないと本件事故との因果関係を否認しました。

 整骨院への施術は、後遺障害を取り扱う弁護士としては、後遺障害獲得を望む被害者の方であれば、お勧めしておりません。もちろん、後遺障害の生じないような、軽微なむち打ち損傷で、加害者側損害保険会社が施術費用を負担していただけるのであれば、施術効果が期待できるのであれば、通院されてもよいかと思います。但し、過失割合等で争いがあり、将来、訴訟になる可能性がある場合にも、お勧めできません。節術費について、必要性や相当性を加害者側損害保険会社が争ってくる可能性があるからです。

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(伊予富士からの大空)

 

2022年6月14日 (火)

【むち打ち損傷】 約5か月前の前件事故で後遺障害診断を受けている30歳男子の主張の14級9号右頸部から右肩痛の症状は、前件事故での後遺障害の可能性が相当にあると本件事故による後遺障害の残存を否認した事例 大阪地裁令和3年10月28日判決

 自保ジャーナルNo2111で紹介された大阪地裁令和3年10月28日判決です。 

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(伊予富士)
 約5ヶ月前の前件事故で後遺障害診断を受けている30男子原告は、高速道路を普通貨物車で走行中、左前方から車線変更してきた被告中型貨物車に接触され、頚椎捻挫及び右肩挫傷の傷害を負い、14級9号右頸部から右肩痛を残したという事案につき、
 原告は、本件事故の約5ヶ月前に後遺障害診断を受けており、その際の自覚症状は、後頚部から右頸部の痛みの持続、頸部を伸展あ右回旋した際の後頸部や右頸部の痛みがあり、医師の診断でも、頸部運動時(伸展、右回旋時)における後頚部から右頸部痛、頸部の圧痛、頸部から肩にかけての筋緊張と圧痛が認められ、その結果、後遺障害が残存したと診断され、原告自身も後遺障害が残存したことを前提として、自賠責保険金を受領するなどしているところ、
 後遺障害と診断されたのは本件事故の約5ヶ月前のことであり、後遺障害の性質上、本件事故時点やその後の通院期間中に前件事故による上記の後遺障害は残存していたと考えるほかないとして、
 原告は、本件事故翌日から通院した整形外科において、頸部から両肩(特に右)の痛みや張った感じを継続的に訴え、本件事故翌日には痛みによる筋緊張もみられたところ、その部位や症状は、前件事故による後遺障害と同一又は類似していることに加え、
 本件事故の態様や原告車及び被告車に生じた傷の状況等からすると、原告車の運転者であった原告の頸部や右肩に長期にわたり痛み等の症状が残存するとは考え難いことも併せ考えると、
 本件事故以降に原告の頸部や肩部に存在する症状は、前件事故による後遺障害によるものである可能性が相当あるのであって、そうである以上、原告においては、これを否定するに足りる積極的な立証活動が求められるところ、その立証活動としては、本件事故後に右頸部や右肩の痛みが増悪した旨の原告の供述だけでは不十分であるとして、本件事故による後遺障害の残存を否認しました。
 これは被害者にとって難しい。。。
 
 
 

2022年6月13日 (月)

【自賠責等級よりも下がった裁判例】 自賠責2級1号  ⇒  後遺障害非該当

 自保ジャーナルNo2111で紹介された大阪地裁令和3年9月17日判決です。

 トホホな結果になっています。そもそも、なんで自賠責2級が認定されたんでしょうね。

 約1億4400万円請求しましたが、0円です。 

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(伊予富士)
 信号のない交差点を乗用車で直進中、左方路から進入してきた被告貨物車に衝突され、頚椎捻挫、腰椎捻挫の他、頸髄不全損傷、頚椎歯突起骨等の傷害を負い、手指巧緻運動障害及び歩行障害等から自賠責2級1号認定の後遺障害を残す男子原告の事案につき、
 本件事故の態様から窺われる原告の身体に及んだ外力の程度及び頚髄に外力が及んだことを窺わせる頚椎の骨折や外傷性脱臼の画像所見も認められないことからすれば、原告に及んだ外力は、直ちに頚髄が損傷するような大きなものとまで認められない
 原告の症状からすると、受傷直後に麻痺が生じていることはなく、神経解剖学的に脊髄損傷と説明することができるような症候はない上、
 MRI検査では、脊髄内に高輝度領域部分があるところ、慢性的な脊髄の圧迫によると思われる脊髄萎縮が認められるだけであり、脊髄の浮腫・腫脹が認められないことから、
 本件事故により原告が脊髄損傷を負ったとは認められないと否認し、
 原告の環軸椎間の状態については、元々、歯突起基部が欠損する歯突起骨となっており、慢性的な環軸椎間の不安定性が生じて、頚椎を伸展すると環軸は軸椎に対し後方に亜脱臼し、脊髄が圧迫されるところ、これが繰り返されることで脊髄の萎縮及び前角を中心とした壊死が生じ、頚髄症が生じていたというべきであり、MRI検査の横断像で脊髄中心部左右に小さな高輝度領域があることからこのように考えることができるとして、
 この状態は、症候や画像所見からして短時日でなるものではなく、原告は、本件事故以前から頚髄症の状態にあったと本件事故による頚髄症を否認しました。
 また、原告は、1人で外出できず行政の移動支援のもと車椅子で外出していると述べていますが、重量物である電動車椅子を自ら積み降ろししていたとのことです。
 あ~あ💦
 仕方が無いですね。
 控訴もされていないので、あきらめたのでしょう。。。

2022年5月31日 (火)

【日本交通法学会】 令和4年度(第53回)日本交通法学会定期総会 シンポジウム 定期金賠償に関する理論的・実務的課題 最判令2年7月9日を契機として  後半

昨日の続きです。

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(笠松山)

③ 定期金賠償に関する民事訴訟法的視点からの考察ー令和2年判決を契機として

  「その解釈に際しては、実体法的視点からの考察だけでなく、従来、定期金賠償との関係で議論の蓄積がなられてきた処分権主義に関する民訴法246条や、判例の変更を求める訴えに関する同117条のような民訴法規の規律を手がかりとした、民訴法的視点からの考察もまた有用であるように思われる」

  う~ん。なかなかドイツ法の話もでてきて。。。🌀 民訴の話は、眠素ですね 👤


④ 令和2年7月9日最判を受けての保険実務

 定期金の賠償については、被害者の選択肢が増えたこと、但し、支払不能のリスクがでてくるため、現実的には、保険会社の存在が必要不可欠。

 本判決についての違和感としては、被害者が死亡した場合にも、就労可能年数の終期より前の被害者の死亡時を定期金におる賠償の終期とすることを要しないと判断されたこと。

 本判決の射程範囲が必ずしも明確でないことから、裁判外での定期金賠償請求の対応が難しい。

 もともと個別事案に応じて判断していく裁判所の考え方としては、非常に合理的なものではあるものの、大量、迅速、公平な対応が求められる保険会社にとっては、一般的な法理とまでいかないまでも、一定、統一的に判断できる目安が欲しいところであり、今後の判例集積が待たれる。

 被害者と保険会社の長期的なかかわりの課題として、①一時金賠償後の症状変動対応については、被害者の症状に改善がみられたとしても、通常は、保険会社は関与しない、しかし、②定期金賠償の場合には、保険会社との関わりは長期的なものとなるが、被害者の協力が必要不可欠となるが、現在ではその手当はない。

 事務処理についても、保険会社の支払管理体制についても、定期金の場合には支払いが続く以上、管理も継続が必要になる。後遺障害逸失利益の定期金支払い対応における固有の課題としては、就労の実態確認、身体的精神的な就労可否の確認も必要になってくる。また、死亡した場合に、相続人に定期金を支払うのが適当なのかが問題になる。

 本判決より約2年が経過しようとしているところ、現段階においては、本判決以外での定期金賠償を認めた判決は見当たらないこと、喪失期間が長期にわたるもので、症状(障害)が変動する可能性があり、労働能力喪失率や過失相殺をふくめた、現時点で算定される損害額と将来の損害額に著しい乖離が生じる可能性を否定できない事案が、より実態に近い損害賠償の実現のため、後遺障害逸失利益が定期金賠償として認められる

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                        (笠松山から来島海峡大橋が一望)

2022年5月30日 (月)

【日本交通法学会】 令和4年度(第53回)日本交通法学会定期総会 シンポジウム 定期金賠償に関する理論的・実務的課題 最判令2年7月9日を契機として  前半

 5月28日に開催されました令和4年(第53回)日本交通法学会定期総会です。後半は、シンポジウム定期金賠償に関する理論的・実務的課題ー最判令2年7月9日を契機として です。 

 まず、シンポジウムの前半の報告の骨子を紹介します。

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(笠松山から眺めた湯ノ浦方面)
 最判令和2年7月9日判決のポイントは、以下のとおりです。
(a)交通事故の被害者が後遺障害逸失利益について定期賠償を求めている場合において、同逸失利益が定期金賠償の対象となる場合があるとしたこと。
(b)その場合、(近い将来における死亡が客観的に予想されていたなどの)特段の事情がない限り、被害者の死亡時を定期金賠償の終期とすることを要しないとしたこと。
 (c) 被害者が事故当時4歳の幼児で、高次脳機能障害という後遺障害のため労働能力を全部喪失し、同逸失利益の現実化が将来の長期間にわたるなどの事情が存する本件において、逸失利益が定期金賠償の対象となるとしたこと。
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                             (笠松山山頂)
 報告者は、4名の先生方です。
 令和2年判決の内容とその意義は、山口斉昭早稲田大学教授が担当されました。
  過去の定期金賠償の議論(学説、判例)を整理した上で、令和2年判決の意義・位置付けを論じています。
  本判決の影響として、◎有力となりつつとあった学説の整理(逸失利益=一時金、介護費用=定期金)を否定したため、理論的には影響が大きい、◎実務的には今後原告からの定期金による賠償請求が増加する可能性がある。
  本判決の射程として、◎本判決が定期金による賠償を認めたのは、「交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合」で、「(判示のような損害賠償制度の)目的および理論に照らして相当と認められるとき」のみ。◎本件は、「本件事故当時4歳の幼児」が、「高次脳機能障害という本件後遺障害のため労働能力を全部喪失した」もので、それによる逸失利益が、「将来の長期間にわたり逐次現実化するものである」という事案であり、このような具体的事情は本件で極めて重要と解説しております。
 本件判決は、まさに将来生活権が侵害され、生活保障的な定期金賠償が相当である事案であること、また、今後の議論として、本件判決を単なる費目ごとの賠償方法に関する判決と捉えるべきではないこと、不法行為に基づく損害賠償制度の理念と目的を再度想起させる事案としての受け止めと、その視点からの議論が必要と解説されました。

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                            (永納山近く)
② 我が国の損害賠償法が抱える課題ー令和2年判決を契機としては、窪田充見神戸大学教授が担当されました。
  令和2年判決の位置付けを述べた後、同判決が投げかける問題を示した上で、逸失利益の定期金賠償が抱える課題と考えられる方向性に言及されています。特に、被害者が死亡した場合であっても、相続人(遺族)は、定期金による賠償を請求することができるのか?令和2年判決においてはこの点については明確にされておらず、また、それを否定する根拠は明確には存在しないように思われるとのことです。これを認めてしまうと、相続人の損害賠償請求権を基礎つけるものとしてのみ存在することになり、利益を生み出す機械にほかならないことになるとのこです。令和2年判決が、死亡した場合にどうなるのかは不明。

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(ヘビイチゴ)
(以下は、明日の執筆)
③ 定期金賠償に関する民事訴訟法的視点からの考察ー令和2年判決を契機としては、宇都宮遼平大東文化大学講師が担当されました。
④ 令和2年7月9日最判を受けての保険実務 損害保険ジャパンの中川範久氏が担当されました。
 

2022年5月29日 (日)

【日本交通法学会】 令和4年度(第53回)日本交通法学会定期総会 個別報告

 5月28日に、令和4年度(第53回)日本交通法学会定期総会に参加しました。

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                           (朝倉・野田の麦穂)

 個別報告は、まずは、「人傷一括払制度について」のテーマで、山下典孝靑山学院大学法学部教授が講演されました。

 最高裁令和4年3月24日判決における疑問点を解説されています。

 A(加害者)のV(被害者)に対する損害賠償請求における損害賠償額から人傷社が自賠社から回収した自賠責保険金等相当額3000万円全部控除が認められるかという論点です。

 最高裁令和4年3月24日判決は、全部控除説ではなくて、不当利得容認説を採用。

 🐶全部控除説の場合には、被害者が人傷社に追加請求するということになるのに比して、不当利得容認説であれば、対人社と人傷社との間で調整を行うということになるため、被害者側事案を多く取り扱っている田舎弁護士としては、被害者保護に厚い最高裁判決が妥当だと考えております。

 🐱田舎弁護士も、人傷社から人傷保険金を受領した後(※人傷社が自賠社から回収)、対人社に請求したところ、※を理由に示談交渉が困難となり、やむなく、加害者に対して訴訟を提訴し、自賠社からの回収については、不当利得容認説を前提に和解にて解決したことがありました。後日、全部控除説に立つ福岡高裁判決がでて、驚いたことがありました。

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(湿地植物園)

 次は、「『運行によって』(運行起因性)概念についてー乗降時の事故をめぐって」のテーマで、損害保険料率算出機構の植草桂子氏が講演されました。

 今回の報告は、「運行によって」が問題となる事故類型の一つである乗降時の事故について、どのような場合に自動車固有の危険が顕在化したと認められるか、保護の対象となる自動車固有の危険の範囲等について、最近の裁判例(東京高裁令和2年6月18日判決、福岡高裁令和3年7月7日判決)を題材に検討しています。

 東京高裁の事案は、「Cは事故当時下肢不自由で自力歩行が困難であったことから、Xの従業員Dは運転席から降車し、左後部のスライドドアを開けてCの降車を手伝ったものの、何度促しても降りようとしなかったため、車椅子にCを乗せて搬送することとし、リアゲードを開けて車椅子を取り出し地面に置いて広げる作業をしていたところ、Cが自力で後部座席から降りようとして、左方向に上半身から地面に落下し、事故が発生した」という事案です。

 高裁は、「本件事故は、Dが要介護状態にあったCから目を離したことに主たる原因があるというべきであって、本件車両の使用が本来的に有する危険が顕在化したものであると認めることはできない。よって、本件事故のよるXの損害賠償責任が、自動車の使用に起因する損害賠償責任に当たるものであると認めることはできない」と判断しました。

 福岡高裁の事案は、「Xは車いす利用者ではないが、車いす利用者がリフトから降車する際の状況を確認・体感するため、電動式リフトを降下させて地面に着手させた後、リフト上に積載してあった車いすに着座し、介助者のいない状態で、自らの操作により車いすの後退を開始させたところ、その直後、リフト後端とスローブの間に段差・傾斜があったためにXの上半身が一気に後方へ傾き、車両の接地面を支点として車いすごと後方に大きく傾いて転倒し、後方にあったブロック塀に後頭部・後頚部を強打した」という事案です。

 高裁は、「Xが、介助者なしに自らの操作のみでリフトから本件車いすを後退させ、本件車いすをリフトから降ろそうとしたことは、被保険車両において想定されているものとは異なる操作であったということができる。そして、介助者が存在していれば、本件事故のような本件車いすの後方への転倒が発生しなかったと考えられる。そうすると、本件事故は、被保険車両の運行が本来的に有する危険が顕在化したものということができず、本件事故が被保険車両の運行に起因するものであると認められない。」と判断しました。

 (つづく)

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(永納山城跡) 

2022年5月28日 (土)

【CRPS】 42歳女子主張の12級右足関節痛等及び14級腰臀部痛等の後遺障害は、医学的に説明可能な症状とは認められないと、本件事故との因果関係を否認した 大阪地裁令和3年10月29日判決 

 自保ジャーナルNo2110号で紹介された大阪地裁令和3年10月29日判決です。 20220522_105717

                             (笠松山・ガメラ岩)

 路上で🚴に搭乗し、前方のY乗用車が後退してきたことから停止したところ、Y車が後退を続けて衝突され、右足関節捻挫、腰椎捻挫等の傷害を負い、自賠責非該当も、12級13号右足関節痛、14級9号腰臀部痛等の後遺障害を残したとする42歳女子原告の事案につき、

 腰部については、「当初攣ったような痛みと表現されていたものが、4日後には改善し、尾骨の痛みとされあり、正常とされていた仙腸関節部にリハビリが処方されたり、骨萎縮を含めて他覚的所見がなかったのに、医学的機序が明らかにされないまま、複合性局所性疼痛症候群と診断されたり、医学的に説明可能な症状とは認められない」と否認し、

 右足部については、「本件事故直後は、独歩可能で、膨脹なく、痛みも僅かであったし、パートタイム勤務も休業することなく、他覚所見もなかった。にもかかわらず、約2週間後、松葉杖が必要になり、症状も、右足関節外側に痛み僅か、外果前方軽度圧痛であったものが、約10日後、足背関節部痛・足親指近くの甲の痛みに変わったり、約2ヶ月後、踵や右足薬指足底部痛が加わったりするようになり、1年以上経過して行われたMRI検査で交信号域が認められた。下垂足の医学的機序も明らかでない。したがって、医学的に説明可能な症状とは認められない。」として、

 後遺障害の残存を否認しました。

 約1500万円を請求して、判決は10万円足らずなので、実質的には、🚴の負けです。

 反訴事件なので、加害者側損保が債務不存在確認請求訴訟を提訴してきたのでしょう。

 この事案だと仕方がないのかもしれませんが、治療中に、債務不存在確認請求訴訟をいきなり提訴されると、被害者がパニックになるときがあるので、できるだけこのような訴訟はやめていただきたいと思います。

2022年5月27日 (金)

【書籍】 中央経済社 申請事例からみる交通事故の後遺障害の等級認定

 中央経済社から令和4年4月に出版された、申請事例からみる交通事故の後遺障害の等級認定です。編者は、アディーレ法律事務所です。 

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(笠松山)
 かなり高価な書籍です。本書は、交通事故における賠償実務のうち、後遺障害の等級認定について解説されています。やはり大手法律事務所ということもあってか、交通事故事案の処理実績件数は2万件を誇っているようです。そのため、手続から部位ごとの留意点まで、実務の勘所を含めてわかりやすく解説しています。
 本書のいいところは、後遺障害の認定書・認定結果をもとに、実際の事案を分析して、認定・非該当事案の分水嶺を探っているところです。
 700頁を超える大著であるため、どうしても、参考書的な形での利用になるとは思いますが、文章も平易なので利用しやすいと思います。

2022年5月23日 (月)

【むち打ち損傷事案】 乗用車内で仮眠中に中型貨物車に接触された約5年8ヶ月前に、14級9号腰痛等を残す50歳男子の本件事故による既往症の症状の悪化を認め、衝撃の程度から増悪に寄与した度合いはごく限定的と7割の素因減額を適用しました。

 自保ジャーナルNO2109号で紹介された神戸地裁尼崎支部令和3年9月27日判決です。 

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(笠松山)
 高速道路サービスエリア内で普通乗用車を駐車させ仮眠中に、被告中型貨物車に接触され、外傷性頸部症候群、腰背部捻挫等の傷害を負ったとする約5年8ヶ月前の前件事故で自賠責14級9号腰痛等を残す50歳男子原告の素因減額につき、
 原告は、本件事故当時、前件事故から約5年8ヶ月が経過していたが、なお頸部及び腰部の強い痛みを訴えて通院中であり、頚椎及び腰椎には変性所見がみられること、
 そのような状況で、原告車両に乗車中、被告車両による接触を受け、以後、痛みの増強を訴えていることからすると、
 本件事故により、既往症である前件事故による神経障害並びに頚椎及び腰椎の変性を原因とする症状が増悪したと認め、
 素因減額については、
 本件事故により原告が身体に受けた衝撃の程度がさしたるものではなく、本件事故が単独で数か月以上の通院を要する傷害を生じさせるものではないことは明らかであり、本件事故が上記の既往症による症状の増悪に寄与した度合いはごく限定的なものというべきであって、70%の素因減額を行うのが相当であるとして、
 70%の素因減額の素因減額を認めました。
 時折、駐車場内の事故、或いは、過去に神経症状についての後遺障害を得ている方からの相談を受けることがありますが、治療期間の相当性や、後遺障害の有無、素因減額をめぐって争われることが少なくありません。
 
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(笠松山)
 田舎弁護士の事務所にも、このような事案で他の法律事務所で対応されたもののうまくいかなかったというケースが持ち込まれることもありますが、当事務所では、他の法律事務所が対応された案件については、ご相談やご依頼を原則としてはお引き受けしておりません。このような案件については、治療中に当事務所へのご相談がなければ、きちんとした見通しをもって案件を進めることができないからです。まれに、神経症状について後遺障害を前件事件で過去得ていたということが自賠責社の回答書から判明することがありますが、打つ手がほぼありません。
 

2022年5月20日 (金)

【刑事事件】 裁判例にみる交通事故の刑事処分・量刑判断

  学陽書房から、令和4年3月に出版した、裁判例にみる交通事故の刑事処分・量刑判断です。

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                              (笠松山)

 6章で構成されています。①交通事故量刑判断の実務、②交通法制の概要、③検察官の処分の実情と判断の実際、④千葉地判から読み解く量刑判断の実際、⑤裁判例から読み解く量刑判断の実際、⑥弁護士実務Q&Aです。

 交通事故や道路交通法に絡む刑事事件は、国選事件や、場合によっては私選としてご依頼を受けることがあります。

 また、被害者側の代理人として被害者参加制度を利用して、刑事裁判に参加していくということもあります。

 このような場合、刑事処分や量刑判断について、概ね正確な知見を有しておくことは大切なことです。

 マチ弁ですので、しっかりと読んでおきたいと思います💦

2022年5月19日 (木)

【書籍】 実務に役立つ交通事故判例 保険毎日新聞社

 保険毎日新聞社から今年の2月に出版された「実務に役立つ交通事故判例」です。監修は、古笛恵子先生です。

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                           (笠松山・ガメラ岩)

 6章から構成されています。

 第1章の責任では、「3自賠法3条ただし書による免責」、「4未成年者の監督者の責任」、「5使用者責任」、「純粋異時事故(異時共同不法行為)、

 第2章の損害事実では、「1高次脳機能障害・MTBIの認定」、「2高次脳機能障害の認定等級」、「3高次脳機能障害の将来介護費用」、「5非器質性精神障害」、「7脊髄損傷」、「10TFCC損傷」、「11関節機能障害」、「12局部の神経症状」、「13 14級神経症状の損害」、「14 逸失利益が問題となる後遺障害」、「15変形障害」、「16醜状障害」、「17労災等の認定」、

 が各論としては気になったところです。

 なんとなく、損保側の目線で執筆されているような印象を受けるのは気になるところですが、豊富な判例に加えて、実務上の注意点にも触れられているので参考になると思います。

 

2022年5月18日 (水)

【書籍】 2022年赤い本講演録

 3月ころ、2022年の赤い本が当事務所に届きました。3月に上場会社の社外役員に就任する等仕事がさらに多忙になったことから、目は通しても、このブログに執筆する時間がなかなか持てない状態です。 

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(浅尾の沈下橋)
 備忘録のために、講演録のテーマ4題だけ、紹介いたします。
 第1は、後遺障害逸失利益について定期金賠償方式が認められる事案~最判令和2年7月9日の射程~
 第2は、減収がない場合の消極損害(休業損害及び逸失利益)
 第3は、代車費用に関する諸問題(①将来の代車費用、②相当な代車費用の範囲等)
 第4は、非接触事故の過失割合について
 第1の論点は、20数年弁護士をしていて、定期金賠償方式が関係したのは1件だけですね。田舎弁護士としては、結構レアです。
 第2の論点は、公務員や大きな会社の従業員の方であれば、減収がない場合もあるので、悩むときがあります
 第3の論点は、昔はよく取り扱っていました。今は、物損事案を基本的には取り扱わないので、最近はかなり減っています。
 第4の論点は、たまにあります。加害者から勝手に転んだという主張がでることが結構あります💦
 裁判の結果は、加害者からの主張はほとんど認められることはありませんが、大昔、損保弁護士を田舎弁護士がしていた時代に、加害者の立場で無過失をとったことがあります。
 

2022年5月17日 (火)

【書籍】 2022年の青本が送られてきました。

 日弁連交通事故相談センターの2022年交通事故損害額算定基準、いわゆる青本が送られきました。 

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(笠松山・ガメラ岩)
 青本は、赤い本と比べると、以前は、余り利用することはありませんでした。
 
 数年前から、交通事故事案については紛センに申立てることが増えたことに伴い、高松の紛センは青本に準拠するため、青本を勉強することが増えました。
 
 食わず嫌いだったためか、実は青本って、為になる話が一杯のっています。
 「脳外傷による高次脳機能障害相談マニュアル」、「自賠責保険請求と後遺障害等級認定手続の解説」、「後遺障害認定実務の問題点」、「一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構の紛争処理について」、「人身傷害保険の解説」、「NASVAの被害者援護制度について」
 そして、あの髙野真人先生の「人傷保険に関する最近の注目すべき判決」
 等等です。

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(笠松山)
 交通事故を少しでも取り扱う弁護士にとっては必携の書だったんです💦

2022年5月16日 (月)

【むち打ち損傷】 頸部・腰部挫傷の傷害を負い1年1ヶ月間通院する55歳有職主婦の本件事故と相当因果関係のある治療期間を事故後約8ヶ月と認定し、既往症から1割の素因減額を適用した事案 

 自保ジャーナルNo2109号で紹介された名古屋地裁令和3年9月1日判決です。 

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(朝倉・野田)
 信号のない交差点の優先道路を乗用車で走行中、左方路から進入してきた被告乗用車に出合い頭衝突され、頸部・腰部挫傷の傷害を負い、1年1ヶ月間通院したとする55歳有職主婦の事案での本件事故と相当因果関係のある治療期間につき、
 ①本件事故による衝撃の程度は大きいものではなかったこと
 ②原告の担当医らは、令和元年10月に症状の改善がないと判断していること
 ③原告はそれ以降も整形外科の治療を続けたが、症状の改善は認められていないこと
に照らすと、遅くとも、本件事故による原告の傷害は、令和元年11月末日に症状固定に達していたと、事故後約8ヶ月の治療期間を認めました。
 素因減額については、
 ①原告は、本件事故当時、腰部椎間板ヘルニアについて、G病院整形外科に通院中であり、ノイロトビン、リリカといった疼痛緩和の内服処方を受けていたこと、
 ②頸部及び腰部のMRIでも外傷性の異常所見は認められず、かえって、変性所見が確認されていること
 ③原告の主治医であるB医師は、本件事故により生じた原告の頸部痛について本件事故時に存在していた頸椎症の影響を肯定していること
から、1割の素因減額を適用しました。
 やはり、交通事故当時に、通院しているのは、当然ではありますが、素因減額されます。
 ただ、減額率は10%にとどまっています。
 約290万円の請求に対して、約80万円強の認定です。
 
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(笠松山登山道)

2022年5月15日 (日)

【書籍】 後遺障害の認定と異議申立 第3集

 保険毎日新聞社から、今年の3月に出版された加藤久道先生の「後遺障害の認定と異議申立第3集」です。 

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(霊仙山山頂)
 第1章は、後遺障害の意義や仕組み、等級認定における原則と準則が説明されています。昔、損保弁護士だったころ、損保協会の医療セミナーで、受講したことがあります。なぜかその後は損保の医療スタッフのみとなってしまいましたが💦
 
 ここは初学者ではわかりにくいので、参考になります。
 第2章は、部位別認定方法です。
 労災補償障害認定必携をさらにわかりやすく解説していただけています。もちろん、自賠責保険と異なるところは、自賠責障害認定実務として触れています。
 そして、第3章は、部位別毎の異議申立ての自賠責保険の判断を、必要な範囲で詳しく説明されています。まさに、「実用に役立つ参考書」です。
 交通事故の後遺障害案件を取り扱う弁護士にとっては、必携の書です。
 加藤先生ありがとうございました。
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(笠松山登山道)

2022年5月 7日 (土)

【頚髄損傷】 労災7級認定の男子主張の中心性頚髄損傷は、医学的所見なく愁訴内容も整合性は認められないと事故との因果関係を否認し、後遺障害の残存も否認した事案 神戸地裁令和3年8月26日付判決

 自保ジャーナルNo2108号で紹介された神戸地裁令和3年8月26日判決です。 

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(大三島自然研究路)
 乗用車を運転して停止中、被告Y乗用車が訴外B乗用車に追突し、その反動でB車両に追突され(第1事故)、頚椎捻挫・腰背部打撲等の傷害を負い、その約1ヶ月半後、店舗駐車場で乗用車を運転して停止中、被告Z乗用車に追突され(第2事故)、中心性頚髄損傷等の傷害を負い、自賠責非該当(但し、労災は7級3号認定)も、頸部から腰部の疼痛、右上肢・体幹・下肢のしびれと疼痛、歩行障害から7級4号後遺障害を残したと主張する男子原告の事案です。
 約4500万円の請求ですが、第1判決が認められたのは、わずか15万円程度の金額です。
 第1事故は、むち打ち事案、第2事故は、中心性頚髄損傷  但し、自賠責非該当、労災7級という、いかにも揉めそうな事案です💦
 但し、裁判所は、原告の主張を認めませんでした。
 以下、理由を拾います。
① 第2事故は駐車場内で、低速前進中のZ車が前方停止中の原告車に追突したものであり、Z車の損傷状況も軽度で、その事故態様からすると、頚髄中枢部に損傷を及ぼすような状況は考え難い
② 原告の脊髄内にはMRI上、C5/7、C6/7部に椎間板の後方突出(軽度)が認められるものの、髄内の異常信号(輝度変化)が認められず、中心性頚髄損傷を整合する画像所見が存在せず、異常所見が存在しない
③ 仮に、原告に中心性頚髄損傷が発生しているとすれば、原告の脊柱内に異常所見は認められると考えられるが、その裏付けとなる客観的医学的所見はない
④ 原告に上肢のしびれがあるからといって、それが中心性脊髄損傷によるものと直ちに認めることはできない
⑤ 原告に上肢のしびれが存在するとしても、原告の主張の上肢のしびれは、C5/6,C6/7の椎間板後方突出が認められていることからすると、同椎間板後方突出は第2事故によるものではないから、原告が主張する神経症状の裏付けとなる器質的変化にあたるとはいえない
⑥ 原告は、第2事故後、勤務先に向かい、いったん勤務後に病院に向かっており、救急搬送されるなどの事情もなく、第2事故外傷直後の時点において、原告に何らかの重篤な症状は生じていなかったし、左上肢についえは、何ら症状が生じていなかった。仮に、第2事故の外傷により頚髄損傷や同損傷に起因する症状が生じていたのであれば、外力によって頚髄が損傷ないし症状が発生しているのであるから、受傷直後の時点で重篤な症状が生じていたと考えられるが、上記のとおり、原告は、第2事故後、救急搬送されることもなく、また、自車を運転し、歩行もできていたとして、
 
 原告に中心性脊髄損傷を裏付ける医学的所見はなく、また、愁訴内容についても、整合性が認められないことからすれば、原告が主張する中心性脊髄損傷と第2事故との相当因果関係を認めることはできないと、中心性脊髄損傷(中心性頚髄損傷)を否認した。
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(わくわくパーク)
 原告男子は、治療の継続にもかかわらず、筋力の低下、症状の増悪が認められており、裁判所は、これを極めて不自然な経過と断じています。
 田舎弁護士のご相談にも、例えば、むち打ち損傷事案でありながら、痛みや痺れが次第に強くなると訴えられる方がおられます。こういう方の場合には、まず、後遺障害もとおらないことが多いように思います。むしろ、心因的な原因が強く疑われることが少なくないと思います。
 やはり、怪我の場合には、事故直後、遅くても数日後の痛みやしびれが酷くなり、あとは、しだいに、改善がみられるというのが自然な流れのように思います。
 田舎弁護士も、神様ではありませんので、見通しが難しいものは、難しいと説明をするようにしています。
 もっとも、数は多くはありませんが、たまに、見通しが外れることがありますので、やはり、神様ではありません💦

2022年4月25日 (月)

【むち打ち損傷】 事故の約7ヶ月をもって症状固定 大阪地裁令和3年3月12日判決

 交通事故民事裁判例集第54巻第2号で紹介された大阪地裁令和3年3月12日判決です。

 20220423_130316                             (自念子ノ頭)

 ① 頚椎捻挫、臀部打撲、左下肢打撲を受傷し、頚椎捻挫後の症状及び臀部打撲に伴う症状について、それぞれ14級9号に該当する後遺障害を残した原告(男・症状固定時40歳・事業所得者)につき、他覚所見のないこと、整形外科医師が医学的には治療終了としても問題ないと説明していたことから、事故の約7ヶ月後をもつて症状固定と認めた事例

 ② 整骨院施術につき、①受傷の内容と程度に関し医学的見地から行う総合的判断は医師にしかできないから、柔道整復師の施術について因果関係を認めるためには医師の同意を要するとし、②被告契約の対人賠償保険会社の担当者が同意したことは、医師の同意に代わるものではないとして、相当性必要性を認めなかった事例

 むち打ち損傷事案の症状固定までの治療期間は、半年程度が多そうですね。

 また、整骨院施術についても、裁判になると、医師の同意がないことが大きな-になります。

 治療費の半分近くが整骨院施術費でしたが、裁判所は全額認めていません💦

 

2022年4月24日 (日)

【ご相談】 自賠責保険(3000万円)の被害者請求に、300万円の報酬💦

 判例時報No2509号で紹介された神戸地裁洲本支部令和3年3月11日判決です。

 行政書士である被告に、自動車損害賠償責任保険の保険金の請求手続等の事務を委任する契約を締結し、同契約に基づいて被告に報酬を支払った原告が、高額すぎる報酬を原告から受領した被告の行為は、暴利行為であり、また、弁護士法72条が禁止する非弁行為に当たるなどとして、不法行為に基づく損害賠償を請求した事案において、原告の請求が認容された事例です。 

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(世田山)
 裁判所は、300万円を受領したことは暴利行為であるとし、他方で、請求の代行という経済的利益を得ていることから、10万円を控除した、290万円を経済的損害として認めました。
 
 弁護士に依頼された場合には、簡易な自賠責請求であれば、手数料は2%ですから、3000万円×2%=60万円です。
 以前、ご相談の際に、ある行政書士に支払った手数料をうかがって驚いたことがありました。
 簡易な自賠責請求であれば(150万円以上)、弁護士であれば、手数料は2%程度です。
 法外な手数料を支払っている方は、この裁判例のように、取り返すことができる場合もあります。
 
 お近くの法律事務所にご相談してみてください💦

2022年4月23日 (土)

【頚髄損傷】 トホホ事例 自賠責3級  →  12級 

 自保ジャーナルNo2107号で紹介された東京地裁令和3年7月8日判決です。 20220402_110623                              (世田山)

 頚髄損傷の傷害を負い、軽度四肢麻痺から自賠責3級3号現存障害、同5級2号既存障害の後遺障害認定を受ける事案につき、

 C病院の診療録の平成28年11月9日欄には、シャツなど更衣動作は介助と記載され、本件後遺障害診断書には歩行障害などと記載されているが、

 ADL評価及び機能的自立度評価では更衣が自立とされており、E施設の平成28年12月の訪問看護記録には、自ら車の運転や洗車を行い、移動は杖なしで行えているなどと記載されている上、

 乙損保のサービスセンターを訪れた際の防犯カメラの映像や行動確認調査の結果を考慮すると、原告には、同年9月28日の症状固定日時点において、上肢・下肢のいずれについえも軽度の麻痺があったとまでは認めがたいと否認して、

 原告が本件事故後から訴えている両上肢や両下肢のしびれや痛みの症状については、軽度の麻痺には至らない程度の神経症状として、12級13号に相当する後遺障害にとどまると判断しました。

 その結果として、約4000万円の請求ですが、認定されたのは、わずか約10万円程度です

 トホホです💦

2022年4月22日 (金)

【むち打ち損傷】 自賠責非該当  → 提訴で、14級9号

 自保ジャーナルNo2106号で紹介された福岡地裁令和3年7月8日判決です。難事件です。

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 後遺障害については、非該当、異議申し立ても非該当、紛争処理機構も非該当というケースで、しかも、軽度のヘルニア等はあるのですが、本件交通事故以前の交通事故で撮影されたMRI検査の結果との比較では、明らかな増悪、著変は見られなかったというものです。

 また、修理費用も、15万円程度です。

 裁判所は、

 本件事故直後から、頸部痛、腰痛、右手関節痛等を訴えて通院を継続し、医師も頚椎捻挫、腰椎捻挫、右手関節捻挫と診断して治療を継続し、症状固定と診断された平成28年8月30日の時点においても、各神経症状が残存していることを理由に、14級に相当するとして、後遺障害を認定しました。

 

2022年3月16日 (水)

【むち打ち損傷】 駐車場に停車中に後退被告車に衝突された男子原告主張の12級13号右上肢の痺れ及び脱力感等は事故後1ヶ月程度でフットサルを再開から他覚的な証明が可能な後遺症も症状が医学的に推定される後遺症も残っていないと後遺障害の残存を否認した事例 名古屋地裁令和3年7月21日判決

 自保ジャーナルNo2105号で紹介された名古屋地裁令和3年7月21日判決です。 

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(五間塚古墳)
 店舗駐車場内で乗用車を運転して停車中、後退してきた被告乗用車に衝突され、頸部挫傷、腰部挫傷等の傷害を負い、自賠責非該当も、頸部痛、右上肢の痺れ感及び脱力感等から12級13号後遺障害を残したとする男子原告の事案について、
 本件事故は、原告が駐車場内において停車中の原告車両内の運転席で座っていたところ、被告車両が、原告車両の助手席側に存する駐車禁止スペースに後退し、同車の右後部を原告車両の左前方側面に衝突させたものであるとし、その事故態様からして、被告車両の運転速度は徐行ないしそれに近い程度の速度であったものと考えられ、衝突時の衝撃がそれほど大きなものになるとは考え難い上、
 原告が本件事故後1ヶ月程度で全身運動であるフットサルを再開し、現在も特に支障なくフットサルを継続していることに鑑みれば、
 C整形外科における治療後もなお、原告に他覚的な証明が可能な後遺障害も、受傷状況や治療の経過等から一貫し、症状の存在が医学的に推定される程度の後遺症も残っているとは認めがたく、他にこれを認めるに足りる証拠もないと否認しました。
 いわゆる駐車場内の逆突事案で、後遺障害獲得するためのような外力があると評価されない事案です。田舎弁護士の事案で、純粋な逆突事案で、後遺障害を獲得したという経験はありません。逆突事案でも、被害者の方が車から出ようとしており、逆突で、被害者が転倒したというケースでは異議申し立てにより14級を獲得したことはあります。
 いわんや、フットサルができるまで回復しているのであれば、後遺障害獲得はいくらMRIで軽微なヘルニアがあったとしても困難でしょう。

2022年3月15日 (火)

【頚髄損傷】女子原告主張の中心性頚髄損傷は、MRI画像上の所見はないと否認し、右腕神経叢麻痺は本件事故によって生じたものとは認められないとして頸椎捻挫による自賠責同様14級9号後遺障害を認定した 京都地裁令和3年7月30日判決

 自保ジャーナルNo2105号で紹介された令和3年7月30日京都地裁判決です。 

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(野田古墳1号)
 信号交差点を訴外D運転の乗用車に同乗して右折中、赤信号で進入してきた対向被告乗用車に衝突され、頭部打撲、頚椎捻挫、中心性頸髄損傷、右腕神経叢(ソウ)麻痺の傷害を負い、項頚部痛、頭痛、右上肢に力が入らない症状等から、自賠責保険14級9号後遺障害認定も、12級13号後遺障害を残したとする女子原告の中心性頚髄損傷につき、
 原告は、本件事故直後、B病院に入院中の時点においてMRI検査所見等を踏まえ頚髄損傷は指摘できないとされ、その後受診したC整形外科、E大学病院、F病院においても、MRI検査所見等を踏まえ、頚髄損傷は否定的とされ、頚髄損傷を疑いレベルとしても指摘する所見はなく、本件事故後の急性期においてMRI画像上中心性頚髄損傷を示唆する所見はみられない他、
 上記経過において上肢の痺れや麻痺等の感覚異常等は確認されておらず、筋力についてもB病院退院時には筋力5まで回復がみられ、運動障害は確認されていないことから、臨床所見としても中心性頚髄損傷を特に疑わせる所見はみられないとして、中心性頚髄損傷を否認した。
 中心性頚髄損傷が争われるケースは、裁判例では散見されますので、参考になります。

2022年3月14日 (月)

【将来介護費】自賠責2級1号高次脳機能障害等を残す73歳女子の将来ディサービス費用を施設利用料の年額から食事代等を控除した年額29万円余で平均余命の15年間につき認定した 神戸地裁令和3年6月25日判決

 自保ジャーナルNo2105号で紹介された神戸地裁令和3年6月25日判決です。 

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(笠松山・観音堂)
自賠責2級1号認定の高次脳機能障害及び身体性機能障害を残す73歳女子原告の将来ディサービス費用につき、
  原告に残存した後遺障害の程度や生活状況からすると、原告がその介護の一環として、生涯にわたって通所ないし施設宿泊による介護サービスや、居宅における介護サービスを利用する必要があったということができ、原告は平成29年4月16日から、看護小規模多機能型居宅介護サービス提供事業者で、施設Fの運営会社である株式会社Hと介護サービスの利用契約等を締結して、週に5日程度、同施設への通所での介護サービス(デイサービス)を利用していること、平成30年10月までの同施設利用料は112万1117円、平成30年11月以降の同施設の利用料は年額71万3098円であることの各事実が認められるが、
 同施設利用料のうち、昼食・夕食・おやつ代については、本件事故と関係なく支出されるものであり、本件事故と相当因果関係のある損害にはあたらないから、同施設の利用料からこれらにかかる費用を控除するのが相当であるとし、
 昼食・夕食代は1食550円で、原告は1ヶ月あたり平均各30食利用しており、おやつ代は1回あたり100円で、原告は1ヶ月あたり平均20回程度利用していることから、合計すると食事代及びおやつ代は月額平均3万5000円であると認められるからこれを控除し、症状固定後にF施設のサービス利用が必要となる期間は、原告の症状固定時の平均余命である15年とするのが相当であるとして、平均余命の15年間につき食事代等を控除した年額29万3098円で認定しました。 
 ⇒う~ん。よく見るような判断だと思うのですが、どうしてこの論点がとりあげられたのかな?

2022年3月 5日 (土)

【TFCC損傷】 30歳代男子給与所得者のTFCC損傷による左手関節痛を自賠責同様12級13号認定し、10年間14%の労働能力喪失で後遺障害逸失利益を認めた事例 京都地裁令和3年6月4日判決

 自保ジャーナルNo2104号で紹介された京都地裁令和3年6月4日判決です。 

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(蒼社川源流・おおきなつらら)
 歩道上を自転車で走行中、店舗駐車場から進入してきた被告軽乗用車に衝突され、左三角繊維軟骨複合体(TFCC)損傷、両手関節打撲傷等の傷害を負い、自賠責12級13号認定による左手関節痛等を残す30歳代男子原告の後遺障害逸失利益算定につき、
 原告は、本件事故による左TFCC損傷により、左手関節に疼痛が残存する後遺障害を負っているといえるから、これは、局部に頑固な神経症状を残すものとして後遺障害等級12級13号の後遺障害に該当すると認める。
 労働能力喪失期間については、症状固定直前の頃の原告の平成30年12月10日に実施されたMRI検査では、信号上昇は軽減し、関節液貯留は減少しており、水腫の改善がみられ、症状の改善傾向はみられているが、
 後遺障害の内容や令和3年2月9日の原告本人尋問時点での供述内容(左手で物をつかむ際不安定になる、左手を使うと痛みがある等)を踏まえると、労働能力喪失期間は、10年程度とするのが相当であるとして、事故時年収を基礎収入に、10年間14%の労働能力喪失で認定しました。
 TFCCの所見として、手関節の尺側部痛を誘発するECUテスト陽性、TFCCを構成する靭帯の1つである遠位橈尺靭帯の損傷を示唆する遠位橈尺関節不安定性弱陽性、及び、MRI所見を理由に、TFCC損傷と診断されているみたいです。
 参考になる裁判例です💦

2022年3月 4日 (金)

【脊髄損傷】 自賠責1級1号後遺障害を残して職場に復帰し一人暮らしの46歳男子会社員の後遺障害逸失利益を事故前収入の8割を基礎収入に認め、加齢とともに介護の程度が大きくなっていく等から日額1万円で将来介護費を認定した事案 名古屋地裁令和3年6月18日判決

 自保ジャーナルNo2104号で紹介された名古屋地裁令和3年6月18日判決です。 

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(楢原山)
 信号交差点を歩行横断中、被告乗用車に衝突され、第4胸椎脱臼骨折、脊髄損傷等の傷害を負い、立位歩行不可、排尿便障害及び重度体幹下肢感覚障害等から自賠責1級1号後遺障害を残し職場に復帰している46歳男子会社員の原告の後遺障害逸失利益算定につき、
 原告の後遺障害は1級1号に該当するものであるから、基本的には労働能力を完全に失ったと評価できるものであって、それにもかかわらず、原告が、減額されたとはいえ給与収入を得られているのは、原告本人の努力によることが大きく寄与し、
 また、勤務先が原告の後遺障害に対して理解を示し、勤務形態や勤務時間、業務内容等について配慮した上で雇用を続けていることも大きく寄与しており、これらのいずれが欠けても原告がこのまま稼働を継続することは困難といえる上、
 原告の勤務先の規模、原告の勤務状況、原告の後遺障害の内容及び程度等からすれば、退職後の再雇用や再就職の可能性は相当厳しいといえることなど、本件に現れた事情を総合考慮すると、原告の平成28年以降の現実の収入を考慮してもなお、原告の労働喪失率は、症状固定後就労可能な全期間を通じて平均して80%を下らないものと認められるとして、
 事故前年収入の8割を基礎収入に67歳までの20年間100%の労働能力喪失で認定した。
 後遺障害等級1級ですが、給与収入を得られているにもかかわらず、労働能力喪失率は100%になっています。もっとも、年収は事故前年収の8割にとどめられています。1級の通常の労働能力喪失率は維持しつつ、年収は2割減額して調整ととったのでしょうか💦
 
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(奈良原神社前)
 将来介護費につき、原告は、外傷性胸髄損傷による立位歩行不可、排尿便障害及び重度体幹下肢感覚障害等の1級1号に該当する重い後遺障害を抱えているが、
 更衣、摘便、入浴、食事等といった日常生活も、外出や稼働といった社会生活もほとんど1人でできている状態で、現在のところ一人暮らしをしていることからすると、将来においても、一人暮らしを続けていくことのできる可能性があるといえるが、
 現在でも、およそ週1回の頻度で日常家事の援助と訪問介護を受けており、将来的には加齢とともに一人で行える行為内容や活動範囲が狭まり、職業付添人による介護の必要性が高まるし、職業介護人による介護の内容もその程度が高まっていくこともまた明らかであるとし、
 職業介護人による介護を受ける程度がわずかである現在の状態から加齢とともに介護の程度が大きくなっていくことを考慮すると、原告の平均余命までに必要となる介護費用は、平均して日額1万円として算定するのが相当である。
 現在のところは、ほぼ一人でできているのですが、将来できなくなる可能性が大きく、また、一人暮らしをしていることから、職業的介護人の介護料を認めたものです。
 被害者側の代理人弁護士はご苦労されたのではないかと思いますが、素晴らしい結果がでています。

2022年2月25日 (金)

【むち打ち損傷】 後遺障害 自賠責非該当  裁判 12級 素因減額30% という事案

 交通事故民事裁判例集第54巻第1号で紹介された令和3年1月15日判決です。 

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① (後遺障害等級)
 被害者(男・年齢不明・職業不明)の後頸部痛、左上肢のしびれ、左ⅠⅡ指のしびれ等神経症状(事前認定では後遺障害非該当)につき、既往症である頚椎病変(椎間板ヘルニア)を背景とし、事故による外力が加わったことで生じたものであるとして、自己と相当因果関係のある後遺障害であると認めた上、後遺障害等級を12級相当と判断しました。
② (素因減額)
 後遺障害の発症には、既往症である頚椎椎間板ヘルニアが相当程度寄与していること、
 被害者の通院期間約20か月のうち約9か月は事故と相当因果関係が認められない右肩症状に相当程度比重を置いた治療が行われている事情がある一方で、
 頚椎由来の神経症状は事故を契機として発現していることを考慮して素因減額を行うべきであるとした上で
 治療費のうち頚椎由来の神経症状に係る部分と右肩症状に係る部分を明確に区別することは困難であることから、治療費、交通費、通院慰謝料の全額を損害として認め、素因減額の割合を30%としました。
 ①の後遺障害が認定された判示は、後遺障害獲得のために応用がききそうなフレーズです。
「このように、原告の頚椎椎間板の突出(ヘルニア)は、経時的に増悪し、脊髄への圧迫も強くなっているが、
 甲山太郎医師(放射線診断専門医)及び丁野一郎医師(整形外科)の医学的意見によれば、この頚椎椎間板ヘルニアの増悪は、頚椎に軸圧が加わることで椎間板繊維輪が破綻して髄核成分が突出し、漏出を続けたことによるもので、本件事故を契機として、既往の頚椎椎間板ヘルニアが進行したものと考えられるというのである。
 頚椎(C5~C7)は、腕から手にかけての神経を支配する神経根がある部位であって、一般に、無症状の頚椎病変が交通事故等による外力が加わることで有症状化することは医学的にあり得る事象である。そして、上記のとおり、原告については、本件事故を契機として頚椎椎間板ヘルニアが増悪したと認められるところ、本件事故後に生じた左上肢のしびれ等の神経症状は、増額した頚椎椎間板ヘルニアによる脊髄圧迫に起因するものとして合理的に説明できるというべきである。
 したがって、原告の神経症状は、既往症である頚椎椎間板ヘルニアが本件事故により有症状化し、増悪することによって残存したものと認めることができる。」
 メモメモしておきましょう。

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