<(_ _)>

  • 弁護士ドットコム|無料法律相談・弁護士/法律事務所検索ポータル

書籍紹介(交通事故)

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

2018年10月18日 (木)

【腱板断裂】 40歳代男子の左肩腱板損傷等による可動域制限を自賠責同様併合12級認定し、1年3ケ月前からの左肩痛等で通院等から20%の素因減額を適用した 大阪地裁平成30年3月7日判決

 自保ジャーナルNo2023号で紹介された大阪地裁平成30年3月7日判決です。

 Kimg3270
 原告が本件事故の翌日に左肩痛、本件事故の3日後には左肩が上がらないという症状を訴え、その後も継続して左肩の症状を訴えていたこと、

 平成27年5月19日の左肩関節MRI検査で棘上筋腱の関節側の部分断裂と大結節の小さな剥離骨折の所見があったことなどの事情を総合すると、

 原告は、本件事故により左肩腱板損傷等の傷害を負ったとして、

 左肩腱板損傷を認めました。

 Kimg3273



2018年10月14日 (日)

【医療セミナー】  画像鑑定の基礎 MRIについて

 東京日比谷で開催された「画像鑑定の基礎 MRIについて」を受講いたしました。

 Kimg5201
 最近、交通事故事案や医療過誤事案等医療に絡む相談や依頼を受けることが増えております。

 特に、交通事故事案においては、弁護士費用特約の普及に伴い、画像鑑定費用も支払っていただける損保会社が少なくないので、鑑定会社から、医学意見書をいただくことも増えております。

 Kimg5198
 特に、むち打ち症例、手足の機能障害等についての相談がケースとしては多いのですが、画像がレントゲン程度しかないことが多くて、等級認定に支障が生じることも目につくようになっております。

 現在、鑑定会社は1社を中心にお願いすることがほとんどですが、それぞれに個性があると思い、今回、思い切って、医療セミナーに参加することになりました。

 Kimg5196

 医療画像の種類としては、①X線を使用する画像(XP、TV撮影、血管造影、CT)、②X線を使用しない画像(US、MRI)、③γ線を使用する画像(RI)があり、それぞれについての概要説明がありました。

 XPは、椎間板ヘルニア、腱板損傷、TFCC損傷は診断できない

 当然、脳の損傷もわからない

 ということは、最低限押さえておくべきことです。

 CTについては、撮影時間が短い、脳血流に対する感度がよい、骨の異常がわかる、身体に金属やペースメーカーあ入っていても撮影できる、急性期脳梗塞に対する感度は低い等の特色があるようです。

 MRIについては、歴史から説明がありましたが、医学鑑定に多い6大部位としては、頭部(矢状断)、頚椎(矢状断)、腰椎(矢状断)、膝関節(矢状断)、肩関節(冠状断)、手関節(冠状断)についての説明がありました。

 RIについては、各種シンチ検査があげられます。脳槽脊髄腔シンチが有名ですね。

 RIは、半減期の短い放射線同位元素を、目的部位にあわせて作られた化合物に標識して静脈注射(吸入)し、体内での分布や臓器の機能を調べる検査ですが、形態画像ではなく機能画像ということに注意をする必要があります。

 MRIについては、磁場を用いて核磁気共鳴現象を起こす、身体に電波を送り、身体から出る信号を受信する、画像化の対象は水素原子という機器です。

 特徴としては、撮影時間が長い、カラに金属やペースメーカが入っていると撮影しない、放射線被ばくしない、脳や骨盤や骨など動かない臓器に強い、病気の発症時期や状態がわかる、いろいろな撮影方法があり、画像鑑定では必要不可欠なものです。

 MRIでわかることはたくさんですが、例をあげると、

① 神経や靭帯

   圧迫されている、途切れている、炎症を起こしている

② 最近の障害か古い障害か(活動性の炎症)

   T2強調画像で白く写る 脂肪抑制画像

③ 骨挫傷や不顕性骨折

   T2強調画像で白く写る 脂肪抑制画像

  これらには、高磁場1.5テスラ以上のMRIが必要。脂肪抑制画像が撮影できるかどうか。

  ※T1強調画像は解剖的な構造がわかり、T2強調画像は病変がわかりやすいとされています。

 Kimg5238
 画像鑑定には、MRIが必要。

 MRIは、骨の中の組織の状態がわかる、筋肉や靭帯等の軟組織の状態がわかる、炎症の程度や時期がわかる という特徴があり、事故が原因で生じた病変であることが表現されるのです。

 今回のセミナーを受講して、大変勉強になりました。



2018年10月10日 (水)

【日本損害保険協会】 医療セミナー 救急医療の実際と治療法

 先日、日本損害保険協会医研センター主催の医療セミナー「救急医療の実際と治療法~胸腹部を中心に~」を受講してまいりました(東京・損保会館)。

 Kimg5136

 講師は、東京都済生会中央病院救急診療科部長の関根和彦先生です。

 まず、救急医療の現在、過去、未来として、①救急医療システム、②救急医療の実際、③救急医療の問題点と未来というテーマを設定され、以下、各テーマごとにお話をされました。

 ②の救急医療の実際のテーマでは、外傷診療のトピックとして、1 ダメージ・コントロール手術、2 非手術的治療、3 血流遮断の技術(救急室開胸)についてお話をされました。

 ダメージ・コントロール手術の功罪として、1 分割手術による手術難易度の低下、2 ガーゼ圧迫術の濫用、3 膨大な医療資源の確保が必要 ということでした。

 非手術的治療については、より侵襲の少ない治療へということで、開腹手術 → 内視鏡下手術 → 血管内治療(非手術的治療)へと流れているようです。

 血管内治療については、経カテーテル的動脈塞栓術について、骨盤骨折の事案、肝損傷、脾損傷、腎損傷についての症例についての説明がありました。

 もっとも、非手術的治療の功罪としては、1 非手術的治療の濫用、2 手術治療の減少、3 入院期間の延長 が挙げられています。

 血流遮断の技術(救急室開胸等)については、大動脈閉塞バルーンカテーテル、救急室開胸と大静脈遮断カテとの比較等について解説がありました。

 大動脈遮断カテーテルの問題点としては、1 高価 2 下肢の阻血症状 3 挿入操作が困難なことがあるということが挙げられています。

 ERでの外傷診療から手術室までの流れについてはビデオをみせていただきました。

 救急医療の問題点と未来については、1 たらいまわし 2 救急医 救急病院の不足についてお話がありました。

 最後に、災害と救急医学についてのお話がありました。

 Kimg5144
 勉強になりました。

2018年10月 3日 (水)

【頸髄損傷】 40歳男子主張の1級脊髄損傷は、他覚的所見等なく否認し、同主張の非器質的精神障害を14級認定しました。東京地裁平成30年3月15日判決

 自保ジャーナルNo2022号で紹介された東京地裁平成30年3月15日判決です。

 Kimg5124
 40歳男子自営業者の原告は、原付自転車でT字路交差点を直進中、左方道路から右折進行してきた被告自動二輪車に出合い頭衝突され、脊髄損傷等を負い、両下肢麻痺、膀胱直腸障害から、1級1号または1級6号後遺障害等を残したと主張する事案です。

 原告について、本件事故後に実施された頚椎、胸椎及び腰椎のX-P画像上、外傷性の異常所見は何ら認められず、頚椎、胸椎及び腰椎のMRI画像上も、第7/8胸椎間にヘルニアが認められたのみであり、髄内輝度変化等の明らかな脊髄変性所見は認められていない。

 なお、椎間板ヘルニアは一般に経年性変化であることが多く、原告の代7/8胸椎間のヘルニアについても本件事故により生じたものであることが明らかとはいえないが、いずれにせよ、上記ヘルニアによる脊髄の圧迫は顕著なものではないし、上記ヘルニアの部位と本件事故後の原告の知覚消失部位は相関していないから、上記ヘルニアは本件事故による胸髄損傷の発生を示す画像所見とはいえない。

 以上によれば、原告が本件事故により脊髄損傷(胸髄損傷又は中心性頸髄損傷)を負ったと認めることはできない。

 なかなか難しいものです。

 主治医は、胸髄損傷、頸髄中心性損傷とする後遺障害診断書を作成されたようですが、

 自賠責等級認定手続、異議申立手続、裁判所、いずれの手続きにおいても、否定されています。

 主治医がその傷病名を診断書に記載したからといって、裁判所が認めてくれる保証はないのですが、一般の方にこの説明をしてもなかなか理解していただけませんね。

2018年10月 1日 (月)

【素因減額】 58歳男子の頸髄損傷から既存障害7級加重の3級後遺障害を認め、脊柱管狭窄症から、後遺障害にも4割の素因減額を適用した事例 仙台高裁平成29年11月24日判決

 自保ジャーナルNo2022号で紹介された仙台高裁平成29年11月24日判決です。

 Kimg5097
 自賠責7級4号認定の既存障害を有する58歳男子Xは、信号T字路交差点を乗用車で右折中、右側車道から直進してきたY乗用車に衝突され(第1事故)、頸髄損傷の傷害を負い、

 その後、歩道を超えて路外に転落し(第2事故)、自賠責3級3号認定の加重障害を残した事案での、

 Xの脊柱管狭窄による素因減額につき、

 実際の脊柱管狭窄の度合いを最も反映するMRI画像では、頸髄損傷を来したXのC5/6椎間には脊柱管前後径(5.1ミリメートル)が平均値(12ミリメートル)の半分以下という著しい脊柱管狭窄が認められており、その程度は通常の加齢性変化(老化現象)の程度を著しく越えるものといわざるを得ないこと、

 Xの頸髄損傷は骨傷なしに生じたものであるところ、脊柱管狭窄があるあめに頸髄に衝撃が加わり、非骨傷性の頸髄損傷が発生したものであり、脊柱管狭窄がなければ頸髄損傷が生じなかったことに照らすと、

 本件事故以前に脊柱管狭窄に対する治療措置が行われていたことを認めるに足りる証拠がないとしても、

 Xの頚部脊柱管狭窄は、損害の減額要素となる素因と評価するのが相当であるとして、素因減額4割を認定しました。

2018年9月28日 (金)

【腱板断裂】 42歳男子10級主張の右肩腱板断裂を否認して自賠責同様14級9号後遺障害を認定した事例

 自保ジャーナルNo2021号で紹介された名古屋地裁平成30年1月12日判決です。

 Kimg4746
 なかなか腱板断裂は難しそうな事案です。

 本件事故後に原告を最初に診察したB医師は、当初、原告の右肩について、腱板不全損傷と診断し、C医師は、初診時に剥離骨折を疑い、右上腕骨大結節剥離骨折とする診断書を発行したものの、CT、MRI、超音波検査及び数種の神経学的検査の結果を踏まえて、右上腕骨近位端骨挫傷と診断し、また、明らかな腱板断裂は認められないと診断し、その診断をB医師も支持してその後の治療にあたったものと認められ、この診断を否定すべき事情は認められない

 ということで、裁判の結果、腱板断裂の傷害は否認されています。

 田舎弁護士の相談でも、当初の医師のカルテ類の記載は、ある傷病名(疑いを含む)を記載しながら、途中で、その後の診断書ではその傷病名がでてこない場合に、当初の傷病名にこだわる相談者の方もおられます。

 ただ、主治医が当該傷病名を用いた後遺障害診断書を作成されていない場合に、少なくとも、当該後遺障害診断書を作成された医師の協力が絶対に必要不可欠ですが、これを得られないケースも少なくありません。

 しかも、多くの場合には、事故後かなり経過してからの相談になることから、さらに、事故との因果関係も問題となります。

 他方で、主治医等の積極的な協力が得られる事案、例えば、田舎弁護士が経験した腱板断裂の事案でしたが、主治医の積極的な協力のみならず、遠方にまで診察に訪ね、超有名大学病院の教授レベルの医師の意見書をいただけた事案では、自賠責等級14級の事案でしたが、かなりの上位の等級で裁判上の和解をしたことがあります。

 最近でも、神経麻痺のケースで、微妙な事案でしたが、主治医(権威のある病院です)の意見書を添付の上、申請したところ、自賠責保険上、12級の認定をいただくことができました。

 後遺障害の認定のためには、主治医の協力が必要不可欠です。主治医の協力が得られない事案の場合には、後遺障害を得ることはできません。

 Kimg4871

2018年9月24日 (月)

【その他】 既判力

 判例タイムズNo1451号で紹介された平成29年10月25日判決です。

 Kimg4883
 交通事故に基づき後遺障害が残存したと主張して提起された損害賠償請求の訴え(前訴)について、一部認容判決が確定した後に、後遺障害が悪化したと主張して提起された後遺障害に係る損害賠償請求の訴え(後訴)が、前訴確定判決の既判力に抵触するかという論点については、東京地裁平成29年10月25日判決は、消極的な判断をしております。

 もっとも、結論としては、原告の主張する神経症状は認められないとして、請求を棄却しております💦

2018年9月18日 (火)

【非器質的精神障害】 43歳女子12級主張の外傷後ストレス障害を否認、自賠責同様非器質的精神障害等併合14級認定した事例

 自保ジャーナルNo2021号で紹介された東京地裁平成29年7月18日判決です。

 Kimg4943
 外傷後ストレス障害は否認されて、非器質的精神障害として14級が認定されたという事案です。

 なお、自賠責14級9号の頚椎捻挫後の頚・腰部痛、14級9号非器質的精神障害の、併合14級が認定され、裁判所においても同様ですが、後遺障害慰謝料については110万円の相場どおり、逸失利益については、労働能力喪失率は5%と相場どおりですが、喪失期間は10年と相場の5年よりは長く認めてくれています。

2018年9月16日 (日)

【醜状痕】  考え方についての文献 No2

LP交通事故損害関係訴訟)

  「外貌醜状は、デスクワーク、荷物の搬送等の通常の労働にとって特段影響を及ぼさないことから、逸失利益は発生しないとも考えられるが、被害者が女性で芸能人、モデル、ホステル等の容姿が重視される職業に就いている場合や、男性でもアナウンサー、営業マン、ウエイター等それなりの容姿が必要とされる職業に就いている場合には、特に顔面は醜状痕が残ったことにより、ファンや店の客足が減る、勤務先の会社で営業職から内勤に配置転換となり昇進が遅れる、転職に支障を生じ職業選択の幅が狭められるなどの影響を及ぼすことが生じ得る。このように労働に直接影響を及ぼすおそれがある場合には、自賠責制度の運用において用いられる当該等級の後遺障害等級表の労働能力喪失率を参考として、被害者の職業、年齢、性別等も考慮したうえで、被害者の外貌醜状がその労働に与える影響を考慮して労働能力喪失率を決することになろう。」

 Kimg4961

 

 (交通事故関係訴訟の実務)

 「実際のところ、外貌の醜状障害による労働能力喪失の有無及び程度は、主として醜状障害の内容及び程度と被害者の職業との相関によって判断されているといえる。

  醜状障害の内容及び程度については、後遺障害等級表の区分が比較的大まかなものであることから、事案に即して個別具体的な検討がされなければならないが、これが重大なものになればなるほど、労働能力に対する影響が具体化し深刻化することは当然である。

  被害者の職業については、例えばモデル等、外貌を含めた容姿が仕事の有無及び内容に直結するような職業に被害者が就いている場合には、醜状障害は、当然職業を前提とした身体的機能・能力を減少させ、場合によってはこれを喪失させるものにほかならず、労働能力に対する影響を認めることは容易である。

  もっとも、これ以外の職業に被害者が就いている場合であっても、労働能力に対する影響が認められないわけではない。外貌がその者の印象を大きく左右する要素であることは明らかであるところ、醜状障害は、職務に従事する上で一般的に必要となる円満な対人関係の構築や円滑な意思疎通の実現を阻害する要因となりうる。醜状障害によって喪失する労働能力の実質は、伝統的な意味合いにおける身体的機能・能力の観点のみならず、このような対人関係円滑化の観点からも把握すべきであって、このように理解する場合には、醜状障害が労働能力に全く影響しないと職業はおよそ考えられず、かつて説明されてきた以上に後遺障害による逸失利益を認めていくべきではないかと思われる。」

 Kimg4967

2018年9月15日 (土)

【醜状痕】  考え方についての文献

 

 (河邊義典裁判官による説明)

  被害者の性別、年齢、職業等を考慮した上で、①醜状痕の存在のために配置を転換させられたり、職業選択の幅が狭められるなどの形で、労働能力に直接的な影響を及ぼすおそれのある場合には、一定割合の労働能力の喪失を肯定し、逸失利益を認める。

  ②労働能力への直接的な影響は認め難いが、対人関係や対外的な活動に消極的になるなどの形で、間接的に労働能力に影響を及ぼすおそれが認められる場合には、後遺障害慰謝料の加算事由として考慮し、原則として、100万円~200万円の幅で後遺障害慰謝料を増額する。

  ③直接的にも間接的にも労働能力に影響を与えないと考えられる場合には、慰謝料も基準どおりとして増額しない。

 

 Kimg4963

«【休業損害・逸失利益】 タクシー乗務員の後遺障害(右下腿内側部の傷痕14級5号、左鎖骨の変形障害12級5号、併合12級該当)