2月8日、きんざい主催の第125回金融法務研究会例会に出席いたしました。
テーマは、最近の個人情報保護法に関する実務上の問題という内容で、専門の弁護士の先生に解説していただきました。
第1に、立法・行政の動向として、国民生活審議会によるとりまとめ(平成19年6月29日国民生活審議会・個人情報保護に関するとりまとめ【意見】)の公表について、概要を説明していただきました。平成20年3月を目途に、「個人情報の保護に関する基本方針」(平成16年4月閣議決定)の改訂を行う予定になっており、重要なポイントは、次の3点ということのようです。
第1点は、委託先に対する監督についての検討の方向感 すなわち、プライバシーポリシー等において、委託に関する事項(委託の有無、委託する事務の内容)を明記することを、要請する方向で検討しているようです。
第2点は、市販名簿の管理についての検討の方向感 すなわち、「被告頒布されている名簿等」について、安全管理措置の程度を緩和することを許容する等を検討し、また、「広く頒布される名簿等」の意義・範囲についても、検討されるようです。
第3点は、取得元の開示の要否 すなわち、プライバシーポリシー等において、取得元・取得源の種類・取得経緯等の個人情報の取得方法を、可能な限り明記することを、要請する方向で検討されているようです。
第2に、金融機関におけるQ&Aが、平成19年10月に公表されたことから、その概要についてご説明いただきました。
Q&Aのうち、いくつか重要なものに絞ってご解説していただきました。
例えば、「個人データ」の「漏えい、滅失、き損」とはどのようなものを指すのか(問Ⅴー5)
個人情報の漏えい事案等が発生した場合の当局への報告は、どこまで厳密に行う必要があるのか(問Ⅴー10)
「個人データ」の漏えい事案等が発生した場合の公表は、どこまで厳密に行う必要があるのか(問Ⅴー15)
個人情報の漏えい事案等が発生した場合は、金融機関は本人に通知する必要があるのか(問Ⅴー16)
防犯カメラに映った偽造キャッシュカードの実行犯の映像を本人の同意なく他の金融機関に提供することは、個人情報保護法上問題がないか(問Ⅵー1)
ガイドライン第4条で、個人情報保護法第16条及び同法第23条に定める本人の同意を得る場合には、原則として、書面によらなければならないとされているが、「紙」を用いた同意以外に、例えばどのような形式が「書面」に該当するのか。また、電話により同意を得た事実を任意様式に記録し保存する方式でもガイドライン上「書面」による同意を得たと解することができるか(問Ⅵー3)(後段は当局見解が変更された点であり、重要であるとのことです)
個人情報取扱事業者が弁護士法23条の2に基づいてなされる報告の請求を弁護士会から受けた場合、その保有する「個人データ」を弁護士会に対し提供することは、個人情報保護法上問題はないか(問Ⅵー7)
第3に、平成19年3月に大幅改訂された経産省ガイドライン等に関するQ&Aの改訂です。136問あります。大事なところとしては、
ユーザーからのクレームを録音しています。個人の氏名は通話内容や声などから特定できませんが、電話番号は判明している場合があります。この場合の録音記録は、個人情報に該当しますか(問12)
防犯カメラやビデオカメラなどで記録された映像情報は、本人が判別できる映像であれば、「個人情報データベース等」に該当しますか(問20)
宅配便の送り状を受付した日付順に並べてファイリングしていますが、この場合、「個人情報データーベース等」に該当しますか(問22)
会社業務とは関係のない従業者が対象のサークル活動で利用している会員リストは、「事業の用に供している」ものとなりますか(問30)
アンケートを行う際、「第三者提供をする場合がありますのでご了解願います」と記載するのみの場合、アンケートの提出をもって、第三者提供についての同意を得たといえますか(問38)
顧客の入金情報を、売上高・利益額の把握、事業方針の策定に利用することがありますが、これらも利用目的に含まれますか(問46)
法18条第3項の変更された利用目的の通知又は公表においては、「もともと○○であったものを今後××に変更します」とすればよいのですか。それとも単に変更後の利用目的のみを書いておけば足りますか(問48)
A事業のために個人データを取得した後、B事業のために取得した個人データの内容から住所変更があった事実が判明しました。A事業についても住所変更を反映させることが可能ですか(問59)
妻が夫の名前で契約の申し込みをしてきた場合、個人情報の利用目的はその契約書に明示してあればよいですか。また、その契約書を第三者に提供する場合、妻の同意を得ればよいですか(問135)
第4に、融資問題研究会のアンケート調査結果の分析と検討についてです。
特に同意書提出拒否の場合の対応などについて解説していただきました。
最後は、最近の実務上の問題点ということで、いくつかの裁判例をご紹介していただきました。
第1点は、弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会や民事訴訟法186条に基づく裁判所からの調査嘱託への対応についてです。
平成19年1月30日の大阪高裁を紹介し、解説していただきました。
判決要旨は以下のとおりです。
①弁護士法23条の2に基づく照会や民事訴訟法186条に基づく調査嘱託を受けた者は、弁護士会又は裁判所に対して、報告を求められた事項につき報告すべき公的な義務を負う、
②銀行が預金顧客を特定する情報につき報告を求められた場合であっても、上記義務が個人のプライバシー保護や守秘義務の観点から制約を受けことはない
③銀行による上記義務の違反は、弁護士会や裁判所に対する公的な義務の違反であり、原則的には、訴訟遂行等のため当該情報必要とする者との関係で不法行為を構成しない
第2は、個人情報保護法に基づく請求権の有無ですが、消極的に判断した東京地裁平成19年6月27日の裁判例をご紹介していただきました。
第3は、守秘義務との関係で最高裁平成19年12月11日の決定をご解説していただきました。
遺留分減殺請求に絡み、取引明細表の開示を求めた事案で、金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報については、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合に、同情報は、民訴法197条1項3号にいう「職業の秘密」として保護されないと判断しました。
いや、勉強になりますな。