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【金融・企業法務】

2025年3月24日 (月)

【金融・企業法務】 ありがとう~ 銀行法務21・3月号

 長年定期購読をしてきました経済法令研究会の銀行法務21の3月号が届きました。今回号をもって定期購読は中止とします。代わって、3月からは、(公財)商事法務研究会に入会し、旬刊商事法務が届いております。

 田舎弁護士が開業した30年近く前は、顧問先である銀行からのご相談も毎月のようにあり、訴訟や保全も途切れることなく対応したものです。ここ数年前から大幅に減少し、現在では、知り合いの行員さんから時折電話でご相談がある程度です。

 他方で、会社法務等の仕事が急増しているため、銀行法務21の代わりに、旬刊商事法務に乗り換えたわけです😅

 銀行法務21は、1度だけですが、執筆もさせていただいたことがあります。

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                              (八幡浜で)

 目をとおしたものだけを紹介します。

 「法務時評」は、長谷川俊明弁護士による人権DDの観点からのカスハラ対応とサプライチェーンの強化です。2023年1月の改正企業内容等の開示に関する内閣府令等は、有価証券報告書等におけるサステナビリティ開示を義務付けており、カスハラ対策を、「サステナビリティに関する企業の取組」例として開示する企業が増えると予想されると書いております。

 座談会は、「経営者保証ガイドラインと廃業支援をめぐる諸論点」です。「弁護士側の経営者保証ガイドラインへの理解とのバランスが重要で、弁護士側に実務経験がなければないほど、経営者保証ガイドラインへの理解に手間がかかります」「弁護士側の理解が進むと、ガイドラインは結構手間がかかるという評判が弁護士の間で広まってしまい、対応に消極的な方が多くなりました」、「破産申立をすれば簡単なのに、わざわざ手間をかけてまでという考えが少なくなり」等の発言がみられました。田舎弁護士の地方では、経営者保証ガイドラインへの事案ってどのくらいあるのでしょうね。

 伊予銀行さんや、愛媛銀行さんなどは、データを公表されていますね。

 今月の解説は、クロスボーダー収納代行に関するリスクに応じたマネロン等金融犯罪対策です。海外の事業者との取引については収納代行行業者を利用することがありますが、真の送金人と真の受取人が不透明になる構造が問題視されています。

 金融取引法研究会は、誤振り込みと相殺です。1度だけ誤振り込みに遭遇したことがあります。考え方としては、振込依頼人と受取人との間の振り込みに係る原因関係の有無にかかわらず、受取人と銀行との関係では普通預金契約が成立し、受取人が預金債権を取得するとの判例の考え方や、銀行側で原因関係の有無を調査することが実務上困難である点を踏まえると、原則として相殺は可能との出発点に立つことになろう。もっとも、銀行側の相殺を正義公平の観点から認めなかった裁判例もある点を踏まえて、事案によっては、相殺を行うか否かの判断において、振込金額、債務者(振込先)の信用状況、振込依頼人の主張の確からしさといった事情も考慮する。

 倒産実務交流会は、主債務者の正常弁済中に、保証人破産の破産財団からする債権者への配当事案です。

 金融業界の課題を読み解く熱い金融対談は、あおぞら銀行の女性執行役員の方との座談会でした。

 カスタマーハラスメントの正しい理解と対策 ですが、東京都、北海道、桑名市においてもカスハラ禁止条例が成立したようです。

 あとは、金融商事実務判例をざっと見ました。

 長い間、お世話になりました。(●^o^●)

 

2025年3月22日 (土)

【金融・企業法務】防衛特別法人税の創設

 令和7年度の税制改正大綱によれば、防衛特別法人税なるものが、現在国会で審議され、成立する予定になっているようです。

 全然知りませんでした。

 防衛特別法人税は、防衛費増額の財源の一部として、当分の間、法人税の4%相当の付加税として、令和8年4月1日以降に開始する事業年度以降に適用されるとのことです。

 GDP(国内総生産)の2%に防衛費を増額するためのもののようです。

 これまで、防衛費は、GDPの1%にとどめていたと思いますが、倍を目標にされています。

 これに対して、トランプ政権は、GDPの3%を求めておりますので、倍になっても、アメリカとの開きはかなりありそうです。

 話を戻します。

 税理士の先生のHPなどをみると、実行税率は、0.9%程度UPするようです。

 もっとも、中小企業に配慮して、法人税額から500万円は控除されるようですので、田舎弁護士の事務所のように小さな法人は関係なさそうですが、大きな会社であれば、3月31日までに改正税法が成立すれば、税効果会計の観点から、2025年3月期決算において繰延税金資産および繰延税金負債の計算に反映する必要があります。 

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(上灘のカフェ)

 先日、家内と上灘のカフェにでかけてきました。おしゃれな古民家で、食事も、おいしくいただけました。 

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(外観) 

 ルドリュロラン 378 というお店です。すてきな雑貨も売っていました🐼

2025年3月20日 (木)

【金融・企業法務】退職慰労金の決定にかかる取締役会の裁量権 最判令和6年7月8日判決

 3月から、(公社)商事法務研究会に入会しました。商事法務研究会に入会した目的は、印象ですが、現在、仕事の70%程度くらいが、会社や団体の役員としての職務、また、企業や病院等の団体からの顧問業務に費やされているため、いわゆる企業法務をより深く勉強するためということにあります。

 商事法務研究会に入会しますと、旬刊商事法務が届きます。今回は、No2384号(3月5日号)が届きました。

 54頁程度の小冊子で、分量が厚くない分、読みやすさを感じます。

 さて、その中に、退職慰労金の決定にかかる取締役会の裁量権を論じた最判令和6年7月8日を検討した論文が掲載されていました。

 最判令和6年7月8日の判決要旨は以下のとおりでした。

 退任取締役の退職慰労金につき、退任時の報酬月額等により一義的に定まる額を基準とするが、退任取締役のうち在任中特に重大な損害を与えたものに対しこの基準額を減額することができること等を定める内規が存在する株式会社の株主総会において、取締役を退任する者の退職慰労金について、上記内規に従って決定することを取締役会に一任する旨の決議がされた場合に、次の(1)~(4)など判示の事情の下では、上記会社の取締役会がした、上記の者に対し、同人の退職慰労金に係る基準額として算出した3億7720万円から減額した額である5700万円の退職慰労金を支給する旨の決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということはできない。

 (1)上記取締役会は、上記の者が、代表取締役在任中に、①長期間にわたって上記会社から社内規程所定の上限額を超過する額の宿泊費等を受領し、このことが発覚した後には、いったん負担した当該超過分に係る源泉徴収税相当額を上記会社に転嫁するとともに、社内規程に違反する宿泊費等の支給を実質的に永続化する目的で自らの報酬を増額したこと、②複数年度にわたり、交際費として従前の支出額を大幅に超過する額を上記会社に支出させるなどしたこと等を考慮して上記決議をした。

 (2)上記の者と利害関係のない弁護士等で構成された調査委員会による調査等の結果をとりまとめた調査報告書では、上記①の行為は特別背任罪に該当する疑いがあり、上記②の行為も正当化することができず、上記の者はこれらの行為により上記会社に多大な損害を与えたとの指摘がされた。

 (3)上記決議は上記調査報告書の内容を踏まえたものであったところ、上記調査委員会が調査等に当たって収集した情報に不足があったことはうかがわれない。

 (4)上記取締役会は、上記①の行為につき告訴をして退職慰労金を支給しないとする上記調査委員会から提示された案も検討したが、審議の結果、告訴をせずに退職慰労金を大幅に減額する旨の判断に至った。

 第1審、第2審ともに、退任取締役勝訴としているので、最高裁で、大逆転したわけです。

 在職中に問題のある行為をされていた代表取締役の方だったようですが、まあ、3億円はあきらめきれなかったのでしょうね

 

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(日浦・丸味) 

2025年3月16日 (日)

【金融・企業法務】 会社法上の「子会社」って!?

 「この場合には、子会社にあたるのですか? 子会社にあたると、どのような問題が生じますか?」等の相談を受けることがあります。

 子会社にあたるのかどうかについては判断するのは難しい場合があります。

 以下、田中亘教授の会社法P53から引用します。

 「会社が他の会社等の経営を支配している場合における当該他の会社等をいう(会社法2条3号、会則3条1項)。ここで会社等とは、会社、組合、その他これらの準じる事業体をいう。すなわち、2条1号の会社ではないものも、会社法にいう子会社となりうる」

 「会社が他の会社等の経営を支配している場合とは、当該他の会社等の財務および事業の方針の決定を支配している場合として、会則3条3項が規定する場合をいう。

 ①会社が他の会社等の議決権の50%超を自己の計算において所有する場合は、原則として、当該他の会社等は当該会社の子会社となる(会則3条3項1号)。

 ②①以外にも、会則3条3項2号または3号の要件を満たす場合は、子会社となる。」

 なかなか②の場合は、説明が難しいので、有名な法律事務所のHPでの説明を引用させていただきます。

 子会社に該当した場合には、①子会社は、原則として、親会社の株式を取得できませんし、②取得した場合には、相当の時期に処分しなければなりません。当然のことですが、③議決権もありません。 

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(湯波のお猿)
 ご相談があるのは、会則3条3項2号や3号の適用の有無ですねえ~
 高い買い物をした弥永コンメンタール会社法施行規則が役立ちます。

 

2025年3月14日 (金)

【金融・企業法務】 公益通報者保護法が改正される予定です😟

 公益通報者保護法が改正される予定です。

 第1に、事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上を図ります。

 従事者指定義務に違反する事業者(常時使用する労働者の数が300人超に限る)に対して、現行法の指導・助言、勧告権限に加えて、勧告に従わない場合の命令権及び命令違反時の刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)を新設します。

 上記事業者に対する現行法の報告徴収権限に加えて、立入検査権限を新設するとともに、報告懈怠・虚偽報告、検査拒否に対する刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)を新設します。

 現行法の体制整備義務の例示として、労働者等に対する事業者の公益通報対応体制の周知義務を明示します。

 

 第2に、公益通報者の範囲を拡大します

 公益通報者の範囲に、事業者と業務委託関係にあるフリーランス及び業務委託契約が終了して1年以内のフリーランスを追加し、公益通報を理由とする業務委託契約の解除その他不利益な取扱いを禁止します。

 第3に、公益通報を阻害する要因への対処です。

 事業者が、労働者等に対し、正当な理由がなく、公益通報をしない旨の合意をすることを求めること等によって公益通報を妨げる行為をすることを禁止し、これに違反してされた合意等の法律行為を無効とします。

 事業者が、正当な理由がなく、公益通報者を特定することを目的とする行為をすることを禁止します。

 第4に、公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化です

 通報後1年以内の解雇又は懲戒は、公益通報を理由としてされたものと推定します(民事訴訟上の立証責任転換)

 公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対して、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金刑、両罰)を新設します。また、法人に対する法定刑を3000万円以下の罰金とします

 公益通報を理由とする一般職の国家公務員等に不利益な取扱いを禁止し、これに違反して分限免職又は懲戒処分をした者に対し、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)を新設します。

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(星ヶ森)
 すごい内容の改正です😟 

2025年3月 5日 (水)

【金融・企業法務】 EY 監査役監査の基本がわかる本(第5版)

 EYから出ている、監査役監査の基本がわかる本(第5版)です。

 田舎弁護士は、現在、3社の監査役に就任し、仕事の過半が会社や団体の業務に費やされていますので、この種の法律書はできるだけ多く購入して勉強しております。

 本書は、10章から構成されています。

 第1章は、監査役とはと題して、機関設計、監査役制度の概要、監査役の役割と権限、義務、責任について、第2章は、監査役と監査役を取り巻く関係者として、取締役会、代表取締役、内部監査部門、会計監査人、監査役スタッフ、子会社の監査役、株主及び株主総会、第3章は、監査役による監査と題して、会計監査、業務監査、適法性・妥当性監査、三様監査について、第4章は、監査役の1年、第5章は、公認会計士による監査、第6章は、法令と規則、第7章は、不正企業不祥事、第8章は、内部統制、コーポレートガバナンス、第9章は上場、最終章は、経験者からの助言です。 

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(ガメラ岩)
 監査役ですが、中小企業の規模に留まる場合には、親族や税理士が名目的な監査役に就任している場合は多いように思います。
 ですが、会社法上、金融商品取引法上、監査役は、損害賠償責任を負うリスクがありますし、また、裁判例もあります。
 ガバナンスがしっかりした団体であれば、監査法人による会計監査や、公認会計士の社外役員、常任の監査役を設置したりして対応されているのですが、中小規模の場合はそこまで望むことも期待できず、前記のリスクはいつも気になるところです(下手をすると、ハッピーリタイアができなくなるので😵)。 
 

2025年2月28日 (金)

【金融・企業法務】内部統制入門講座 J-SOXへの対応

 月刊監査役2月号の内部統制入門講座です。今回は、J-SOXへの対応(2023年改訂)について、基本から解説されています。

 1 財務報告に係る内部統制の品質は、全社的な内部統制の品質が基盤となる。

 2 全社的な観点から整備・運用・評価する決算・財務報告プロセスは、取締役会における承認の直前プロセスとして、J-SOXにおける要、あるいは最後の砦ともいえる。外部監査人としても、統制環境に次いで重視する分野であり、取締役会や監査役等においても、今回の改訂によって、注視することが明示的に求められている。

 3 業務プロセスの中で、必要とされる内部統制の機能を果たすプロセスがコントロールであり、全てのプロセスがコントロールとなるわけではない。文書化の対象は、このコントロールである。

 4 文書化の3点セットは、その高い効用を再認識し、プロセスマイニングやAIを活用した更なる効率化を検討すべきであり、特にRCMは、不正リスクへの対応や、サステナビリティ報告においても活用可能である

 5 テクノリジーリスクが、事業リスクや財務報告リスクに影響を与え始めていることに留意する。特にレガシーシステムは、二つの大きな問題、つまり、本社や海外関係会社などにおける脆弱性につけ込まれるサイバー攻撃による甚大な被害、及び、イノベーション投資とレガシー対応に向けたシステムにおける技術的負債への対応投資がせめぎあいとなるといった課題がある中、これらの課題への対応状況を見極める必要がある。

 6 整備状況の評価の結果、有効であると判断された場合に初めて、運用状況の評価に進む。これは整備が不十分なコンロトールの運用状況を評価する意味がないからである。そもそも効率の悪いプロセスについて、評価したり外部監査を受けたりするような不効率な積み重ねに陥らぬよう注意が必要である

 7 J-SOX担当要員の確保育成については、今後の非財務報告、例えばサステナビリティ報告などに視野に入れ、経営環境の変化により、ビジネスモデルの進化などが内部統制にどのような影響を与えるのか、将来の見通しを持ち、全社的な観点から、財務・非財務報告に係る内部統制の見直しが図れるような人材が内部統制担当部門に不可欠となる。

 8 今回のJ-SOXの改訂を機に、経営者のみならず、監査役等も一緒になって、J-SOXとして何をどこまで実質的に対応すればいいのか、事業リスクからくる重要な財務報告リスクとは何か、J-SOX対応の実効性をどうすれば最大化できるか、といった点に着目して外部監査人とコミュニケーションを適時に行う

 9 16年以上前にJ-SOX導入時の保守的な仕組みが残ったままで適切に解消されてていないか再吟味し、経営者の強いリーダーシップの下、少なくともproject to Processの視点からプロジェクト状態を脱して、効率性の高い定常非行を更に目指すべきである。

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(楢原山)

 あ~ 難し😵

2025年2月19日 (水)

【金融・企業法務】 銀行法務21 2月号

 銀行法務21・2月号が送られてきました。

 インタビーは、「金融庁レポート」からみたこれからの内部監査

 経営者保証ガイドラインと廃業支援をめぐる諸論点

 REVIC金融機関向け事業再生支援の手引きを読む

 カスハラと安全配慮義務との関係

 などが、掲載されていました。

 地方の田舎弁護士が参考になるという部分は、せいぜい2割程度でしょうか。

 銀行法務21も、長年、定期購読をしてきましたが、そろそろ卒業かもしれません。

 20250215_110552edit                            (皿が嶺森林公園)

 これまで卒業した専門誌は、自保ジャーナル、交通事故民事裁判例集、交通事故判例速報、金融法務事情、事業再生と法、消費者法ニュース、JA法務くらいでしょうかね。

 現在定期購読しているのは、判例時報、判例タイムズ、月刊監査役、家庭と法、そして、3月からは、商事法務を定期購読することにしました。

 当初は、銀行の顧問をしていた関係で、金融系の専門誌が多く、途中から、損保弁護士となったため、交通系の専門誌が増え、現在では、会社や団体の役員等に就任した関係で、企業法務系の専門誌が中心になっているようです。

 取り扱う分野に応じて、読む書籍の分野にも変化があるようです😁

2025年2月18日 (火)

【金融・企業法務】 株主総会の決議に関する訴えをめぐる諸問題 NO2

 昨日の続きです。

 第1-11 議決権行使の瑕疵(3) 議決権行使の代理人資格の制限

 定款で議決権行使の代理人資格を株主に限定する定めを設けている場合において、次の者に議決権を行使させて成立した株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか。

(1)株主である地方公共団体(株式会社)の職員(従業員) →決議取消事由に該当しない

(2)株主から委託を受けた代理人弁護士(ただし、当該株式会社の株主ではない) →見解が分かれる

(3)病気・高齢の株主から委任を受けた親族 →決議取消事由に該当しない

(4)株主である未成年者の法定代理人  →決議取消事由に該当しない

   ※問題と解説が些か食い違いがあるように思われます。

 第1-12 議決権行使の瑕疵(4)

 次の者が議決権を行使して成立した株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか。

 (1)いわゆる委任状勧誘規則に違反して行われた勧誘に基づいて議決権の代理行使をする者 →見解が分かれる

 (2)株主の意向に反して議案に賛成の議決権行使をしようとする当該株主の代理人 →見解がわかれる

 (3)株主作成の委任状を所持して株主総会に出席したが、実際には当該株主から代理権を授与されていなかった場合 →決議の取消事由には該当しないとの見解がある

 第1-13 採決に係る瑕疵(1)

  株主総会の決議は、採決の方法などによって瑕疵が生ずることがあり得るか → 決議の取消事由に該当しうる

 第1-14 採決に係る瑕疵(2)

  招集通知に記載されていない事項について株主総会の決議がされた場合、当該決議はどのような瑕疵がありうるか →決議の取消事由に該当しうる

 第1-15 決議成立要件の瑕疵(1) 定足数

  普通決議事項につき、株主総会の定足数を満たさないまま決議がされた場合、当該決議はどのような瑕疵がありうるか

  →決議の取消事由に該当しうる

 第1-16 決議成立要件の瑕疵(2) 決議要件

 次の場合における株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか

 (1)議長が、表決の後、投票の結果と異なる制限をした場合 →決議の取消事由に該当しうる

 (2)特別決議事項について、決議の要件を満たしていないことが判明した場合 →決議の取消事由に該当しうる

 第1-17 株主総会議事録の作成の不備

 株主総会議事録の作成に不備があった場合、当該株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか →決議の取消事由には該当しない

 第2 株主総会の決議の無効事由

 第2-1 決議の内容の法令違反(1) 機関設計に関するもの

 次のような株主総会の決議は、無効であるか

(1)取締役会設置会社において、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項以外の事項を内容とする株主総会の決議 →見解がわかれる 

(2)会社法の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする決議 → 原則として、決議の無効事由がある

 第2-2 決議の内容の法令違反(2) 取締役の資格等

 次のような株主総会の決議は、無効であるか

(1)会社法331条1項に掲げる者を取締役に選任する旨の決議 → 決議の無効事由

(2)公開会社において、定款に取締役が株主でなければならない旨の定めを設ける旨の決議 → 決議の無効事由

 第2-3 決議の内容の法令違反(3) 監査役の兼職禁止

(1)当該株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与若しくは執行役を監査役に選任する旨の決議 → 有効

(2)当該株式会社の顧問弁護士を監査役に選任する旨の決議 → 見解が分かれる

 第2-4 決議の内容の法令違反)(4) 計算書類の内容の法令違反

 定時株主総会の計算書類を承認する旨の決議は、当該計算書類の内容が法令に違反する場合は、無効であるか → 無効

 第3 決議の不存在事由

 第3-1 事実上の不存在

 株主総会の決議の不存在の確認の訴えにつき、事実上の不存在が問題となった最高裁判例にはどのようなものがあるか

 第3-2 法律上の不存在

 株主総会の決議の不存在の確認の訴えにつき、法律上の不存在が問題となった最高裁判例にはどのようなものがあるか

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(皿が嶺山頂)

 

2025年2月17日 (月)

【金融・企業法務】 株主総会の決議に関する訴えをめぐる諸問題 NO1

 判例タイムズNo1727で掲載された「決議の方法に関する瑕疵(各論)」です。

 Q&A方式で、利用しやすくなっております。

 索引しやすくするために、Qの方をまとめておきたいと思います。

 第1 決議の方法に関する瑕疵(各論)

 第1-1 特定の株主総会の決議に必要な手続の瑕疵(1)

 次の場合における株主総会の計算書類等の承認決議は、どのような瑕疵があり得るか。

(1)計算書類等について監査役等の監査を経ていなかった場合 →決議の取消事由

(2)取締役会設置会社において、招集通知に際して、計算書類等の全部又は一部が提供されなかった場合 →決議の取消事由

 第1-2 特定株主総会の決議に必要な手続の瑕疵(2)

 計算書類等の備置に不備があった場合における株主総会の計算書類等の承認決議は、どのような瑕疵があり得るか 決議の取消事由 但し裁量棄却の余地あり

 第1-3 特定の株主総会の決議に必要な手続の瑕疵(3)

 次の場合における株主総会の取締役選任の決議は、どのような瑕疵があり得るか。

(1)招集通知に株主総会の目的である事項として「取締役全員任期満了につき改選の件」との記載・記録がされ、取締役の数の記載・記録がされなかった場合 →不適法であるとはいえない

(2)複数の取締役を選任するに当たり、各株主総会で1人ずつ選任することとされた場合 →決議の取消事由

 第1-4 議事運営の瑕疵(1) 議長の選任

 株主総会の決議は、議長の選任等に関する瑕疵を生ずることがあり得るか。 → 決議の取消事由に該当する場合があり得る なお、裁判例には、決議の不存在事由に該当すると判断したものあり。

 第1-5 議事運営の瑕疵(2) 議事運営における株主の平等

 株主総会の議事運営において出席株主の一部に有利な措置を行った場合、当該株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか

 →決議の取消事由に該当する場合があり得る

 第1-6 議事運営の瑕疵(3) 取締役等の説明義務

  株主総会の決議は、取締役等の説明義務に関する瑕疵を生じることがあり得るか

 →決議の取消事由に該当する場合があり得る。

 第1ー7 議事運営の瑕疵(4) 取締役等の説明義務

 株主総会の退任取締役等に対する退職慰労金贈呈議案の決議は、どのような説明義務違反による瑕疵があり得るか

 第1-8 議事運営の瑕疵(5)  株主提案権の行使

 次の場合における当該決議は、どのような瑕疵がありうるか。

 (1)取締役会設置会社が株主から株主総会前に提案された議題を無視したまま、当該株主総会で他の議題についての決議がされた場合

    →決議の取消事由の該当性は問題とならない。

 (2)議長が株主から提案された議案や動議を取り上げないまま、株主総会の決議がされた場合

    →決議の取消事由に該当しうる

 第1-9 議決権行使の瑕疵(1) 議決権行使の妨害

 株主総会の決議に当たり、株主の一部の議決権の行使が制限された場合、当該決議は、どのような瑕疵があり得るか

    →決議の取消事由に該当しうる

 第1-10 議決権行使の瑕疵(2) 名義書換未了の株主等

 株式会社が次の者に議決権を行使させて成立した株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか

 (1)株主名簿の記載又は記録がされていない株主(名義書換未了の株主)

    →決議の取消事由には該当しない

 (2)譲渡制限株式の譲渡を受けたが、当該株式会社の承認を受けていない者(譲受人)

    →決議の取消事由に該当しうる 

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(皿が嶺登山道)

 

 

 

 

 

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