平成14年から、愛媛県弁護士会住宅紛争処理委員会の委員の端くれを勤めているため、以降毎年のように、(財)住宅リフォーム紛争処理支援センターの実務研修に出席するようにしています。
昨日、高松のホテルで行われた平成20年度の研修は、①住宅瑕疵担保履行法等について、②特別住宅紛争処理の手続について、③住宅に関する参考とすべき判例についてなどをテーマとして、3時間程度の研修でした。
平成12年4月1日、住宅品質確保法が施行され、10年間の瑕疵担保責任が義務化されたことは周知の事実となっていますが、平成17年のいわゆる姉歯事件をきっかけに、売り主などが瑕疵担保責任を果たすことが空振りにならないよう、平成19年、特定住宅瑕疵担保責任の履行確保等に関する法律が成立し、平成21年10月1日、本格的に施行されることになっています。
個人的なことですが、現在、私は事務所兼居宅を建築中ですが、設計・建設の住宅性能評価を、登録住宅性能評価機関に申請いたしました(評価住宅)。
昨日いただいた資料によれば、平成20年7月期は、全国で設計・建設の住宅性能評価の交付を受けたのは、一戸建ての住宅の場合、6834件あるようですが、そのうち、プレハブが3650件(53.4%)、在来木造が2809件(41.1%)を閉め、RC造は、わずかに1件です。
実は、私が現在建築していただいている住宅も、RC造なので、現時点では、申請は極めて珍しいのではないかと密かに自負しているところであります。
少し話にそれました。
新築住宅の引き渡しが、平成21年10月1日以降であれば、保険或いは供託の資力確保が必要になります。
すごいと思ったのは、評価住宅の申請手続は任意だったのですが、住宅瑕疵担保履行法により、平成21年10月1日以降の引き渡し物権の場合には、資力確保が義務付けられることになるわけです。
つまり、今までは、評価住宅の申請は任意であり、それゆえ、住宅紛争処理委員会への申立も、地方ではあまり活用されていませんでしたが、来年からは資力確保が義務づけられることから、紛争処理委員会に対して申立がされる件数も、飛躍的に増加するものと想像しています。
また、「住宅に関する参考とすべき判例について」と題して、犬塚浩弁護士の解説がありました。犬塚先生の講義はいつもわかりやすく大変参考になっています。
とりわけ、
①契約違反イコール瑕疵とはただちには言えないこと(最高裁平成15年10月10日の判例は事例判例と考えるべきこと)、
②法令以外の基準としては、JASS(日本建築学会建築標準仕様書)などがあるが、裁判所によって考慮されるかどうか判断が分かれていること、
③工事が予定された最後の工程まで一応終了しておれば仕事の完成と評価されること、
④見積書に記載された見積もりは、あくまで見積もりであって、増減などの効果は、結局合意によって発生すると考えるべきこと、
⑤不具合事象が現れていないからと言って瑕疵がないとはいえないこと、
⑥建物建築業者は、地盤の強度調査をすべき義務を負っていること、
⑦スウェーデン式サウンディング試験は地盤支持力を調べるについても性能には問題があるとされていること、
⑧最高裁平成19年7月6日によれば、施工業者は、建築にあたり、契約関係にない居住者に対する関係でも、建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負っていること、
⑨地裁判例により、基本的な安全性の対象は緩くとらえられていること、
⑩建築士の名義貸しについては、賠償すべき損害の範囲は限定されない裁判例があること、
⑪過失相殺や損益相殺は比較的認められやすいこと
⑫慰謝料については裁判所によってバラバラであること
⑬注文者の指示が誤っているからといって、請負人が免責されるとは限らないこと
⑭請負代金請求と損害賠償請求については同時履行の抗弁権が認められているが、信義則違反のような場合には、抗弁が主張できないこと
⑮請負人側からの相殺も、同時履行の抗弁権が付着はしているが、東京高裁平成16年6月3日は、認めていること
などたくさんのことを学びました。①から⑮は、犬塚先生が是非きちんと押さえてもらいたいという点を箇条書きにしたものです。
平成14年以降、研修に参加していますが、今回の研修ほど、よく理解できたものはありません。やはり、自ら性能評価制度を利用して、これらの法令や制度がより身近になったからでしょう。
今後も、続けて研修を続けていきたいと思います。
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