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【弁護過誤】

2024年12月14日 (土)

【弁護過誤】 弁護士である取締役が担当していた業務の執行に関する善管注意義務の程度

 銀行法務21・12月号の金融商事実務判例紹介で掲載された東京地裁令和6年4月9日判例です。

 弁護士資格を有することを前提に就任した取締役が、自ら担当していた会社買収に係る業務に関し対象会社の財務状態の調査や情報提供等を怠ったというべきであり、買収に伴って対象会社の債務につき連帯保証した後に代位弁済をした者との関係で、会社法429条1項または民法709条に基づき損害賠償責任を負うと判断されました。

 対象会社が債務超過で赤字続きであったにもかかわらず、調査および情報提供等を行う義務に違反して、連帯保証契約の切替えを避止させなかったということに対する責任が問われています。

 過失相殺すら認められていませんので、この被告の任務懈怠の程度は著しかったのでしょう。 

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(今治・ケヤキ並木)
 12月号は、企業価値担保権と実務的考察として、特集がくまれていますが、田舎弁護士には難解しすぎて、読むのをあきらめました。
 そろそろ、「銀行法務21」も引退かな😅

2024年11月12日 (火)

【弁護過誤】 これで訴えられたら、かなわんな😵

 判例時報No2601号で掲載されている東京地裁令和5年1月13日判決です。

 相続開始前の遺留分放棄許可申立ての手続代理人となった弁護士について、依頼者への説明義務違反及び被相続人の財産調査義務違反はなく、債務不履行責任及び不法行為責任が否定された事例です。

 この件は、原告が、被相続人から住宅購入資金として3000万円を生前に贈与してもらいたいために、被相続人がその条件として遺留分放棄することを内容の合意を成立されて、その合意に基づいて、遺留分放棄許可申立てがされたものです。

 合意ですが、お約束という表題の下で、「私は、このたび私たち一家が土地付きの家を買うための資金として、お父さんから3000万円の贈与を受けます。また、私は、Cお姉さんとDさんが長い間、お父さんを助けて〇〇家の家業のために頑張って来てくれたことも良く理解しています。そのため、私は、お父さんが私に贈与してくれたお金以外の財産をCお姉さんとDさんの2人に相続させることにしても、将来、2人に対して遺留分を請求しないことをし、すぐに家庭裁判所に遺留分放棄申立ての手続をすることを約束します。」と記載された書面を原告は作成しています。

 被相続人が死亡したところ、被相続人の遺産がなんと5億円を超えたものであるために、弁護士の責任を追及されたようです。

 こんな事例ですが、原告に弁護士がついて、手続代理人だった弁護士に対して損害賠償請求されたようです。 

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(フジグラン松山・フードコート)
 このような事例は裁判になってもまずは被告が負けることはないと思いますが、訴えられること自体が弁護士にとっては大きな負担なので、そのリスクを逓減するために、念書等をとりつけるなどの対応が必要かもしれません。 

2022年9月27日 (火)

【弁護過誤】裏紙利用はしないようにしよう。 ☹

 「自由と正義」9月号に、高名な弁護士が、裏紙利用で懲戒処分(戒告)を受けていたことを知り、驚きました。

 事案は、依頼人Aから受任した事件に関する一件書類の中に、裏紙を利用したものがあり、他の事件の依頼人に関する個人情報が印刷されていたというもので、その一件書類を依頼人Aの代表者であったBに、複写目的で交付する際に、一件書類の内容を確認することなく、その書類をBに交付したというものです。

 Bが、懲戒請求者となっております。

 昔は、ある程度企業でも平気で裏紙を利用していたと思います。

 しかし、個人情報保護等の見地からは、裏紙は再利用すべきではありません。また、再利用するとしても、事件記録に使うべきではありません。 

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(オデオン座劇場の奈落)
 法律事務所もこの点の感覚が甘いところがあります。
 数年前に、前任者の弁護士から、書類を引き継いだ際に、別件事件の裏紙を利用しているのを見て、驚いたことがあります。
 絶対に事件記録などに裏紙は使うべきではありません。
 田舎弁護士の場合、無駄な裏紙が発生しないよう、FAXは一旦電子データに変換されますので、必要なものにしか印刷しません。
 ただ、そうはいっても、毎日大量の裏紙は発生しますが、これらは特別の箱に入れて、定期的に、フジセキュリティにとりにきてもらって、溶解処分にしております。
 万が一、個人情報が記載された裏紙が外部流出するようなことがありますと、奈落に沈んでしまいます 😢
 依頼人的な方なので、油断されたのかもしれまえせん💦

2022年6月20日 (月)

【弁護過誤】 弁護士の仕事にはたくさんの落とし穴があるので注意が必要です。

 20数年以上弁護士をして感じることは、弁護士の仕事には、たくさんの落とし穴があるように思います。

 ベテランだから落とし穴に落ちないとは限りません。

 まず、知識がないことから生じる落とし穴です。弁護士が取り扱う業務は幅広いことから、特定の分野でさえ専門的な知見を得ることは困難です。交通事故で言えば、赤本や青本の編集者の1名になれば、交通事故に詳しいということを謳ってもよいと思いますが、地方の弁護士で交通事故に詳しいといっても限度があるように思います。そして、それは、交通事故だけではなくて、他の分野にもいえることだと思います。広く、浅くというのが現状だと思います。

 こればかりは、書籍や研修会等で知識を得るしかありませんが、今はかなりこの種の書籍等を手に入れることは可能です。

 第2に、経験がないことから生じる落とし穴です。例えば、ある手続をとればこの位の目安で解決できるだろうというのは、経験がなければ獲得することは困難です。

 これは、書籍や研修会等で得た知見を元にどんどん新しいことにチャレンジしていくしかありません。

 第3に、仕事が多忙なことから生じる落とし穴です。1件、1件の案件に十分な時間をかけることができれば、知識や経験不足を補うことは可能ですが、薄利多売化しているような現状を考えると、十分な時間をかけるのは難しいと思います。そうすると、検討不足からくるミスというのは発生しやすいように思います。 

 これは、仕事の量を調整するしかありません。

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(伊予富士から)
  
 そして、これらの落とし穴に留意しつつ、田舎弁護士の信条としては、薄利多売の仕事はしない、オーダーメイド型の仕事をする、そして、それに応じた費用はいただくことを原則としております。
 このようなスタイルの弁護士で将来も生き残れるかどうかはわかりませんが、田舎弁護士も還暦にそろそろ近づきつつあり、年金をもらえる位には、大過なく引退ができればと思っております。 
 弁護士の年金って、基本は、国民年金だけなんですね。。。
 田舎弁護士の場合には、弁護士国民年金基金、法人化した以降の厚生年金、弁護士会の互助年金、民間の個人年金等に加入しています。ただ、受け取れる金額を試算すると、現役の時の収入より大幅に減少します。家内の年金とあわせれば、なんとかということですので、夫婦円満でなければなりませんね💦
 
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(もうすぐ伊予富士)

2021年10月12日 (火)

【弁護過誤】 改訂版 弁護士のための非弁対策Q&A

 第一法規から、令和2年12月に、改訂版 弁護士のための非弁対策Q&Aが出版されました。

 「非弁」とは、弁護士については、業法として、弁護士法が定められており、そこで弁護士の名称独占、業務独占が定められています。非弁とは、このような弁護士の名称独占、業務独占に反する行為やその行為に弁護士が関与することです。

 非弁行為乃至非弁提携で、懲戒を受ける弁護士も増えています。

 懲戒どころか、刑事処分を受けたり、破産してしまう方もおられます。

   非弁提携の勧誘は巧妙といいながらも、ほとんどの場合、即独・早独(早期独立)の弁護士をターゲットにして勧誘してくるようです。

 本書は、「弁護士にとって最も重要な法律の1つである弁護士法72条、27条を中心に、それに関連する関係各法規・規程について、Q&A形式でその基本から応用、さらには今日の実情も踏まえた最新の議論を解説」したものです。

 Kimg1108_20210816220901                            (北三方ケ森登山道近く)

 非弁提携すると、その末路は、前に全く進めず、最後は、破滅してしまいます。この書籍は、そうならないための予防の書といえると思います。

 

 

2019年4月 3日 (水)

【弁護過誤】 破産申立て代理人の責任、破産管財人の責任

 判例タイムズNo1457号で紹介された金沢地裁平成30年9月13日判決です。
  •  破産手続開始申立代理人弁護士が破産債権者に受任通知を送付しているにもかかわらず、破産裁判所に提出した債権者一覧表に当該破産債権者を記載しなかった場合に、同申立て代理人らは、当該破産債権者に対する信義則上の義務に違反するものとして、当該破産債権者に対する共同不法行為を負うとされました。
 ★債権者一覧表ですが、もれないようよう作成しなければなりません。受任通知を出したところについては、注意が必要です。田舎弁護士の事務所の場合には、回答がないところ等不安が残るところについては、開始決定後に再度通知を書留で送ったりしています。
  •  破産管財人については、破産債権者一覧表に記載されず破産手続において配当が受けられなかった破産債権者に対し、善管注意義務違反及び不法行為に基づく損賠賠償責任のいずれも負わないとしております。
 ★ 破産債権者の調査については、破産者に委ねればたり、これを超えて自ら積極的に各種資料を精査するなど探索的な義務を負わないと判断しましたが、当然だと言えます。
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(今治城)

2019年3月 6日 (水)

【弁護過誤】 不動産売買に当たり、売主についての誤った本人確認情報を提供したことにより、弁護士である資格者代理人の不法行為責任が否定された事例 東京高裁平成29年6月28日判決

 判例タイムズNo2389号で紹介された東京高裁平成29年6月28日判決です。

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               (今治・織田が浜)

 Yが本件売買契約において依頼を受けた内容が必ずしも明らかではなく、売買代金が現金決済であることについて、Yが売買契約締結時まで認識していたとは認められない等の事実を認定した上で、

 自称Aが登記名義人であることを疑うに足りる事情があるときは格別、そうでない場合にまで、不登規則72条2項1号による方法以外の本人確認をすべき義務を負うことはないとし、

 本件住基カードに外見上不自然な点はなく、資格者代理人にはQRコードを読み取る義務まではなく、Yにおいて、できる限りの本人確認は行ったこと、

 本件遺産分割協議書の印鑑登録証明書の印影と同一ないし酷似した印影が押印されていることからすると、相続開始日の誤記から直ちに成りすましで疑うことはできないなどを理由として、Yの注意義務違反を認めず、不法行為責任を否定しました。

2018年4月 2日 (月)

【弁護過誤】 第1審における証拠の提出について依頼者の明示の指示に反した弁護士の訴訟活動につき説明義務違反が認められたが、債務不履行に基づく損賠賠償責任が否定された事例

 判例タイムズNo1445号で紹介された大阪地裁平成29年1月20日判決です。

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 本判決は、法律事務の専門家である弁護士は訴訟追行につき相当の裁量権を有し、訴訟においていかなる主張立証を行うかについては、原則として、弁護士が専門的な法律知識と経験に基づき判断を行う必要があり、その裁量権の範囲を超える場合に善管注意義務違反が問われることになると判断しました。

 →当然です。

 また、当該事件の帰趨に重要な影響を与える事項について依頼者から特に明示の指示を受けていたものの、同指示が不適当であると考えて指示と異なる事務処理を行う場合には、専門的事項であっても、弁護士はその報告・説明義務を負うと判断しました。

 →当然です。

 本判決では、裁量の範囲としつつも、説明義務違反は認めましたが、結局のところ、依頼人の指示どおりしたので、損害は発生していないと判断しております。

 控訴中のようです。

 最近の傾向ですが、ネットで玉石混交の情報が氾濫していることから、それに基づいて、相談や依頼を希望される方が増えております。友人の医師にきくと同様のことがあるようなので、専門職全般の傾向といえます。

 田舎弁護士の場合には、そのような情報をいただければ、それも十分に検討してから対応させていただいております。ただ、相当前に、相談の都度、文献を持参の上、ご自身の主張を強く述べられている方がおられ、そのように活動させていただいているにもかかわらず、毎度同じ説明を強いられたことがあり、その場合には、相談をお断りさせていただいたことがありました。

 田舎弁護士の場合は、役員報酬や顧問先収入でなんとか暮らしていけるので、当事務所の方針を受け入れていただけないような案件は受けないようにしておりますが、競争の激しい都会の法律事務所は大変だろうなと思っております。

2017年7月 6日 (木)

【弁護過誤】 恐ろしくて、売買の立会人等できない事例 東京地裁平成28年11月29日判決

 金融法務事情No2067号で紹介された東京地裁平成29年11月29日判決です。

 判決要旨は、

 住民基本台帳カード等を偽造して不動産の所有名義人になりすまし、買主との間で売買契約を締結して決済がされた後、上記偽造の事実が明らかになり、真の所有者から所有権移転登記の抹消登記手続を求められて当該不動産の所有権を取得できなかった買主に対し、

 住民基本台帳カード等の偽造に気付かないまま誤った売主の本人確認情報を提供した弁護士には過失があり、不法行為に基づく損害賠償責任を負う(過失相殺4割)と判断された事案ですが、

 認められた賠償金は、約1億6000万円+遅延損害金です。。。

 被告の弁護士は、弁護士賠償保険に加入しており、当該会社が補助参加しております。。。

 この事案の怖さは、だました人は、元クライアントでその依頼の時は特に問題がなかったということでした。報酬金30万円で売買の立ち合いに立ったというわけですが、売主が偽物で、弁護士を利用して、本人確認方法を簡略化させて、売買代金をだまし取ろうとしたものでした。

 被告の弁護士は、弁護士会に懲戒申立てられましたが、懲戒はされていません。

 しかしながら、民事の裁判では、過失ありとして、賠償義務が認められています。

 怖いです。。。。

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 判決書をよむ限り、被告の弁護士は立派な方のようなので、その肩書を利用されたのではないかと思います。本人確認も、著しく怠っているようには思えませんが、半分、結果責任を問われているような内容にも思えました。

 恐ろしや~  です。。。。
 

2017年4月 9日 (日)

【弁護過誤】 被相続人所有の不動産につき弁護士の助言により被相続人から孫に贈与を原因とする所有権移転登記をした相続人が単純承認したものとみなされたことにつき当該弁護士に説明義務違反があるとされた事例 東京地裁平成28年8月24日判決

 判例タイムズNo1433号で紹介された東京地裁平成28年8月24日判決です。

 本判決は、YがXに対し、相続放棄の申述に先立って所有権移転登記手続をすることのリスクをおよそ説明しなかったとは認められないが、

 所有権移転登記手続をとることによって直接利益を受けることがないXの立場に十分に配慮せず、単純承認をしたものとみなされることによって多額の債務の支払を求められ、自己破産も余儀なくされるおそれを現実性のあるものとしてXに理解させる説明をしていなかったとして、Yの損害賠償責任を認め、過失相殺の抗弁をも排斥しました。

 リスクについては説明はしているものの、軽く捉えられるような説明になっており、それでは不十分だということです。

 まさに他山の石です。

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               (八王子城・殿の道)

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