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【行政】 地方自治

2019年10月12日 (土)

【行政】 最高裁平成31年2月14日判決 名張事件

 最判平成31年2月14日です。判例時報2415号で紹介されました。 

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(ケイオーホテル・湯ノ浦)
 事案は、上告人(名張市)の市議会議員である被上告人が、上告人に対し、市議会運営委員会が被上告人に対する厳重注意処分の決定(本件措置)をし、市議会議長がこれを公表したこと(これらをあわせて本件措置等)により、被上告人の名誉が毀損されたとして、国賠法1条1項に基づき、慰謝料等の支払いを求めた事案です。
 第1審は、本件措置等は、被上告人に対する名誉毀損行為に該当するとしつつ、市議会の自律権の範囲内で決定された事項であって、その真実性又は真実相当性の抗弁については司法審査が及ぼないとして、被上告人の請求を棄却しました。
 
 第2審は、被上告人の請求は、名誉権という私権の侵害を理由とする国家賠償請求である以上、紛争の実態に照らしても、一般市民法秩序において保障される移動の自由や思想信条の自由という重大な権利侵害を問題とするものであり、一般市民法秩序と直接関係を有するから、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たるとし、本件措置等は、被上告人の市議会議員としての社会的評価の低下をもたらすと認められ、その真実性又は真実相当性の抗弁が認められないなどとして、被上告人の請求を慰謝料50万円の支払を求める限度で認容しました。
 司法試験の憲法の問題に出てきそうな論点です。
 では、最高裁はどのように判断したのでしょうか。。。。
(続く)
 

2019年10月11日 (金)

【行政】神奈川県政務活動費の交付等に関する条例についての最高裁判決  解説

 判タ1463号の続きです。判タの解説が参考になります。

 

Kimg1898
(高松)
 「不当利得返還請求権と損害賠償請求権のいずれを対象にするかについては、不当利得返還請求権を選択する例が多いようであるところ、政務活動費等の個々の支出の適法性の判断については、比較的多くの判例、裁判例等が存在しているものの、それ以外の不当利得返還請求権の発生要件についてはさほど注目されてこなかったように思われる。」
 「民法703条の不当利得返還請求権の成立要件は、伝統的な理解に従えば、①損失、②利得、③損失と利得の間の因果関係、④利得が法律上の原因に基づかないことである。
 このうち、①~③の要件については、地方公共団体が会派又は議員に対して政務活動費等を交付し、会派又は議員がこれを受領したことであり、通常は問題なく認められるであろうから、問題は④の要件である。
 政務活動費等の法律上の根拠を検討すると、政務活動費等は地方自治法及び条例上、その使途を限定して交付されるものであり、使途基準に適合する支出を行った結果残余が生じた場合には当然に返還すべき性質のものであることからすれば、「交付を受けた政務活動費等のうち、使途基準に適合する支出を当てていない部分がある」場合には、その部分については、「④法律上の原因に基づかない利得となろう。本件返還規定は、これを返還すべきことを明確にしたものであると考えられる。そうすると、本件のように、使途基準に適合する収支報告書上の支出の総額が政務活動費等の交付額を上回っている場合には、基本的には、交付された政務活動費等のうち使途基準に適合する支出に充てられていない部分は存在しないものといわざるを得ないから、④法律上の原因に基づかない利得があると認められないことになろう。
 次に、このような場合であっても、所定の支出が実際にも存在しないにもかかわらず架空の領収書を提出したような場合には、これが違法な支出のために政務活動費等を取得するものであり、そのように取得された政務活動費等は④法律上の原因基づかない利得であるとの評価が可能であるか否かがさらに検討されることとなろう。」と解説されています。
 要は、地方公共団体の条例の規律内容により、判断がわかれるということのようです。

2019年10月10日 (木)

【行政】神奈川県政務活動費の交付等に関する条例についての最高裁判決

 第1審・第2審と、最高裁とで結論を異にした事案です。

 

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(姫路)
 本件は、神奈川県議会の会派であるBが平成23年度から同25年度までに交付を受けた政務活動費等に関し、収支報告書に支出として記載されたものの一部が実際には支出されていないから、Bはこれを不当利得として県に返還すべきであるにもかかわらず、知事がその返還請求を違法に怠っているとして、県の住民Xが、知事Yを相手として、地方自治法242条の2第1項3号に基づき、知事がBに対する不当利得返還請求の行使を怠ることが違法であることの確認を求めた住民訴訟です。
 争点は、収支報告書に記載された支出のうち一部は実際には存在しない架空のものであるものの、Bの収支報告書上の支出総額が、政務活動費等の交付額を大きく上回っており、支出総額から架空のものとされた支出を差し引いたとしても、なお支出総額が交付額を上回っていたため、このような場合にも、不当利得が成立するかどうかが争点となりました。
 最高裁は、政務調査費及び政務活動費につき、具体的な使途を個別に特定した上で政務活動費等を交付すべきものとは定めておらず、年度ごとに行われる決定に基づき月ごとに一定額を交付し、年度ごとに収支報告を行うこととされ、その返還に関して当該年度における交付額から使途基準に適合した支出の総額を控除して残余がある場合にはこれを返還しなければならない旨の定めのある神奈川県議会政務活動費の交付等に関する条例に基づいて交付された政務活動費について、
 その支出報告書上の支出の一部が実際には存在しないものあっても、当該年度において、収支報告書上の支出の総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務活動費等の交付額を下回ることとならない場合には、
 
 当該政務活動費等の交付を受けた会派又は議員は、県に対する不当利得返還義務を負わない。
 第1審・第2審と異なる判断を示しました。

【行政】神奈川県政務活動費の交付等に関する条例についての最高裁判決

 第1審・第2審と、最高裁とで結論を異にした事案です。

 

Kimg1714
(姫路)
 本件は、神奈川県議会の会派であるBが平成23年度から同25年度までに交付を受けた政務活動費等に関し、収支報告書に支出として記載されたものの一部が実際には支出されていないから、Bはこれを不当利得として県に返還すべきであるにもかかわらず、知事がその返還請求を違法に怠っているとして、県の住民Xが、知事Yを相手として、地方自治法242条の2第1項3号に基づき、知事がBに対する不当利得返還請求の行使を怠ることが違法であることの確認を求めた住民訴訟です。
 争点は、収支報告書に記載された支出のうち一部は実際には存在しない架空のものであるものの、Bの収支報告書上の支出総額が、政務活動費等の交付額を大きく上回っており、支出総額から架空のものとされた支出を差し引いたとしても、なお支出総額が交付額を上回っていたため、このような場合にも、不当利得が成立するかどうかが争点となりました。
 最高裁は、政務調査費及び政務活動費につき、具体的な使途を個別に特定した上で政務活動費等を交付すべきものとは定めておらず、年度ごとに行われる決定に基づき月ごとに一定額を交付し、年度ごとに収支報告を行うこととされ、その返還に関して当該年度における交付額から使途基準に適合した支出の総額を控除して残余がある場合にはこれを返還しなければならない旨の定めのある神奈川県議会政務活動費の交付等に関する条例に基づいて交付された政務活動費について、
 その支出報告書上の支出の一部が実際には存在しないものあっても、当該年度において、収支報告書上の支出の総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務活動費等の交付額を下回ることとならない場合には、
 
 当該政務活動費等の交付を受けた会派又は議員は、県に対する不当利得返還義務を負わない。
 第1審・第2審と異なる判断を示しました。

2019年8月12日 (月)

【行政】 最高裁平成30年11月6日判決

 判例時報2407号で紹介された最高裁平成30年11月6日判決です。

 

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 事案は、広島県大竹市に市の土地の譲渡につき、市の住民らが、当該譲渡は地自法237条2項にいう適正な対価なくしてなされたにもかかわらず、同項の議会の議決によるものではないことなどから違法であるとして、同法242条の2第1項4号に基づいて、当時の市長の職にあった者に対して損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟です。
 
 過去3回程公募をかけたのですが、いずれもうまくいかず、4回目の時は、不動産鑑定士の鑑定評価は7億1300万円だつたのですが、市は予定価格を3億3700万円としたところ、3億5000万円で応募があったので、市議会の譲渡決議及び決算議決(3億5000万円の収入を計上)をして、売却したという事案です。
 第1審は、本件譲渡は適正な対価なくしてされたものではなく、仮にそうだとしても、本件譲渡決議と決算議決は、地自法237条2項の議会の議決にあたるとして、請求を棄却しました。
 
 第2審は、本件譲渡は適正な対価なくしてされたものであるとした上で、議会の議決があつたということはできないとして、本件土地の適正な対価の下限であるという鑑定評価額の7割相当額と本件譲渡価格との差額、約1億5000万円相当を認容しました。
 最高裁は、地自法237条2項の議会の議決があったものと判断して、第2審判決を破棄しました。
 
 地自法237条2項は、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、適正な対価なくして譲渡し、貸し付けてはならない旨を規定するところ、同項の議会の議決があつた場合には、特段の事情がない限り、当該譲渡等を行ったことにつき首長は免責されるものと解されている。
 
 最高裁平成17年11月17日判決は、同項の議会の議決があつたというためには、財産の譲渡等が適正な対価によらないものであることを前提として審議がされた上、当該譲渡等を行うことを認める趣旨の議決がされたことを要する旨を判示しています。
 
 第2審は、議案の提出者が適正な対価による譲渡として議案を提出したことを重視して、本件譲渡議決が地自法237条2項の議会の議決に当たらないとしています。
 しかし、最高裁は、当該譲渡が適正な対価によるものであるとして提出された議案を可決する議決であるからといつても、直ちに同項の議会の議決でないということはできないし、また、当該譲渡等が適正な対価によらないものである旨の議会の認識を明らかにした上でされた議決でないということもできない旨の説示をしたものであろうとされています。
 要は、最高裁は、審議の実態に即してその趣旨の議決がされたと評価できる場合には、地自法237条2項の議決があったと考えたものです。

2019年5月 1日 (水)

【行政】 地方自治法237条2項と最高裁平成30年11月6日判決

 判例タイムズNo1458号で紹介された最高裁平成30年11月6日判決です。地方自治法237条2項は、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、適正な対価なくして譲渡し、貸し付けをしてはならない旨を規定しており、同行の議会の議決があった場合には、特段の事情のない限り、当該譲渡を行ったことにつき首長は免責されるものと解されています。

 

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 判決要旨を紹介いたします。
1 普通地方公共団体の財産の譲渡又は貸し付けが適正な対価によるものであるとして議会に提出された議案を可決する議決がされた場合であっても、当該譲渡等の対価に加えてそれが適正であるか否かを判定するために参照とすべき価格が提示され、両者の間に大きなかい離があることを踏まえつつ当該譲渡等を行う必要性と妥当性について審議がされた上でこれを認める議決がされるなど、審議の実態に即して、当該譲渡等が適正な対価によらないものであることを前提として審議がされた上これを認める趣旨の議決がされたと評価できるときは、地方自治法237条2項の議会の議決があったというべきである。
2 普通地方公共団体の財産である土地の譲渡が適正な対価によるものであるとし議会に提出された議案を可決する議決につき、
① 不動産鑑定士による鑑定評価額と当該譲渡の価格との間におおきな乖離があることを踏まえて審議がされたこと、
② 議会においては、当該土地の所在する地区に小中学校が移転するまでに、防犯や児童生徒の安全のため、当該土地が住宅地とされる必要がある旨の意見があったところ、2回の一般競争入札やその後の公募を経ても当該土地を譲渡することができず、更にその後行われた公募により譲渡先である事業実施者が選定されたことなど判示の事情の下においては、当該議決がされたことなど判示の事情の下においては、当該議決をもって、地方自治法237条2項の議会の議決があったということができる。

2019年4月17日 (水)

【行政】 地方議会が行った議員に対する出席停止処分

 判例時報No2395号で紹介された仙台高裁平成30年8月29日判決です。

 地方議会が行った議員に対する出席停止処分が議員報酬減額につながるような場合には、その処分の取消等を求める訴えは、司法審査の対象となるとされた事例

 従来の最高裁判決は、出席停止は、法律上の争訟に該当しないが、除名は、法律上の争訟に該当すると判断されています。

 原審も、同様の判断ですが、仙台高裁は、出席停止といえども議員報酬の減額につながるような場合には、法律上の争訟に該当すると判断しました。

 最高裁に上告・上告受理申立てがされております。

 出席停止処分は議院の権利行使を一時的に制限するものにすぎないことから、仙台高裁の判断は覆るのではないかと思われます。地方議会の自律性こそ重んじられるべきでしょう。

2019年3月 4日 (月)

【行政】 町による地元出身衆議院議員の大臣就任祝賀式典の挙行及びこれに伴う公金の支出が違法でないとされた事例 最高裁平成元年7月4日判決

 判タNo734で紹介された最高裁平成元年7月4日判決です。

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                  (松下村塾)

 町が地元出身衆議院議員の大臣就任を祝うため提灯行列及び立食パーティ等を内容とする2日間の祝賀式典を挙行し、そのために約326万円の公金を支出した場合において、

 右議員は長年にわたり町の発展のために尽力してきたものであることから、各種団体の多数の代表の提案に基づき右式典が計画されたものであり、これに関する予算案は議会の圧倒的多数で可決されており、

 また、右式典には多数の町民が参加した等原判示の事実関係の下においては、

 右祝賀式典の挙行及びこれに伴う公金の支出は、社交儀礼の範囲を逸脱しているとまでは断定することができず、違法とはいえないと判断しております。

 なお、本判決には、伊藤正己裁判官の反対意見があります。

 伊藤裁判官は、

 ①本件祝賀式典の内容は全体として行き過ぎたものであり、この種の式典を挙行する場合に要請される配慮と抑制を欠くものである、

 ②本件支出は、一政治家の大臣就任を祝う式典に対する支出としては課題である、

 ③多数の式典参加者にすべて公費で飲食費をまかなうことは著しく妥当でないとし、したがって、本件支出は、全体として、社会儀礼の範囲を逸脱したものとして違法と言わざるを得ないと意見しております。

                   ↑

 これに対して、原判決も、本件祝賀式典について、その費用が金額的にも町予算総額に占める割合でも決して少額とはいえず、内容の点においても配慮に欠ける点がないではないとは指摘しているものの、社会儀礼の範囲を逸脱しているとまでは断定できないと判断し、最高裁の多数意見もこれを是認することができると判断しております。

 

2019年3月 3日 (日)

【行政】 普通地方公共団体の長その他の執行機関が一般的な友好、信頼関係の維持増進自体を目的として各種団体等の主催する会合に列席し祝金を交付するなどの交際をすることの適否 最高裁平成18年12月1日判決

 本件は、市長が各種団体の主催する会合に列席する際にされた祝金の支出を違法として、同市長及び資金前渡を受けて支払いをした秘書室長各個人に対し損害賠償を求めた住民訴訟についての、最高裁平成18年12月1日付判決です。

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                (津和野城)

 普通地方公共団体の長又はその他の執行機関が、各種団体等の主催する会合に列席するとともにその際に祝金を主催者に交付する等の交際をすることは、

 その交際が一般的な友好、信頼関係の維持増進自体を目的とされるものであったとしても、

 住民の福祉の増進を図ることを基本として地域における行政を自主的かつ総合的に実施するという普通地方公共団体の役割を果たすため相手方との友好、信頼関係の維持増進を図ることを目的とすると客観的にみることができ 

                   かつ

 社会通念上儀礼の範囲にとどまる限り、

 当該普通地方公共団体の事務に含まれるものとして許容されるが、

 上記のことを目的とすると客観的にみることができず、又は社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものである場合には、当該普通地方公共団体の事務に含まれるとはいえず、その費用を支出することは許されない。

                  ↓

 ライブハウスの新店主披露祝賀会(店主は市議会議員を歴任した市政功労者)、部課長会(市のすべての部課長により構成された団体)、お寺の継承披露祝賀会(住職が民生・児童委員を歴任)は、アウト

 市同窓会、市民クラブ(市議会の会派)、焼酎愛飲党については、OK

 

 
 

2019年3月 2日 (土)

【行政】 政治的団体に対する地方公共団体の補助金の支出が地方自治法232条の2にいう「公益上の必要」に基づくものであるとされた事例 最高裁昭和53年8月29日判決

 判タNo369号で掲載された最高裁昭和53年8月29日判決です。

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                  (今治城)

 第1審は、公金が補助金として無償で一党一派の政治的団体に流出することは憲法の禁止するところであるという見解を前提とし、地方自治法232条の解釈上、政治的団体への補助金の支出は、公益上必要なものではなく、このことは、当該政治的団体の公益的活動のみに対する補助金としての支出であったとしても、左右されるものではないとし、給連の正確を政治的団体と認定し、本件補助金の支出は違法であると判断しました。

                    ↓

 第2審は、政治的団体に対する補助金の支出を全面的に違法とする見解を斥け、もっぱら、地方自治法232条の2の「公益上の必要」の見地から補助金支出の適否を判断すべきものとし、

 給連は政治資金規正法3条2項の政治的団体であるが、本件補助金は主として、給連各支部の公益(文化・体育・衛生・福祉等)活動を対象として支出されており、仮にその一部が給連の政治資金、選挙資金に流れ込むことがあったとしても、その量は微々たるもので実害に乏しいと認定判断し、本件補助金の支出は公益上の必要に基づかない違法な支出とは言えないと判断しました。

                   ↓

 最高裁は、本件補助金が公益上の必要に基づくものであるとした原審の判断を正当として支持したものです。

 

 

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