【労働・労災】フリーランス法が昨年11月~施行されています。
第1法規から出版された「ケーススタディでわかる フリーランス・事業者間取引適正化等法の実務対応」です。
フリーランス法の全体像ですが、フリーランスの募集から、契約の締結、契約の履行、契約終了の各段階において、取引の適正化を図る観点から、下請法同様の規制をするとともに、フリーランスの就業環境の整備を図る規定が定められています。
1 フリーランスの募集
●募集条項の的確表示(12条)
→広告等によりフリーランスの募集情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならず、正確かつ最新の内容に保つ義務を負います。
2 契約の締結
●契約条件明示義務(3条)
→フリーランスに業務委託をした場合、直ちに、契約条件を書面または電磁的方法で明示する義務を負います。この条文だけは、フリーランスを含む全ての発注者に適用されます。なお、補充事項がある場合にも、直ちに明示する義務を負います。
●禁止行為(買いたたきの禁止)(5条1項4号)
→フリーランスに1か月以上継続する業務委託をする場合、通常相場に比べ低い報酬の額を不当に定めることは禁止されます。
●報酬の支払期日(4条)
→フリーランスから給付を受領した日(または役務の提供を受けた日)から60日以内のできる限り短い期間内に報酬の支払期日を定めて支払う義務を負います。フリーランスへの委託が再委託の場合、一定の条件を満たせば、元委託支払日から30日以内に支払えば足ります。ただし、契約時に一定の事項の通知が必要です。
(横峰寺)
3 契約の履行
●禁止行為(5条)
→フリーランスに対し、1か月以上継続する業務委託をした場合、以下の行為が禁止されます。
①フリーランスに責任がないのに給付の受領を拒否すること
②フリーランスに責任がないのに報酬を減額すること
③フリーランスに責任がないのに返品を行うこと
④正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
⑤自己のために金銭、役務その他の経済的利益を提供させること
⑥フリーランスに責任がないのに内容を変更させ、またはやり直しをさせること
●妊娠・出産・育児・介護配慮義務(13条)
→6か月以上継続して業務を受託するフリーランスが、妊娠、出産、育児、介護と両立して業務を行えるよう、フリーランスの申出に応じて、必要な配慮をする義務を負います。なお、6か月に満たない業務を委託する場合にも努力義務が課せられています。
●ハラスメント対策義務(14条)
→フリーランスに対するハラスメント行為について、フリーランスからの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な処置を講じる義務があります。
4 契約の終了
●解除等の予告(16条)
→6か月以上の継続的業務委託を中途解除・不更新とする場合、原則として、契約終了の30日前までにフリーランスに予告する義務を負います。また、契約満了までにフリーランスから契約終了の理由の開示を請求された場合には、原則として遅滞なく理由を開示する義務を負います。
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