金融法務事情No2105(1月10日号)の「判例・実務から考える民事執行」で掲載されたテーマです。

(山口・湯田温泉)
強制執行手続が先行し、その後に破産手続が開始された場合、破産法42条2項の適用を巡って、差押債権者と破産管財人との間で深刻な利害対立が発生したという事案です。
最高裁平成30年4月18日決定は、破産管財人を勝たせました!。
株券が発行されていない株式に対する強制執行の手続において、当該株式につき売却命令による売却がされた後、配当表記載の債権者の配当額について配当異議の訴えが提起されたために上記配当額に相当する金銭の供託がされた場合において、
その供託の事由が消滅して供託金の支払委託がされるまでに債務者が破産手続開始の決定を受けたときは、当該強制執行の手続につき、破産法42条2項本文の適用があると解するのが相当である。
★解説によれば、「取立権の行使により請求債権の満つるまでの支払を第三債務者から受けたが、取立完了届を提出しないままにしていたところ、その間に債務者につき破産手続開始決定がされ、破産管財人から債権差押命令の取り消しが上申された場合も、取消が認められることになろう。その場合、既に取り立てた金銭の帰属については、本決定と同じような問題が生じることになる。本決定の射程がここで及ぶとすれば、既に取り立てた金銭等についても、破産財団に対してはその効力を失うということになる。いずれにせよ、差押債権者としては、取立権の迅速かつ的確な行使、及び取立後の事後処理(取立届等の早期提出)等に万全を尽くすべきということになろう。」と説明されています。
クワバラ クワバラ
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