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【倒産】

2025年3月 2日 (日)

【倒産】 丸住製紙 再生法 申請 (>_<)

 愛媛の誰でも知っている四国中央市にある名門企業丸住製紙が負債590億円を抱えて東京地裁に民事再生法の申請を行いました。

 丸住製紙は、ピーク時の2008年には、約743億円の売上を誇っていたものの、2023年は、約458億円まで減少し、5年間の最終損益も、▲52億円、▲60億円、8億円、▲117億円、▲150億円と、大きな不振に陥っております。

 1年位前に、ダイヤモンドで、井川意高元大王製紙会長が、丸住製紙の苦境についてのインタビーがされていたようですので、地元では、かなり前から同社の経済的苦境については取り沙汰されていたのではないかと思います。

 新聞用紙や出版用紙など、徐々に時代から取り残されつつある、洋紙製造が主力であるため、業態の変更等も検討されるべきだったのですが、その検討がかなり遅れてしまっていたようです。

 時代に取り残された名門企業という印象を抱かせる今回の申請ですが、田舎弁護士にとっても他人事ではありません。

 「地方のマチ弁」という業態も、その需要は年々低迷していくでしょう。

 生き残るためには従来の弁護士像を超えた「新しいこと」を考えなくてはならない時代になっております。

 もっとも、スタッフや家賃の支払がないという小さな規模の「地方のマチ弁」であれば、支出がおさえられるために、生き残っていくことは十分に可能だとは思いますが、子どもに家業としてそれを嗣がせるようなものには至りませんね。

 食べてはいけるので、カントリーライフが好きな人であればいいとは思います(ただ、浪費に走ってしまうと、老後は鉄柵のある別荘で過ごすことになります😵)

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(休憩・嫁ちゃん🍫)
 田舎弁護士の場合、子どもたちも愛媛に帰ってくることはないでしょうから、支出は抑制して、老後は、嫁ちやんとぼちぼちやっていけるようしたいと思います。

2024年12月 9日 (月)

【倒産】 破産と交通事故(人損)

 交通事故の際の人的損害につき、債務者が破産した場合についてどのように取り扱われるかについて、判タNo1525掲載の令和6年3月6日付名古屋地裁判決が紹介されていました。

 まず、運転免許停止中に発生させた交通事故(人身)について、被告に対する損害賠償請求権が、破産法253条1項3号の非免責債権に該当しないと判断しました。

 悪意の不法行為に基づく損害賠償請求権や、故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権は、非免責債権とされています。

 悪意とは、故意だけでは足りず、他人を害する積極的な意欲を意味すると解されていますので、一般的な過失事案だと難しそうです。

 重過失については、交通事故事案においてはケースバイケースであり、本件では、重過失はないものと判断されました。

 そして、被告が、訴訟継続中に破産手続開始決定の申立てをされたときには、免責が許可されたときは、上記損害賠償請求権がいわゆる自然債務となるとしたうえで、当事者の意思を確認したうえで、給付保持力が存在することを確認する限度で質的一部認容としました。

 いずれにせよ、免責が許可された場合には、強制執行はできません😵 

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(世田山山頂)

2024年12月 3日 (火)

【倒産】 破産しても、支払義務が残る債権があります😅

 破産すると、全ての負債が消えて無くなると思っている方が多いですが、実はそうではありません。

 破産法第253条には、仮に免責決定を受けても、免責の効力が及ばない債権のリストを挙げています。

 第1に、租税等の請求権です。 税金は残ります。

 第2に、破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権です。勤務先のお金を横領してしまったような場合が典型でしょう。

 第3に、破産者が故意又は重過失により加えた生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権です。飲酒運転して死亡事故を発生させてしまったような場合がこれにあたります。

 第4に、破産者が負担する扶養義務等に係る請求権です。養育費等です。

 第5に、雇用関係に基づく使用人の請求権等です。これはそれほど例は多くないかもしれませんね。

 第6に、破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権です。これは、例がそこそこあります。記載しなかったことに過失がある場合も含まれますので、債権者に漏れないように注意が必要です。

 第7に、罰金等の請求権です。まあ、刑罰やそれに近いものなので当然でしょう。

 

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(横峰寺遍路道)
 破産しても、いろいろと支払義務が残る債権があります。注意しましょう。

2024年6月28日 (金)

【倒産】 偏頗行為の否認⁉

 ここ数年なぜか裁判所から大型の管財事件の打診はないために、田舎弁護士の破産法の知見は干乾びているような状態です😅

 ところで、破産事件の申立をサポートする際に、申立てや受任通知以前の負債の支払いについてはいわゆる否認の問題が生じることがあることが多いために、聞き取りも慎重になります。

 否認の1類型として、偏頗行為の否認というものがあります。要は、債権者間の平等弁済を害する行為についての否認です。さらに、破産法では、さらに2つのケースを定めております。

 第1は、支払不能等の後の担保の供与または債務の消滅に関する行為として、本旨弁済を対象とするものです。

 否認の主な要件は、3つです。

 ① 支払不能となった後または破産手続開始申立てがあった後にした行為

 ② 既存債務についてされた担保の供与または債務の消滅に関する行為

 ③ 受益者の悪意

 倒産してしまってからは、それを知っているのであれば本旨弁済もだめですよということです。

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(東京深川資料館)

 第2は、支払不能前30日以内の、破産者の義務に基づかない担保の供与または債務の消滅に関する行為として、非本旨弁済を対象とするものです。

 これも否認の主な要件は、3つです。

 ① 破産者の義務に基づかない

 ② 支払い不能となる前30日以内になされた行為

 ③ 受益者の悪意

 この非本旨弁済が他の破産債権者を害することを知っていた場合には、だめですよということです。

 但し、③の受益者の悪意については、証明責任が転換されています。伊藤眞の教科書によれば、「受益者たる債権者の側で、行為の当時、他の破産債権者の側で、行為の当時、他の破産債権者を害する事実を知らなかったことを証明して、はじめて否認の成立が阻却される。」と説明されています。そして、「他の破産債権者の利益を害する事実とは、偏頗行為否認の基礎である債権者平等を害する事実を意味し、具体的には、30日内の支払不能の発生が確実に予測された事実と解され」ています。また、青林書院破産法によれば、「破産債権者を害する事実・・具体的には、支払不能が近接しているという事実の認識を問題とすべき」と説明されています。さらに、弘文堂破産法によれば、「支払不能の発生が相当程度以上の蓋然性をもって予測される状態を意味すると解すべき」と説明されています。

 そして、田舎弁護士も破産管財人になったときに利用したことがありますが、相手方と交渉が難航しそうな場合には、破産裁判所に、否認の請求の申立てを行い、裁判所で相手方と和解、和解が難しい場合には、決定をいただくということで対応していました。

 裁判所に否認の査定をした場合には、相手方も、相当程度のお金を支払う意向を示すことが少なくないので、裁判所で和解していました。

 他方で、相手方である債権者としては、管財人に対抗するためには、やはり、善意であることの立証ができるかどうかに尽きると思いますが、支払期限よりも先に支払うということは、どうして?という疑問を抱いて債務者に質問することもあるのではないかと思います。債務者がいやもう債務超過でやっていけないので等と言うと、受益者が悪意ということになってしまうので、余計なことはきかないようがいいかもしれませんね😅

2024年5月 2日 (木)

【倒産】 東京地裁倒産部における近時の面積に関する判断の実情

 判例タイムズNo1518号に掲載された「東京地裁倒産部における近時の免責に関する判断の実情」です。令和5年度で、東京地裁において、免責不許可事由となった案件は、0.32%ですので、余程のことがなければ、免責不許可ということにはならないということがわかります。

 現金800万円を知人女性に贈与した事案、現金110万円を申立直前に引き出して浪費し且つ虚偽の説明等をした事案、手続開始後163万円を引き出して虚偽説明をした事案、140万円の偏波弁済をした事案、破産手続開始2年前に800万円を費消した事案、携帯料金約460万円を費消し虚偽説明をした事案、正当な理由なく債権者集会期日に欠席した事案、虚偽の債権者名簿を提出した事案、不正な手段によって管財人の職務を妨害した事案など、多様性に富んでいます。 

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(福山ニューキャッスルホテル)
 破産する以上、誠実な破産申し立てをしないと、免責不許可となって、あとで痛い目にあいます。当職の経験でも、2件ほど、免責不許可となった事案の相談を受けたことがあります。誠実な破産申し立てについては、代理人弁護士がきちんとサポートしていくべきだと思います。管財人に就任した際に、とても残念なことですが、公的な扶助を受けた破産申し立てについては、ごく一部の弁護士ですが、サポートが十分でないケースを目にすることがあります。受任された以上、報酬の多寡を問わず、誠実に事務を処理されるべきだと思います。

2024年1月13日 (土)

【倒産】 詳解特別清算の実務 

 中央経済社から、2023年に出版された、「詳解特別清算の実務」です。書式が92もあります。特別清算の申立てですが、過去、3件程申立てをしたことがありますが、いずれも参考文献が少なく、新日本法規の入手困難な書籍を同社の好意で手に入れることができ、それを参考にしながら、進めたことを思い出しました。

 実務家って、やはり、ひながたがないと安心して申立てができないというところがあります。

 執筆者は、弁護士と公認会計士の資格を有しております。そういえば、田舎弁護士が弁護士になったころは、司法試験が超難関であったため、公認会計士や医師等の資格を有する方はごくごく少数だったように思います。今では、弁護士等の集まりにいくと、弁護士+αの資格が記載された名刺をいただくことが増えました。

 田舎弁護士の事務所で勤務をされていた弁護士も、昨年挨拶にこられましたが、北大医学部を卒業されて、医師の名刺をお持ちでした😁 

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(世田薬師の地蔵様)
 世田薬師の地蔵様ですが、おそらく100年以上前から変わらず鎮座されているのではないかと思います。慈愛に満ちたお顔は鎮座されてからお変わりになっていないと思います。傘をおつけになったり、小さな門松をおいたり、地元の方の信奉も変わらないのでしょう。田舎弁護士は、その本質は弁護士ですので、弁護士としての矜持は変わらずに持ち続けたいと思っております😄

 

2023年6月12日 (月)

【倒産】銀行法務21・6月号 廃業時における経営者保証に関するガイドラインの基本的考え方の課題、その実務への当てはめ

 主債務整理手続の提言として、①日弁連特定調停スキーム(廃業支援型)、②事業再生等GL(廃業型)、③特別清算スキームが紹介されていました。

 ①日弁連特定調停スキーム(廃業支援型)は、手続費用も破産手続きに比べて著しく低廉であるため、破産手続費用が捻出できない場合であっても利用できること、また、弁済計画に積極的に合意はできないが弁済計画の成立を積極的に否定する意思まではないという金融機関がいる場合、消極的合意としての調停に代わる決定(17条決定)によって、債務整理を成立しやすいという利点がある。

 但し、本スキームは、特定調停申し立て前に弁済計画に対する概略的合意が必要なので、支援専門家やメイン行の負担が大きいという弱点もある。

 ②事業再生等GL(廃業型)は、第三者支援専門家の選任を必須とするので、①と比べると費用は高額になる(但し、補助金あり)。また、事業再生等GLには、主要債権者制度の導入、一時停止等要請の終期の定めの義務化、第三者支援専門家の役割の限定等により、法的整理手続や特定調停に比べて迅速な手続進行が期待できるなどの利点がある。

 但し、本GLにおける利害関係のない中立かる公正な第三者は、裁判所等公的な機関ではなく、民間人たる第三者支援専門家であること、消極的合意の手段がないこと、多数決原理の適用がないこと等により、銀行が組織決定を得るためのハードルが他の制度に比べて高いという弱点がある。

 ③特別清算スキームは、主債務は協定型の特別清算手続、保証債務は日弁連特定調停スキームという組み合わせで構成されるスキームである。

 但し、このスキームは、銀行主導の廃業支援でなければ利用できないという弱点もある。 

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(笠松山登山口)
 破産手続き以外にも、廃業支援としてのスキームは複数あります。
 ただ、地方の余り勉強していない弁護士に相談すると、まず、破産手続きしかアドバイスしないんじゃないかな😖

2021年11月11日 (木)

【倒産】 遺産分割協議と無償行為否認

 共同相続人間の遺産分割協議により、法定相続分割合と異なる遺産の分割がなされた場合、法定相続分を下回る遺産しか取得しなかった相続人の破産管財人は、当該遺産分割協議が破産法160条3項の無償行為に該当するとして、これを否認することができるかという論点があります。 

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(林道木地川線)
 同種の問題について、詐害行為取消権については、最高裁平成11年6月11日判決が詐害行為となり得ることを認め、国税徴収法39条(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)については、最高裁平成21年12月10日が、同条所定の第三者に利益を与える処分に当たり得ることを認めていますが、遺産分割協議に関する否認権行使に関してはいまだ最高裁判決が存在していない状態です。
 東京高裁平成27年11月9日判決(東京地裁平成27年3月17日判決)は、父Aの相続人次男Z(他には、長男Y)が、平成22年1月9日に総額約2億3700万円の遺産のうち、約2億1000万円をAが取得し、Zは約2600万円を取得する遺産分割協議を成立させたものの、平成22年5月ころに、Zは支払い停止、6月に破産手続開始決定、管財人XからYに対して法定相続分を超えて超過した約9200万円請求をしたという事案です。
 第1審、第2審ともに、管財人が敗訴しています。
 東京高裁は、遺産分割協議は、原則として無償行為には当たらないが、特段の事情がある場合には、当たり得るが、本件では特段の事情はないと判断したものです。
 なんとなく、管財人のように考えてしまいますが、高裁は原則としては無償行為には当たらないと判断しています。

2021年10月26日 (火)

【倒産】 通常再生の実務 Q&A 150問

 金融財政事情研究会から、令和3年2月に出版された通常の再生の実務Q&A150問です。 

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(今治・鈍川渓谷)
 通常再生の実務Q&Aは、破産実務Q&Aや個人再生Q&Aと異なり、民事再生法の教科書の項目立てに類するところが相当数あります。
 通常再生に関わる弁護士が、それ以外に比べて、少ないからだろうということは容易に想像できます。
 13章から構成されています。①手続選択、受任、②申立て、保全、③開始決定とその影響、④開始決定後の手続総論、⑤取引継続・事業継続の対応、⑥機関、⑦担保権、⑧スポンサー選択、⑨再生計画案の作成と認可、⑩認可後の手続、⑪手続の移行、⑫外国倒産手続との関係、⑬業種別にみた留意点です。
 
 田舎弁護士も、通常再生については、申立代理人になったことはありません。また、民事再生の監督員には2回ほど就任しました。通常再生は、比較的規模の大きな会社で事業継続もできるかもしれない会社なので、監督員という形でもかかわりますと、ものすごく力が付きました💦
 なお、写真は、今治鈍川渓谷の地蔵石です。昭和8年7月15日と刻まれています。地蔵様の上には、馬の図柄があります。おそらくは、牛や馬の神様である奈良原神社の参道にあたることから、この地蔵石が設置されたのでしょう。

2021年9月 5日 (日)

【倒産】実務家が陥りやすい破産管財の落とし穴 新日本法規

 新日本法規から令和3年5月に出版された「実務家が陥りやすい破産管財の落とし穴」です。いわゆる「落とし穴」シリーズですね。 

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(北三方ヶ森)
 10章から構成されています。①破産申立て、②破産手続開始決定、③破産財団の管理、換価及び契約関係の処理、④否認権の行使、⑤相殺の禁止、⑥自由財産の拡張、⑦破産債権と財団債権、⑧財団債権の弁済、債権調査、配当、⑨破産管財と税務、⑩免責の許可、非免責債権です。
 それぞれにQ&Aを設定しております。
 日頃の業務で、間違ってしまいそうなところを的確に解説されています。
 例えば、「破産者が法人の場合、自動車を破産財団から放棄しただけでは破産管財人が運行供用者責任を問われたり、破産財団に課税の負担が生じたりする可能性がある」というのは、なるほどなと思いました。
 ただ、廃車手続の場合は、警察署が受理してくれるかどうかですが、大昔に田舎弁護士が関与した事案では、所在不明のトラックがあり、それが違法な装備であったことから、国の方から連絡がきたのですが、運行供用者責任を問われないように、警察に盗難届を出しましたが、突き返されたということがあり、廃車手続までには至りませんでしたことを思い出しました。
 金融機関に顧問先があるためか大きな管財事件が回ってこないため、知見のメンテナンスができず、能力を維持するのが難しいので、このような書籍があると、安心です💦
 

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