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書籍紹介(企業法務・金融)

書籍紹介(不動産・建築)

建築・不動産

2009年9月23日 (水)

【建築・不動産】 不動産の売買契約が、売主に意思能力がないことを理由に、無効とされた事例 東京地裁平成20年12月24日

 判例タイムズNo1301号(9月15日号)で紹介されている裁判例です。

 事案は、売主Xが、Y1との間で、売買契約を締結し、Y2のY1に対する貸付金を保全するために、Y2名義の根抵当権設定がなされている案件です。

 裁判所は、XとY1との間の売買契約は、意思無能力を理由に、無効として、また、民法94条2項類推適用を否定して、Y2の根抵当権設定も無効として、Xを勝たせました。

 解説によれば、「意思能力については、その不存在を主張する側がその立証責任を負うところ、意思能力は行為者の精神状態にかかわり外面からはわかりにくいものであることや行為者が一応は法律行為をしたことが判断の前提になることなどから、一般にその立証は困難と言われているようです。

 そのため、意思能力の不存在が認められて法律行為が無効とされた裁判例は少ないと言われています。

 当事者の表示をみて、ふと疑問に思ったのは、Xには後見人がいないようです。あれ、大丈夫なのかな?と感じました。

 判決文をよく読むと、「原告は、本件訴訟を提起するにあたって後見開始の審判等を受けていないが、この事実をもって直ちに、原告が本件売買契約の意味内容を理解していた事実を推認することはできない。」と記載されていました。

2009年9月 7日 (月)

【建築・不動産】 第3弾 住宅かし担保履行法をご存じですか (9月5日付愛媛新聞)

 平成21年9月5日の愛媛新聞に、国土交通省住宅局住宅生産課の全面広告が載っていました(20頁目)。 pencil

 住宅かし担保履行法が、平成21年10月1日から、本格スタートとなります。この住宅かし担保履行法の概要について、主として、消費者に周知させるために、載せられたものです。

 私が8月16日に行ったセミナーの光景なども載っていました。happy01

 住宅かし担保履行法は、新築住宅を供給する事業者に対して、瑕疵(構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分)の補修等が確実に行われるよう、保険や供託を義務づけるものです。平成21年10月1日以降に引き渡される新築住宅が適用かのうです。万が一、事業者が倒産した場合等でも、2000万円までの補修費用の支払いが保険法人から受けられます。house

  まんがでわかる住宅かし担保履行法は、本当にわかりやすい小冊子です。(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、無料で配布しているようなので、興味のある方は、お取り寄せさせることをお勧めします。また、同センターのホームページからも、ダウンロードすることもできるようです。eye

2009年9月 2日 (水)

【建築・不動産】 第2弾 住宅瑕疵担保履行法セミナー講演録 

  平成21年8月16日、愛媛新聞社主催で行われた住宅瑕疵担保履行法のセミナーの講演録(同社住宅公園パル)ができあがりましたので、今後の参考のため、アップしておきます。皆様の参考になれば嬉しく思います。

                    記

1、ただいまご紹介に預かりました弁護士の寄井真二郎です。
  大変暑い中、また、「住宅瑕疵担保履行法セミナー」というさらに暑くなりそうなセミナーに参加していただき、大変ありがとうございます。
  今日、セミナーに参加されている方は、近々、住宅を購入されようとしている方だと思います。  私も自宅を購入する際に心配したことがあります。 それは、ひょっとして、欠陥住宅だったらどうしょう。欠陥住宅を売りつけた業者が夜逃げしてしまったらどうなるのだろうか?

 欠陥住宅って、まさか自分にはと思う方もおられるかも知れません。

  しかし、私が法律相談の中で増改築含めて欠陥住宅の相談は、決して少なくありません。中には、些か神経質ではないかと思われる相談もありますが、地盤が沈下してそのため床が傾いて、五角形の鉛筆が転がるような家の相談もありました。 

  今回のセミナーは、欠陥住宅だったとしても、構造や雨漏り防止部分という重要な部分に欠陥があった場合には、消費者を保護するための法律ができましたので、今回は、その法律の概要について説明させていただくことになります。

  また、本日は、国土交通省から、住宅瑕疵担保履行法の担当官の四反田さんもお見えになっておられます。個別の質問については、四反田智裕さん(国土交通省住宅局住宅生産課)から、わかりやすい解説を頂戴できればと思います。

  では、早速、レジュメに沿って、住宅瑕疵担保履行法の概要について、説明させていただきます。
 
 
2、P1をご覧下さい。

□住宅瑕疵担保履行法の名称にある「瑕疵」とは、本来あるべき性能がないことであり、住宅でいうと、耐震性や防水性など、本来住宅が持つべき性能がないことを意味します。
 
□住宅瑕疵担保履行法ができた背景には、住宅の瑕疵の問題が生じていたことが挙げられます。すなわち、平成10年ころに、秋田県の第三セクターが建設した住宅に欠陥が続出した、いわゆる「秋田県木住問題」が発生しました。平成17年には、構造計算書偽装問題、いわゆる姉歯問題が発生しました。 同時期に、戸建て住宅のフランチャイズメーカーで たいりょくかべ(構造上重要な壁)の量が足りない住宅が、数百戸判明するという事件がありました。また、直接の売主や請負主ではありませんが、建材メーカーが耐火建材の試験データーをごまかして認定を受けていたという事件がありました。これらは、新聞などで大きく取り上げられたものです。しかし、これ以外にも、雨漏りや建物の傾きといった欠陥住宅の事例は少なくありません。
   
   
3、P2をご覧下さい。

□ 欠陥住宅問題に対応した制度としては、今から9年前の平成12年4月にスタートした住宅品質確保法という法律があります。この法律では、それまで事業者によってまちまちであった瑕疵担保責任期間(いわゆる保証期間)ですが、構造と雨漏り防止部分については、最低でも10年を義務づけました。これにより、消費者に不利な契約、例えば期間が短かったり、内容が限定されていたりしたら、そのような契約は無効になりました。

   
□ 構造や雨漏りの防止部分というのは、具体的には、構造については、柱や梁、基礎、土台といった、地震や建物の重さに対する強さの部分、雨漏りの防止は、屋根や壁、窓のサッシといった雨水が室内に入ってくるのを防ぐ部分です。   

4、P3をご覧下さい。

□ この住宅品質確保法によって、建物を建てたり売ったりする者には、瑕疵担保責任、つまり保証責任があります。しかし、姉歯問題では、保証責任のある不動産会社、つまりヒューザーは倒産してしまいました。その結果、補修や損害賠償が出来ない、つまり責任が果たせず、そのつけは、買い主に廻ってきました。 買主は、欠陥住宅のローンを抱えながら、自らの負担で、建て替えや補修を行うということになりました。
   
□ こうした姉歯問題を教訓に、事業者が倒産しても消費者につけを廻さない仕組みについて政府や国会で議論が行われました。
その結果、万が一、事業者が倒産したりしても、消費者が負担しなくてもいいように、予め住宅事業者に補修費用を確保させておくための法律が成立しました
 これが、本日、ご説明する住宅瑕疵担保履行法です。

  住宅瑕疵担保履行法が成立したのは、平成19年の5月です。そして、準備期間を経て、今年の10月1日から本格スタートします
 
 
  5、P4をご覧下さい。

□ この住宅瑕疵担保履行法のポイントは、住宅事業者に保険に加入するか保証金を供託するか、いずれかを義務づけていることです。つまり、万が一、瑕疵つまり欠陥が見つかった場合、事業者が倒産しても、保険金や供託金が支払われ、その範囲で、補修費用をカバーする内容になっています。対象住宅は、新築住宅です。建ってから1年以内で、まだ人が住んでいない住宅をいいます。そして、平成21年10月1日以降に引き渡される新築住宅ですから、これから住宅を取得される方は、まず、この法律の適用を受けることになります。
 
□ この保険や供託の申し込みを行うのは、消費者に住宅を引き渡す事業者です。消費者は手続を行う必要はありません。注文住宅の場合は、工務店やハウスメーカーです。建売住宅やマンションといった、分譲住宅の場合は、その住宅を販売する宅建業者です。但し、業者は保険料の支払いや供託金を預けることになりますが、その負担は、例えば、保険料については、同額の金額の請求を事業者から受けることになろうかと思います。
 
  6、P5をご覧下さい。

□次に、保険と供託が、どのような仕組みになっているのか、説明します。まず、保険からです。保険は、事業者が住宅専門の保険会社(保険法人といいます)に工事の前に申し込みます。保険法人は、現場検査を行った上で、保険を受け付けます。万が一、事業者が倒産したりして、欠陥を補修できない場合には、消費者は、保険法人に対して補修費用を請求できます。最大で2000万円まで支払われるので、殆どの欠陥はカバーできると言われています。

  お手元の漫画の小冊子13頁のQ4に、補修費用の他、一定範囲の修理のための調査費用や工事中の仮住まいの費用等も対象となります。但し、戸建て住宅の場合であれば、免責金額として10万円とされています。また、ご心配であれば、3000万円、4000万円、5000万円のオプションも用意されているようです。ただし、保険料は高くなります。   
   
□事業者が保険に加入しているかどうかは、契約時に書面の記載をすることになっているので、契約書をよくご確認下さい。お手元の漫画小冊子の13頁のQ6をご覧下さい。 保険加入の流れが、わかりやすく記載されていいます。 また、住宅の引渡時には、どこの保険に入っているか、限度額はいくらか、といった証明書も忘れずに受け取って下さい。

 万が一、事業者が保険に加入し忘れた場合でも、引渡前であれば、保険加入は可能です。ただし、工事中や完成後に加入する場合には、保険料が割高になりますので、基本は着工前の申し込みとご理解下さい。
   
 
7、P6をご覧下さい。

□住宅専門の保険会社である保険法人は、国土交通大臣が指定し、きちんとした業務を行っているかを監督します。現時点では、㈱住宅あんしん保証、(財)住宅保証機構、㈱日本住宅保証検査機構、㈱ハウスジーメン、ハウスプラス住宅㈱の5つの法人です。
 保険法人の所在地や連絡先については、お手元の漫画の小冊子16頁で紹介されています。
  保険料などについては、各社によって異なっております。詳しいことは、各社のHPをご覧下さい。
 
□また、保険に加入している住宅を購入した方で、事業者との間で紛争があった場合には、各地の弁護士会におかれた住宅紛争審査会を利用できます。住宅紛争審査会では、あっせんや調停・仲裁といった手続を、全部の費用が、1万円で利用できます。
 あっせんは、第三者が間に入り、双方の意見を聞いたり整理をしながら双方の理解をもって、当事者同士での円満な解決を目指す方法です。
調停は、第三者が間に入り、双方の意見を聞いたり整理をしながら、円満に和解させるための解決案を作成し提示します。解決案の実行には、当事者同士の承諾が必要です。
仲裁とは、第三者が間に入り、円満に和解させるための判断を下し、解決案を出します。あっせん、調停と異なり、事前に当事者間で仲裁に付する旨の合意が必要で、出された解決案が最終判断となります。

 愛媛では、愛媛弁護士会住宅紛争審査会があっせんや調停・仲裁という手続を行うことになります。連絡先や所在については、漫画小冊子に記載されていますので、必要な時にご確認下さい。
 
  保険でなく、供託対象の住宅の場合には、住宅紛争処理審査会に申請することはできません。供託対象の住宅で、審査会への申請を行うことができるようにするためには、住宅品質確保法に基づいた住宅性能表示制度の利用が必要になります。愛媛では、株式会社愛媛建築住宅センターが住宅性能表示制度の業務を行っています。私事になりますが、私も、今年、住宅を取得しましたが、愛媛建築住宅センターから性能表示書をいただきました。「いきなり紛争処理はちょっと」という方には、住宅紛争処理支援センターが相談を受け付けております。電話番号は、お手元の漫画の小冊子の最後の頁に記載されています。
 
8、P7をご覧下さい。

□もう一つの仕組みが、供託制度です。供託は、保険と異なり若干わかりにくい法律用語ですが、事業者が、万が一の時に備えて、お金を、法務局に預かってもらっておくということです。供託では、事業者は、新築住宅の供給実績に応じて、半年ごとに一定額を法務局に預けます。万が一、倒産した場合には、この法務局に対して、消費者は必要な費用の還付を請求できます。但し、事前に、国土交通大臣が確認を行います。具体的なことについては、お手元の漫画小冊子11頁を後で確認下さい。

  ただ、中小の事業者では、供託金の負担が大きいため、保険制度を利用されることが多いと思われます。例えば、お手元の漫画小冊子15頁の問い8をご欄下さい。100戸供給実績のある事業者の場合、1億円を供託しなければなりません。保険だと、お手元の漫画小冊子13頁の問い4で少し記載されていますが、戸建て住宅で6~8万円程度とされているようです。
 
□事業者が供託をしているかどうかは、保険と同じように、契約時の書面に記載することになっているので、契約書をよく確認下さい。

 それから、注意していただきたい点があります。供託は、半年ごとに実績に応じて行われますので、供託前に事業者が倒産してしまうと、保証を受けられない場合があります。基準日の3月31日と9月30日以前でも前もって供託することは可能なので、事業者に「いつ供託するのか」「既に供託しているのか」「いくら供託するのか」といったことをよく確認しましょう。
 
 
9、最後に

 最後に、まとめさせていただきます。 住宅品質確保法で、事業者は、構造部分や雨漏り部分の瑕疵担保責任を、10年は負うことになりました。

 ところが、瑕疵担保責任を負っている事業者が倒産してしまうと、結局、被害者は泣き寝入りを強いられました。

 住宅瑕疵担保履行法は、事業者が倒産してもきちんと補修が受けられるようにしたものです。そして、その方法として、保険制度と、供託制度の2つの制度が用意されました。

 立法の書き方としては、供託が原則になっていますが、供託と保険のどちらが望ましいというわけではありません。供託又は保険のいずれかによっても、資力確保がなされ、同様の消費者保護が図られる仕組みにはなっています。どちらを選択するかについては、事業者のそれぞれの判断に基づき選択されることになります。

 また、ご説明申し上げたように、住宅瑕疵担保履行法は、全ての住宅に適用されるものではありません。例えば、中古住宅や、新しくても工事完了日から1年を経過した建物には適用がありません。
   
 今回、セミナーにご出席されている方は、新築住宅の取得を希望されている方が多いのではないかと思いますが、供託のように、供託する前にその会社が倒産してしまった場合には、補償を受けることができません。住宅瑕疵担保履行法は、あくまで欠陥住宅だった場合の事後的な救済の措置です。欠陥住宅をできるだけ取得しないという予防的な措置を講ずることが大切だと思います。
 

 欠陥住宅を掴まされないようにするためには、信頼のおける工務店、評判の高い工務店に依頼されることも大切です。
 

 それに加えて、第三者機関によって作成される住宅品質確保法に基づく住宅性能評価書を得ておくということも重要だと思います。
  業者に対して、住宅性能評価書の話をしてみて下さい。
  嫌がるようであれば、怪しい業者かもしれません。
 

 そして、万が一、欠陥住宅を掴まされた場合に備えて、きちんと保証を受けられるよう、保険加入しているか、或いは、供託をしているのか確かめてください。
 
 以上、ごく簡単ですが、住宅瑕疵担保履行法の概要について説明させていただきました。

 重要なことは、お手元の漫画小冊子に全て記載されていますので、新築住宅を取得されましたら、この冊子だけを保管していただき、万が一の時には活用していただければと思います。

 ご静聴ありがとうございました。

                                  以上です

2009年8月16日 (日)

【建築・不動産】 住宅瑕疵担保履行法セミナー イン 愛媛新聞住宅公園パル・センターハウス

(住宅瑕疵担保履行法セミナー)

 県内最大級の住宅展示場である愛媛新聞住宅公園パルで行われる、8月16日(日)午前11時から、住宅瑕疵担保履行法セミナーの講師をつとめさせていただくことになりました。  

 住宅瑕疵担保履行法の本格施行に伴い、今年10月1日以降引き渡される新築住宅を対象に、保険や供託が義務づけられます。事業者が倒産した場合でも、補修費用の支払いが受けられることになります。そのため、家を購入される前に、知っておきたい住宅瑕疵担保履行法についてのセミナーが開催されることになりました。  

 当日は、国土交通省の担当官も視察に来られました。受講された方の鋭いご質問は、担当官の方にわかりやすく説明していただきました。 セミナーの様子については、9月中旬ころ、愛媛新聞の記事になるようです。

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  愛媛新聞住宅公園パルのセミナーハウスの入口です。この場所で、セミナーが開催されました。堅苦しい内容なので、受講生は少ないのかなと思いましたが、蓋を開けると会場はぎっしりたくさんの方が来訪されていました。

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 セミナーで使ったテキストです。漫画の小冊子ですが、重要な点についてはもりこまれています。テキストの内容については、国土交通省のHP経由で閲覧することが可能です。

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 講演中の私です。手控えばかりみていたため、下を向いていることが多かったことが、反省点です。できるだけわかりやすく、ゆっくり喋ったつもりです。coldsweats01

(参考書籍)

① これで万全 住宅瑕疵担保履行法 Q&A  (ぎょうせい)

② 逐条解説 住宅瑕疵担保履行法  (ぎょうせい)

③ わかりやすい住宅瑕疵担保履行法の解説 (大成出版社)

(参考HP)

① 国土交通省の住宅瑕疵担保履行法HP

② (社)住宅瑕疵担保責任保険協会のHP

 (財)住宅保証機構(保険法人)のHP

④ ㈱愛媛建築住宅センター(住宅性能評価機関)HP

 (財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターHP

⑥ 愛媛弁護士会(住宅紛争審査会)のHP 

⑦ 愛媛新聞社のHP

⑦ 愛媛新聞住宅公園パルHP

 追記

 オンライン愛媛新聞

2009年8月14日 (金)

【建築・不動産】 築後12年の中古木造建物の雨漏りによる腐食及びシロアリによる侵食の一部が隠れた瑕疵に該当するとされた事例(平成20年6月4日)

 判例タイムズNo1298号(8月10日号)で紹介された裁判例です。

 中古建物の柱等に雨漏りによる腐食とシロアリによる侵食といった「隠れた瑕疵」があったことから、買主が、売主及び仲介した宅地建物取引業者に対して、瑕疵担保責任(売主のみ)や債務不履行又は不法行為に基づき、建物解体費用及び新築費用又は補修費用に相当する額の損害賠償を請求した事案です。

 東京地裁平成20年6月4日判決は、

① 本件建物の瑕疵の存否については、本件売買契約締結時における本件建物内の雨漏りによる腐食及びシロアリによる侵食を認定し、その範囲及び程度並びに本件売買契約の目的(居住利用目的)を考慮した上、買主が主張する瑕疵の一部分(サンルームの部分)について隠れた瑕疵があるとした

② 不法行為については、売主については認めましたが、宅地建物取引業者については、本件建物に雨漏りやシロアリ被害があることを疑わせるような特段の事情がない限り、シロアリ駆除業者等に依頼するなどして被害の有無を調査するまでの義務があったとはいえないと判断しました

③中古建物売買契約の瑕疵担保責任に基づいて売主が賠償すべき損害額について、瑕疵があることによる本件建物の減価分であるとして、当該減価分を具体的に算出しました

 この判決は、売主については、瑕疵担保責任だけではなく、不法行為責任も認めていますが、判決文だと、瑕疵担保責任の損害の範囲については触れていますが、不法行為に基づく個別の損害論については触れられていないようにみえます。

 ただ、請求金額が2000万円強なのに、認容額は200万円弱なので、買主としては、実質敗訴の気分なのかもしれません。

 

2009年5月 5日 (火)

【建築・不動産】 賃料増減請求訴訟をめぐる諸問題

 判例タイムズNo1290、No1289号にて、賃料増減請求訴訟をめぐる諸問題と題する論文を特集掲載しています。building

 今、手元にあるのは、No1290号(5月1日号)ですが、参考になります。

 項目立ては、以下のとおりです。

第4 賃料額の決定に関する特約について

 1 賃料自動改定特約について

 (1)特約の有効性

 (2)特約が失効する時期

 (3)特約の存在と相当賃料額の判断

 (4)増減請求権行使後における特約による賃料改定の有無

 (5)経済事情の変動を考慮すべき期間

 2 不増額特約について

 (1) 有効な不増額期間

 (2) 「地代は3年ごとに当事者間で誠実に協議の上改定する」との約定

 (3)不増額特約の承継

 3 不減額特約について

第5  特殊な契約類型における賃料増減請求

 1 オーダーメイト賃貸について

 2 サブリース契約について

 3 売上歩合等で定められた賃料

第6 実体法上のその他の問題

 1 純然たる「賃料」以外の費目の増減請求

 (1) 駐車場の駐車料 → 賃料と同じ扱い

 (2) 共益費 →賃料に近い扱い

 (3) 保証金 →賃料とは異なる扱い

 (4) 敷金 ※賃料が増額された場合の、敷金増額補充義務について

 2 増額部分の支払い請求と消滅時効

第7 賃料増減請求と裁判手続

 1 賃料増減請求と民事調停

 (1) 調停前置主義

 (2) 簡裁における調停

 (3) 地裁における調停

 2 賃料増減請求訴訟の開始

 (1)訴額

 (2)管轄と移送

 (3)訴状の記載

 (4)訴訟形態

 3 賃料増減請求訴訟の審理

 4 判決での増減の幅

 5 賃料増減請求訴訟の周辺の問題

 (1)賃料額確定訴訟の許否

 (2)仮処分執行中の賃料増額請求の適否

 6 訴えの提起以外の方法によって訴訟上で賃料増額請求の効果を主張することの可否

 (1)訴えの変更としての賃料増減請求の訴えの適否

 (2)抗弁としての賃料増減請求の効果の主張

 地方でも、この種の相談は時折受けます。が、交渉で終わることが多いですが、結局、「契約書」の内容次第ですね・・・ 特に、オーダーメイト賃貸の場合は、賃料減額だけならまだしも、解除請求を受けた日には、目も開けられません。shock 

  

2009年3月10日 (火)

【建築・不動産】 1 信頼関係の破壊を理由とする賃貸借契約の解除が認められなかった事例 2 立退料の支払いを正当事由の補完事由として、老朽化した建物の解約申入れに基づく明渡請求が認容された事例

 判タNo1284(2月10日)号で紹介されていた裁判例です。

 地主による建物明け渡し請求訴訟ですが、主位的請求としては、借家人の占有権原の有無と信頼関係破壊(無断改築、無断使用、自動販売機の無断設置、他の賃借人の使用妨害)であり、予備的請求については、正当事由の有無でした。

 東京地裁平成20年4月23日は、

 主位的請求について、

 無断改築のみによっては、当時の賃貸人との信頼関係が、賃貸借契約の継続を困難ならしめる程度に破壊されたとまではいえない

 自動販売機設置は債務不履行にはあたるが、本件建物の利用状況に変化を与えるものではないから、当時の賃貸人との信頼関係が賃貸借契約の継続を困難にならしめる程度に破壊されたとまでは評価することはできない

 などとして、主位的請求については認めませんでした。

 予備的請求について、

 ①地主にて建物の使用を必要とする事情があること

 ②本件建物は築約80年の木造建築物であること

 ③借家人の建物使用の必要性については、

  X  < Y1~Y3

  X  > Y4

  X  =? Y5

 として、

 Y1~Y3 Y5との関係では、相当の立ち退き料の提供により、正当事由を具備し、

 Y4については、立ち退き料の提供なしに、正当事由を具備すると判断しました。

 借家人毎で正当事由をわけていますが、当然といえば当然ですね。

 

2009年2月 8日 (日)

【建築・不動産】 マンションの売買における違約金特約は信義則上手付金200万円のほか200万円を認めるのが相当であるとされた事例(福岡高裁平成20年3月28日)

 判例時報2024号(平成21年2月1日号)で紹介されている裁判例です。

 Xさんは、Yからマンションを購入しましたが、Yに債務不履行があったとして契約を解除した上、Yに対して、「違約金条項」に基づき728万円の損害賠償を提訴したところ、Yの方も、Xさんに、債務不履行があったとして、同じ「違約金条項」に基づき528万円(違約金額728万円に手付金相当金額である200万円を控除したもの)を反訴しました。

 第1審の裁判所は、Xの請求に対しては、Yに債務不履行はないとして、Xの請求を棄却して、反対に、Yの反訴請求に対しては、違約金条項に基づき、528万円の支払いを認めました。

 返り討ちにあった感じです。

 なお、原審の判決文は、「本件契約において、違約金の支払義務が被告に発生するためには、被告の違約(債務不履行)によって本件契約が解約されることが必要であるところ、原告の主張は、いかなる被告の債務不履行を問題とするのか必ずしも明らかではないが」と記載されています。

 控訴審では、

 本件違約金特約は、消費者契約法9条、10条には違反しないとしつつも、

 Xの違約によりYが受けた損害の程度は軽微だなどとして、信義則上から、YがXに対して請求できる金額は、手付金の200万円とそれに加え200万円であるとして、200万円の支払いを認めました。

 裁判所は、第1審の528万円 → 第2審の200万円 と減額したわけです。

 違約金特約は、損害賠償額の予定と推定され、裁判所は、その額を増減することが、民法420条1項の建前からはできないはずです

 ところが、裁判所は、「信義則」ということで、損害賠償額の大幅な減額を認めたものであり、不動産の売買実務に重大な影響を及ぼすものといえようと紹介されています。

 勉強になりました。happy01

 最高裁に上告上告受理されているみたいです。

 

2008年11月13日 (木)

【建築・不動産】 更新料支払いの約定が消費者契約法10条に違反することなどを理由として提起された支払済みの更新料の返還請求訴訟につき、当該約定が消費者契約法10条により無効であるというということはできないなどとして、請求が棄却された事例(京都地裁平成20年1月30日)

 判例時報No2015号(11月11日号)で紹介されている京都地裁平成20年1月30日の裁判例です。

 賃借人Xさんが、賃貸人Yさんとの間で締結した建物の平成12年8月15日から同13年8月30日までとする賃貸借契約において更新料の支払に係る本件約定(※)があったことから、当該約定に基づき、以後、平成13年8月から同17年8月まで5回にわたる、いずれも賃貸期間を1年とする合意更新の際、それぞれ更新料(5回分で合計50万円)を支払いました。

 ※本件約定は、「契約書記載の賃借期間満了時より、Yにあっては6ヶ月前、Xにあっては1ヶ月前までに各相手方に対して更新拒絶の申出をしない限り、本件契約は家賃・共益費などの金額に関する点を除き、更新継続されるものとする。但し契約書に別段の定めがある場合にはそれに従う。尚この場合、Xは、Yに対して契約書記載の更新料(10万円)を支払わなければならない」と規定されています。

 以上をふまえて、Xさんは、本件約定に係る更新料は、一般的に認められている更新料の①更新拒絶権放棄の対価、②賃借権強化の対価、③賃料の補充といった法的性質に照らし、そのいずれの性質も有していないとした上、本件約定によれば、契約期間が1年であるのに、更新料が10万円で、月額賃料(4万5000円)の約2・22倍という高額であることから、消費者契約法10条※により無効であると主張しました。

 ※消費者契約法10条

 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

 京都地裁は、結論として、消費者契約法10条の主張を認めませんでした。

 本件判決は、まず、本件更新料の法的性質につき、本件賃貸借契約における更新料は、主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しており、併せて、その程度は希薄ではあるものの、なお、更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有しているものと認められる」と分析した上、

 (公序良俗違反の主張について)本件約定の効力に言及し、まず、「本件賃貸借契約における更新料が主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しているところ、その金額は10万円であり、契約期間(1年間)や月払いの賃料の金額(4万5000円)に照らし、直ちに相当性を欠くとまでいうことはできない」と判示した上、本件約定が公序良俗に違反するとまではいえない

 (消費者契約法10条の主張について)本件約定が消費者契約法10条前段の要件を具備していることを前提に、同条後段の要件を具備しているか否かについて検討した結果、

 ①本件約定に係る更新料の金額は過大なものとはいえないこと

 ②本件約定の内容は、明確であるうえ、Xに不測の損害あるいは不利益をもたらすものではないこと

 ③本件約定に係る更新料は、その程度は希薄であるものの、なお、更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有しているものと認められることを併せ考慮すると

 本件約定が民法1条2項の規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものとはいえないとして、消費者契約法10条の主張を認めませんでした。

 判時の解説者によれば、「本判決は、その額・程度などはともかく、賃貸借契約に一般的にみられる更新料支払の約定の効力をめぐって、もっぱら消費者契約法の適否という新しい見地から議論が展開された問題の嚆矢となる判断」と紹介されています。

 賃借人にとっては厳しい判断ですが、高裁の判決が待たれます。

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2008年9月 6日 (土)

【建築・不動産】 入会権 最高裁平成20年4月14日

 判例時報No2007(平成20年8月21日)号で紹介されている最高裁判例です(平成20年4月14日)。

 事案は、電力会社の発電所の建設用地(本件土地)について、原発建設に反対するXらが、自らは本件土地につき入会権を有する入会集団の構成員であるとして、電力会社と入会集団の他の構成員らに対し、入会集団の構成員たる地位に基づく使用収益権の確認を求めるとともに、電力会社に対して、その使用収益権による妨害排除請求権に基づき、所有権移転登記の抹消登記手続等を求めたものです。

 もともと本件土地は、明治24年当時、四代組の入会地として、その構成員である四代部落の世帯主全員の総有に属していました。昭和50年ころには使用収益する者はいなくなりました。

 明治24年ころ、4代組と同じく四代部落の世帯主で構成される四代区という権利能力なき社団が成立し、現在に至っています。

 平成10年、電力会社と4代区の区長とは、四代区の役員会の全員一致の決議に基づき、本件土地と電力会社の土地とを交換しました。

 そこで、Xらは、本件入会権の対象となっている本件土地の処分には入会権者全員の同意が必要であり、その同意のない交換契約は無効だと主張したのです。

 原審は、

①本件土地の入会権は、四代区が成立した段階で、共有の性質を有しない入会権に変化したので、時効により消滅した

②四代部落の世帯主を構成員とする四代区には、その役員会の全員一致の決議によってその財産を処分する慣行が存在し、本件土地は四代区の役員会の決議に基づいて有効に処分された

 と考えました。

 最高裁は、

①本件土地は四代部落の世帯主の構成員の総有に属するものであることは、四代区の成立の前後を問わず変わらない。→消滅時効の前提を欠く。

②しかし、民法263条は、共有の性質を有する入会権について、各地方の慣習に従う旨定めており、慣習は民法の共有に関する規定に優先して適用されるところ、

 慣習の効力は、入会権の処分についても及び、

 慣習が入会権の処分につき入会集団の構成員全員の同意を要件としないものであっても、公序良俗に反するなどその効力を否定すべき特段の事情が認められない限り、その効力を有する

 そして、原審と同様の判断を示して、結論としては、Xらの上告を棄却しました。

 入会権って、学生時代を含めてほとんど勉強した記憶がないですね。慣習上の物権くらいしか思い出しません。coldsweats01

 総有については、合有、総有、共有の区別で勉強しますけどね。抽象的であまり好きな分野ではありませんでしたが・・・

 記憶の片隅を掘り起こしながら、判例を読んでみました。 

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