励みになります。クリックお願いします。<(_ _)>

  • にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

<(_ _)>

  • 弁護士ドットコム|無料法律相談・弁護士/法律事務所検索ポータル

書籍紹介(企業法務・金融)

書籍紹介(不動産・建築)

消費者法

2010年4月 5日 (月)

多重債務者を食う弁護士

 嫌なタイトルですが、ニュースで報道されていました。

 報道の一部を引用します。

 「債務整理請け負います」。消費者金融8社に計約500万円の債務があった秋田市の男性(64)は2005年2月、スポーツ紙でそんな広告を見て都内の弁護士を訪ねた。対応したのは事務所の女性事務員。1年半後の06年8月、弁護士事務所から突然、「和解通知」が届き、〈1〉債務を約164万円減額〈2〉過払い金はゼロ〈3〉着手金や成功報酬などの手数料は総額約172万円――などと記されていた。

 不審に思った男性が多重債務者の支援団体に相談し、債権者から資料提供を受けて調べたところ、書面には記載がなかった過払い金が100万円以上あることなどが判明。男性は「裏切られた思いだ」と憤る。

 この弁護士は、資格のない事務職員に債務整理を行わせたとして08年12月、東京弁護士会から懲戒処分を受け、自ら弁護士登録を取り消した。同事務所では900件以上の債務整理を同時に受けていたという。

 弁護士の業務を「自由競争」に委ねるとこのような消費者被害が弁護士によってもたらされることは、以前から指摘されていました。

 最近では、このような「とんでもない話」はしばしば耳にすることが少なくなく、同じ弁護士として、「肩身が狭い」思いです。

 私の事務所では、報酬委任契約書の締結及び交付、書面による詳細な報告書の交付、面前での弁護士による打ち合わせ、打ち合わせの内容を書面化した回答書の交付、示談書原本の返還、精算書の確認及び交付、受取書類の確認及び交付を行っております。

 ところで、弁護士によるこのような被害は、地元の弁護士会が多重債務者のための相談会を率先して積極的に行わないから生じた面もないわけではないのではないかとも思います。

 ただ、法曹人口の拡大で益々弁護士間の競争は激しくなることは予想されますので、近い将来、弁護士による消費者被害は大きな問題になるのではないかと思っています。法科大学院の人気は下がるばかりです。

 利用者の自己責任としてすませてしまうことができるのか疑問です。

 

2010年3月31日 (水)

弁護士 司法書士 過払金の広告

 弁護士・司法書士の過払金の広告が、地方でも非常に目立ってきました。

 このような広告でも、経済的な生活困窮状態にある多重債務者の方にとって、過払金というものの存在をしり、返還を受けた過払金で生活再建の立て直しを図れるというのであれば、決して悪いことではありません。

 しかし、多重債務者の地元の弁護士・司法書士事務所ではなく、遠方の東京、大阪の事務所が、直接の面談もなく、多重債務者の事件を取り扱うというのであれば、多重債務者の実態を十分把握することができないことも考えられ、また、説明や報告を求めても遠方であるため十分な説明を行うことも困難であり、大きな問題が生じているしか言いようがありません。

 多重債務者の広告は、少し前は、高齢の弁護士が広告主であることが多かったのですが、最近は、弁護士登録して間もない若手弁護士が広告主になることも増えているようです。

 一昔前は、弁護士になれば、それなりに仕事があったものですから、このような広告も出す必要はありませんでしたが、どうやら特に都会の方では、弁護士や司法書士でも顧客獲得に向けてかなりの競争になっているようです。

 最近入ってきた広告にも、「過払い金返還請求代理いたします。」、「完済した方も過払い金取り戻せます。内緒で債務整理ができます。」、「過払い金返還請求・債務整理出張無料相談会」などと記載され、過払金事件の依頼の勧誘を主たる目的にされているような表現が目立ちます。また、このような広告で、弁護士費用等の料金体系を明確にしているものを見たことがありません。

 このような都会の事務所の広告等により依頼された多重債務者が、今度は弁護士による二次被害に遭遇したというのは、先般のNHKのクローズアップ現代でも採り上げられたとおりです。

 過払金返還請求は、5,6年前には、年間、数件程度しか依頼がありませんでした。ここ3,4年前から、急激に増加し、今では、一日の相談のうち、1件程度は、過払金のご相談があるような状態です。

 過払金事件がビジネス化したことにより、弁護士・司法書士に対する世間の見方が大きく変化したように感じています。

 決して地元の弁護士や司法書士が優れているとは言いませんが、少なくとも、面談で多重債務者の方の生活状況を継続的に把握できるという点は、極めて大きな利点の1つだと思います。

 また、過払金というものは、多重債務者にとっては法的手段を利用しない生活再建のための最後の砦となります。ご依頼される時には、くれぐれも細心の注意を払って対応されることをお勧めいたします。

 都会の弁護士・司法書士の過払金の広告、例えば、新聞の折り込みチラシ然り、地下鉄の中吊り広告然り、テレビCM然り、品位のないものに感じる方は少なくないのではないかと思います。

 他方で、ビジネス系の弁護士・司法書士の方が、広報活動が熱心が故に、従来の弁護士よりも、敷居が低く感じることは否定できないでしょうね。

 難しい問題です・・・

2010年3月14日 (日)

過払金と弁護士トラブル

 11日のNHKのクローズアップ現代で、多重債務者と弁護士との報酬を巡るトラブルが採り上げられていました。

 このブログでも、都会の弁護士・司法書士と過払金を巡るトラブルが多発していることについては、過去に何度か採り上げたことがあります。

 この地方でも、都会の法律事務所から過払金等の広告チラシが新聞の折り込みに入ったりしています。

 そして、「懲戒歴」がある弁護士からのチラシも、現実に、複数存在しています。試しに、インターネットで、弁護士名に、「懲戒」という文字を入れて「検索」してみてください。

 ちなみに、過去に事件屋と結託したこと等を理由に2回重い懲戒歴のある弁護士のチラシが最近配布されていました。そのため、万が一の被害の発生を防ぐために、当該弁護士が所属する弁護士会に、配布先の事務所が直接面談を原則とする日弁連指針等を遵守しているのかどうか確認するようメールを送信しましたが、当該弁護士会からは全く応答がありません。

 多重債務者については、多重債務者の生活の立て直しを図るという見地が必要ですが、中には、多数のスタッフを使ってビジネスライクで債務整理に携わる事務所もあります。

 まず、報酬に関する契約書の内容をきちんと確認して下さい。契約書を交付しない事務所も中にはありますので、そのような事務所は要注意です。

 示談書の原本は必ず貰ってください。「写し」だとダメです。必ず原本です。回収した過払金の金額を伝えない事務所も中にはあります。

 報酬金額について確認してください。不当に高額な報酬を取りすぎている事務所も中にはあります。

 そして、きちんと弁護士が面前で相談に応じ、かつ、説明もしているのかご確認下さい

 交渉だけではなく裁判や強制執行等も積極的に申立を行っている事務所かどうか確認してください。近くに裁判所がある場合には、裁判所の裁判スケジュール表で、弁護士の名前を確認してみてください。

 「無料法律相談」、「電話での相談」という文字だけに惹かれて、遠方の弁護士や司法書士に依頼しないで下さい。

 「インターネットの広告」だけの情報だけで、遠方の弁護士や司法書士に依頼しないでください。

 弁護士選びに失敗した場合には、残念ながら、自己責任となります。

 債務整理を取り扱う弁護士には、①宇都宮健児先生のように、昔から多重債務者救済のために積極的に地道な活動をされ、数々の消費者有利の最高裁判決等を獲得された弁護士グループと、②多数のスタッフを使用して大量の債務整理事案を機械的に処理するビジネスライクの事務所、③事件屋等と結託して多重債務者を食い物にする提携弁護士に分類されています。

 ③に分類される弁護士に依頼した場合には、まともな整理は行わず金員だけ巻き上げられるという最悪の事態を招くことになります。俗に悪徳弁護士と言われるものです。

 ②に分類される事務所の場合には、一見、手軽ではあるようにみえますが、一般的に、遠方であることから面前での相談は困難であるため依頼人と弁護士との意思疎通を十分でない場合が生じうる等の問題があります。なお、12日の日経新聞によれば、②に分類される事務所を「ビジネス系」と消費者金融は呼称しているようです。

 宇都宮健児先生がテレビで述べられておられたように、多重債務者案件の場合には、日弁連で報酬の最高額を決めておくことと、広告の規制を行うことが必要かとは思います。

 また、どの弁護士に依頼していいのかどうかわからない場合には、地元の弁護士会に相談してみてください。愛媛弁護士会も、多重債務者の相談に対応できるよう態勢を構築していかなければならないと思います。

2010年3月 9日 (火)

【消費者法】 サンライフ・タンポート/切替事案

 最近の過払金請求訴訟では、契約の地位の承継に伴う過払い債務の承継という問題が、ホットな争点となっています。

 その中の1つに、サンライフ・タンポート/プロミス 「契約切替」事案におけるサンライフ・タンポート時代の取引を、プロミスが承継するか?という争点があります。

 形式的には、債権譲渡事案ではなく「契約切替」事案であることから、プロミスは、旧取引の承継を認めないわけです。

 現在までの私が知りうる裁判例は、以下のとおりになっています。

 過払金の承継を肯定した裁判例

平成21年12月2日付越谷簡易裁判所(飯田弘子裁判官) 司法書士代理

平成21年12月22日付西条簡易裁判所(大西健裁判官) 弁護士代理

平成21年12月22日付東京簡易裁判所(田中芳和裁判官)司法書士代理

平成22年1月21日付美馬簡易裁判所(丸岡隆俊裁判官) 司法書士代理

平成22年1月19日付広島簡易裁判所(谷生浩章裁判官) 司法書士代理

平成22年2月1日付徳島簡易裁判所(坂野尚孝裁判官) 司法書士代理

平成22年2月24日付松江地方裁判所浜田支部(坂本好司裁判官) 弁護士代理

平成22年3月9日付東京地裁判決(小池晴彦裁判官) 弁護士代理 

 なお、今治簡裁裁判所(西村裁判官)も、過払金の承継を肯定しているようです。

 過払金の承継を否定した裁判例

平成21年6月30日付岐阜地方裁判所多治見支部(榊原信次裁判官) 弁護士代理                   

平成21年8月12日付葛城簡易裁判所(森本幸治裁判官) 弁護士代理

平成21年9月24日付浜松簡易裁判所(平井吉彦裁判官) 司法書士代理

平成21年10月15日付福岡地方裁判所(西井和徒裁判官) 本人訴訟

平成21年12月16日付東京地裁(矢作泰幸裁判官) 弁護士代理

平成21年12月18日付東京地方裁判所立川支部(木下秀樹裁判官)弁護士代理

平成21年12月22日付東京地方裁判所(藤岡淳裁判官)弁護士代理

平成21年12月22日付東京地方裁判所(藤岡淳裁判官)弁護士代理

平成22年1月22日付東京地方裁判所(佐々木隆憲裁判官)弁護士代理

(本ブログの記事を書証等として裁判所等に提出することは固くお断りさせていただきます)

2010年3月 5日 (金)

奄美ひまわり基金法律事務所弁護過誤判決

 判例タイムズNo1314号(2010・3・1号)で紹介された鹿児島地裁名瀬支部平成21年10月30日判決です。

 以前もご紹介いたしましたが、事件の辞任時における説明義務違反が認められてしまい、158万円というかなり高額の慰謝料が認められてしまった案件です。

 ただ、依頼人にも、対応に問題点が全くないとはいえません。

 平成17年5月23日、市役所の紹介で、Xさんが、Y弁護士の事務所を訪問して事務員さんと相談しました(但し、相談の際には、一部の債権者を伝えませんでした。)

 同日夕方、第1回目の相談(但し、Xさんは、保証人に約226万円を支払いました)

 5月25日以降、受任通知

 6月 Xさん 転居

 7月15日 Xさんと連絡が取れないため、文書発送

 9月6日 Xさんと連絡が取れないため、文書発送

 9月  Y弁護士が、Xさんの職場に連絡

 9月30日 第2回目の相談 Y弁護士に2万円を弁護士費用として支払い

 10月21日 第3回目の相談 Xさんの都合でキャンセル 後日、XさんがY弁護士に連絡することになったものの、連絡せず。

平成18年

 3月 Y弁護士 Xの親族に連絡したが、Xの親族の電話も不通に

 9月19日 連絡を求める文書発送

平成19年

 7月23日 連絡を求める文書発送

平成20年

 2月    債権者からの訴状受領 辞任したことを初めて知った

 3月19日 連絡を求める文書発送

 4月17日 連絡を求める文書発送

 4月21日  給料の差押え

 5月29日 再度、市役所に相談

 少なくとも、平成20年2月に、辞任したことを知ったのであれば、その段階で、Y弁護士に連絡したり或いは市役所に再度相談するなどの方法を講じることも可能であったはずですが、市役所に相談されたのは、5月29日になってからです。裁判所は、それを理由に、2割減額されていますが、減額割合についてはやや消極的に見積もっているのではないかと思います。

 ただ、本件ケースでは、Y弁護士がXさんに対してかなり高圧的な態度をとっていたことがY弁護士に連絡を行うことを講じなかったことの理由になっていることから、小さく見積もったものと思われます。

 辞任も想定される「連絡文書」は、配達記録の残る方法で、「郵送」で送る必要があるようです。  

 Y弁護士がXさんに対してもう少し穏やかに対応されていたら、Xさんとの関係では、ここまで大きな問題にはならなかったものと思われます。

 

2010年2月24日 (水)

サンライフ・タンポート/プロミス 契約切替事案

 最近の過払金請求訴訟では、契約の地位の承継に伴う過払い債務の承継という問題がホットな争点となっています。

 その中の1つに、サンライフ・タンポート/プロミス 「契約切替」事案におけるサンライフ・タンポート時代の取引を、プロミスが承継するか?という争点があります。

 形式的には、債権譲渡事案ではなく「契約切替」事案であることから、プロミスは、旧取引の承継を認めないわけです。

 現在までの私が知りうる裁判例は、以下のとおりになっています。

 過払金の承継を肯定した裁判例

 平成21年12月2日付越谷簡易裁判所(飯田弘子裁判官) 司法書士代理

 平成21年12月22日付西条簡易裁判所(大西健裁判官) 弁護士代理

 平成21年12月22日付東京簡易裁判所(田中芳和裁判官) 司法書士代理

 平成22年1月21日付美馬簡易裁判所(丸岡隆俊裁判官) 司法書士代理

 平成22年1月19日付広島簡易裁判所(谷生浩章裁判官) 司法書士代理

 平成22年2月1日付徳島簡易裁判所(坂野尚孝裁判官) 司法書士代理

 過払金の承継を否定した裁判例

 平成21年6月30日付岐阜地方裁判所多治見支部(榊原信次裁判官) 弁護士代理

 平成21年8月12日付葛城簡易裁判所(森本幸治裁判官) 弁護士代理

 平成21年9月24日付浜松簡易裁判所(平井吉彦裁判官) 司法書士代理

 平成21年10月15日付福岡地方裁判所(西井和徒裁判官) 本人訴訟

 平成21年12月22日付東京地方裁判所(藤岡淳裁判官) 弁護士代理

 (私の勝手気ままな傾向と対策)

 簡易裁判所は、比較的、過払金の承継を肯定してくれる傾向にあるといえそうですが、地裁は、過払金の承継を否定する裁判例もあるようなので、気を引き締めていく必要があると思います。

 実質が形式を破れるか?ということに尽きると思いますので、そのための証拠固めが必要であると思います。

 時間と手間を考えると、非常に大変です。万が一、敗訴すると、逆に負債がプロミスに残ることになってしまいますし、時間と手間は回収できないし、結構、怖いですね・・・・

(追記)

  ともはる様、情報提供ありがとうございました。<(_ _)>

2010年2月16日 (火)

【消費者法】 民法704条後段の趣旨 最高裁平成21年11月9日判決

 判例タイムズNo1313号(2010・2・15号)で紹介された裁判例(最高裁平成21年11月19日第2小法廷)です。

 過払金返還請求訴訟の弁護士費用が、民法704条後段の損害として、認められるかどうかが、争点になりました。

 もとより、最高裁平成21年9月4日第2小法廷が、貸金業者が借主に対し貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為が不法行為を構成するのは、貸金業者が当該貸金債権が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながら、又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのに、あえてその請求をしたなど、その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られ、この理は当該貸金業者が民法704条所定の悪意の受益者であると推定されるときであっても異ならない旨判示したことから、嫌な予感はしていました。

 民法704条後段の趣旨については、①悪意の受益者に対する責任を加重した特別の責任を認めたものであるとする説(特別責任説)と、②悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて不法行為責任を負うと注意的に規定した説(不法行為責任説)とが対立していました。

 この東予地方でも、以前は、今治簡裁は、特別責任説、松山地裁今治支部・西条簡裁は、不法行為責任説でしたが、この判決以降、今治簡裁も、不法行為責任説に変更となり、弁護士費用を認めてくれなくなりました。

 最高裁平成21年11月19日判決は、「上告人が残元金の存在を前提とする支払の請求をし過払金の受領を続けた行為が不法行為に当たらないことについては、原審が既に判断を示しており、その判断は正当として是認することができる」と判断しています。

 最高裁平成21年9月4日判決が示しているように、「貸金業者が当該貸金債権が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながら、又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのに、あえてその請求をした」という事実を立証できるかどうかにかかってきます。

 大変残念な判決ですが、仕方ありません。

 今後は、704条後段は権利根拠規定として使えないため、悔しいですが・・・・ それでも、特別責任説を前提に民法704条後段に基づく損害賠償請求をし続ける方もおられるかもしれませんね。 裁判所からは、「失当」といわれるかもしれませんが・・・

2010年2月 8日 (月)

 表示違反に関する罰則等について 消費者法ニュース82号

 5,6年前からでしょうか。債務整理等の消費者法案件が比較的多く取り扱うことが多かったため、消費者法ニュースという専門誌を定期購読するようになりました。

 昔は、債務整理関係が中心で、厚さも余りありませんでしたが、今では、債務整理にとどまらず、消費者法関連の分野について網羅的に編集され、そのため、厚さも昔と比べると、3倍くらいあるような厚さになっています。

 今回、特集記事で、「食品表示・安全」が採り上げられており、このテーマは、平成21年度に近畿弁護士連合会消費者保護委員会の夏期研修会で報告されたものです。

 食品表示・安全については、一消費者として気になるところですが、一弁護士としては、これまで余り興味を持っていなかった(そんな相談、田舎ではありませんからね)のですが、小売り業に少し携わるようになったことから、今では関心がある分野の1つになっています。

 私の知識の整理のために、「表示違反に関する罰則等について」(八木正雄弁護士、高橋礼雄弁護士)(同書P44~P45)から、少し抜粋したものを紹介いたします。

1 食品衛生法

 食品衛生法は、①19条において、内閣総理大臣が食品・添加物等に関する表示について必要な基準を定めることができる旨規定している(同条1項)。また、これにより表示について基準が定められた食品・添加物等は、その基準に合う表示がなければ、販売・陳列等してはならないとしている(同条2項)。さらに、②20条において、食品・添加物等に関し公衆衛生に危害を及ぼすおそれのある虚偽・誇大な表示・広告を禁止している。

 これらのうち、19条2項及び20条の規定に違反すると、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科され、又はこれらを併科される(72条直罰主義)。また、法人の代表者や、法人又は人の代理人・使用者等が、その法人又は人の業務・財産に関しこれらの違反行為をした場合は、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても1億円以下の罰金刑が科せられる(78条 両罰規定)。

2 JAS法(農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)

 JAS法は、①19の13において、内閣総理大臣が飲食料品の品質に関する表示について製造業者等の守るべき基準を定め告示しなければならないものとし、②19条の3の2において、製造業者等はこの表示の基準に従い表示をしなければならないと規定する。

 そして、19条の13に規定する基準のうち原産地(原料又は材料の原産地を含む)について虚偽の表示をした飲食料品を販売すると、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる(23条の2。直罰主義)。法人の代表者や、法人又は人の代理人・使用者等が、その法人又は人の業務・財産に関し虚偽の表示をした飲食料品を販売した場合は、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても1億円以下の罰金刑が科せられる(29条1項。両罰規定)。

 ※最近の改正についての解説(同書P46)

 近時、食品の原産地偽装事件が頻発し社会問題化したことや、原産地偽装は農業や漁業の産地振興にも反することから、平成21年4月、JAS法の規律する表示違反のうち、原産地偽装に限っては直ちに罰則を科すことができるようにした同法の改正案が国会で可決成立し、この改正法は同年5月30日より施行されている。同時に、罰則も加重され、従来、個人の罰則は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金であったが、これが2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に引き上げられた(23条の2)。さらに、業者に改善を指示・命令すれば、あわせてその旨を公表することも規定された(19条の14の2)。

3 健康増進法

 健康増進法は、①32条の2において、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、内閣府令で定める健康保持増進効果等について著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならないとしている。②32条の3において、32条の2の規定に違反して表示をした者があり、それが国民の健康の保持増進に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、内閣総理大臣は、その者に対し当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる旨の規定を定めた上(同条1項)、その勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に係る措置をとらなかったときは、内閣総理大臣は、その者に対して勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができるとしている(同条2項)。そして、32条の3第2項の規定に基づく命令に違反すると、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(36条の2。内閣総理大臣の命令に違反したときに罰則が科されるとしており、直罰主義ではない。)。

4 不正競争防止法

 不正競争防止法は、商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に処され、又はこれらが併科されると規定している(21条2項4号。直罰主義)。法人の代表者や、法人又は人の代理人・使用者等が、その法人又は人の業務・財産に関し虚偽の表示をした場合には、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても3億円以下の罰金刑が科せられる(22条1項。両罰規定)。

5 不当景品類及び不当表示防止法(景表法)

 景表法は、商品・役務の取引について、優良誤認表示(事実に反して、商品の品質、規格その他の内容について実際のものよりも著しく優良であると表示することにより、不当に顧客を誘引し公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示)、有利誤認表示(事実に反して、商品の価格その他の取引条件について実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示)等、消費者に誤認されるおそれがある不当な表示をすることを禁止している(4条1項)。これに違反する表示がなされたときは、内閣総理大臣が措置命令を出すことができる(6条1項)。

 そして、業者が措置命令に従わない場合、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処され、又はこれらを併科される(15条。措置命令に従わないときに罰則が科されるとしており、直罰主義ではない。)。法人の代表者や、法人又は人の代理人・使用者等が、その法人又は人の業務・財産に関し、確定した排除命令に従わない場合は、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても3億円以下の罰金刑が科せられる(18条)。

 

 少しずつ、勉強をして深めていきたいと考えています。

2010年1月28日 (木)

債務整理事件を受任した公設事務所の弁護士が辞任に当たって説明義務に違反したとして、債務不履行に基づく損害賠償が認容された事例 鹿児島地裁名瀬支部平成21年10月30日判決

 判例時報No2059号(平成22年1月21日号)で紹介された裁判例です。

 裁判所は、事件の受任時における説明義務には違反していないが、事件の辞任時における説明義務については違反していると判断して、元依頼人の請求を一部認めました。

 即ち、裁判所は、事件の受任時における説明義務違反については、Xの命には何の値打ちもないなどと述べて生命保険契約を解約するよう指示するなど終始高圧的な態度でXの意向を一切考慮しなかったこと、困難な事由がないにも拘わらず弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成していないこと等、債務整理の事件処理としては不適切なところもあると言わざるを得ないものの、

 Yは、Xが主張するように、特定の債権者に対する支払いを求めるような説明をしているとまでは認められないこと、生活改善を図るために家計簿や陳述書を記載させることに重きをおいて指導してその提出を求めるとともに、弁護士費用につき一応明らかにした上で支払える範囲で分割で支払いを求めるなど、Xが今後行うべきことについて一応の説明をしていることから、受任時における説明義務には違反していないと判断しました。

 しかし、事件の辞任時における説明義務違反については、弁護士が、債務整理事件を受任している場合には、辞任通知を債権者に送付すれば、依頼者は、当該債権者から直接支払の請求を受けたり、又は訴訟を提起される等の不利益を被る可能性が極めて高くなるから、一般に期待される弁護士としては、辞任通知を債権者に送付するに当たっては、事前に、事件処理の状況及びその結果はもとより、辞任による不利益を依頼者に十分に説明する必要があるというべきであると判示しました。そして、Yは、Xに辞任予告通知を送付する際はもとより、辞任通知を送付するに当たっても、事前に事件処理の状況及びその結果並びに辞任による不利益を一切Xに説明しなかったから、一般に期待される弁護士としては、著しく不適切なものであるとして、事件の辞任時における説明義務に違反すると判断しました。

 もっとも、Yは、責めに帰することができない事由によって説明義務を履行することができなくなったと主張したものの、本判決は、Yは、辞任予告通知や辞任通知を送付するに当たって、いずれもXへの連絡を試みたとまで認めることは出来ない上、これらの重要な文書を送付するに当たっても、信書の送付を禁ずるクロネコメール便を利用してXの受領を確認する方法すら講じなかったものであるから、Yの責めに帰することができない事由によるものであるとまで認めることはできないと判断しました。

 判例時報で紹介されている判決文はかなりの分量があります。

 Y弁護士が、依頼者Xに対して、終始高圧的な態度で、Xの意向を一切考慮しなかったことが原因で、Yに対する不信感が大きくなったことに今回のトラブルの背景がありそうです。

 Y弁護士は、公設事務所に赴任した当時は、弁護士登録1年を経過した位の若手弁護士のようです。当時の事務職員は、「相談の雰囲気が和やかなことはほとんどありませんでした。乙山弁護士は机に肘をつき、あごの上で手を組み、下から睨みつけるように相談をしたりしていました。」と供述しています。また、Y弁護士の講演後の懇親会で、乙山先生は、多数の懇親会参加者の前で、「自分の方針に従わせるのに一番有効な方法は、奄美で弁護士が神様のように尊敬されている点を利用して、自分から見放されたら大変なことになってしまうことを思わせることだ」と、それを自分は神になるという言い方で表現していました」と述べていたと、懇親会に参加していた弁護士が供述しています。

 極めて個性的な弁護士さんのようですが、やはり全ての相談者に対して終始同様の高圧的な対応を行うことは、このようなリスクを生じさせる可能性を孕むものであり、注意をしないといけません。

 ただ、他方で、辞任関連の通知は、平成18年9月19日、平成19年7月23日、平成20年3月19日、同年4月17日に、複数回送付しており、これがXに届いているのであれば、辞任の方法として、余り問題はないように思いますが、クロネコメール便を利用してしまったため、Xが受領したという認定はされていません。受けとっていない以上、辞任された事実を依頼者が知ることはできないため、配達記録が残る郵便で送付すべきだったのでしょう。

 裁判所は、異例ともいえる付言でY弁護士に注文をつけています。即ち、債権者に債務免除その他の提案を通知したまま委任を実質的に終了させていないため、訴訟を提起される等の不利益を受ける可能性のある134人の依頼者、処理方針をいまだに定めていない49人の依頼者、破産手続開始の申立を怠っている67人の依頼者、合計351人の依頼者に対しては、1人1人と直接面談するなどして最優先で依頼者の現状を十分に把握した上で、委任事務の経過及びその遅滞による不利益につき丁寧な説明をして依頼者の意向に添う解決に改めて努めるなど、依頼者と誠実に向き合って、弁護士としての基本的な職務を遂行と述べています。

 裁判所の上記指摘については、私も注意しながら仕事をしていくようしていきたいと思います。

 対応できる範囲での仕事でなければ、消化不良となりますから。

 また、地方ではまだ弁護士が神とまではいかなくても尊敬されることが少なくない職業です。若いうちから「先生」と言われ、錯覚してしまうこともあります。いつの間にか井の中の蛙になってしまっていることもありえます・・・・

 一件一件丁寧に誠実に且つ温かく仕事をしていくに限ります。sun

2010年1月23日 (土)

【消費者法】 貸金業者に取引履歴開示義務違反があり、その結果、借主が貸金業者の借主に対する貸付け(貸付年月日、貸付金額、弁済期、利息の約定を含む)の事実を主張立証できない場合には、借主は、貸金業者に対する不当利得返還請求の要件事実として、借主から貸金業者への金員の交付(弁済)のみを主張立証すれば足り、これを争う貸金業者において、抗弁として、貸金業者の借主に対する貸付け(貸付年月日、貸付金額、弁済期、利息の約定を含む)及びこの貸付けに基づく弁済としてこの金員の交付が行われたことの主張立証責任を負うとされた

   判例タイムズNo1310号(1月15日号)で紹介された名古屋高裁金沢支部平成21年6月15日判決です。

  取引の全部が開示されないため、正確な推定計算ができず、過払金の請求を行うに際して、困る場面にはよく遭遇します。

  必ずといってよいほど、サラ金側の弁護士は、不当利得返還請求の要件事実の原則を主張してきます。つまり、不当利得返還請求の要件事実は、①請求者の損失、②相手方の利得、③①と②の因果関係、④相手方の利得が法律上の原因に基づかないことが必要である。従って、貸金業者に対して、不当利得返還請求権に基づき過払金を請求する借主は、請求原因として、借主から貸金業者への金員の交付(上記要件事実の①~③)のみならず、貸金業者の借主に対する貸付け(貸付年月日、貸付金額、弁済期、利息の約定を含む)(上記要件事実の④)の主張立証責任を負うことになるのだと。

 しかしながら、サラ金業者が取引履歴開示義務を負っているような場合にまで、上記原則を貫くことを是とすれば、サラ金業者としては、開示しない方が、支払う金額が少なくてすむこともありえます。

 これは、明らかにおかしすぎます。

 名古屋高裁金沢支部の判決は、頭書のように判示して、借り手の主張立証責任の軽減を図りました。

 とてもよい判決ですね。

 なお、相手方は、SFコーポレーションです・・・

より以前の記事一覧

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

書籍紹介(労働・労災)

無料ブログはココログ