<(_ _)>

🚓交通事故🚓

🏩 書籍紹介(労働・労災)

🚚 書籍紹介(流通)

« 【金融・企業法務】 旬刊商事法務3/15 | トップページ | 【離婚】 離婚すると、必ず、共同親権になるの!? »

2025年4月 2日 (水)

【学校】わが国の将来を担う国立大学の新たな将来像

 令和7年3月31日、国立大学協会から、「わが国の将来を担う国立大学の新たな将来像」が公表されました。

 30頁ほどの分量ですので、全ての読み込みは難しいところですが、最初の部分に、「本将来像が国立大学の決意として目指すところの概要は以下のとおりである。」として、概要についての説明があります。

「(1)わが国の「知の総和」を増大させるため、地方及び女子の大学進学率を一層向上させ、意思と能力あるすべての者が高等教育を享受するという意識を持ち、そのための体制を構築する。同時に、学生定員の外枠等も活用して全学生の3割まで留学生受入れの拡大を図り、世界から多様な頭脳をわが国に導き入れる。

 (2)多様な分野における世界最先端研究を遂行する大学を中心に、学部定員の大学院定員への振替により、博士号取得者数を3倍に増加させる。併せて、公的部門や産業界等と協力して博士人材が活躍できる環境や条件を醸成する。

 (3)各道府県に配置された地方大学の大学数を減少させることなく、大学間連携も図りつつ学部および大学院の構成と定員を見直す。地方大学は、地方自治体や地域産業界との連携によって地方創生に主導的役割を果たし、地方における人口流出を抑えこむことに大きく貢献する。

 (4)大学病院における研究環境の整備や研究者の処遇については、文部科学省・厚生労働省と協働し適正化を図る。教員養成に関しては、国が「わが国の教育」とは何かを示した上で、初等中等教育の教員の質の高度化に取り組み、次世代人材の育成に寄与する。

 (5)研究への潤沢な資金と研究者の確保が必要であり、特に、研究者全体の層を広く厚くすることが最も重要である。また研究施設・設備や研究支援スタッフ等の研究環境の高度化を図る。

 (6)各国立大学は、統合の可能性も視野に入れた様々な連携と再編を通じ、各大学自身とその総体である「国立大学システム」の力を強化・増大させる。また国公私立大学間の様々な形の連携を通じて、わが国の高等教育全体のレベルアップを図り、さらに地方自治体や地域産業界との連携を通じて地方創生を主導していく。さらに、「知の総和」の重要な構成要素である女子学生や女性研究者・教員の活躍を促進し、また障害のある者等を含む共生社会の実現を目指す。」 

20250330_133955
(円久寺のサクラ)
 そして、「国立大学が有している機能としては、
① 世界レベルの学術研究を推進する機能、
② 新技術開発や産業のイノベーションにも繋がる先端研究を推進する機能
③ わが国の産業を支える優秀な人材を輩出する機能
④ 社会の多様な活動に参画できる人材を育成する機能
⑤ 初等中等教育に係わる教員を養成する機能
⑥ 医療人材を養成し、先端医療や地域医療に貢献する機能、
⑦ 外国人留学生を受け入れ、わが国のダイバーシティ向上に貢献する機能、
⑧ 地域産業や地域の活性化など広く地方創生に係わることのできる人材を輩出する機能など
 があり、各大学はこれらの中の全部または複数の機能を果たしている。

 本「将来像」を実現するために各大学は、これらの機能のうちのどの機能を中心としてわが国の「知の総和」の向上に取り組むのかを、ステークホルダーとの間で、また、国立大学間で真摯なかつ十分な議論を行い、自ら選択していく。」
20250330_134525_20250402114101
(霊仙山のぼたん)
 国立大学が故に公益性の高い活動が社会から求められていますが、他方で、その財政的支援については甚だ心許ないという現実があります。例えば、地域や社会の求めに応じて国立大学病院機能の高度化が求められていますが、多くの国立大学病院は赤字であり、その運営に不足する経費を教育研究の予算から補填せざるを得ないのは健全ではありません。また、学生に対する支援が充実しても、それはつまるところ家計負担への補助であり、国立大学の収入が増えるわけではありません。
 国立大学は先程の①から⑧の機能強化が求められていますが、そのためには国立大学に配分される教育研究経費の充実が重要なのです。
 田舎弁護士も、国立大学にかかわるまでは、私立の学校法人の法律顧問をしていた関係上、私立学校の経営者から財政的に厳しいという話をよくきかされていため、国立大学は国から多くの補助金をもらえていいなということを思っていましたが、実際に、国立大学の経営にかかわってみると、国立大学は地域から研究教育だけではなく産業、経済、福祉、文化等いろいろと公的な活動を求められいるにもかかわらず、その活動を裏付ける財政的な基盤は相当に危機的な状態にあるということがわかりました。
 
 運営交付金の在り方を含め、どこまで国が責任を持ち、どれだけの負担を学生や保護者及び社会に求めるのか、真摯な議論が早急に必要です

« 【金融・企業法務】 旬刊商事法務3/15 | トップページ | 【離婚】 離婚すると、必ず、共同親権になるの!? »

【学校】」カテゴリの記事

2025年4月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

🏦 書籍紹介(企業法務・金融)

無料ブログはココログ