MICの関節の医療画像鑑定セミナー・第2弾「膝」を、WEBで受講しました。
損害保険協会主催の医療セミナーの受講機会がなくなりましたので、このような交通事故に特化した医療セミナーは助かります。しかも、無料です。

(円久寺)
では、備忘録的に、ベタ打ちです。
1 後遺障害等級の認定要件(膝関節)
8級7号(用廃)
関節の強直(他動運動で可動域が10%以下)
関節の完全弛緩性麻痺又はそれに近い状態(自動運動で可動域が10%以下)
人工関節を挿入した・かつ可動域が健側の1/2以下
動揺関節のため常に硬性補装具を必要とする
10級11号(著障)
可動域が健側の1/2以下に制限されている
人工関節を挿入した
動揺関節のため時々硬性補装具を必要とする
12級7号(単障)
可動域が健側の3/4以下に制限されている
重激な労働の際以外には硬性補装具を必要としない
※膝関節の主要運動:屈曲+伸展
膝関節の参考運動:なし
12級13号 局所に頑固な疼痛を残す場合(他覚的に証明可能) ←画像鑑定
14級9号 局所の疼痛や広範囲の痺れなどを残す場合(医学的に説明可能) ←画像鑑定
2 膝関節を構成する骨
肩、膝は、三次元的に複雑な構造
3 主な筋肉
4 腱(筋と骨を繋いでいる)と靱帯(骨と骨を繋いでいる)の違い
5 膝の外傷によって生じる変化
骨折 骨挫傷
靱帯・腱・筋(腱板)の損傷
軟骨の損傷
上記変化による疼痛 可動域制限 不安定生
12級以上の後遺障害として認定されるには可動域の制限が重要だが、膝の場合は動揺性・不安定生が重要
可動域制限は、筋腱の損傷で生じる 靱帯損傷は動くが不安定になる
⇒これらの損傷は、CTやXPでは明らかにならない
MRIは、
骨の中の組織の状態がわかる 筋肉や靱帯等の軟組織の状態がわかる 炎症の程度や時期がわかる
↓
事故が原因で生じた病変であることが説明できる
6 組織損傷(浮腫)に関するMRI画像の所見
T2強調系 白く見える 信号上昇 高輝度 液体貯留(水は明瞭な白)
T1強調系 灰色から黑 信号低下 低輝度
液体貯留(水は明瞭な低信号だが出血があると少し信号が高い)
7 膝外傷の代表疾患
靱帯損傷(断裂) 内・外側副靱帯、前・後十字靱帯
半月板損傷 内側、外側半月板
脛骨高原骨折
膝蓋骨脱臼、骨折
8 膝の慢性病変 (区別する)
変形性膝関節症
半月板損傷 断裂
靱帯損傷 断裂
習慣性膝蓋骨脱臼等
事故で生じた病変と慢性病変の区別
MRIの撮影時期が事故後半年以内ならば病変の浮腫や損傷に応じた輝度変化が認められるので最近の病変といえる
T2強調画像(脂肪抑制)で高信号(白色) 他のエピソードがなければ事故で生じた可能性が高い
慢性病変 区別できる
石灰化、筋萎縮、水は溜まっているが浮腫がない 病変の境界が明瞭
各病変に特賞的な所見が認められる
病変や病態が説明できる事故の状況は非常に重要
下肢の外反や内反と靱帯の損傷が説明がつくか
打撲の状態と骨折や骨挫傷との信号が説明がつくか
(霊仙山)
9 MRIを撮影するタイミング
事故直後の早い時期のMRIはある方がよい
3か月~1年は必ずいる 症状固定の直前くらい
初回撮影が事故から1年を超えると厳しい
適切な時期に、適切な撮影 1.5テスラ以上の新しいMRI
10 膝は、靱帯損傷や半月板損傷が多く、可動域制限よりも不安定性が症状としては多い
11 素因減額にこだわりすぎないようにする
膝関節は、中年期以降では、もともと慢性病編が存在していることが多い すべての損傷変化が一回の事故で生じたと説明するのは難しい
元来の病変が悪化と説明する方が真実であることが圧倒的に多い
12 後遺障害認定には
画像所見と症状が一致している 可動域制限がでる状態か
自然治癒しない損傷所見 骨挫傷よりは骨折 靱帯損傷よりは断裂
慢性病変との鑑別(区別)ができているか 慢性病変の典型所見との区別があるか 信号から事故で生じた病変と説明できるか
病変が生じる事故の状況であったか 筋や靱帯損傷が生じる状況であったか
適切な事故のMRIが必要
13 まとめ
膝の損傷は、適切なMRIがないと正確には判断できない
部分断裂をいかに指摘して説明できるか
膝関節の損傷は外反による損傷が多い
膝関節は靱帯損傷が多く、不安定性を見逃さない 理学所見を丁寧に診察し記載
初診時には、膝蓋骨等の膝関節の脱臼、半月板損傷、PCL損傷などは見逃されやすい 後から症状が出現した経過になると認定されないこともある
(宮ヶ崎)
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